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生活保護基準の見直しに関する質問主意書

衆議院 第196回 第39号お答えすることは困難 ×4趣旨が明らかではない ×4承知していない ×2検討してまいりたい ×1

提出者
立憲民主党・市民クラブ
提出日
2018年1月29日
内閣転送 2018年1月31日
答弁書受領日
2018年2月6日
提出から8日
答弁の項目数
17
質問 3,864字/答弁 2,917字

質問本文

現在、政府は生活保護費を見直し、二〇一八年一〇月から適用する方針です。この点に関し、以下、質問いたします。

一 生活保護の基準の改定について

(一) 政府は、生活保護世帯と「一般低所得世帯の消費実態」との均衡をはかり、生活保護基準額を低い方の「一般低所得世帯」に合わせて見直しを行う方針を決定しています。一般世帯の低所得者層においては生活水準、消費生活実態は「下がった」という認識でよろしいですか。

(二) 生活保護基準額について、専門的かつ客観的に評価・検証を行ったということですが、その基準部会において、各委員から「算出した指数が必要な消費水準を十分に反映していない可能性も否定できない」「このため、子どもの健全育成のための費用が確保されない恐れがある」、今回の検証方法について「これが唯一の方法ではない」「比較する水準が低下すると絶対的な水準を割ってしまう懸念があることからも、これ以上、下回ってはならないという水準の設定について考える必要がある」など、この結論が最低生活を維持するにふさわしい水準とは言いがたいという意見が多数ありました。

この一般低所得世帯の消費水準は、「国民の健康で文化的な生活を保障する水準」とは別のものという認識でよろしいでしょうか。

(三) 生活保護制度(生活扶助基準)は、憲法二五条の「国民の健康で文化的な生活を保障する最後のセーフティネット」であるという政府の認識は、今も変更はありませんか。

二 子どもの貧困について

(一) 安倍首相は「子どもの貧困の連鎖を断ち切るためにも児童養育加算の給付対象を高校生に拡大します」と国会で答弁をしましたが、子どもの貧困の連鎖を断ち切るためのものなのかどうか、児童養育加算の成り立ち、目的、意味、認識を伺います。

そもそも、児童養育加算は子どもの教養文化的経費や健全育成に資するための経費等の特別な需要に対応するものとして設定された経緯や子どもの貧困対策を踏まえ、一般低所得世帯だけではなく子どものいる世帯全体の平均的費用に対応する観点から、子どもの健全育成にかかる費用に着目して検証されるものです。したがって、教育だけではなく、社会的又は文化的活動の機会の幅を広げることが重要であると考えますが、〇歳から三歳について引き下げる根拠、理由が基準部会では明らかになっていません。それにも関わらず、五〇〇〇円の引き下げを決定したプロセスと根拠をお示しください。

(二) また、児童養育加算の見直しで「高校生」と限定していますが「一八歳誕生日前日まで」などという年齢要件ではなく、「高校在学」に限定するものですか。

(三) また、児童養育加算について、安倍首相は答弁で「高校生まで拡大します」と言いましたが、「〇歳から三歳は引き下げます」とは言及されませんでした。なぜ、言及されなかったのですか。

(四) 生活保護家庭の「大学進学の支援のために」と安倍首相は答弁されました。生活保護家庭の大学進学等は現在認められておらず、世帯分離という方法をとらなくてはなりません。大学進学を法内で認めるという解釈でよろしいですか。もし、法内で認められない大学進学を支援するとした場合、法の目的に反していませんか。世帯分離をしつつ、支援給付金を創設するという、相反するその解釈と運用の根拠をお示しください。

法の目的である生活保護法第一条「最低生活の保障と自立の助長」が「高校等の進学」として、生業扶助を創設した時のように、「最低生活の保障と自立の助長」が「大学等の進学」になったのであれば、同様に生活保護法内で認め、なんらかの扶助を創設すべきと考えます。

(五) 大学等への進学準備金の一時金について三〇万円と一〇万円の給付を創設するという金額の根拠をお示しください。また、実際には、世帯分離して進学する子どもたちの準備する費用はいくらかかっているか、把握している金額をお示しください。生活実態の変動もあるため、昨年二〇一七年(もしくは直近)、一〇年前である二〇〇八年、二〇年前である一九九八年の三年分をお願いします。

(六) 世帯分離した大学生等の年間の収支状況を伺います。生活保護の大学進学等による世帯分離の件数を把握していますか。また収入申告によるアルバイトでの収入、奨学金等による収入、学費や生活費などの支出について、収支を把握していますか。加えて、厚労省は各実施機関からの統計調査による実態を把握していますか。

※昭和三八年四月一日社保第三四号厚生省社会局保護課通知「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて(抄)

「世帯分離要件は、世帯分離を行う時点だけでなく、保護継続中も常に満たされていなければならない」(一部抜粋参考)

(七) 生活保護家庭の大学進学等による世帯分離をし、卒業して、「世帯分離解消」及び「自立による世帯員の減員」となった世帯は何世帯(何割)ですか。また、途中で退学などに至ったケースで「世帯分離の解消」及び「世帯員の増員」となったケースは何件(何割)ですか。また、その理由はなんですか。複数ある場合には多いものから理由もお示しください。

(八) 大学等への進学準備金を創設するのであれば、生活保護法第一条の法の目的である「最低生活の保障と自立の助長」を達成するためには、就労する子どもたちへも同様の支援が必要と考えますが、なぜ、就労する子どもへは同額を給付しないのですか。就職支度金の運用の仕方と比較して、差別的な取り扱いにはなりませんか。

(九) 生活保護家庭の子どもたちの高校生就学時に奨学金や貸付金でまかなっている世帯数は何世帯(人数)ですか。また、高校卒業時に、返済額はいくら抱えているかを把握していますか。

生活保護世帯では、高校卒業段階で既に奨学金や貸付金などを借りていることから大学等への進学を経済的に諦めざるをえない状況を政府は把握していますか。その上で今回の大学等進学の一時金の創設に至ったかの確認のためうかがいます。

(一〇) 平成二二年四月一日の「母子加算訴訟に係る基本合意書」について、「一.国(厚生労働省)は、母子家庭の窮状にかんがみ、子どもの貧困解消を図るために復活した母子加算については、今後十分な調査を経ることなく、あるいは合理的な根拠もないままに廃止しないことを約束する。二.国(厚生労働省)は、現在設置されているナショナルミニマム研究会における調査研究などを通じて、母子世帯や高齢者世帯を含め国民の最低生活水準に関して検証を行い、憲法第二五条の理念に基づき、国民の健康で文化的な最低限度の生活の確保に努める」とありますが、これは、破棄されたのですか。

今回、政府の提案では、母子加算の廃止ではないものの減額を行うことから、ここにある「十分な調査」「憲法第二五条の理念に基づく国民の健康で文化的な最低限度の生活の確保」の検証は行われましたか。また、二〇一一年四月から約二年にわたり検討された二〇一三年一月一八日の基準部会報告書でも、今回の基準部会報告書でも、「現在の検証方法では一定の限界があることに留意する必要がある」「とりわけ貧困の世代間連鎖を防止する観点から、子どものいる世帯への影響に配慮する必要がある」「全国消費実態調査の実施年以降の社会経済情勢の変化の検証結果の反映については、議論を十分に尽くすことが出来ず、今回の検証における判断を見送ることとした」「最低限度の生活を送るために必要な水準とは何か、本質的な議論を行った上で、単に消費の実態に合わせるとの考え方によらず、理論的根拠に基づいた複雑ではない検証方法を開発することが求められる」「これ以上、下回ってはならないという水準の設定について考える必要がある」「栄養摂取基準などからみて最低生活保障水準を満たすものとなっているかという観点から、健康で文化的な生活を送ることができる水準なのか検証することも必要である」「これが唯一の方法ではない」「検証結果を機械的にあてはめることのないよう、強く求めるものである」「検証に必要なデータの収集・整理や検証手法の開発を、データが利用可能となる時期を踏まえて、適切に行っていくことを求めたい」旨の記載があります。基準部会における検討結果には大きな問題があると解釈されますが、その後、今回の基準額決定においては、誰が、どの時点で、何を根拠に改定したものか、伺います。

(一一) 今回の基準改定により、子どもの貧困の連鎖、いわゆる世代間連鎖はどのくらい解消が見込まれますか。また、この間において、生活保護家庭だけではなく一般低所得世帯の子どもの貧困の連鎖、世代間連鎖が解消されたという事実はどこで確認されたのですか。されてないとしたら、安倍政権は子どもの貧困格差を拡大させ、より貧困を生み出していることになりませんか。

三 医療扶助の見直しについて

(一) 医薬品について、生活保護世帯のみを対象に後発医薬品を原則とするのは被保護者への差別ではありませんか。憲法の無差別平等の原理に反しませんか。

(二) 平成二七年から平成二九年の間の健康管理支援事業について、実績がゼロであったことの理由は何ですか。その背景、目的を達成するための創意工夫の実証、検証はされたのですか。

(三) 社会保障審議会の部会で、償還払いなど提案があり議論されたということですが、結論はどのようにお考えですか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一の(一)について

平成二十六年全国消費実態調査の結果によれば、年間収入階級第一・十分位の夫婦子一人世帯(以下「一般低所得世帯」という。)の消費支出額は、平成二十一年全国消費実態調査の結果におけるそれと比較して増加している。

一の(二)について

お尋ねの一般低所得世帯の消費水準は、今回の生活保護法による保護の基準(昭和三十八年厚生省告示第百五十八号。以下「生活保護基準」という。)の見直し(以下「平成三十年見直し」という。)の案の作成に当たって行った生活扶助基準(生活保護基準別表第一に定める生活扶助基準をいう。以下同じ。)の検証において、用いたものである。

一の(三)について

生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第一条において「この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする」とされ、同法第三条において「この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない」とされ、同法第八条第二項において生活扶助基準を含む生活保護基準は、「要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえないものでなければならない」とされていると承知している。

二の(一)について

児童養育加算(生活保護基準別表第一に定める児童養育加算をいう。以下同じ。)は、生活保護受給世帯の子どもの健全育成に資する費用等の特別な需要に対応するものとして、昭和四十七年に開始されたものである。

児童養育加算の額については、社会保障審議会生活保護基準部会報告書(平成二十九年十二月十四日)(以下「報告書」という。)において、「夫婦子一人世帯の年収階級第一・十分位の学校外活動費用の平均額が約六千円であるのに対し、中位階層(年収階級第五〜六・十分位の平均)の平均額は約一万六千円であり、一万円の差が確認された」とされており、これを踏まえて平成三十年見直しの案を作成している。

二の(二)について

児童養育加算の対象者の拡大については、生活保護基準において、児童養育加算の対象となる年齢の要件を十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある者とすることを現在検討中である。

二の(三)について

御指摘の答弁については、児童養育加算の見直し内容の例示として答弁したものである。

二の(四)について

生活保護法には、生活保護受給世帯の子どもが大学に進学することを禁止する規定はない。

二の(五)について

お尋ねの給付金については、民間団体が行った調査等を参考に、総合的に勘案して検討しているものである。

また、お尋ねの「世帯分離して進学する子どもたちの準備する費用」については、把握していない。

二の(六)について

お尋ねの「世帯分離の件数」については、把握していない。

また、お尋ねの「収入申告によるアルバイトでの収入、奨学金等による収入、学費や生活費」及び「各実施機関からの統計調査」については、その意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

二の(七)について

お尋ねの世帯数及び件数並びに理由については、「世帯分離解消」、「自立による世帯員の減員」、「世帯分離の解消」及び「世帯員の増員」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

二の(八)について

生活保護受給者の衣服等の購入費用等については、一般的にはその者の収入や生活扶助費から賄われるところ、就職支度費は、就職の確定した生活保護受給者が、当該就職により賃金を得る前に、就職のため直接必要となる衣服等の購入費用等を別途要する場合に、生活保護費として給付されるものである。

二の(五)についてでお答えした給付については、大学等への進学が確定した生活保護受給者が進学準備に要する費用の給付を行うことを現在検討している。

二の(九)について

お尋ねの世帯数及び返済額については、「まかなっている」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。また、大学等へ進学しない理由については、多様なものがあると考えている。

なお、厚生労働省が平成二十八年四月に行った調査により、平成二十七年度に高等学校、中等教育学校の後期課程等に在籍していた生活保護受給者のうち、五千四十六人が奨学金の貸与を受けていたと承知している。

二の(一〇)について

御指摘の「基本合意書」の位置付けは、平成二十二年四月一日以降変更されていない。

また、母子加算については、報告書において、「ひとり親(子一人)世帯が夫婦子一人世帯と同程度の生活水準の生活を送るために必要な費用と考え」る額を「ひとり親(子一人)世帯の生活扶助相当支出額(第一類費及び第二類費)との差額がひとり親世帯のかかり増し費用になると考えられる」とされたことを踏まえて、平成三十年見直しの案を作成している。

二の(一一)について

お尋ねの「子どもの貧困の連鎖、いわゆる世代間連鎖はどのくらい解消が見込まれますか」等については、「子どもの貧困の連鎖」、「いわゆる世代間連鎖」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。

なお、平成三十年見直しの案では、十八歳以下の者がいる生活保護受給世帯の生活扶助基準額の総額は増加すると見込んでいる。

三の(一)について

生活保護法に基づく医療扶助における後発医薬品(生活保護法第三十四条第三項に規定する後発医薬品をいう。)の使用については、現行の生活保護法においても「可能な限り後発医薬品の使用を促すことによりその給付を行うよう努めるものとする」とされているところである。

三の(二)について

生活保護適正化等事業において行っている生活習慣病の重症化予防等の健康管理支援については、平成二十八年度において百十五自治体において実施されている。

三の(三)について

御指摘の「償還払いなど提案」の意味するところが、仮に、被保護者が医療機関を受診した際にその窓口において一定額の負担を行い、医療扶助(生活保護法第十一条第一項第四号に規定する医療扶助をいう。以下同じ。)の現金給付として当該一定額に相当する額を事後に当該被保護者に支給することについての提案を指すとするならば、政府としては、医療扶助について被保護者に医療機関の窓口での負担を行わせることについて、経済・財政再生計画改革工程表(平成二十九年十二月二十一日経済財政諮問会議決定)において、「頻回受診等に係る適正受診指導を徹底するとともに、頻回受診者に対する窓口負担について、頻回受診対策に向けた更なる取組の必要性、最低生活保障との両立の観点なども踏まえつつ、いわゆる償還払いの試行も含めた方策のあり方について検討する」とされており、引き続き、検討することとしている。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×4趣旨が明らかではない ×4承知していない ×2検討してまいりたい ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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