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心ない原子力発電所事故賠償請求手続きに関する質問主意書

参議院 第178回 第43号趣旨が明らかではない ×1

提出者
参議院
提出日
2011年9月30日
内閣転送 2011年9月30日
答弁書受領日
2011年10月11日
提出から11日
答弁の項目数
7
質問 2,813字/答弁 2,905字

質問本文

東京電力は本年九月十二日から、福島第一原子力発電所事故の被害者約六万世帯に対し、個人向けの本賠償の受付を始めた。しかし、賠償金の請求書類はA4サイズで六十ページ、請求案内書は百五十六ページ、その他を含め十種類もの書類を作成する請求手続きに対し、書類を受け取った被災者からは、手続きが煩雑で分かりにくい、不親切などの不満の声があがっている。

また、九月二十一日からは、法人及び個人の事業損害に係る賠償手続きも開始されたが、同様に分かりにくいというだけではなく、その賠償額の算定の仕方があまりにも東京電力による一方的なものとの不満の声があがっている。

このような状況に対し、井戸川双葉町長は、東京電力が福島県内で行っている説明会について、「対応が不親切」として中断を要求した。

一方、平野東日本大震災復興対策担当大臣は、「できるだけ改善するのも国の責務だ」と述べたとの報道もなされているが、このような東京電力による心ない原子力発電所事故賠償請求手続きに対し、多くの国民は、政府の指導性を含め疑問を抱いている。

そこで、以下のとおり質問する。

一 枝野経済産業大臣が、本件に関し、「分厚い書類でひんしゅくを買っている。あ然としているので厳しく指導したい」と発言したとの報道があるが、そもそも、これらの「分厚い書類」の作成に関し、事前に経済産業省には何の相談もなかったのか、事実関係如何。このような発言には、混乱を極める原子力発電所事故を当初から担当し、現在では東京電力を指導すべき大臣であるという当事者としての責任と反省が全く感じられず、むしろ、その発言に国民は「あ然」としているが、このような心ない対応をとる東京電力に対する政府の指導について野田政権としてどのような反省をしているのか、明らかにされたい。

二 請求案内書百四十七ページ掲載の合意書にある「なお、上記金額の受領以降は、上記算定明細書記載の各金額及び本合意書記載の各金額について、一切の異議・追加の請求を申し立てることはありません」という表現は、事前に東京電力から政府に相談があったのか。相談があった場合には、政府側の誰がこのような表現で良いとしたのか、その職名を明らかにされたい。また、今後、政府として、どのような表現に改訂するよう指導するのか。既に手続きが進んでいることを踏まえ、その表現を具体的に明らかにされたい。

三 九月二十二日の公明党・東京電力福島第一原子力発電所災害対策本部の会合において、次のとおり改善意見が出されている。これらの事項について、野田政権としていつまでにどのように改善するのか、それぞれ、具体的に明らかにされたい。

1 東京電力による説明会や問い合わせ窓口では、被災者はもはや不信を募らせている。むしろ、政府自らが、行政書士、社会保険労務士、税理士、司法書士などの専門家を活用して、被災者に寄り添う形での賠償請求サポート体制を早急に構築すべきである。

2 三か月ごとの請求・支払いでは、毎月の生活に支障をきたす。毎月の請求・支払いあるいは前払いを行うべきである。

3 観光業の風評被害については、六か月後の時点でその二十パーセントが原子力発電所事故以外の要因による減収と推定していることに多くの事業者が困惑している。その数値の根拠につき、出典、定義、原データ及びそれらによる計算式を明らかにされたい。また、三か月後には当該推定値に対する実績値が明らかになることに鑑み、三か月後において原子力発電所以外の要因が二十パーセントを下回るとの実績値が判明した場合には、その差分について各事業者に追加賠償を行うことを政府として東京電力に指導すべきである。

4 サービス業については、原子力発電所以外の要因による減収が三パーセントとしているが、その数値の根拠につき、出典、定義、原データ及びそれらによる計算式を明らかにされたい。また、三か月後には当該推定値に対する実績値が明らかになることに鑑み、三か月後において原子力発電所以外の要因が三パーセントを下回るとの実績値が判明した場合には、その差分について各事業者に追加賠償をすることを政府として東京電力を指導すべきである。

四 原子力損害賠償支援機構法第五十一条において、「機構は原子力事業者に対する資金援助を行った場合には、当該原子力損害を受けた者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行うものとする。この場合において、機構は、当該業務を第三者に委託することができる」とあるが、当該資金援助はいつ行われるのか。原子力損害賠償支援機構が東京電力に資金援助を行うのは明白であるから、当該資金援助決定の前に、相談・情報提供・助言体制を立ち上げるべきではないか、野田政権の見解を明らかにされたい。

五 政府は、九月十六日、平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律(以下「仮払法」という。)施行令を公布した。当該施行令公布の前に実施したパブリックコメントとして何件の意見提出があったか。主な意見と政府の対応を明らかにされたい。

また、当該施行令によれば観光業の風評被害が対象となっているが、九月二十二日の公明党・東京電力福島第一原子力発電所災害対策本部の会合において、次のとおり改善意見が出されている。これらの事項について、野田政権としていつまでにどのように改善するのか、それぞれ、具体的に明らかにされたい。

1 観光業の風評被害については、六か月後の時点でその二十パーセントが原子力発電所以外の要因による減収と推定していることに多くの事業者が困惑している。仮払比率二分の一を乗じるのであれば、当該二十パーセントの減額を行うべきではないと、本議員立法の発議者の一人として強く申し入れる。

2 今般の心ない東京電力の賠償請求手続きを背景として、多くの被災者が賠償額を含め本賠償について「合意」をすることを拒否することも想定され、そのような場合においては、政府による仮払いの対象を早急に広げて欲しいとの声がある。このような声を踏まえ、政府としては東京電力による本賠償の進捗を注視し、仮払法第四条第二項に規定されているよう、「早期の救済」に資するよう、追加の政令の制定を逐次行うべきである。

3 当該施行令の対象事業として、当該施行令第一条第六号に、「前各号に掲げるもののほか、平成二十三年原子力事故による取引の数量の減少等により当該事業を行う事業者に相当程度の収益の減少が生じていると認められる事業として主務省令で定める事業」が規定されており、かつ、地元被災地からは、理美容業、ゲームセンターなど多様な事業において「相当程度の収益の減少」が生じているとの声があることを踏まえ、早急に地元商工会、各種団体から当該主務省令の制定要望についての調査を行い、逐次制定を行うべきである。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一、二及び三の2について

東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)の福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所の事故(以下「原子力事故」という。)に係る東京電力による賠償の手続(以下「賠償手続」という。)に係る請求書類や案内書等(以下「請求関係書類」という。)の分量及び御指摘の合意書の「なお、上記金額の受領以降は、上記算定明細書記載の各金額及び本合意書記載の各金額について、一切の異議・追加の請求を申し立てることはありません」との記載等に関しては、経済産業省から東京電力に対し、請求者に送付する請求関係書類を原子力事故の被害者(以下単に「被害者」という。)に発送する前に送付するよう要請していたところ、請求関係書類が同省に届いたのは、平成二十三年九月十二日の発送日当日であった。

また、賠償手続については、被害者に対する配慮が足りないとの指摘を踏まえ、経済産業省においては、東京電力に対し必要な措置を講じることを要請し、東京電力においては、これを踏まえ、請求書類の記載に係る負担の軽減に資する手引書の作成、賠償手続に関する相談窓口の充実、被害者宅等への訪問による請求書類の記載のお手伝い、先に述べた合意書の記載の削除等の改善策を講じていると承知している。また、経済産業省において、東京電力に対し、資金繰りに窮している等の被害者に対する概算額の支払を含め、賠償金の支払の弾力的な運用を図るよう要請したところであり、今後とも賠償手続に係る被害者の負担の軽減に努めてまいりたい。

三の1について

賠償手続の進め方については、まずは原子力事故による損害の賠償について責任を負っている東京電力において、適切な措置を講じるべきものと考えている。政府としても東京電力の取組について注視するとともに、原子力損害賠償支援機構(以下「機構」という。)を通じた、専門家も活用した相談業務の体制を可及的速やかに整備してまいりたい。

三の3及び4について

原子力事故による損害の賠償は、原子力事故と相当因果関係のある原子力損害について行われるものであるが、東京電力によれば、観光業における原子力事故以外の原因による売上高の減少率については、原子力事故の影響が大きいとされている福島県、茨城県、栃木県及び群馬県を除く東北地方及び関東地方各都県における旅館業者の売上高の平成二十三年三月から同年五月までの各月において前年同期と比較した減少率(以下「東日本大震災後の他都県の売上高減少率」という。)の平均が三七・六パーセントであること、姫路市、加古川市、相生市、赤穂市及び明石市における株式会社ジェイティービー、株式会社日本旅行、近畿日本ツーリスト株式会社及び東急観光株式会社の合計の取扱額の阪神・淡路大震災が発生した平成七年一月から同年六月までの各月において前年同期と比較した減少率(以下「阪神・淡路大震災後の旅行業者の取扱額減少率」という。)の平均が一七・五パーセントであること及び京都府における観光消費額の平成七年の前年と比較した減少率(以下「阪神・淡路大震災後の観光消費額減少率」という。)が一七・四パーセントであること等を参考に、二〇パーセントと設定したとのことである。東京電力によれば、その際、東日本大震災後の他都県の売上高減少率については、平成二十三年七月に原子力損害賠償紛争審査会が取りまとめた「専門委員調査報告書」を、阪神・淡路大震災後の取扱額減少率については、平成十年一月に社団法人日本旅行業協会が発行した「旅行業から見た阪神大震災」を、阪神・淡路大震災後の観光消費額減少率については、平成九年六月に社団法人日本観光協会が取りまとめた「全国観光動向―平成七年(度)観光地入込観光客統計―」をそれぞれ用いたとのことである。

また、東京電力によれば、サービス業における原子力事故以外の原因による売上高の減少率については、東日本大震災の影響が小さいと考えられる西日本におけるサービス産業の売上高の平成二十三年三月から同年六月までの各月において前年同期と比較した減少率(以下「東日本大震災後のサービス業の売上高減少率」という。)の平均が五・三パーセントであること及び近畿地方におけるサービス業に係る消費額の平成七年の前年と比較した減少率(以下「阪神・淡路大震災後のサービス消費額減少率」という。)が二・三パーセントであること等を参考に、三パーセントと設定したとのことである。東京電力によれば、その際、東日本大震災後のサービス業の売上高減少率については、平成二十三年八月に総務省統計局が取りまとめた「サービス産業動向調査 東日本大震災がサービス産業に与えた影響―東日本・西日本別サービス産業の月間売上高―」を、阪神・淡路大震災後のサービス消費額減少率については、平成八年五月に総務庁統計局が発行した「家計調査年報 平成七年」をそれぞれ用いたとのことである。

また、お尋ねの「実績値」が意味するところが明らかではないが、政府としては今後とも東京電力に対して適切な賠償金の支払を促してまいりたい。

四について

原子力損害賠償支援機構法(平成二十三年法律第九十四号)に基づく原子力事業者への資金援助については、当該原子力事業者から機構に対して資金援助の申込みがなされた場合、必要に応じて当該原子力事業者と機構が共同で特別事業計画を作成して主務大臣の認定を受けた上で、機構が資金援助を決定し、実施するものであり、現時点では東京電力から資金援助の申込みがなされておらず、資金援助の実施時期は未定であると承知している。

また、相談・情報提供・助言の業務については、政府としても機構を通じて、可及的速やかに体制を整備してまいりたい。

五について

お尋ねについては、文部科学省のホームページにおいて、「平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律施行令案等に関する意見募集の結果について」として公表している。

五の1について

御指摘の「観光業の風評被害」について、平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律(平成二十三年法律第九十一号)による仮払金の額の算定方法を定めるに当たっては、その前提となる原子力事故と相当因果関係のある原子力損害の額の算定において、「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針」(平成二十三年八月五日原子力損害賠償紛争審査会決定)が「観光業における減収等については、東日本大震災による影響の蓋然性も相当程度認められるから、損害の有無の認定及び損害額の算定に当たってはその点についての検討も必要である」と明記していること等を踏まえ、原子力事故以外の事由により生じたものと認められる収益の減少率について、二十パーセントとしているものである。

五の2及び3について

お尋ねについては、平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律施行令(平成二十三年政令第二百九十四号)附則第二項の規定の趣旨を踏まえ、適切に対応してまいりたい。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

趣旨が明らかではない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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