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消費が増えなくても激しいインフレが起きるのかという疑問に関する質問主意書
衆議院 第193回 第73号お答えすることは困難 ×4趣旨が明らかではない ×3仮定の質問 ×1
質問本文
先の答弁書(平成二十九年二月三日内閣衆質一九三第三〇号、以下答弁書という)の一から八までについてで、コンバートによって消費・需要が大きく拡大することはないが、通貨の信認が損なわれ激しいインフレが起きると述べた。通貨の信認が損なわれるとよく言われる例としては、政府貨幣が発行されたとき、日銀の国債引き受けが行われたとき、財政ファイナンスが行われたときなどであり、政府はこれらの際には、消費は拡大しないが激しいインフレが起きるという矛盾に満ちた主張をする。
平成十四年五月九日の日経新聞でのノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ氏の政府貨幣発行に関する発言に注目して頂きたい。「増発された紙幣は消費を刺激せず、インフレにつながるだけだとする、矛盾に満ちた主張も一部で見受けられる。消費に回らなければ、どうやってインフレを促進することになるのか。」このような矛盾に満ちた考えが財政拡大を妨げ「失われた二十年」と言われる世界に類を見ない大不況に日本を陥れている。
特にコンバート時ではあるが、もっと一般に通貨の信認が失われた時に何が起きるかに関して質問する。
ただし後半はそれ以外の質問も行う。
一 消費は拡大しないままで、激しいインフレが突然現在の日本で起きるのか。
二 消費が拡大しない時、一企業あるいは一商店が全製品・全商品の大幅な値上げを行ったとすると、それらが売れなくなるのは明らかで倒産に追い込まれるのではないか。
三 全企業、全商店が一斉に同率で値上げしても、やはり消費者は購買力の低下のため売れなくなり、結局値下げに追い込まれるだけではないか。
四 例えば、トヨタや東京電力、郵便局、百円ショップ、ガソリンスタンド、書店などが本当に突然大幅値上げをするのか。それ以外に具体的に大幅値上げをすると言っているところを政府は一箇所でも把握しているのか。もし一箇所も把握できていないとしたら、通貨の信認が失われると激しいインフレが起きるという政府の主張は間違いだと結論できるのではないか。
五 コンバートで激しいインフレになったとき、消費性向はどのような影響を受けるのか。我が国における消費性向は年金を取り崩して生活する世帯の増加のためゆるやかに増加する傾向があるもののほぼ〇.八程度である。例えば物価が二倍になり消費性向が〇.八のままだと消費は実質的に半減するのか。それとも可処分所得も一気に二倍になると主張するのか。
六 例えば政府が通貨を大規模に増発すれば激しいインフレになるのは明らかである。あるいはデフォルトの際、一気に通貨安が進み、輸入が滞り深刻な物不足になった際にも激しいインフレになることは知られている。また、戦後の極端な物不足の際にも激しいインフレが起きる。デフォルト、通貨安、あるいは通貨の増発、戦後の物不足などの場合を除くとしたとき、消費の拡大もない時に突然激しいインフレに見舞われた例はあるのか。
七 円の信認が失われたら円が暴落し、輸入物価が上昇しインフレになるという主張か。アベノミクスが始まって一ドルは八十円台から百二十円台へと円は急落したが、インフレ率の上昇は僅かだった。円がどれだけ下がれば激しいインフレになるというのか。ベネズエラは通貨急落から激しいインフレになったが、これには外貨不足から輸入が途絶え、それを代替する国内産業がなかったため深刻な物不足が引き起こされた結果であり、巨額の外貨を保有する日本の現状とは全く異なるが同意するか。現状を放置すれば、景気が回復し金利が上昇に転じたとき、国債価格の下落で日銀資産が毀損し、円への信認が失われ過度の円安を招く。それを防ぐためにもコンバートが有効なのではないか。
八 答弁書ではコンバートによって金利が急騰するとしている。一方で、中曽日銀副総裁は二月九日に高知市内で記者会見し、日銀がゼロ%程度への誘導を目標としている長期金利の操作について「長期金利をコントロールすることは十分可能だ」と述べた。また二月三日には日銀があらかじめ決めた利回りで無制限に国債を買い入れる指し値オペを日銀が実施している。無制限の指し値オペを続ければ金利は固定され急騰するわけがないが同意するか。
九 答弁書の一から八についてで無利子・無期限の債券は無価値だとしているが、日銀券(紙幣)や政府貨幣(硬貨)も無価値だと主張するか。
十 トランプ米大統領は日本の為替政策を厳しく批判している。金融緩和で円安誘導を行って輸出を伸ばそうとしているとの批判をしており、かつての貿易摩擦が再燃する可能性がある。一九八九年〜一九九〇年の日米構造協議ではアメリカは日本に内需拡大を要求した。日本に対しGNPの十%を公共事業に配分することを要求した。海部内閣はこれに応え、十年間で総額四百三十兆円という「公共投資基本計画」を策定した。
もちろんアメリカの要求をすべて飲む必要はないが、デフレが続き消費が落ち込み、輸入が減って経常黒字が続くのがよいわけはない。ゼロサムゲームであり、黒字国があれば赤字国もある。日本が黒字を続けることで赤字国を苦しめることになる。そうであれば、日本は財政を拡大し、景気を良くし、消費を伸ばし、輸入を増やせば、アメリカなど赤字国にとっても、日本にとっても良いことであり世界経済の健全な発展にも貢献すると考えるが同意するか。
十一 答弁書の十及び十一についてで「財政状況を一つの数量的基準を用いて測ることは困難である」と述べているが、これは国・地方の債務残高のGDP比だけで、財政が厳しいかどうかを言う事はできないという意味か。
十二 平成二十九年一月二十五日に内閣府より発表された「中長期の経済財政に関する試算」(以下内閣府試算という)によれば、「二〇一七年現在、国・地方の債務残高のGDP比は一八八.五パーセントであるが、この比は今後次第に減少し二〇二五年には一六九.六パーセントにまで下がると見込まれている」ということで間違いないか。そうであれば、「国・地方の債務残高がGDPの二倍程度に膨らみ、なおも更なる累増が見込まれている」などという、わざと誤解を招き、明らかに国民を騙そうとする意図が見える表現は今後答弁書では使うべきではないと思うが同意するか。
十三 内閣府試算ではGDP推計の抜本的な変更が行われた。この試算で使われた計量経済モデルの変数・方程式リストや乗数はいつ公表されるのか。
十四 内閣府の「今週の指標No.一一五九 基準改定等を反映した二〇一六年七〜九月期四半期別GDP速報(二次速報)を踏まえたGDPギャップ及び潜在成長率について」では研究開発への支出が含められたために約三十兆円だけGDPが上振れした。これは総需要が研究開発で二十兆円、他の要因も含めると三十兆円増加した場合の試算をした事に相当している。つまりこの試算では、これらを増やす前と後では潜在成長率は〇.四から〇.八に増加することを示す事となった。ということは総需要を増やせば潜在成長率は増えることを示したことになった。これは「潜在成長率を増やすには構造改革によって供給サイドを強化するしかない」「現在の低成長は、潜在成長率が低いためであるから致し方ない」という従来の考え方が間違いだったことを証明した。つまり財政を拡大すれば、潜在成長率が低くても経済は発展する事が出来ることが証明されたと考えるが同意するか。
十五 内閣府は前述の「今週の指標」で用いた方法に従って、財政を拡大した場合としない場合で全要素生産性をそれぞれ計算し、国民に示すべきである。内閣府試算では全要素生産性が高い場合に相当する「経済再生ケース」と低い場合に相当する「ベースラインケース」を示しているが、そもそも全要素生産性は財政規模に依存するのだから、この二つのケースを示すことは意味がない。むしろ、財政を拡大した場合と拡大しない場合を計算し比較し「中長期の経済財政に関する試算」を国民に示すべきだと考えるが同意するか。
十六 日米政府の政策は対照的である。アメリカ政府は様々な形で国内産業の後押しをしている。トランプ大統領は企業が国内から海外へ移転するのを阻止し大規模減税や公共投資で需要を喚起し国内産業の発展を目指している。一方で日本政府は逆に国内産業の足を引っ張っている。デフレから脱却できていないのにも拘らず、増税で消費を停滞させているし二年後に更なる消費増税を予定している。これでは消費が低迷し、国内企業の経営を悪化させ発展を阻害する。発展しない国に企業は投資したくない。しかも総理が企業に賃上げを求めることにより、企業の採算を更に悪化させ、もっと賃金の安い海外への工場移転を促す結果となる。アメリカは「アメリカ第一」という政策だが、日本は「日本は二の次」という政策になっているのではないか。日本もアメリカに倣って大型減税、財政拡大を行って経済を発展させ「日本第一」という政策に転換してはどうか。
十七 答弁書の十五についてで、日本銀行の行っている国債買い入れは、二パーセントの物価目標の実現という金融政策を目的にするものであり、公債の引受には当たらないとのことである。しかし物価目標が達成されていない現状を考えれば、国債の買い入れ増加や財政拡大などあらゆる手段をつくして目標達成の努力をすべきではないか。政府の見解を求める。
右質問する。
政府答弁書
一及び六について
お尋ねの「消費は拡大しないままで、激しいインフレが突然現在の日本で起きるのか」及び「消費の拡大もない時に突然激しいインフレに見舞われた」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、御指摘の「激しいインフレ」については、先の答弁書(平成二十八年三月十八日内閣衆質一九〇第一七四号)八についてでお答えしたとおり、ハイパーインフレーションは、戦争等を背景とした極端な物不足や、財政運営及び通貨に対する信認が完全に失われるなど、極めて特殊な状況下において発生するものである。
政府としては、財政運営及び通貨に対する信認が失われることのないよう、「経済財政運営と改革の基本方針二〇一五」(平成二十七年六月三十日閣議決定)第三章に定めた「経済・財政再生計画」に沿って引き続き財政健全化の取組を着実に進めてまいりたい。
二から四までについて
お尋ねについては、企業の商品の値上げに関する特定の行動を仮定した御質問であることからお答えすることは差し控えたい。
なお、通貨の信認が失われることによる激しいインフレは、通貨一単位当たりの購買力が低下することによって発生するため、「もし一箇所も把握できていないとしたら、通貨の信認が失われると激しいインフレが起きるという政府の主張は間違いだ」といった御指摘は当たらない。
五について
お尋ねについては、仮定の御質問であることからお答えすることは差し控えたい。
七について
先の答弁書(平成二十九年二月三日内閣衆質一九三第三〇号。以下「前回答弁書」という。)一から八までについてでお答えした「財政運営及び通貨に対する信認が著しく損なわれる結果、金利の急騰や激しいインフレが生じ」については、我が国の通貨に対する内外からの信頼の低下を通じて、金利の高騰や激しいインフレが生じる旨を述べたものであり、御指摘の「円が暴落し、輸入物価が上昇しインフレになる」といった特定の経路を念頭に置いたものではない。
お尋ねの「巨額の外貨を保有する日本の現状」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。
前回答弁書一から八までについてでお答えしたとおり、御指摘の「コンバート」を行えば、財政運営及び通貨に対する信認が著しく損なわれる結果、金利の急騰や激しいインフレが生じ、経済・財政・国民生活に重大な影響が及ぶおそれがあるため、政府としては、御指摘の「コンバート」を行うつもりはない。
八について
「無制限の指し値オペを続ければ金利は固定され急騰するわけがないが同意するか」とのお尋ねについては、日本銀行の金融政策運営に関するものであり、同行の自主性を尊重する観点から、お答えすることは差し控えたい。同行は、二パーセントの「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、長短金利の操作を内容とする「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」(平成二十八年九月二十一日日本銀行政策委員会・金融政策決定会合決定)を継続するとしており、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に沿って、同行が適切に対応されるものと認識している。
なお、国債の金利は、金融政策のみならず、経済・財政の状況等の様々な要因を背景に市場において決まるものであり、その動向について言及することは市場に無用の混乱を生じさせかねないことから、国債の金利の動向に関するお尋ねにお答えすることは差し控えたい。
九について
前回答弁書一から八までについてでは、「一般論としては、無利子・無期限の債券に経済的価値を認めることは難しい」旨を述べており、一般的に、日本銀行券や貨幣が無価値であるとは考えていない。
十及び十六について
デフレ脱却と持続的な経済成長の実現は、政府の重要な政策課題であり、安倍内閣の経済財政政策により、デフレではないという状況となり、雇用・所得環境も確実に改善していると考えている。政府としては、引き続き、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現に向けて、金融政策、財政政策及び構造改革を総動員することとしている。
十一について
御指摘の「財政状況を一つの数量的基準を用いて測ることは困難である」とは、例えば国・地方の債務残高のGDP比について、一つの数量的基準をもってその厳しさをお答えすることは困難であることを述べたものである。
十二について
「中長期の経済財政に関する試算」(平成二十九年一月二十五日経済財政諮問会議提出。以下「一月試算」という。)では、経済再生ケースにおいて、国・地方の債務残高対名目GDP比が平成二十九年度に百八十八・五パーセント程度、平成三十七年度に百六十九・六パーセント程度となる姿をお示ししている。
御指摘の「わざと誤解を招き、明らかに国民を騙そうとする意図が見える表現」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「国・地方の債務残高がGDPの二倍程度に膨らみ、なおも更なる累増が見込まれている」に関しては、前回答弁書等において、国・地方の債務残高がGDPの二倍程度に膨らむとともに、国・地方の債務残高の累増が見込まれる旨を述べたものであり、一月試算において国・地方の公債等残高が増加する試算結果となっていることと整合的なものとなっている。
十三について
お尋ねの「計量経済モデルの変数・方程式リストや乗数」の公表時期については未定である。
十四について
潜在成長率は、算出の方法や用いるデータの改定等により、推計値は異なるものであることから相当の幅をもって見る必要がある。その上で、平成二十三年基準改定等を反映した「二〇一六(平成二十八)年七〜九月期四半期別GDP速報(二次速報値)」(平成二十八年十二月八日内閣府公表)に基づく潜在成長率の試算値はプラス〇・八パーセントとなり、「二〇一六(平成二十八)年七〜九月期四半期別GDP速報(一次速報値)」(平成二十八年十一月十四日内閣府公表)に基づく試算値であるプラス〇・四パーセントと比べ、上方改定となったが、これは、基準改定を通じて、各種の推計手法の開発や、より詳細な基礎統計の取り込みのほか、「国際基準(二〇〇八SNA)」に対応したことなどにより、直近のGDP成長率が上方改定されたため、足下のGDPのトレンドの伸びが上向き、全要素生産性の伸びとして潜在成長率の推計に反映された結果であり、「総需要を増やせば潜在成長率は増えることを示した」との御指摘は当たらない。したがって、「財政を拡大すれば、潜在成長率が低くても経済は発展する事が出来ることが証明された」とは考えていない。
十五について
一月試算は、政府の掲げる経済再生と財政健全化のこれまでの進捗状況とともに、今後、目標実現のために必要となる取組の検討に必要な基礎データを提供するため、デフレ脱却・経済再生に向けた経済財政政策の効果が着実に発現することで、日本経済がデフレ前のパフォーマンスを取り戻す経済再生ケースと、経済が足下の潜在成長率並みで将来にわたって推移するベースラインケースの二つのケースを比較考量できるようお示ししているものである。
したがって、これらのケースとは異なる前提で数値を試算する予定はない。
十七について
政府としては、平成二十五年一月二十二日に政府及び日本銀行が共同で公表した「内閣府、財務省、日本銀行「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について(共同声明)」」にもあるように、デフレからの早期脱却と物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向け、政府及び同行の政策連携を強化し、一体となって取り組んできたところであり、こうした安倍内閣の経済財政政策により、デフレではないという状況となり、雇用・所得環境も確実に改善していると考えている。
その上で、同行は、二パーセントの「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、長短金利の操作を内容とする「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続するとしており、平成二十八年十月十二日の衆議院予算委員会において、黒田東彦同行総裁は、経済、物価及び金融情勢を踏まえ、必要な場合には追加緩和を行う旨の答弁をしているものと承知している。
デフレ脱却と持続的な経済成長の実現は、政府及び同行共通の重要な政策課題であり、引き続き、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現に向けて、同行とも緊密に連携しつつ、金融政策、財政政策及び構造改革を総動員し、一体となって取り組んでいく。
この答弁書に出てくる定型句
お答えすることは困難 ×4趣旨が明らかではない ×3仮定の質問 ×1
語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。
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