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生活保護の生活扶助基準に関する質問主意書
衆議院 第204回 第103号趣旨が明らかではない ×3
質問本文
厚生労働省が二〇一三年一月下旬に公表した生活扶助基準改定案は、生活扶助基準を著しく切り下げる内容であった。その結果、この基準改定の行政処分の取り消しを求める訴訟が全国で提起されている。そこで、生活保護制度の生活扶助基準についてお尋ねする。
一 生活扶助基準改定の行政処分の取り消しを求める各地の訴訟で、原告勝訴の判決が出ても、厚労省が生活扶助基準を引き上げない限り、訴訟は長期化する。そのため、地裁判決が違法とした行政処分によって生活保護利用者が過少な生活扶助しか受給できない状態が長期化することになる。憲法第二十五条の「健康で文化的な最低限度の生活」のラインを規定する生活扶助基準の改定に関して、裁判所が行政処分の取り消しを認めた事実は非常に重い。地裁の判決を受けて、生活扶助基準の引き上げはしないのか、政府の見解をご教示願いたい。
また、厚労省のデフレ調整が正しかったかどうかについて、統計委員会が早急に検証作業を始めるべきと考えるがいかがか。生活扶助相当CPI(物価指数)の計算に問題がなかったか。計算に問題があった場合には、政府は生活扶助基準の改定などの作業を急ぐべきであると考えるがいかがか。
二 生活扶助相当CPIを計算するときの比較の起点を二〇〇八年にした理由について、ご教示願いたい。厚労省の計算で生活扶助相当CPIの下落率が著しく大きくなったのは、大阪地裁判決が示すように、厚労省が選択した計算方式によってテレビやビデオレコーダー、パソコンなどの電気製品の価格指数低下の影響が非常に強く出たためか、政府の見解をご教示願いたい。生活保護世帯ではこれらの品目の支出割合は低く、厚労省の計算は生活保護世帯の実態からはかけ離れていると思われるがいかがか。
三 パーシェ・チェックの二〇〇五年〜二〇一〇年のパーシェ式の計算では五年間の下落率が六・九%となると思料するがいかがか。仮に六・九%が正しいとすると、ラスパイレス式で計算したときの下落率の〇・三%と乖離があるが、パーシェ式の六・九%という下落率は大きな統計誤差を含んだ数値ではないか、政府の見解をご教示願いたい。
四 厚労省の生活扶助相当CPIの計算で、二〇〇八年〜二〇一〇年の生活扶助相当CPIの下落率が約四・三%と著しく大きいのは、テレビやビデオレコーダー、パソコンなどの電気製品の価格指数低下の影響が非常に強く出ているのが一番の原因だと思料しているがいかがか。厚労省が生活扶助相当CPIの計算で、二〇〇八年〜二〇一〇年の期間をパーシェ式にしたのは、結果的に、テレビなどの電気製品の価格指数低下の影響が非常に強く出て生活扶助相当CPIの下落率が顕著に膨らむ計算方法を選ぶ行為だった、と考えざるを得ないが、政府の見解をご教示願いたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
御指摘の「地裁の判決」が生活扶助基準の改定に関する令和三年二月二十二日の大阪地方裁判所判決を指すのであれば、同判決については、被告である大阪市等が控訴しているところであると承知しており、同判決を受けて生活扶助基準を改定することは考えていない。
また、行政機関における統計の利用方法に関する調査、審議等については、統計法(平成十九年法律第五十三号)第四十五条各号に掲げる統計委員会の所掌事務に含まれないため、厚生労働省が作成した生活扶助相当CPIに係る統計の利用方法について、御指摘の「検証作業」を行うことは考えていない。
さらに、「生活扶助相当CPI(物価指数)の計算に問題がなかったか」とのお尋ねについては、その趣旨が必ずしも明らかではないが、平成二十五年の生活扶助基準の改定において用いた生活扶助相当CPIについては、生活扶助に相当する全ての品目の全国品目別CPI(全国の品目別価格指数をいう。)及び全国品目別ウエイト(全国の消費支出全体に占める品目ごとの支出額の割合をいう。以下同じ。)を用いて算出したものであり、適切なものであったと考えている。
二及び四について
御指摘の「生活扶助相当CPIを計算するときの比較の起点を二○○八年にした」が、平成二十五年の生活扶助基準の改定において物価の動向を勘案するに当たり、生活扶助相当CPIを比較する起点を平成二十年としたことを指すのであれば、その理由については、生活扶助基準は、五年ごとに一般低所得世帯の消費実態との均衡について検証を行うこととしており、平成二十年度の生活扶助基準は、当時の直近の検証である平成十九年に行った検証の結果等を踏まえて定めたものであることから、平成二十五年の生活扶助基準の改定において、平成二十年を比較の起点とした生活扶助相当CPIの変化率を勘案したものである。
御指摘の「生活扶助相当CPIの下落率が著しく大きくなった」、「電気製品の価格指数低下の影響が非常に強く出た」及び「電気製品の価格指数低下の影響が非常に強く出ている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成二十五年の生活扶助基準の改定において用いた生活扶助相当CPIについては、恣意的な判断を排除する観点から、テレビやビデオレコーダー、パソコン等の電気製品を含め、生活扶助から支出することが想定される全ての品目について算出したものであり、これを基に算出した生活扶助相当CPIの変化率については、適切なものであったと考えている。なお、「厚労省の計算は生活保護世帯の実態からはかけ離れている」との御指摘については、生活扶助基準については、一般国民の消費実態との均衡を図る観点からその水準を調整することとしており、生活保護受給世帯の消費実態を基に定めることは適当ではないと考えている。
また、御指摘の「二○○八年〜二○一○年の期間をパーシェ式にした」が、平成二十二年基準消費者物価指数の品目及び全国品目別ウエイトを用いて、平成二十年から平成二十二年までの期間を含む平成二十年から平成二十三年までの期間における生活扶助相当CPIの変化率を算出したことを指すのであれば、この手法については、可能な限り最新の消費実態を反映した物価の動向を勘案するため、消費者物価指数の品目及び全国品目別ウエイトについて、当時の最新のデータであった平成二十二年のものを用いて当該変化率を算出したものであり、適切なものであったと考えている。
三について
平成二十三年八月十二日に総務省が公表した「パーシェ・チェックの結果について」においては、平成十七年の数値を百とした平成二十二年の消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合の年平均の指数をいう。)について、御指摘の「ラスパイレス式」に基づくものは九十九・七、「パーシェ式」に基づくものは九十三・一となっており、平成十七年からの下落率は、それぞれ〇・三パーセント、六・九パーセントとなっている。御指摘の「大きな統計誤差を含んだ数値」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれも国際労働機関等により作成された「消費者物価指数マニュアル:理論と実践」に基づく計算手法により適切に算出したものであり、統計上の誤差が大きいとは考えていない。
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