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日銀の政策変更で今後国債の暴落は起こり得なくなったのではないかという疑問に関する質問主意書

衆議院 第192回 第18号お答えすることは困難 ×2仮定の質問 ×2

提出者
民進党・無所属クラブ
提出日
2016年9月27日
内閣転送 2016年10月3日
答弁書受領日
2016年10月7日
提出から10日
答弁の項目数
12
質問 3,738字/答弁 2,300字

質問本文

異次元の金融緩和で日銀が刷ったお金で国債を大規模に買うだけで、円安が進み日本経済はデフレから脱却できるという考えが間違いだったことが明らかになってきている。日銀はマネタリーベースが、年約八十兆円に相当するペースで増えるよう国債購入等を行っていたが、政府の思惑とは逆に円高に向かい、輸出企業の業績悪化の懸念が高まり、経済の悪循環が始まっていた。物価下落もあり、二年間で二%のインフレ率を達成するという目標は完全に失敗に終わり、デフレ脱却に関しては全く見通しが立っていない。日銀は、九月二十一日、金融緩和の目標を、長期金利を〇%程度とする金利目標に変更した。出口戦略の第一歩と思われるが、これだけでは景気回復は難しいと思われる。一方で、八月二日に閣議決定された二十八兆円の経済対策に関しては、誰もが実質GDPを押し上げる効果があると認めている。問題は経済対策の規模が十分でないという点である。

また、前回の質問主意書(第百九十回国会提出の質問第二五五号)に対する答弁書(内閣衆質一九〇第二五五号、以下答弁書という)に関しても質問する。

一 長期金利を〇%程度とする金利目標は、国債価格支持政策であり、日銀が指定する利回りで国債を買い入れる「指し値オペ」などで実現する。これによって国債の暴落は起こり得なくなったと考えるが同意するか。

二 答弁書(内閣衆質一九〇第一七四号)の八についてで、ハイパーインフレは我が国の経済・財政状況においては発生しないと断言された。国債暴落もハイパーインフレも起こりえない状況になった現在、これらを防ぐために導入された基礎的財政収支の黒字化は有害無益な目標になったと考えるが同意するか。またデフレ脱却までは財政規律を守る必要がなくなったと考えるが同意するか。

三 例えば日経センターによる日本経済フォーキャスター四十二人(機関)による予測の平均では、二十八兆円の経済対策を織り込んでも実質GDP伸び率は二〇一六年度で〇.六七%、二〇一七年度で〇.九四%、二〇一八年度で〇.九二%に過ぎず世界的にも日本の低成長が際立っている。OECDやIMFは、更に厳しい見方をしている。政府目標の二%成長を大きく下回るし、二〇二〇年頃GDP六〇〇兆円はとても無理ということになる。政府目標が達成できる程度にまで経済対策の規模を拡大したらどうか。

四 政府は国の借金が一〇〇〇兆円を超えている事を気にして、国債発行の規模を抑えようとしていると思われるが、内閣府が二〇一〇年八月に発表した乗数によれば、国債の発行を増やせば増やすほど、国の借金の対GDP比は減って行くのであり、実質的に国の借金は減るのだから心配しなくて良いのではないか。この乗数の計算では、国債増発で金利は上昇すると仮定されており、今後長期金利は上昇しないことになったのだから、国の借金の対GDP比はさらに減少すると思われるが同意するか。金利固定の場合の乗数は一刻も早く発表されるべきだと考えるが同意するか。

五 答弁書の八についてでは、累増が見込まれるのは国の債務残高であって、国の債務の対GDP比ではないと答弁の間違いが訂正されたと理解してよいか。

六 日銀は国債を大量に保有している。政府と日銀を統合政府と考え連結させて財政を考えるなら、日銀が保有している国債はもはや国の借金とは言えないのではないか。

七 それでも国の借金を気にするのであれば、日銀が保有する国債が償還期限を迎えた時、借換債として、無利子・無期限のものにコンバートすればよいのではないか。そうすれば返済義務がなくなり、これは完全に国の借金ではなくなる。景気が回復し日銀が無利子・無期限の国債を売らなければならないときは、政府が買い戻せばよいのではないか。

八 内閣府の行っている中長期の経済財政に関する試算によると、毎年長期金利は急騰すると予測していて下がると予測した年は一度もないが現実はジワジワ下がり続けている。例えば今年七月二十六日に出された試算(以下試算という)によれば、長期金利は二〇一六年度〇.三%、二〇一七年度〇.八%、二〇一八年度一.七%、二〇一九年度二.七%、二〇二〇年度三.四%、二〇二一年度三.八%、二〇二二年度四.一%となっている。過去十数年間、実際の金利低下の傾向を一度も予測できなかったのは、内閣府の能力不足であり内閣府は国民の税金を使って試算を行っているという自覚が感じられない。今後長期金利は〇%程度に維持されるのだから、この試算は現実離れしたものになったのではないか。

九 試算は直ちにやり直して発表されなければならないのは明らかだ。このモデルで長期金利を〇%に固定し他のパラメーターを変えずにやり直せば、当然のことながら名目GDPも実質GDPも物価も税収もかなり押し上げられ国債費は押し下げられるはずである。また財政収支も改善するはずだと思うが同意するか。そうならなかったらこのモデルは経済を正しく記述できていないことになると思うが、同意するか。いずれにせよ直ちに試算をやり直して発表すべきではないか。

十 長期金利を〇%程度に維持する政策はインフレ率が二%を安定的に超えるまでとしているが、その後も長期金利が暴騰しないようにすると理解してよいか。国債暴落という将来不安が日本人を節約志向にさせ消費者マインドの悪化につながっている。国の国債価格支持政策の意味が深く理解されれば、国民に安心感を与え、過度な節約の必要性が感じられなくなり、デフレ脱却への大きな一歩となると考えるが同意するか。

十一 日銀は価格が変動する有価証券を四二二.五兆円保有している。一方で保有資産の損失に対する備えとして

引当金 四.五兆円(負債の部)

準備金 三.二兆円(以上、平成二十八年九月十日現在。日銀営業旬報より)(純資産の部)

利益余剰金 〇.四兆円(平成二十八年三月三十一日現在。日銀財務諸表より)(純資産の部)

の計約八兆円を保有している。つまり僅か一.九%の価格変動で債務超過になる。これは問題ないと考えるか。

十二 二〇一四年度に消費税率は五%から八%に引上げられたために、実質所得も消費も大きく落ち込み、経済は深刻な打撃を受け、未だに増税前の水準に回復していない。内閣府は二〇一二年一月二十四日に消費増税による実質GDPの押し下げ効果は四年間の合計で僅か〇.一%だと言っていたが、実際は実質GDPの伸びは二〇一三年度二.〇%、二〇一四年度マイナス一.〇%で、何と三%も落ち込んだ。内閣府の予測能力の欠如は二〇一九年十月の再増税にも暴露されようとしている。試算によれば、実質GDP成長率は二〇一八年度一.九%、二〇一九年度二.〇%、二〇二〇年度二.一%となっており、消費増税で可処分所得が低下した影響は全くないと主張している。消費増税の時期が十月だから、駆け込みと反動が打ち消すなどという言い訳は許されない。国民からみれば政府は増税しなければならないほど大変なことになっているのかと思い、更なる節約をする。その結果、消費が更に低迷し、経済が停滞、税収減少、GDPは伸びなくなる。政府は前回の消費増税の失敗を繰り返そうとしているように思えるが同意するか。

十三 答弁書の六についてで、アベノミクスで名目GDPは二十七兆円増加したとある。しかし、この中には消費増税によってかさ上げされた分が十兆円程度あり、さらに原油価格下落によって押し上げられた分も除けば、二十七兆円より大幅に少なくなるのではないか。政府目標は名目三%成長であり、三年間では四十五兆円増加していなければならないはずで、客観的に見れば大失敗ということにならないか。

十四 消費税を社会保障の財源としたことが、失敗の原因になっていないか。消費税収ほど、景気に左右される財源はない。消費税率を八%から十%へ引き上げる時期は、もともと二〇一五年十月と決まっていたが、景気悪化が理由で二〇一七年四月に延期され、同じ理由でさらに二〇一九年十月に再延期されたし、今後再々延期の可能性もある。つまり消費税収は、景気が悪化すれば税率が変化し、税収が大きく変わる。このような極めて不安定な財源を社会保障の財源にすべきではないと考えるが同意するか。

十五 現在の中学の公民の検定教科書では国債が国の借金であり、国民一人当たり巨額の借金を抱えていることになるといった、あたかも家計での借金と同じであるかのように説明されている。しかし実際は国債は家計の借金とは全く異なる面もある。

1 日銀が刷ったお金で国債を買い取ることができ、償還期限が来るたびに借換債を発行するとすれば、政府は返済の必要がない。

2 世界の多くの国では国の借金は増え続けているが、GDPも増えていて、その比が一定の値以下なら借金がいくら増えても問題になっていない。この点でも大きく異なる。

従って、国債=国の借金=悪という説明は正しくない。こういった捉え方をしている限り、緊縮財政=善、積極財政=悪ということとなり、日本は永遠にデフレ地獄から抜けられなくなると思うが同意するか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一及び十について

国債の価格は、金融政策のみならず、経済・財政の状況等の様々な要因を背景に市場において決まるものであり、その動向について言及することは市場に無用の混乱を生じさせかねないことから、国債の価格の動向に関するお尋ねにお答えすることは差し控えたい。

日本銀行は、二パーセントの「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、長短金利の操作を内容とする「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続するとしている。政府としては、平成二十五年一月二十二日に政府及び同行が共同で公表した「内閣府、財務省、日本銀行「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について(共同声明)」」にもあるように、デフレからの早期脱却と物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向け、政府及び同行の政策連携を強化し、一体となって取り組んでまいりたい。

二について

我が国の財政については、極めて厳しい状況にあり、デフレ脱却・経済再生を図りつつ、その持続可能性を確保することが重要である。政府としては、「経済財政運営と改革の基本方針二〇一五」(平成二十七年六月三十日閣議決定)に盛り込まれた「経済・財政再生計画」に基づき、平成三十二年度の財政健全化目標の達成に向けて、経済と財政双方の再生を目指す経済・財政一体改革に取り組むこととしている。

三について

実質GDP成長率二パーセント程度、名目GDP成長率三パーセント程度を上回る経済成長を実現するためには、中長期的に潜在成長率を押し上げていくことが必要である。そのため、「未来への投資を実現する経済対策」(平成二十八年八月二日閣議決定)により民需主導の持続的な経済成長と一億総活躍社会の着実な実現につなげるとともに、働き方改革に取り組むなど、あらゆる政策を総動員してまいりたい。

四、八及び九について

「経済財政モデル(二〇一〇年度版)」(平成二十二年八月内閣府公表)において公表している乗数表では、御指摘の「国債の発行を増やせば増やすほど、国の借金の対GDP比は減って行く」とのケースは示していない。

また、「中長期の経済財政に関する試算」(平成二十八年七月二十六日経済財政諮問会議提出)における長期金利は、内閣府の計量モデルに基づき、経済と財政が整合的となる一つの姿として、一定の前提の下で試算を行ったものである。

今後長期金利が上昇しないとの仮定を前提としたお尋ねにお答えすることは困難である。また、長期金利は、経済・財政の状況等の様々な要因を背景に市場において決まるものであるため、御指摘の長期金利を固定した場合についての乗数を試算する予定はない。

五について

お尋ねの「国の債務の対GDP比ではないと答弁の間違いが訂正されたと理解してよいか」の意味するところが必ずしも明らかでないが、先の答弁書(平成二十八年五月十三日内閣衆質一九〇第二五五号)八についてでは、累増が見込まれるのは国・地方の債務残高であることを述べたものである。

六について

お尋ねについては、仮定の御質問であることからお答えすることは差し控えたいが、一般論として申し上げれば、日本銀行が保有している国債も政府の債務として扱うべきと考えている。

七について

日本銀行が保有する国債が償還期限を迎えたときの対応については、同行が、適正に判断するものと考えているが、一般論としては、無利子・無期限の債券に経済的価値を認めることは難しいと考えられることから、御指摘の「コンバート」を行えば、財政運営及び通貨に対する信認を著しく損なうおそれがある。

十一について

お尋ねについては、仮定の御質問であること、また、日本銀行の金融政策運営に関するものであり、同行の自主性を尊重する観点から、お答えすることは差し控えたいが、一般論として申し上げれば、同行の財務の健全性については、まずは同行において関係法令の規定に則して適切な運営が図られるべきものであると考えている。

十二について

「中長期の経済財政に関する試算」では、平成三十一年十月の消費税率引上げの影響について、駆け込み需要・反動減に加え、物価上昇による消費への影響も試算に織り込んでいる。

また、政府としては、同月の消費税率の十パーセントへの引上げに向けて、確実に成果を生んでいるアベノミクスを一層加速させ、経済財政運営に万全を期していくこととしている。

十三について

消費税率引上げや原油価格の変動が経済に与える影響は様々であると考えられ一概にお答えすることは困難であるが、デフレではないという状況となり、雇用・所得環境も確実に改善していると考えている。

十四について

消費税は、税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく安定している、勤労世代など特定の者へ負担が集中しない、といった特性があり、社会保障の財源としてふさわしいと考えている。

政府としては、平成三十一年十月の消費税率の十パーセントへの引上げに向けて、確実に成果を生んでいるアベノミクスを一層加速させ、経済財政運営に万全を期していくこととしている。

十五について

我が国の財政状況については、国・地方の債務残高がGDPの二倍程度に膨らみ、なおも更なる累増が見込まれるなど、極めて厳しい状況にある。政府としては、引き続き、デフレ脱却・経済再生を図りつつ、適切な財政運営を行っていくべく、「経済・財政再生計画」に沿って、「デフレ脱却・経済再生」、「歳出改革」、「歳入改革」を三本柱として、「経済・財政一体改革」に取り組んでまいりたい。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×2仮定の質問 ×2

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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