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岸田内閣におけるスタートアップ支援策に関する質問主意書
衆議院 第211回 第156号
質問本文
岸田内閣は、社会的課題を成長のエンジンへと転換して持続可能な経済社会を実現する新しい資本主義の考え方を体現するものとして、スタートアップの育成を掲げ、令和四年十一月二十八日に「スタートアップ育成五か年計画」を決定している。
高い給与を支払うことのできない新興のスタートアップに有能な人材を集めるためには、各企業のニーズに応じたインセンティブ・プランが安定的に予測可能性をもって利用可能であることが必要である。しかし、国税庁は令和五年五月三十日に「ストックオプションに対する課税(Q&A)」を公表し、平成二十六年から導入が進んできた信託型ストックオプションについて、従来税率二十パーセントの譲渡所得と解釈されていた課税関係を最大五十五パーセントの給与所得課税とする見解を示した。
この一連の経緯について、以下、質問する。
一 平成二十六年から導入が進んできた信託型ストックオプションについて、突然このような解釈を本年五月に示した理由や解釈の公表に至る経緯を示されたい。
二 信託型ストックオプションについては、国税庁に対する事前の照会が複数回実施され、譲渡所得課税であるとの回答を得てきたとの主張や、税務署の調査に対し行使時の給与課税がなされずに決着がついた事案がある一方、国税庁は、照会記録がないと言いながらも、過去に給与所得課税である旨を回答していたと説明会で述べているが、矛盾している。信託型ストックオプションの課税に関する照会記録は不存在なのか。また過去に給与所得課税である旨を回答していたことはどのように記録されていたのか。事実関係を示されたい。
三 影響を受ける会社は新興企業が多く、会社によっては資金繰りの悪化、従業員等にとっては事後的な追加の納税や生活設計の見直し等、会社の事業経営や従業員の生活に重大な悪影響を生じさせる。このような取扱いは岸田内閣の掲げるスタートアップ振興と逆行するものである。また、わが国の税務行政の透明性や予測可能性に対する国内外の投資家やスタートアップ企業の信頼を損なうものであると考えるが、政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
国税庁においては、信託型ストックオプション(発行会社の役員等に付与することを約して、発行会社が信託会社等に発行する新株予約権をいう。以下同じ。)について、その実質は、発行会社が役員等に付与するものであることから、その行使により役員等に生ずる経済的利益について、納税者から個別の照会があった場合には、従来から、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第二十八条に規定する給与等(以下「給与等」という。)の収入金額に該当する旨の回答をしてきたところである。
こうした中、一部の信託会社において、同庁の見解と異なる主張が行われていたことから、同庁の見解を広く周知するため、令和五年五月三十日に「ストックオプションに対する課税(Q&A)」を公表したところである。
二について
お尋ねの「信託型ストックオプションの課税に関する照会記録」については、国税庁において、納税者からの個別の照会の内容及び当該照会に対する回答が記載された行政文書が保存されている。
また、お尋ねの「給与所得課税である旨を回答していたこと」の記録については、個別・具体的な事柄を含むものであることから、その詳細についての答弁は差し控えたいが、納税者から国税局に対して、役員等が信託型ストックオプションを行使したことによる所得税の課税関係は生じないと解してよいかとの照会があり、当該照会に対して、役員等がその行使をした日における給与等の収入金額として所得税の課税関係が生じる旨の回答を行っているところである。
三について
「会社の事業経営や従業員の生活に重大な悪影響を生じさせる」及び「スタートアップ振興と逆行する」との御指摘については、国税庁においては、信託型ストックオプションに対する課税の取扱いの公表を受けて、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第二十九条の二の特例(以下「税制適格ストックオプションの特例」という。)の取扱いについて、一定の要件を満たす信託型ストックオプションは同条第一項に規定する特定新株予約権に該当することを明らかにするとともに、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画二〇二三改訂版」(令和五年六月十六日閣議決定)を踏まえ、同項第三号の新株予約権に係る契約の締結の時における一株当たりの価額の算定方法を示すこととしているなど、御指摘の「スタートアップ」による税制適格ストックオプションの特例の活用を推進するための環境整備を行っている。また、役員等により信託型ストックオプションが行使され、所得税の課税関係が生じた発行会社から源泉所得税の一括納付が困難との相談があった場合には、個々の実情に即しつつ、法令等の規定に基づき、適切に対応することとしているところである。
また、御指摘の「わが国の税務行政の透明性や予測可能性」については、一についてで述べたとおり、国税庁においては、信託型ストックオプションの行使により役員等に生ずる経済的利益について、納税者から個別の照会があった場合には、従来から給与等の収入金額に該当する旨の回答をしてきたほか、「ストックオプションに対する課税(Q&A)」を公表したところであり、御指摘の「国内外の投資家やスタートアップ企業の信頼」を損なうことのないよう、引き続き、適切な対応を行ってまいりたい。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。