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超大企業への不公平な優遇税制に関する質問主意書
衆議院 第219回 第186号お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×1
質問本文
一 企業の内部留保は直近で六三七・五兆円で、数十兆円レベルで増加している。この現状を政府としてどう分析しているか。
二 資本金一〇億円以上の企業(対一九九七年比)をみると、株主配当金は九・七倍、経常利益は六倍、内部留保は四倍、役員給与一・六倍である。一方、従業員給与は横ばい、設備投資〇・九倍となっている。ここまで来ると、日本の経営者側に問題があるのではないか。
三 二に関連して、経営者が従業員給与も上げない、設備投資もしないのは、法人税の減税を続けてきた結果でもあるのではないか。企業にとってはコストとなる給与や設備投資を抑えて、その分、利益を出しても、この程度の税率なら税金を納めた方が良いとの判断でもあるのではないか。
四 三に関連して、法人税を増税すると賃上げの足を引っぱるとの論があるが、政府の見解如何。むしろ、法人税が増税されると、利益を税金で取られるよりも、自社のために、従業員の賃上げをしたり、会社の将来の発展のための設備投資をしようとなるのではないか。または、少なくとも、法人税の増税と賃上げとの相関関係は中立ではないか。
五 財務省資料によれば、担税能力の一番高い超大企業(資本金一〇〇億円以上)が、各種減税措置(租税特別措置)の適用により、実際上、一番、法人税を負担していない。中小企業(同一〇〇〇万円以下)よりも負担していないのは、税の基本原則(担税能力の高い者ほど相応の税負担)に違背し、国民感情から言っても理解できないし、不公平の極致だと考えるが如何。
(参考)
(実際の法人税負担率(国税二三・二%/財務省/二〇二三年度。))
・超大企業(資本金一〇〇億円以上)一一・九%。
・中堅企業(同一億〜一〇億円)一八・〇%。
・中小企業(同一〇〇〇万円以下)一四・六%。
六 五の不公平な法人課税を是正するため、法人税に所得税と同じように、累進税率を導入すべきではないか。他国をみると、韓国や第一次トランプ政権以前の米国、そして、スナク政権下で導入された例がある。
(参考)
・韓国=九・九%、二〇・九%、二三・一%、二六・四%の累進税率。
・米国=トランプ政権以前は一五%、二五%、三四%、三五%等の累進税率。
・英国=利益額に応じて一九〜二五%までの税率。
七 法人税の増税の議論を提起すると、日本では途端に「アンチビジネス批判」が起こる。しかし、国際的には法人税下げ競争はとっくに終わり、むしろ法人増税の流れである。いわゆる「防衛増税」の一環としての法人税増税も含め、基本的に今後は、法人税の減税ではなく、担税能力に応じた応分の負担増を求める法人税改革に取り組むべきではないか。
(参考)
(OECD)グローバル・ミニマム課税の導入。
(英国)コロナ後の借金の制御に大企業に貢献を。半世紀振りに増税。
(米国)大企業へのミニマム課税一五%に。
右質問する。
政府答弁書
一について
御指摘の「内部留保」については、年次別法人企業統計調査の「利益剰余金」の金額でみると、「金融業、保険業を除く」数値では、令和六年度は約六百三十七・五兆円であり、対前年度比で約三十六・五兆円増加している。当該増加は、企業収益の増加傾向が続いてきたことによるものと考えられ、その背景については、内閣府が令和七年七月二十九日の閣議に配布した「令和七年度年次経済財政報告」において、「主として、生産効率化も含めた変動費率の低下、人件費等の抑制、過剰債務の解消等による支払利息等の減少といった企業のコストカット、また、海外生産の拡大に伴う営業外収益の増加によってもたらされてきたといえよう。」とお示ししているところである。
二について
御指摘の「株主配当金」、「経常利益」、「内部留保」、「役員給与」、「従業員給与」及び「設備投資」については、年次別法人企業統計調査によれば、「資本金十億円以上」の「金融業、保険業を除く」企業に係る数値では、令和六年度は平成九年度と比べて、「配当金」及び「中間配当額」の合計は約九・七倍、「経常利益」は約四・五倍、「利益剰余金」は約四・一倍、「役員給与」は約一・〇倍、「従業員給与」は約一・一倍、「ソフトウェアを除く設備投資」は約一・〇倍である。なお、「従業員給与」に係る数値については、平成十八年度以前の「従業員給与」の金額が「従業員賞与」を含むものであったため、令和六年度の「従業員給与」の金額について、「従業員賞与」の金額を加算して算出した数値である。
その上で、お尋ねの「ここまで来ると、日本の経営者側に問題があるのではないか。」の趣旨が必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、企業の動向に係る政府の認識については、令和七年十一月十三日の参議院予算委員会において、高市内閣総理大臣が「過去三十年間の企業の動向を見ますと、リーマン・ショックやコロナ禍による落ち込みはありながらも、配当金、経常利益は伸びた一方で、賃金、設備投資は伸び悩んでまいりました。この投資が低迷している背景としては、長年のデフレの中で企業部門がコストカットを行ってきた結果、収益の増加に比して賃金や将来の成長のために必要な投資が抑制されてきたと、そのように考えます。やはり、強い経済を実現するというためには、企業が過度に預貯金を保有するというのではなくて、設備や人への投資などに効果的に活用するということを通じて労働者への分配を増やしていくことが重要だと考えております。」と答弁しているとおりである。
三、四及び七について
お尋ねについては、「法人税の減税」や「法人税の増税」が個別企業の具体的な活動に与える影響は様々であると考えられることから、一概にお答えすることは困難であるが、令和六年十二月二十日に自由民主党及び公明党が取りまとめた「令和七年度税制改正大綱」においては、「二千十年代に、設備投資や雇用・賃上げの促進、立地競争力の強化を図るため、法人税率を二十三・二パーセントまで引き下げた(国・地方の実効税率は二十九・七四パーセント)。この間、経済界には、法人税改革の趣旨を踏まえ、国内投資の拡大や賃上げを求めてきたが、企業部門では、収益が拡大したにもかかわらず、現預金等が積み上がり続けた。」及び「これまで現預金を大きく積み上げてきた大企業を中心に企業が国内投資や賃上げに機動的に取り組むよう、減税措置の実効性を高める観点からも、レベニュー・ニュートラルの観点からも、法人税率を引き上げつつターゲットを絞った政策対応を実施するなど、メリハリのある法人税体系を構築していく。」とされている。今後、与党税制調査会等においても議論が行われていくものと考えており、政府としては、当該議論等を踏まえて対応していく考えである。
五について
お尋ねについては、令和七年五月十九日の衆議院決算行政監視委員会において、加藤財務大臣(当時)が「租税特別措置等により大企業の法人税負担率が中小企業に比べて低いということだろうと思いますが、政府としては、中小企業に対し、軽減税率の特例、投資減税、賃上げ促進税制において大企業を上回る控除率を設けるなど、十分な配慮や政策的な後押しを行っております。また、大企業も中小企業も対象となる受取配当等の益金不算入制度、また外国子会社から受ける配当等の益金不算入制度といった制度については、実際に適用する企業には大企業が多いため、大企業の負担率が低く見えるという面がありますが、これらは、国際的にも一般的に二重課税を避けるための措置であります。これらを除いて比較すれば、必ずしも大企業の負担率が中小企業よりも軽減されるとは言えないのではないかというふうに考えているところでございます。」と答弁しているとおりである。
六について
お尋ねについては、令和五年二月十七日の衆議院財務金融委員会において、鈴木財務大臣(当時)が「法人税の累進税率につきましては、法人は、自然人である個人とは異なり、税負担を回避するために会社分割を行う可能性もあること、法人税制は、企業の規模、形態に対して中立的であることが望ましいことなどから、累進課税ではなく単一税率を採用しているところであります。・・・法人に対する累進税率の適用には課題があるのではないか、そのように考えている」と答弁したとおりである。