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放射能被害による損害賠償の考え方に関する質問主意書

衆議院 第196回 第458号お答えすることは困難 ×4趣旨が明らかではない ×2承知していない ×1

提出者
立憲民主党・市民クラブ
提出日
2018年7月17日
内閣転送 2018年7月20日
答弁書受領日
2018年7月27日
提出から10日
答弁の項目数
6
質問 2,090字/答弁 1,826字

質問本文

東京電力福島第一原子力発電所事故の発生から七年が過ぎたが、事故の終息はまったく見えていない。地域住民は、原発事故により、古くから住み継いで来たふるさとを追われ、かけがえのない自らの家庭や地域やコミュニティも分断され、不安な生活が続いている。

住民の、自らの生活や財産などを失った精神的苦痛や生活の立て直しのための苦難は筆舌に尽くしがたい。

かかる状況の中、被災者と東京電力株式会社の間において賠償が進められているが、住民の理解が得られない、被災者の心に寄り添う十分な賠償となっていないという批判を聞く。これらを踏まえ、以下の点につき質問する。

一 東京電力ホールディングス株式会社により定められる「賠償金ご請求のご案内」によれば、「文部科学省に設置した第三者機関である原子力損害賠償紛争審査会が策定した『原子力損害の範囲の判定等に関する指針』を踏まえ、公平性のある基準とすることを基本方針として『賠償の具体的な算定基準』を策定し、その基準にもとづいてご被害者の皆さまに対する賠償を実施させていただいております。」とされ、例えば営業損害の場合、逸失利益の考え方をもとに賠償金額算出における基本的な考え方を定め、これらにより被害者側の所得を明らかにするべく、確定申告書類や、売り上げ、経費などを明らかにする資料の添付を求めている。

しかし、平穏な生活から一転、地域住民が日常を失い、自らの生活を自らで決める自己決定権をも失い、なお大変な困難に直面している現状を鑑みる時、その損害賠償を巡り、加害者側に被害者側の所得まで明らかにしなければならない住民の精神的苦痛や怒りは十分共感するものである。

また、被害者が自らの損害の発生について、証票などで証明責任を負う現行の方法が、被災者の心に寄り添うものとは言い難いと考えるが、政府の見解は如何か。

あわせて、「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針」については、法の専門家である大学教授や弁護士などにより、今なお多くの議論があるところと承知するが、被害者に寄り添うための賠償のあり方として、政府は現行の方法が最も妥当であるという認識なのか、見解を示されたい。

更に、現在の中間指針を改め、新たな指針を策定する考えはないか。見解を明らかにされたい。

二 紛争解決手続きに関しては、東京電力株式会社への直接請求や、原子力損害賠償紛争解決センターの調停、更に訴訟等にわたるが、それぞれにつき、個人法人各々、賠償申し立ての件数、取り下げの件数及び現在まで解決に至らない個別の件数、訴訟件数、確定状況等を明らかにされたい。また折り合いがつかない案件に対して、政府としての認識と今後の対応を明らかにされたい。

三 中間指針において「東京電力株式会社に対しては、中間指針で明記された損害についてはもちろん、明記されなかった原子力損害も含め、多数の被害者への賠償が可能となるような体制を早急に整えた上で、迅速、公平かつ適正な賠償を行うことを期待」また「合理的かつ柔軟な対応が求められる」とされている。東京電力株式会社による損害賠償が、住民側に寄り添う姿勢となっているかについて、政府はどのような評価、検証をしているか明らかにされたい。

四 政府は、東京電力株式会社による被災者への損害賠償にあたり、どのような対応を進めているのか。いわゆる「行政指導」にあたっては、誰から誰宛てに行われているのか。また、文書によるものか口頭によるものであるのか。それぞれその指導内容、件数を明らかにされたい。

また原子力損害賠償紛争解決センターが有する紛争の内容、東京電力株式会社の対応などの情報を、どのように共有しているのか。その実態を明らかにされたい。

五 指針中の損害項目において、「当該財物が商品である場合には、これを財物価値(客観的価値)の喪失又は減少等と評価するか、あるいは、営業損害としてその減収分(逸失利益)と評価するかは、個別の事情に応じて判断されるべき」と位置づけられている。

実際には、その個別の態様に明確な差異がないものや、あるいは混然として明確に分類することが困難なものもあると推察される。東京電力株式会社が定める、「賠償金ご請求のご案内」や「解説と記入例」以外に、それぞれ個別の賠償の公平性を担保するため、これらに対応する具体的な判断基準があるのか。東京電力株式会社の個別具体の案件に対する判断基準について誰が把握しているのか。所管する経済産業省におかれては、判断の基準についてどう把握し、どう対応しているのか明らかにされたい。

六 中間指針の追補などにおいて、従前から大きく方針転換したものや、ある時点で検討中とされ、その後に定められた項目も存在する。従前の考え方によって合意がなされ賠償が完了した案件と、その後の賠償の考え方や取り扱いが変わることにより、賠償に格差が生じることは許されない。実際にこうした賠償の格差が生じていると政府は考えているのか。政府の見解を示されたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針」(平成二十三年八月五日原子力損害賠償紛争審査会決定。以下「中間指針」という。)において、「避難により証拠の収集が困難である場合など必要かつ合理的な範囲で証明の程度を緩和して賠償する」ことが示されており、これを踏まえ、東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)において適切な対応をとることが重要であると考えている。

また、東京電力においては、中間指針等を踏まえて、東京電力の福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所の事故と相当因果関係が認められる損害の賠償(以下「原子力損害の賠償」という。)を進めていると承知しているところ、東京電力からの説明によると、平成三十年七月十三日現在で、原子力損害の賠償について、東京電力に対し直接請求がされた約二百八十六万件のうち、約二百六十七万件について、既に原子力損害の賠償が行われているとのことであること等によれば、中間指針等はその役割を果たしているものと考えている。

さらに、原子力損害賠償紛争審査会においては、審査会の開催や現地視察を通じて、中間指針等に基づく原子力損害の賠償の実施状況をフォローアップしており、現時点では直ちに中間指針等の見直しや新たな指針の策定が必要な状況にはないことが確認されている。

二について

東京電力からの説明によると、平成三十年七月十三日現在で、原子力損害の賠償について、東京電力に対し直接請求がされた件数は、個人からのものが約二百三十八万件、法人からのものが約四十八万件とのことである。

また、原子力損害賠償紛争解決センターにおける和解仲介手続(原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)第十八条第二項第一号に規定する和解の仲介の手続をいう。以下同じ。)について、平成二十三年九月から平成二十九年十二月三十一日までに申立てがされた件数は、個人からのものが約一万八千件、法人からのものが約五千件であり、これらの合計約二万三千件のうち、和解仲介手続が終了した件数は約二万千件、和解仲介手続が終了していない件数は約二千件であり、和解仲介手続が終了したもののうち、和解が成立した件数は約一万八千件、取下げがされた件数は約二千件である。

お尋ねの統計のうち、前述したもの以外については、政府として把握していないため、お答えすることは困難である。

いずれにせよ、政府としては、東京電力に対し、原子力損害の賠償について、被害者の個別の事情をきめ細かく丁寧に伺いながら、被害者に寄り添った迅速、公平かつ適切な賠償を行うよう、引き続き指導していく。

三について

東京電力は、原子力損害の賠償について、被害者の負担に配慮し、相談窓口での対応に加え、戸別訪問の体制の強化により、請求書の作成や証ひょう類の提出を積極的に支援するなど、個別の相談に対し丁寧な対応に努めているものと承知している。

四について

お尋ねの「件数」については、統計を取っていないため、また、「原子力損害賠償紛争解決センターが有する紛争の内容」については、その意味するところが明らかではないため、これらに関するお尋ねにお答えすることは困難であるが、経済産業省において、東京電力に対し、随時、口頭により、原子力損害の賠償について、被害者の個別の事情をきめ細かく丁寧に伺いながら、被害者に寄り添った迅速、公平かつ適切な賠償を行うよう指導するとともに、対応状況等について東京電力から聴取しており、その内容は必要な範囲で共有している。

五について

お尋ねの「具体的な判断基準」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、いずれにせよ、東京電力に対し、原子力損害の賠償について、被害者の個別の事情をきめ細かく丁寧に伺いながら、被害者に寄り添った迅速、公平かつ適切な賠償を行うよう指導している。

六について

東京電力は、「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針第四次追補(避難指示の長期化等に係る損害について)」(平成二十五年十二月二十六日原子力損害賠償紛争審査会決定)等を踏まえて、必要に応じて柔軟な対応を行っているものと承知しており、それまでに行われた原子力損害の賠償との間に不当な格差が生じているとは考えていない。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×4趣旨が明らかではない ×2承知していない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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