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生活保護の生活扶助基準に関する再質問主意書
衆議院 第204回 第231号趣旨が明らかではない ×1
質問本文
本年四月十六日に提出した「生活保護の生活扶助基準に関する質問主意書」に対する政府答弁に重大な問題がある。再度質問する。
一 前回の質問主意書の中で、厚生労働省の生活扶助相当CPI(物価指数)の計算について「生活保護世帯の実態からはかけ離れている」と指摘し、それについての見解を尋ねたところ、それに対する答弁の中に「生活扶助基準については、一般国民の消費実態との均衡を図る観点からその水準を調整することとしており、生活保護受給世帯の消費実態を基に定めることは適当ではないと考えている」との記載があった。
この答弁は、生活保護法の条文を無視しており、極めて問題だと考える。
生活保護法では、第八条で生活保護基準を決めるときの原則が説明されており、第一項の条文には「要保護者の需要を基とし」という文言があるので、生活保護基準を改定する際は、要保護者、つまり、生活保護の利用者や今後利用者となりうる人の需要を考慮せねばならない。また、第二項の条文には、要保護者の事情を考慮しなければならない旨の記載がある。
ところが、前回の主意書に対する政府答弁の内容では、生活保護世帯の消費実態を考慮せずに生活扶助基準を改定したと考えざるを得ない。前回の主意書に対する政府答弁は生活保護法第八条に違反すると判断せざるを得ないが、内閣の見解をご教示願いたい。
二 前回の質問主意書の中で、二○○五年〜二○一○年の期間のパーシェ・チェックについてお尋ねした。それに対する政府答弁では、この期間のCPI(「持ち家の帰属家賃を除く総合」の年平均指数)の下落率がラスパイレス式では○・三%、パーシェ式では六・九%だったことを認めている。
この五年間の統計誤差のない正しいCPI下落率は、ラスパイレス式の計算値に近いと考えている。この五年間の物価が概ね小動きであったことを前提に日本では経済政策や金融政策が運営されていたからである。そのため、前回の質問主意書では、パーシェ式の六・九%という下落率について「正しいCPI下落率から大きく乖離しているのではないか」という趣旨で、「大きな統計誤差を含んだ数値ではないか」と尋ねた。
それに対する政府答弁は「国際労働機関等により作成された『消費者物価指数マニュアル:理論と実践』に基づく計算手法により適切に算出したものであり、統計上の誤差が大きいとは考えていない」であった。
パーシェ・チェックの計算が消費者物価指数マニュアルに基づいているのは当然だが、それによって、正しいCPI変化率に近い計算値が算出されるとは限らない。お答えしてほしいのは「正しいCPI下落率と比べて大きな統計誤差があるのではないか」という疑問に対する回答である。
パーシェ式の下落率の六・九%が大きな統計誤差を含んでいないとすると、この五年間のCPI下落率は六%台とか七%台といった非常に大きな下落率だったことになる。これはかなりのデフレ状態にあったことを示す下落率である。その当時、政府や日本銀行はそのようなかなりのデフレ状態にあったという認識で経済政策や金融政策をしていたか、内閣の見解を問う。
かなりのデフレ状態にあったとの認識がないにもかかわらず、パーシェ式の下落率が六・九%だったとすると、この下落率は大きな統計誤差を含んだ数値ではないのか、内閣の見解をご教示願いたい。
三 前回の質問主意書で、厚労省の二○○八年〜二○一○年の期間の生活扶助相当CPIの計算についてお尋ねした。この期間の生活扶助相当CPIの下落率は約四・三%と著しく大きい。まず、その原因について前回の質問主意書では「テレビやビデオレコーダー、パソコンなどの電気製品の価格指数低下の影響が非常に強く出ているのが一番の原因だと思科しているがいかがか」と尋ねた。また、「厚労省が二○○八年〜二○一○年の期間をパーシェ式にしたのは、結果的に、テレビなどの電気製品の価格指数低下の影響が非常に強く出て生活扶助相当CPIの下落率が顕著に膨らむ計算方法を選ぶ行為だった、と考えざるを得ないが、政府の見解をご教示願いたい」と尋ねた。
この二つの問いは、二○一三年の生活扶助基準改定の妥当性を検討する上では極めて重要であるが、前回の政府答弁書では回答がなかった。回答がないということは、こちらの見解が妥当である、と内閣が認めるという理解でよいか。そうでないならば、二つの質問に対する内閣の見解をご教示願いたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
御指摘の「生活保護の利用者や今後利用者となりうる人の需要を考慮せねばならない」及び「生活保護世帯の消費実態を考慮せずに生活扶助基準を改定した」の意味するところが必ずしも明らかではないが、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第八条第一項においては、「保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする」と規定されているところ、同項は、保護の程度について、厚生労働大臣の定める基準により算出した要保護者に係る最低生活費のうち、当該要保護者について認定した収入を差し引いた分とする旨を規定したものであり、「生活保護基準を改定する際」の考慮要素を規定するものではない。また、同条第二項においては、同条第一項の基準について、「要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえないものでなければならない」と規定されており、生活扶助基準(同項の基準のうち同法第十二条に規定する生活扶助に係るものをいう。)を定める際に、必ず生活保護受給世帯の消費実態を基に定めなければならないこととされているものではないことから、先の答弁書(令和三年四月二十七日内閣衆質二○四第一○三号。以下「前回答弁書」という。)二及び四についてで「生活扶助基準については、一般国民の消費実態との均衡を図る観点からその水準を調整することとしており、生活保護受給世帯の消費実態を基に定めることは適当ではないと考えている。」とお答えしたことは、同法第八条に違反するものではないと考えている。
二について
政府としては、平成十三年四月から平成十八年六月までの間の月例経済報告において、我が国経済は緩やかなデフレ状況にあると判断していた。その後、政府としては、平成二十一年十一月の月例経済報告において、物価下落が半年程度続いていたことや需給ギャップも大幅なマイナスであったこと等から、再び、我が国経済は緩やかなデフレ状況にあると判断し、この判断を平成二十五年十一月まで継続していた。
御指摘の「ラスパイレス式」及び「パーシェ式」に基づく下落率は、それぞれ平成十七年及び平成二十二年における品目別ウエイト(消費支出全体に占める品目ごとの支出額の割合をいう。)を用いて算出したものであり、これらの数値を用いる上では、その特性等を踏まえ、利用目的に応じて適切に判断することが重要であると考えている。いずれにしても、いずれも適切に算出したものであり、統計上の誤差が大きいとは考えていないことは、前回答弁書三についてでお答えしたとおりである。
三について
前回答弁書二及び四についてでは、「電気製品の価格指数低下の影響が非常に強く出ている」及び「電気製品の価格指数低下の影響が非常に強く出て」との御指摘について、その評価の前提条件が明らかではなく、その意味するところが必ずしも明らかではなかったことから、その旨お断りした上で、「生活扶助相当CPIについては、恣意的な判断を排除する観点から、テレビやビデオレコーダー、パソコン等の電気製品を含め、生活扶助から支出することが想定される全ての品目について算出したもの」であり、「平成二十二年基準消費者物価指数の品目及び全国品目別ウエイトを用いて、平成二十年から平成二十二年までの期間を含む平成二十年から平成二十三年までの期間における生活扶助相当CPIの変化率を算出したこと」については、「可能な限り最新の消費実態を反映した物価の動向を勘案するため、消費者物価指数の品目及び全国品目別ウエイトについて、当時の最新のデータであった平成二十二年のものを用いて当該変化率を算出したもの」であることから、適切なものであったと考えている旨をお答えしたものである。お尋ねが「前回の質問主意書」と同様のものであれば、前回答弁書二及び四についてでお答えしたとおりである。
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