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補助金が交付される市街地再開発事業において事業収入が支出を上回った場合の補助金の国庫への返納に関する質問主意書
衆議院 第219回 第132号趣旨が明らかではない ×4
質問本文
市街地再開発事業の多くが、事業費を賄う為の保留床処分金だけでは事業収入が不足するために、社会資本整備総合交付金からの補助金を収入に加えることで収支の均衡を得て事業計画が作られている。ここ数年の建築費は、諸物価高騰の影響で三〜四割増加しているとの統計であり、日本の地方都市では、確かに保留床販売だけでは事業費が賄えない厳しい採算の事業が多いことは理解している。
しかしながら、タワマン建設が集中的に行われている都心部の再開発事業では、支出において同程度の建築費増加の影響はあるものの、都心に立地するタワマン市況の高騰は、桁違いであり、実際の分譲販売価格は事業計画の二倍ないし三倍になるケースが出てきている。住居費の高騰や物価高対策での減税の財源論などで国民的な関心の高まりもあり、住民自身による自発的な再開発事業の検証が行われたケースもいくつか報告を受けている。豊島区が実行中の南池袋二丁目Ⅽ地区再開発事業では、事業計画上の保留床収入が九百四十二億円、補助金が三百三十七億円の合計事業収入が千二百七十九億円であるのに対して、現在の分譲販売実績価格の平米当たりの平均単価は三百〜三百二十万円で推移しており、想定される保留床収入は二千六百億円程となり、事業計画との差額千六百億円以上が、事業利益として生じることになる。
定款上、組合は保留床の価額について、分譲処分実績に応じて事業計画との差額を開発事業者(南池袋二丁目当該事業では、住友不動産、野村不動産、都市再生機構の三社)との間で、竣工時に精算することが規定されているにも拘わらず、千六百億円に上る利益を全て事業者だけで山分けすることなどあってはならないことである。
事業者が自社の利益を嵩上げするために、敢えて事業計画の保留床処分金を低く設定することは、利益相反行為と見做されることであるし、たとえそのような意図が無かったとしても、当該再開発事業から千六百億円以上と想定される巨額な事業利益が生じてしまうこともまた、隠しようのない事実であることから、事業の完工時に行われるべき利益処分は、関連法規と定款に則って公正かつ透明性を持って行われる必要がある。事業者の巨額利益のために、再開発事業が利用されるということは、絶対にあってはならないことだし、まして補助金が事業者の利益を更に嵩上げしているなどは、とても国民の理解が得られるものではない。
本年三月三十一日付で国土交通省から全国自治体に通達された事務連絡「市街地再開発事業等関連要綱の一部改正について」及び関連Q&A(以降「関連要綱改正」という)は、都心部の住民が大きな懸念をもって見ている市街地再開発事業に、公益のための事業という本来の法の趣旨を取り戻すための重要かつ具体的な指針になり得ると、総じて評価ができる内容になっている。ただ、問題は、今回の「関連要綱改正」を地方自治体及び開発事業者にどこまで周知させ、また、実行面で徹底をさせられるかが重要な課題であると認識している。
そこで、補助事業において事業計画を超える利益が生じた場合の補助金の国庫への返納と、利益処分について、以下質問する。
一 補助金の国庫への返納について
1 「関連要綱改正」第四−一項において、「既に要綱に定めのあるとおり、事業費の削減、保留床処分価格の増加等により、事業収入が支出を上回った場合は、その差額に相当する国費を返還することになる」と記載されている。既に定めのある要綱とは、令和六年三月二十九日付け国官会第二七〇〇一号「社会資本整備総合交付金事業の実績報告書、残存物件等の取扱い、額の確定及び財産処分承認基準等要領」を指すものと解して良いか。別の要綱を指す場合は教示願う。
2 右記一項記載の要綱第四章及び第五章の規定に基づけば、「都心共同住宅 供給事業」である限り、事業収入が市況変動等で増加した場合、財産処分の実績報告と補助金の返納を要するとされているが間違いないか。
3 現在工事中の南池袋二丁目Ⅽ地区再開発事業の実績報告及び補助金の返納手続は竣工時になされるべきものと理解しているが、過去に竣工した市街地再開発事業において、関連要綱に基づく実績報告及び補助金の返納が行われた事業がどの程度あったのか、実績を知りたい。
4 現実に比して実績が伴っていない場合、どこに原因があったと考えられるのかを教示願いたい。また、過去に遡って当該要綱に基づき処理を行う場合、何年間遡ることが可能かを知りたい。
二 補助事業により生じた利益処分について
1 社会資本整備総合交付金の交付対象となる補助事業において事業計画を超える利益が生じた場合、実績報告と共に利益処分について、国土交通大臣の承認を受ける必要があると考えるが、認識を示されたい。
2 また、再開発組合の定款に、参加組合員が取得した保留床の価額を、工事完了時にすみやかに確定し参加組合員に通知すること、そして、その価額と定款に定められた計画時の参加組合員負担金の額とに差額があるときは、組合はその差額に相当する金額を、参加組合員との間で精算(徴収又は交付)することとの定めがある場合、定款に基づき徴収されることになる利益処分についても、国土交通大臣の承認を受ける必要があると考えるが、認識を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一の1について
お尋ねの「既に定めのある要綱」とは、「社会資本整備総合交付金交付要綱」(平成二十二年三月二十六日付け国官会第二千三百十七号国土交通事務次官通知別添(最終改正 令和七年十二月十六日)。以下「交付要綱」という。)を指すものである。
一の2について
御指摘の「「都心共同住宅 供給事業」である限り」及び「財産処分の実績報告」の意味するところが必ずしも明らかではなく、また、御指摘の「右記一項記載の要綱」は、一の1で御指摘の「社会資本整備総合交付金事業の実績報告書、残存物件等の取扱い、額の確定及び財産処分承認基準等要領」を指すものと思われるところ、同要領には、御指摘の「事業収入が市況変動等で増加した場合」の「補助金の返納」については記載されていないが、政府としては、令和四年三月三十一日に交付要綱を改正し、市街地再開発事業(都市再開発法(昭和四十四年法律第三十八号)第二条第一号に規定する市街地再開発事業をいう。以下同じ。)に係る補助金額の要件として、「本事業の基礎額は、市街地再開発事業に要する費用から公共施設管理者負担金及び保留床処分金等を合計した額を控除した額を限度とする」と定めており、当該要件に該当しない場合には、交付した国庫補助金の合計から当該額を差し引いた額の補助金の返還を求めることとしている。
一の3について
お尋ねの「実績報告」については、交付要綱を改正した後の令和四年度から令和六年度までの間に、御指摘の「補助金」の交付を受けて行われた市街地再開発事業のうち、当該市街地再開発事業の完了後に、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号。以下「法」という。)第十四条の規定に基づく報告がなされた件数は、四十件である。そのうち、一の2についてで述べた要件に該当しないことから国庫補助金の返還が行われた件数は、零件である。
一の4について
前段のお尋ねについては、御指摘の「現実に比して実績が伴っていない」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一の3についてで述べたとおり、交付要綱を改正した後の令和四年度から令和六年度までの間に、国庫補助金の返還が行われた件数が零件であるのは、国土交通省が把握している限り、一の2についてで述べた要件に該当しない事例が無かったためである。
後段のお尋ねについては、御指摘の「処理を行う」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、交付要綱を改正した後の令和四年度まで遡って国庫補助金の返還を行うことが可能である。
二の1について
御指摘の「実績報告と共に利益処分について」の意味するところが必ずしも明らかではないが、法第七条第二項の規定において、「各省各庁の長は、補助事業等の完了により当該補助事業者等に相当の収益が生ずると認められる場合においては、当該補助金等の交付の目的に反しない場合に限り、その交付した補助金等の全部又は一部に相当する金額を国に納付すべき旨の条件を附することができる。」とされていることを踏まえ、一部の事業について、当該条件を付しているところであり、御指摘の「社会資本整備総合交付金」の交付を受けた事業者における国庫納付については、当該条件に基づき適切に行われることとなると認識しており、お尋ねのように「国土交通大臣の承認を受ける必要がある」とは考えていない。
二の2について
お尋ねの「定款に基づき徴収されることになる利益処分」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「補助金の国庫への返納」についてのお尋ねであれば、市街地再開発事業に係る国庫補助金の総額が、一の2についてで述べた「市街地再開発事業に要する費用から公共施設管理者負担金及び保留床処分金等を合計した額を控除した額」を超えることが明らかとなったときは、交付した国庫補助金の合計から当該額を差し引いた額の補助金を返還する旨の条件を法第七条第二項の規定に基づき付しているところであり、国庫補助金の返還については、当該条件に基づき適切に行われることとなると認識しており、お尋ねのように「国土交通大臣の承認を受ける必要がある」とは考えていない。