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尊い命が失われたカンボジアPKOを評価、検証し、未来の政策に活かすことに関する質問主意書
衆議院 第196回 第363号お答えすることは困難 ×5趣旨が明らかではない ×2仮定の質問 ×1
質問本文
二十五年前の一九九三年五月、カンボジアPKO(国連平和維持活動)に派遣されていた日本人警察官五人が乗った車両が銃撃され、岡山県警の高田晴行警視(享年三十三歳)が死亡、四人が重軽傷を負った。高田氏の御冥福を改めてお祈り申し上げるとともに、御遺族関係者に心よりお悔やみ申し上げる。
カンボジアPKOは、日本の自衛隊が初めてPKOに参加した歴史的機会であり、以後、日本は十一度、PKOに参加している。高田氏が亡くなった当時、カンボジアPKOへの我が国の参加は、国会でも大きな議論になったものの、その後、昨今の南スーダンPKOを巡る議論においても、与野党の平行線の議論の根底には、カンボジアPKO派遣前後の議論と似たような論点がいくつも見られる。しかし、カンボジアPKOは、時の経過とともに過去の出来事として、国民の記憶の彼方に霞みつつある。
このような中、一昨年NHKで、亡くなった高田氏に関するドキュメンタリー番組三作(平成二十八年八月十三日放送NHKスペシャル「ある文民警察官の死 カンボジアPKO23年目の告白」、平成二十八年十一月二十六日放送BS1スペシャル「PKO23年目の告白 前編 そして75人は海を渡った/後編 そこは��戦場�≠セった」、以下「三番組」という)が放映され、本年一月には、その内容を書籍化したもの(旗手啓介『告白 あるPKO隊員の死・23年目の真実』講談社、以下「本書」という。)も出版された。これらの番組や書籍を改めて拝見すると、四半世紀後の現在でも教訓とすべき内容が、何点も含まれていることが認められる。
カンボジアPKOに派遣された文民警察官、高田氏の同志たちは、本書及び三番組の中で、当時の出来事を克明に記した記録や映像を、二十数年の時を経て証言とともに公にした。彼らは、カンボジアPKOの職責を全うし、その後、様々な思いや葛藤を胸に秘めながら、それぞれの立場で警察業務を全うした後、これまで知らされていなかった事実を明らかにした。また、彼ら自身も、他の文民警察官の証言を聞いて初めて知る事実があるなど、高田氏の同志による証言は、これまで断片的にしか明らかになっていなかったカンボジアPKOの実態を、一つの線に繋げたと言っても過言ではない。
一方で、政府において、これまでなされてきた検証は本当に十分なのか。高田氏が死亡した後、平成五年五月二十五日の衆議院予算委員会で、宮澤喜一内閣総理大臣(当時)は、「最初の経験でございましたので、いろいろこれから学ぶべき点が多いと考えておりまして、反射的にでなく、時間をかけまして、いろいろ反省もし、今後どのようにしていくべきかについて考えてまいらなければならない、いろいろ教訓を得つつあるというふうに考えております。」(会議録一八ページ)と述べている。
「反射的」ではない、「時間をかけた反省」は尽くされたのか。教訓は現在に活かされているのか。否、政府においても、今回の文民警察官たちによって知らされたカンボジアPKOにおける新たな事実、また、一つに繋がった真実があり、その検証をしていないのではないか。
そこで当質問主意書は、二十五年の時を経てカンボジアPKOを検証し、政府の評価を求め、未来の国際貢献に活かして行くことを目的として、カンボジアPKOに関する以下の事項について伺いたい。
一 PKOの安全性に関する政府の評価について
1 平成五年五月二十五日の衆議院予算委員会で、澁谷治彦外務省国際連合局長(当時)は、「PKOの案件につきましては、一九四五年以降二十八件ございます。特に、一九八八年以降十五件ということで、近年とみにふえております。亡くなられた方々は九百名弱」(会議録六ページ)と答弁しているが、一九四五年以降、現在までにPKOは何件実施(実施中を含む)され、死亡した人数はどのぐらいいるのか、御教示願いたい。このうち、日本人の死者、負傷者の数についても明らかにされたい。
2 PKO活動は、その概念に変遷があるとされている。カンボジアPKOの頃は、停戦監視や平和構築を中心とした「第二世代のPKO」と言われるものであったが、それでも死者が出た。その直後、平成五年五月二十五日の衆議院予算委員会で、宮澤内閣総理大臣は、PKO活動の安全性を問われて、「平和維持活動というものが、戦争が終わった後極めて脆弱な平和を固めるという、しかも国連の中立性と権威のもとに武力を用いずに行われている極めて難しい、高度のむしろ訓練を必要とする仕事である」(会議録三一ページ)と答弁している。一方、現在のPKO活動は、武力による住民保護をも積極的に行う「第四世代のPKO」と言われる内容が中心になっており、リスクが増している、とされる。そこで、現在のPKOの安全性、危険性の有無について、政府の一般的な認識を改めてお示しいただきたい。
二 カンボジアPKOの評価について
1 活動全体及びそれに参加した我が国の活動に対する政府の評価について、そのように評価する理由を含めて説明していただきたい。
2 1のように評価する中で、我が国から参加した国連ボランティア中田厚仁氏、及び文民警察官高田晴行氏が死亡したことについて、なぜこうした事件が起きたのか、防ぐ手段はなかったのかなどの政府の分析を説明していただきたい。また、そのことを現在どのように評価しているのか、理由を含めて説明していただきたい。
三 要員の安全対策について
1 我が国からカンボジアPKOに参加する要員の安全対策として、当初、どのようなことを行ったかについて、御教示願いたい。自衛隊の停戦監視要員及び施設部隊、文民警察官、選挙監視要員の別に、持たせた装備品、事前の訓練、支援体制等について、具体的に説明していただきたい。
2 カンボジアに派遣した後、現地の治安情勢の変化に対応して安全のために講じた措置があれば、1と同様に具体的に説明していただきたい。
3 本書には、「他国の文民警察官は軍警察や軍事訓練を受けた警察官で構成されていた。」として、スウェーデンやインドネシアの例が挙げられている一方、我が国の「文民警察官たちのほとんどが、国際経験もなければ、紛争地での特別な訓練を積んだこともない。」(六二ページ)との記述がある。特に「実質的なカリキュラムは高尾山での健脚訓練、簡単なクメール語や英語の語学研修、現地で使用することになるトヨタの四輪駆動車の車両訓練などだった。現地の治安情勢の詳しい説明や現地で流通している武器の種類や性能、銃声がしたときの対処方法、事故・負傷時の救急訓練など、紛争地を前提とした研修は行われなかった。」(同ページ)の部分は事実か。事実であれば、我が国の文民警察官について、なぜそのような内容の訓練になってしまったのか、その理由と、それに対する政府の評価を明らかにされたい。事実でないのであれば、実際に行われた文民警察官の訓練内容について説明していただきたい。
4 亡くなった文民警察官が派遣されたアンピルは、本書によれば「無法地帯というべき地域」(五七ページ)と言われていた。派遣当初は「奇妙な均衡状態が保たれていた」(一一六ページ)ものの、「一九九三年四月。アンピルで事態は一気に緊迫化することに」(一六四ページ)なったとされる。自衛隊の要員が、「プノンペンに比較的近く、何かあったらベトナムに逃げられる」(五七ページ)、「カンボジア国内で最も安全だった」(七〇ページ)タケオで活動した一方で、「特別の訓練を積んだこともない」(3参照)文民警察官が、アンピルのような危険な地域を含む場所に配置された事情について、説明していただきたい。また、そのことに対する政府の評価も明らかにされたい。
5 PKO参加五原則に基づけば、停戦の合意が崩れたと認められる場合には、我が国から参加した部隊は撤収することができることになっている。また、実施要領(の概要)には、業務の中断や一時休止についても規定されている。一方で、本書には「一定期間一緒にやってきた(各国の)仲間がいて」、「日本だけ止めますと言えるの?」(一三四ページ)という記述もある。この記述等に見られる現場の意見を踏まえた上で、停戦の合意が崩れた場合に、部隊の撤収、業務の中断や一時休止が実際に可能か、政府の見解を伺いたい。あわせて、我が国が要員を派遣したPKO活動で、安全に関する状況が当初の想定より悪化したことを理由に、撤収、中断又は一時休止を実際に行った事例があれば、活動の件名、それら(撤収、中断又は一時休止)を行った時期及び行った理由を御教示願いたい。
6 文民警察官が亡くなった後、安全対策の一つとして、日本政府はUNTAC(国連カンボジア暫定統治機構)に対して安全な地域への配置転換を求めた。一理ある対応ではあるが、5で述べたような現場の疑問は、この対策に対しても共通するものがあると考える。現場の意見を踏まえた上で、この対策の是非について、政府の見解を伺いたい。
7 当時のPKO参加五原則に基づけば、要員の生命等の防護のための必要最小限度の範囲で、武器の保持、使用が認められている。本書では、「文民警察は、どの国も武器不携帯が原則」という説明を受けていた(一四二ページ)中で、「自分の身は自分で守るという現実」に対応するために「一部の隊員たちが独自に自動小銃を調達していた」(一四三ページ)との記述がある。
(一) 私は、本書にあるような、一部隊員が独自に自動小銃を購入していた事実について、二十五年たった今、それぞれの隊員に何か責任を問うようなことは必要ないと考えている。それぞれの隊員がこうした行動をせざるを得なかったことの理由、及び上記の事実を政府として確認しているかについて明らかにされたい。また、事実確認の時期や方法についても教えていただきたい。
(二) また、文民警察官は日本から拳銃を持っていったものの、「ふつうの農民でさえ自動小銃やロケット砲を平然と持っているカンボジアの国情の下では、拳銃は��オモチャ�≠ナしかなく」、「拳銃を実際に携行した隊員は��気休め�≠フ役割しかなかったと語っている。」(六〇ページ)と本書には記載されているが、現地の情勢に応じて、必要とされる装備について柔軟に対応できなかったのはなぜか。「要員の生命等の防護のための必要最小限度の範囲で、武器の保持、使用が認められている」中、携行する武器を、現地の情勢に応じて拳銃から自動小銃に変更することは、隊員たち独自の判断ではなく、日本の文民警察組織として検討するべきだったのではないかと考えるが、政府の見解を問う。
8 これらの記述等に見られる現場の意見に鑑みれば、PKO要員が保有すべき武器の種類やその使用について、自衛隊の部隊についても文民警察についても、改めて基準を見直す必要があると考えるが、その必要性について、政府の見解を伺いたい。必要性を認める場合には、見直しの方向性についても、それぞれについて、あわせて説明していただきたい。
四 今後のPKO活動への参加について
1 PKO活動は、一の2で述べたように、その概念に変遷があり、カンボジアPKOの頃の「第二世代のPKO」から、現在は「第四世代のPKO」に変わっているとされる。そして、我が国が現在参加しているPKO活動は、南スーダン国際平和協力業務の司令部要員のみである。前述のように概念が変わっていく中で、今後のPKO活動へ我が国がどのように参加するべきかについて、基本的な見解を伺いたい。
2 国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(平成四年法律第七十九号)の制定以降、これまでに我が国が、PKO活動への要員の派遣を要請されて断った事例はあるか。あれば、活動の件名、要請された時期及び断った理由について御教示願いたい。
3 カンボジアPKOでは、文民警察官に死者が出たが、一方で、本書によれば、「本来の文民警察の業務」である「現地警察への教育」(一五二ページ)も行われており、「交差点の図を描き、カンボジアでは、車は必ず右側通行でなければならないことを伝える」様子や「車のブレーキ痕を地面に作り、それを見せながら、交通事故発生時に警察官が取るべき措置について講義する様子」(一五三ページ)などが記載されている。カンボジアPKO以降で、我が国から文民警察に参加したのは東チモールPKOだけであるが、ここに述べたような現地警察への教育等、警察がPKOで果たすことができる役割には様々なものがあると思われる。今後のPKOにおける警察官の派遣の可能性について、政府の見解を説明願いたい。
五 記録、検証
1 今後のPKOへの参加方針を検討するに当たっては、三で述べたような、現場の意見を反映させ、実態に即した検証が必須であると考える。本書によれば、「スウェーデンでもオランダでも、カンボジアPKOに関する一定の検証がなされ、そして報告書が当たり前のように公表されている」(三二〇ページ)。
このうち、スウェーデンの報告書では、「UNTACの文民警察派遣はおおむね失敗である」とされており、「その理由として、「文民警察官の役割が不明確」「カンボジアの構造的な国家機能の空白状態」「UNTACの事前の計画や準備不足」の三つが挙げられている」(同ページ)という。
一方、我が国においては、少なくとも文民警察については、「「カンボディア派遣国際平和協力隊員(文民警察要員)業務検討会及び業務アンケートの結果まとめ」と題された」「警察庁がまとめた内部文書」(三一〇ページ、以下「本件文書」という。)があるだけだとされる。これは、「一九九三年七月」、「カンボジアから帰国した七四名の隊員たち」全員が集められ、「アンケート調査が行われ、その後各自で報告書を書き、階級ごとに業務検討会が行われた」、その「内容を総括した」ものだという(同ページ参照)。「そして、これ以降、国際平和協力本部や外務省などから隊員たちに聞き取り調査が行われることもなく、PKO派遣の実態が詳しく検証されることもなかった。」(三一二ページ)との記述もある。
(一) 政府において、カンボジアPKOに関して、隊員たちへの聞き取り調査を含む検証作業を行ったことがあるか。あるならば、作業の件名、作業の主体となった組織・機関及び作業期間について御教示願いたい。そしてそれが、実態を詳しく検証し、教訓を得るものとなったのか、といった評価についても明らかにされたい。行ったことがないのであれば、行っていない理由を明らかにし、今後、検証を行うよう求めるが、見解を示されたい。
(二) 本件文書の政府における保存、管理状況について説明されたい。現在保管されている場合には、公表の可否についても、理由を含めて明らかにされたい。保管されていない場合には、いつまでどのように取り扱われ、どのように処分されたのか、理由を含めて明らかにされたい。
(三) (一)で検証作業を行ったのであれば、その成果をまとめた文書を作成しているか。作成しているのであれば、その文書の件名、作成主体及び公表の有無について御教示願いたい。検証作業は行ったが文書は作成していない、あるいは作成していても公表していないのであれば、その理由を明らかにされたい。
2 本書及び三番組は、序文に書いたとおり、文民警察官たちが、それぞれ警察業務を全うし退職した後に、これまで内に秘めていた、また、公にすることが認められなかった当時の記録を、極めて高い公益性があると考え、証言したものである。政府は、文民警察官たちの証言を真摯に受け止め、今後の政策立案に活かして行く責務があると考えるが、政府の見解を問う。
3 本書及び三番組に出てくる、文民警察官たちが保管してきた記録、映像などは、日本初のPKO活動を記した歴史的資料であり、文民警察官たちが希望すれば、個々人の手元で保管するのではなく、国立公文書館で万全を期して永久保存し、国民が閲覧できるようにするべきだと考えるが、政府の見解を問う。
4 本書一七ページによると、文民警察隊長だった山崎裕人氏は「(「総括報告(未定稿)」の標題のある)報告文書を三部作り、一部は警察庁に委ね、そして残りの二部を自分自身と父親で保管していた。」とあるが、山崎隊長が本書で公とし、警察庁に提出したとする「総括報告」は、現在警察庁においてどのように保存、管理されているか。山崎氏からは、「二〇〇四年頃、警察関係者から内容の確認を求められたり、幹部から「読んだよ」と言われたりしたので、その時点では存在していた。」との旨の証言も得ているが、現在保管されていないのであれば、提出後どのように取り扱われ、いつ、どのように処分されたのか、理由を含めて明らかにされたい。また、この「総括報告」は、保管されていればもちろん、保管されていない場合でも探し出した上で、歴史的公文書として、国立公文書館に移管し、国民が閲覧できるようにするべきだと考えるが、見解を示されたい。
六 命の重み
1 本書によれば、日本人文民警察官五人が襲撃された際に、UNTACの隊員として最初に救助にきたのは、四人のスウェーデン文民警察官であり、四人とも「丸腰」、非武装だったという。襲撃された文民警察官の一人である川野邊寛警部は「決死の覚悟で来てくれたスウェーデン警察官の姿を見て、涙が溢れた。」(二四八ページ)という。本書によれば、救助に駆けつけたスウェーデン警察官の一人、レナート・ベリストロム氏は本書の中で、「日本人とはずっと一緒に仕事をしてきて、とても仲がよく、夜には宿舎で日本食に招かれたりして、とてもいい同僚で、友人でした。それで助けに行かなくてはならないと思ったのです。」(二四九ページ)と語っている。政府は、事件当時、日本人を救助したスウェーデン王国に対し、何らかの形で謝意を示したか。また、救助に当たってくれたスウェーデンの警察官たちを特定し、何らかの謝意を示すべきだと考えるが、政府の見解、今後の検討の可否を伺う。
2 高田警視が命を落とした現場には、現在、「タカタハルユキスクール」という名の小学校があると聞く。本書によれば、高田氏の遺族が「NPO法人の協力で基金を設立し、二〇一四年に校舎を新築、寄贈した」(三七五ページ)という。「タカタハルユキスクール」の存在意義を政府はどのように評価しているか、見解を問う。
以上、政府の見解を問うことにより、今後、日本の国際貢献に関する議論が、真に実態に迫ったものとなることを切に望む。なお、当質問主意書を作成するに当たり、私に直接、当時の辛い記憶を話してくださった、山崎裕人・元文民警察隊隊長ら、元文民警察官に心より敬意を表し、深く感謝申し上げる。
右質問する。
政府答弁書
一の1について
国際連合の公表によれば、昭和二十三年以降、平成三十年四月三十日までに、国際連合の統括の下に行われる平和維持活動は現在実施中の十四件を含めて七十一件実施されており、死者数は三千六百十名とされていると承知している。このうち、日本人の死者数は六名である。
また、お尋ねの日本人の負傷者数については、政府として網羅的に把握することは困難であるが、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(平成四年法律第七十九号。以下「法」という。)に基づき派遣された我が国要員のうち、敵対行為により負傷した者は、カンボディア国際平和協力業務に文民警察要員として派遣された者のうちの四名である。
一の2について
平成二十六年九月の「国連PKOに関するハイレベル会合」等において、国際連合の統括の下に行われる平和維持活動に従事する人々が、より複雑かつ危険な環境に直面しているとの認識が示されていると承知しているが、こうした中、政府としては、法に基づき派遣される我が国要員の安全の確保のために最大限の努力を行う必要があると認識している。
二の1について
「カンボディア国際平和協力業務の実施の結果」(平成五年十一月十二日閣議決定。以下「実施の結果」という。)に記載されているとおり、平成五年五月のカンボジアにおける憲法制定議会選挙の成功に示されたとおり、国際連合カンボディア暫定機構(以下「UNTAC」という。)による活動がカンボジア和平の基礎を作ったことは喜ばしいことであり、我が国として、人的な面も含めこれに対して貢献をなし得たことは誇りであると考えている。こうした我が国の要員・部隊の活動については、カンボジアの官民を含め国際的に高い評価を得ており、我が国においても国民の理解と支持が深まったものと認識している。
他方、我が国が行った文民警察分野における国際平和協力業務の中で、平成五年五月四日に我が国文民警察要員五名が死傷するという事件(以下「本件事件」という。)が発生したことは極めて残念であったと考えている。
二の2について
実施の結果に記載されているとおり、治安状況は、一部の地域において、当初より著しく悪化したものであり、本件事件が発生したことは極めて残念であったと考えている。
三の1について
現時点で確認できる限りでは、カンボディア国際平和協力業務の実施に際しては、現地情勢等必要な情報収集を行ったほか、派遣する我が国要員に対して、法、カンボジアに関する基礎知識、保健衛生、語学等を中心とした研修を行っている。また、停戦監視要員には防弾チョッキを、施設部隊には小型武器、防弾チョッキ及び鉄帽を、文民警察要員には小型武器及び防弾チョッキを、それぞれ要員の安全確保のために必要な装備品として貸与し、又は支給した。さらに、総理府国際平和協力本部事務局(当時)及び我が国大使館が中心となって、我が国要員に対する各種の支援を行っている。なお、選挙要員を派遣したのは平成五年五月十二日であり、本件事件が発生した後である。
三の2について
現時点で確認できる限りでは、治安状況の悪化を受け、村田自治大臣兼国家公安委員会委員長(当時)を現地に派遣する等して、我が国要員を含むUNTAC要員の安全確保についてUNTACに申入れを行っている。さらに、我が国要員に対し新たな防弾チョッキを支給し、また、衛星回線電話を追加で支給したほか、UNTACのヘリコプター等による輸送能力増強のため国際連合に百十万ドルの緊急拠出を行っている。
三の3について
我が国要員は、法に基づき派遣されるに際しては、法第十六条の規定により、国際平和協力業務の適切かつ効果的な実施のための研修を受けなければならないこととされており、カンボディア国際平和協力業務について現時点で確認できる限りでは、当該業務に派遣された我が国文民警察要員に対しては、法、カンボジアに関する基礎知識、保健衛生、語学等に係る研修等を実施している。他方、実施の結果に記載されているとおり、安全確保のための知識に関する事前研修の徹底や万一危険に直面した際の対応要領等、研修面、運用面の問題が課題であったと認識している。
三の4について
実施の結果に記載されているとおり、我が国文民警察要員は、UNTACが州や郡に設置した警察署等に数名ずつ配属されたものであるが、その後、アンピルを含む一部の地域においては、治安状況が当初より著しく悪化したものであり、本件事件が発生したことは極めて残念であったと考えている。
三の5について
一般論としては、法第六条第十三項第一号から第八号までに掲げる場合に該当することとなった場合には、法第八条第一項(第六号)の規定に基づき作成した実施要領に従って国際平和協力業務を中断することとなり、さらに、当該業務に従事する者の海外への派遣の終了に係る実施計画の変更をすることが必要であると認めるとき、又は適当であると認めるときは、法第六条第十三項の規定に基づき実施計画の変更を閣議により決定し、当該派遣を終了することとなる。我が国としては、国際連合平和維持活動等に参加するに当たり、こうした法の規定につき、あらかじめ国際連合等に説明し、理解を得た上で参加しているところである。
また、お尋ねの「事例」としては、我が国として国際連合平和維持隊に参加するに際しての基本的な五つの原則が満たされなくなったことを理由とするものではないが、平成八年一月から実施してきたゴラン高原国際平和協力業務について、シリア・アラブ共和国内の情勢悪化等を受け、政府として我が国の要員の安全を確保しつつ意義のある活動を行うことが困難との認識に至り、国際連合等との調整を経て、我が国の要員を撤収させることを平成二十四年十二月二十一日に発表し、司令部要員及び部隊要員は平成二十五年一月に、連絡調整要員は同年二月に、それぞれ撤収を完了したものがある。
三の6について
お尋ねの趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。
三の7及び8について
御指摘の「一部隊員が独自に自動小銃を購入していた事実」については確認されておらず、また、御指摘の「基準」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一般に、政府としては、法に基づき我が国要員を派遣するに際しては、従事する業務の内容、現地の情勢、参加各国の装備の状況等も踏まえ、我が国要員の安全確保のために必要な装備の内容を決定しているところである。
四について
政府としては、今後とも、国際協調主義に基づく積極的平和主義の下、国際社会において、これまでの国際連合平和維持活動等への協力の実績の上に立ち、我が国の強みを生かし、能力構築支援の強化、部隊及び個人の派遣など、国際平和協力分野において一層積極的に貢献していく考えである。
一般に、国際連合等から要請があった場合の国際連合平和維持活動等への我が国の参加の検討に当たっては、憲法及び法の枠内で行われるべきこと、我が国国内の支持を受けるものであり、また、国際社会からも評価されるものであること、現地の事情に合わせて要員の派遣が効果的かつ安全に行われるため万全の支援体制を整え得ること、我が国が適切に対応することが可能な分野であること等の観点から、現地調査の結果、国際連合や関係国際機関等の意向等を十分踏まえ、総合的に判断することとしている。
なお、国際連合等からの派遣要請等については、国際連合等との関係もあり、お答えすることは差し控えたい。
五の1の(一)及び(三)並びに2について
お尋ねの「検証作業」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、安全確保の問題については、実施の結果に記載されているとおり、現地の情勢をより一層適時適切に把握するとともに、国際連合側との連絡調整をより緊密にする必要があり、更に具体的な安全対策については、通信等の資機材の充実といった装備面のみならず、安全確保のための知識に関する事前研修の徹底や万一危険に直面した際の対応要領等、研修面、運用面の問題も課題であったと認識している。政府としては、こうした教訓を生かしつつ、法に基づき派遣される我が国要員の安全確保に努めているところであり、引き続き万全を期してまいりたい。
五の1の(二)について
警察庁において調査した限りでは、お尋ねの「警察庁がまとめた内部文書」については、その作成、処分等に関する記録も含め、同庁において保存されておらず、「いつまでどのように取り扱われ、どのように処分されたのか」とのお尋ねについてお答えすることは困難である。
五の3について
仮定の質問であり、一概にお答えすることは困難であるが、今後、御指摘の「記録、映像など」を取得することとなった場合には、公文書等の管理に関する法律(平成二十一年法律第六十六号)等の関係法令の規定に基づき、適切に対応することとなるものと考えている。
五の4について
警察庁において調査した限りでは、お尋ねの「総括報告」については、その取得、処分等に関する記録も含め、同庁において保存されておらず、「提出後どのように取り扱われ、いつ、どのように処分されたのか」とのお尋ねについてお答えすることは困難であるが、今後、取得することとなった場合には、公文書等の管理に関する法律等の関係法令の規定に基づき、適切に対応することとなるものと考えている。
六の1について
本件事件当時、スウェーデンの文民警察要員による我が国文民警察要員に対する助力について、我が国政府からスウェーデン政府に対し深い謝意を既に表明済みである。
六の2について
本件事件において、高田晴行警視が犠牲になったことは、誠に痛ましく残念であったが、御指摘の「タカタハルユキスクール」については、教育機関として現地に貢献するとともに、我が国とカンボジアの間の関係の促進に寄与しているものと考えている。
この答弁書に出てくる定型句
お答えすることは困難 ×5趣旨が明らかではない ×2仮定の質問 ×1
語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。
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