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更生保護施設等の持続可能な運営に関する質問主意書
衆議院 第219回 第128号お答えすることは困難 ×1
質問本文
矯正施設から出所・出院した者等を受け入れる更生保護施設や自立準備ホームは、宿泊場所や食事の提供だけでなく、保護期間中に必要となる支援を行い、自立を援助することで、再犯や再非行の防止のために重要な役割を果たしている。
これらの施設の運営は、寄附金等のほか、国から支払われる更生保護委託費によって行われているが、近年物価の高騰が続き施設運営のためのコストが増加する中、令和五年度においては、七割程度の施設において支出が収入を上回る状況であり、更生保護施設等の事業存続が危機に瀕している状況にあるとされている。
このような状況にもかかわらず、令和七年度予算における更生保護委託費は、令和六年度から更に八千九百万円の減額となっている。
以上を踏まえて質問する。
一 毎年度予算における更生保護委託費総額及びそれぞれの更生保護施設等への割当額はどのように積算されているのか。また、積算に当たっては、前年度の受入人数の増減及び物価の上下動等は具体的にどのように考慮されているのか。
二 令和七年十月九日付の事務連絡「更生保護委託費の一層厳格な執行管理について」では、更生保護委託費予算について令和七年度末時点で二億六千万円以上の不足額が生じる見込みであり、被保護者一人当たりの平均委託日数を六十五・三日以内として委託する必要があるなどとして、予算執行状況を踏まえた委託がなされるよう求めている。
1 本件事務連絡における不足額の積算の根拠は何か。また、多くの更生保護施設等が物価高や固定費の捻出に苦しむ中で、このような事務連絡を発出した意図はどのようなものか。
2 本件事務連絡が事実上の経費削減を伴うものとすると、保護が不十分なまま早期の委託終了を余儀なくされる被保護者が生じかねず、被保護者の更生の観点及び再犯防止の観点から支障が生じるものと懸念されるが、本件事務連絡によってこれらの点につきどのような影響が及ぶことが見込まれるのか。
3 本件事務連絡に関し、法務省は去る十一月二十一日の衆議院法務委員会において、「適切な保護の委託を確実に行えるよう、現在、補正予算の活用を含め、様々な対応を検討」していると述べているが、本年度において具体的にはどのような措置を講じることとしているのか。
三 更生保護委託費が前年度までに収容が行われた実績に基づいて国から支払われることを前提とすれば、収容が少ない状況が続くことにより収入低下が定常化することとなるが、更生保護施設等の運営に際しては、収容人員の有無や多寡にかかわらず、恒常的に常勤職員・非常勤職員等の人件費、家賃や光熱費などのいわゆる固定費の発生が避けられない。
1 収容実績をベースとする更生保護委託費の在り方を改善する等して、これらの固定費見合い分を必要最低限は確保し、更生保護施設等の運営の維持が可能となるように努めるべきと考えるが、委託費の算定方法・算定基準の見直し等について考えているところはあるか。
2 いわゆる「更生保護施設整備五か年計画」に基づき実施されている更生保護施設の老朽化対策の支援について、実施状況及び拡充予定の有無について回答されたい。
四 仕事を探しやすい、前科等を知る者が周囲にいないなどの理由から、地方にある更生保護施設等よりも都市部にある更生保護施設等への入居を希望する保護対象者が多く見られるが、入所者の多寡に伴い委託費が決定される状態では、地域間での更生保護施設等の経済的格差が拡大していくことが懸念されるところ、その解消に向けてどのような措置を検討しているか。
右質問する。
政府答弁書
一について
更生保護委託費は、更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)の規定により更生保護事業を営む者その他適当な者に更生保護法(平成十九年法律第八十八号)第五十八条に規定する補導援護若しくは同法第六十二条第一項に規定する応急の救護の措置又は同法第八十五条に規定する更生緊急保護の措置を委託した際に支弁するものであるところ、各年度の当初予算編成においては、前年度以前の更生保護施設等に対して保護を委託した実績に基づき、当該予算編成に係る年度において委託が見込まれる保護観察対象者等の人数や委託が見込まれる日数を推計し、それらに宿泊費、委託事務費等に係る単価を乗ずるなどして、お尋ねの「更生保護委託費総額」を計上している。その上で、「それぞれの更生保護施設等」に対しては、当該総額の範囲内において、委託に係る保護観察対象者等の人数や委託に係る日数の実績値に宿泊費、委託事務費等に係る単価を乗ずるなどして算出した額を更生保護委託費として支弁している。また、令和八年度概算要求においては、近時の物価高騰が更生保護施設等の運営に与える影響を考慮し、更生保護委託費に係る単価を引き上げて算出した額を計上している。
二の1及び2について
御指摘の「事務連絡における不足額」については、令和七年四月から同年八月までの更生保護委託費の支弁の実績から令和七年度末までに支弁が見込まれる更生保護委託費の額を算出し、これと同年度当初予算の額との差額から不足が見込まれる額を推計したものである。また、当該事務連絡は、予算の範囲内において、適当な住居が確保されていない保護観察対象者等を引き続き可能な限り更生保護施設等において保護するために、保護観察対象者等の保護の必要性に応じ、適切な内容及び期間の措置の委託を行うよう保護観察所の長に周知を図ったものであるが、その後に同年度補正予算に更生保護委託費を計上したことから、お尋ねの「本件事務連絡によって」「どのような影響が及ぶことが見込まれるのか」については、一概にお答えすることは困難である。
二の3について
二の1及び2についてで述べたとおり、令和七年度補正予算において、更生保護委託費を約二億四千万円計上している。
三の1について
更生保護委託費の性格については、令和七年十一月二十一日の衆議院法務委員会において、政府参考人が「更生保護施設があくまで民間の法人によって運営されていることに鑑みて、委託の有無にかかわらず、固定費を支払うということはしておりません。委託事務費の中に人件費を含めた運営経費を計上して、それによって更生保護施設の運営を支えているという構造でございます。」と答弁しているとおりであり、現時点において、お尋ねの「委託費の算定方法・算定基準」の見直しは検討していない。
三の2について
お尋ねについては、令和五年に法務省が策定した「更生保護施設整備五か年計画」に基づき、例えば、令和七年度において、二箇所の更生保護施設の改築に係る経費の補助を実施しているところであり、今後については、まずは、同計画に基づく補助を着実に実施していくこととしている。
四について
御指摘の「入所者の多寡」に伴う「更生保護施設等の経済的格差」が生じていることなどを考慮し、適当な住居が確保されていない保護観察対象者等に係る更生保護施設等への入所の調整に当たり、保護観察所の長において、当該保護観察対象者等が居住を希望する地域、各更生保護施設の特色、収容状況等を踏まえて調整を実施しており、引き続き、適切に実施してまいりたい。