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デフレからの早期脱却に向けての雇用・賃金拡大策に関する質問主意書
参議院 第183回 第10号承知していない ×1
質問本文
政府は、平成二十五年度税制改正の大綱を一月二十九日に閣議決定した。大綱においては、民間投資の喚起と雇用・所得の拡大のための税制措置として、企業が新規雇用を増加させた場合や従業員の賃金を増加させた場合の減税措置が講じられており評価する。しかしながら、この減税措置のみで企業が実際の雇用や賃金の拡大を選択するかはいまひとつ不透明である。実際、企業の内部留保はデフレ下において拡大傾向にあるとともに、これを雇用や賃金の維持・拡大等に向ける試みは進んでいない。そこでデフレからの早期脱却を図り、アベノミクスの効果が国民生活に早く浸透するように、雇用・賃金の拡大策について、以下提言を交え質問する。
一 平成二十三年度税制改正で創設された雇用促進税制の適用実績について明らかにされたい。
二 企業の内部留保がどのように推移しているのか、企業の規模別に政府の承知するところを明らかにされたい。また、企業の内部留保がどのような実態で運用されているのか、現金・預金、売掛金、有価証券、土地、固定資産等の資産項目ごとに、政府の承知するところを明らかにされたい(いずれも平成元年以降)。
三 企業の配当の実績及びこれに対する課税の実績を明らかにされたい(いずれも平成元年以降)。
四 法人税率を引き下げた場合、企業がその減税分を活用してどのような方策を考えているのか、また、従業員の雇用・賃金を拡大する考えはあるのか、政府が実態調査をしているのであれば、その結果を明らかにされたい。
五 平成二十五年度税制改正において、企業が新規雇用を増加させた場合や従業員の賃金を増加させた場合の減税措置が講じられる見通しであるが、現在、全法人の約七割は赤字法人であり、今回の減税のメリットは受けられない。赤字法人であっても新規雇用や賃金を増加させた場合には、例えば補助金を支給するなど、今回の雇用・賃金拡大策が実効あるものとなるよう政府として検討すべきではないか。
六 デフレからの早期脱却を図るためには、企業の内部留保を活用して従業員の雇用・賃金を拡大するとともに、社会保障を充実させるべきと考える。そこで企業が多額の内部留保を保有しているにもかかわらず、それを活用せず雇用・賃金を拡大しない場合には、①配当に対する課税を強化するとともに、②企業の内部留保のうち過大な流動資産等に課税するような仕組みを検討すべきと考える。こうした提案につき、政府の見解を明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
雇用促進税制の法人税の適用実績については、平成二十三年四月一日から平成二十四年三月三十一日までの間に終了した事業年度における適用件数は千三百十三件、適用額は約二十一億円となっている。
また、道府県民税及び市町村民税への影響額は、約三億円と推計される。
二について
年次別法人企業統計調査における毎年度の当期純利益から配当金を差し引いた金額(以下「企業の内部留保」という。)について、①全規模、②大企業(資本金十億円以上)、③中堅企業(資本金一億円以上十億円未満)及び④中小企業(資本金一億円未満)ごとの、平成元年度以降の推移は次のとおりである。なお、法人企業統計調査は平成十九年度以前は金融業、保険業を対象としていないため、これらの金額は、金融業、保険業を除く数値である。また、平成十八年度以前は、当期純利益の金額が役員賞与差引き前の金額となっているため、別途、役員賞与の金額も差し引いている。
平成元年度 ①十二兆九千八百六十八億円 ②五兆七千九百八十二億円 ③一兆七千六百七十億円 ④五兆四千二百十六億円
平成二年度 ①十二兆四千四百八十七億円 ②五兆九千三百七十億円 ③一兆七千六百二億円 ④四兆七千五百十五億円
平成三年度 ①八兆六千百十四億円 ②四兆四千五百五十一億円 ③一兆九百十八億円 ④三兆六百四十五億円
平成四年度 ①二兆九千五百四十億円 ②一兆七千百八億円 ③千九百十九億円 ④一兆五百十三億円
平成五年度 ①マイナス七千五百九十二億円 ②四千八百九十六億円 ③マイナス九百八十八億円 ④マイナス一兆千五百億円
平成六年度 ①マイナス二千八十六億円 ②七千三百五十五億円 ③マイナス八百二十億円 ④マイナス八千六百二十一億円
平成七年度 ①二兆七千二十五億円 ②二兆千六百八十八億円 ③マイナス五千八百五十五億円 ④一兆千百九十二億円
平成八年度 ①三兆八千四百三十六億円 ②二兆七千五百五十一億円 ③五百八十八億円 ④一兆二百九十七億円
平成九年度 ①三兆二千九百六十五億円 ②六千二百八十三億円 ③二千二百二十九億円 ④二兆四千四百五十三億円
平成十年度 ①マイナス五兆六千八百三十六億円 ②マイナス二兆九千四十八億円 ③マイナス八千三百六十三億円 ④マイナス一兆九千四百二十五億円
平成十一年度 ①マイナス二兆六千八百二億円 ②マイナス二兆八千五百六十五億円 ③マイナス六百四十億円 ④二千四百三億円
平成十二年度 ①二兆七千七百九十三億円 ②千六百七十億円 ③二千七百三十億円 ④二兆三千三百九十三億円
平成十三年度 ①マイナス五兆五千二百六十二億円 ②マイナス五兆六千三百七十億円 ③五百五十七億円 ④五百五十一億円
平成十四年度 ①マイナス一兆千八百三十億円 ②マイナス千六百七十億円 ③二千七百三億円 ④マイナス一兆二千八百六十三億円
平成十五年度 ①四兆九千五百九十億円 ②三兆三千二百七十六億円 ③二千百三十億円 ④一兆四千百八十四億円
平成十六年度 ①七兆四十八億円 ②三兆九千百七十七億円 ③マイナス七千六百五十億円 ④三兆八千五百二十二億円
平成十七年度 ①九兆千五十八億円 ②六兆七千九十五億円 ③マイナス九千九百二十一億円 ④三兆三千八百八十四億円
平成十八年度 ①十一兆九千四百七十五億円 ②七兆七千百三十二億円 ③一兆三千三十一億円 ④二兆九千三百十二億円
平成十九年度 ①十一兆三千三百三十八億円 ②七兆三千六百六十億円 ③一兆二千八百七億円 ④二兆六千八百七十一億円
平成二十年度 ①マイナス四兆八千百八十九億円 ②マイナス五兆九百五十七億円 ③マイナス三千四百二十二億円 ④六千百九十一億円
平成二十一年度 ①マイナス三兆六百十一億円 ②千八百六十七億円 ③マイナス一兆六千四百八億円 ④マイナス一兆六千七十億円
平成二十二年度 ①八兆三千二百九十億円 ②四兆九千四百二十六億円 ③二兆八百七十三億円 ④一兆二千九百九十一億円
平成二十三年度 ①七兆二千三百八十四億円 ②二兆二千五百十億円 ③二兆二千三百三十四億円 ④二兆七千五百四十億円
企業の内部留保は企業の資産総額と負債総額の差額の増減額の一部を構成するものであり、特定の資産項目の増減に対応するものではないため、その運用実態を個別の資産項目ごとに区分することはできない。
三について
所得税が源泉徴収された配当等について、平成元年以降の①支払額及び②当該支払に係る源泉徴収税額は次のとおりである。なお、これらの金額は配当等の支払者等が源泉徴収した所得税を納付する際に提出する「配当等の所得税徴収高計算書」等に基づいて集計したものであり、源泉徴収が義務付けられていない配当等の支払額については把握していない。
平成元年 ①六兆千六百二十八億円 ②一兆千七百五十二億円
平成二年 ①六兆七百二億円 ②一兆千五百八十億円
平成三年 ①五兆二千八百六十九億円 ②一兆二百六十四億円
平成四年 ①五兆千八百九十億円 ②九千九百六十六億円
平成五年 ①四兆八千八百五十七億円 ②九千三百五十二億円
平成六年 ①四兆五千七百八十六億円 ②八千七百四十五億円
平成七年 ①四兆三千九百十七億円 ②八千四百二十八億円
平成八年 ①四兆八千五百三十六億円 ②九千四百十九億円
平成九年 ①四兆九千六百四十八億円 ②九千三百七十五億円
平成十年 ①四兆九千九百八十三億円 ②九千四百二億円
平成十一年 ①五兆三千九百七十三億円 ②九千八百十九億円
平成十二年 ①六兆三百三十億円 ②一兆千百七億円
平成十三年 ①五兆六千十一億円 ②一兆四百十五億円
平成十四年 ①六兆五百二十一億円 ②一兆千六百五億円
平成十五年 ①七兆七十億円 ②一兆七百四十億円
平成十六年 ①八兆五千二百七十七億円 ②一兆二千三百九十九億円
平成十七年 ①十七兆二千九百五十二億円 ②二兆四千九百八十八億円
平成十八年 ①十八兆七千四百二十億円 ②二兆五千十六億円
平成十九年 ①二十兆二千四百七十五億円 ②二兆六千三百五十九億円
平成二十年 ①十五兆四千三百二十一億円 ②二兆二千百九十八億円
平成二十一年 ①十一兆三千八百八十八億円 ②一兆六千八百九十五億円
平成二十二年 ①十二兆七千五百六十六億円 ②一兆七千八百六十二億円
平成二十三年 ①十三兆五千百二十億円 ②一兆八千五十一億円
また、平成十六年一月一日以後に支払を受けるべき配当等の一部については、道府県民税配当割及び都民税配当割が特別徴収されており、その特別徴収税額は次のとおりである。なお、これらの金額は、「道府県税徴収実績調」に基づいて集計したものである。
平成十五年度 二十五億円
平成十六年度 四百三十七億円
平成十七年度 七百八十六億円
平成十八年度 千百二十一億円
平成十九年度 千三百十億円
平成二十年度 五百五十八億円
平成二十一年度 四百六十二億円
平成二十二年度 五百八十一億円
平成二十三年度 六百四十八億円
四について
経済産業省が平成二十一年度に実施した委託調査において、法人実効税率が引き下げられた場合にどのような対応を行うかについて、企業に対してアンケートを行ったところ、賃金増加、雇用増加、設備・研究開発費増加等で対応するとの回答を得ている。
五について
労働者の雇入れ等を支援する助成措置は、高年齢者、障害者、母子家庭の母等の就職が特に困難な方を継続して雇用する労働者として雇い入れた場合の助成や労働者の能力開発を行った場合の助成などを、既に実施しており、赤字法人であってもこれらを利用することで、雇用や給与の増加につながると考えている。
六について
御指摘のような新たな課税の導入に当たっては、例えば、企業の内部留保をどのような使途に誘導するかという政策目的、その政策目的を実現する手段としての税制措置の有効性、企業活動等への影響など、その目的や影響等を含めた検討が必要と考える。
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