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HPVワクチンの男性接種の早期定期接種化に関する質問主意書

衆議院 第221回 第29号お答えすることは困難 ×3仮定の質問 ×1

提出者
国民民主党・無所属クラブ
提出日
2026年7月2日
内閣転送 2026年7月8日
答弁書受領日
2026年7月14日
提出から12日
答弁の項目数
10
質問 3,767字/答弁 3,263字

質問本文

ヒトパピローマウイルス(HPV)は、女性の子宮頸がんだけでなく、尖圭コンジローマや肛門がんなど男女に関係するHPV関連疾患・がんの原因となることが知られている。

世界保健機関(WHO)は男女ともにHPVワクチンの接種を推奨しており、日本以外のG7諸国を含む八十以上の国がすでに男性接種の定期接種を導入している。一方で、我が国では、令和四年から厚生労働省の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会においてHPVワクチンの男性接種についての議論が開始されているものの、三年以上経過した現在でも未だ定期接種化は実現していない。一部の自治体では、男性接種に対する独自助成を開始しているが、地方自治体の財政状況は厳しく、自治体による費用助成は広がらず、任意接種であることから接種率が低調であるという指摘もある。

昨年十月には、予防接種に関わりのある関連学会の専門協議会である予防接種推進専門協議会から「HPVワクチンの男性に対する定期接種化に関する要望」が厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長に対して提出されるとともに、同年六月と十一月に自民党のHPVワクチン推進議員連盟が開催され、同年十二月には「HPVワクチンの男性への早期定期接種化にかかる要望書」が厚生労働大臣に対して提出されている。さらに、患者団体である一般社団法人ウィメン&キャンサーからも、本年四月に「HPVワクチンの男性に対する定期接種化に関する要望」が厚生労働大臣に対して提出されている。加えて、本年四月二十三日付けの毎日新聞のウェブサイトの記事「9価HPVワクチン 接種男性で頭頸部がん発症が半分近くに減少」で新たなエビデンスについて報じられている。しかしながら、政府による明確な方向性の提示や、審議会の開催等の具体的な進捗はなく、本年六月九日に参議院厚生労働委員会で行われた質疑においても、HPVワクチンの男性接種の定期接種化は命に関わる課題であるのに審議のスピードが遅すぎるのではないかという趣旨の指摘に対し、厚生労働大臣からは具体的な審議のスケジュールや審議を急ぐ姿勢が示されなかった。

ワクチンの有効性及び安全性の科学的エビデンス、男女双方のHPV関連疾患・がん予防の観点、国内学術団体や患者団体の要望、国民を代表する国会議員の声や議員連盟の要望、国際動向等を踏まえれば、HPVワクチン男性接種の定期接種化を遅らせる合理的理由は見当たらない。政府が引き続き明確な方針を示さないことは、国民の健康を守る行政の責務を果たしていないと言わざるを得ない。

以上のことを踏まえ、以下質問する。

一 予防接種推進専門協議会、自民党のHPVワクチン推進議員連盟、及び一般社団法人ウィメン&キャンサーより厚生労働省に提出された要望書について、政府はどのように受け止めているのか。また、それらの要望書を受けて、政府として具体的にどのような対応を行ったのか、または行う予定であるのか、明らかにされたい。

二 日本以外のG7諸国を含む八十以上の国でHPVワクチンの男性接種の定期接種が導入されている中で、我が国において男性接種の定期接種化が未だ導入されていない理由について、政府の見解を示されたい。また、その理由が解消された場合、速やかに定期接種化を進める意思があるのか、政府の見解を示されたい。

三 第三十一回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会資料3−1において、「本委員会においてHPVワクチンの男性接種の定期接種化の検討を進めるにあたり、接種回数、予防する対象疾病及び安全性については、引き続き最新のエビデンスを広く収集・評価に努めつつ、現時点では薬事承認が得られている範囲を議論の対象とする。」とあるが、男性接種の定期接種化の議論を進めるためには、接種回数、予防する対象疾病及び安全性について具体的にどのようなエビデンスを収集する必要があると考えているのか。またそのエビデンスを収集するために、政府として現在具体的にどのような取組を行い、いつ頃を目途に収集する予定であるのか。それぞれ明らかにされたい。

四 諸外国の中には、既存のエビデンスを踏まえ、HPVワクチンの男性接種による中咽頭がんに対する予防効果や女性の子宮頸がんに対する波及効果を折り込んで、男性の定期接種にかかる検討を行い、既に男性の定期接種を導入している国があることを、政府として承知しているのか。承知している場合、なぜ我が国においては同様の観点で検討が行われていないのか、その理由を明らかにされたい。

五 本年四月二十三日付けの毎日新聞のウェブサイトの記事「9価HPVワクチン 接種男性で頭頸部がん発症が半分近くに減少」で報じられた新たなエビデンスについて、政府はどのように評価しており、今後の審議会での検討にどのように反映させる予定であるのか、明らかにされたい。

六 第三十一回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会資料3−1において、「HPVワクチンの男性接種に係る費用対効果分析におけるモデリングの検討にあたっては、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンファクトシート追補版作成時の検討状況や、池田委員提出資料等を踏まえ、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンファクトシート追補版作成時にHPVワクチンの男性接種の費用対効果について検討したモデルをより精緻なものとするために必要な最新のエビデンスや、より精緻なモデルであるダイナミックモデルを構築するために必要な信頼性の高い国内データについて、引き続き情報収集を行うこととしてはどうか。」とあるが、男性接種の定期接種化の議論を進めるためには、費用対効果について具体的にどのようなエビデンスやデータを収集する必要があると考えているのか。またそのエビデンスやデータを収集するために、政府として現在具体的にどのような取組を行い、いつ頃を目途に収集する予定であるのか。それぞれ明らかにされたい。

七 第三十回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会の議事録において、委員から「ドイツなどでは男性への定期接種を決めた際に、費用対効果はその時点で必ずしも優れているという評価ではありませんでしたが、ジェンダーエクイティーという観点で評価、導入を進めたというようなこともあります」という発言があり、また、委員長の「ジェンダーニュートラルというような言葉も出てきましたが、ではそれをもってどのようにアセスメントをしていくのか。これについても、これはコンセンサスを形成していくことも重要なのだろうと思いますので、どこまで小委員会でどこまで基本方針部会かということもあろうと思います」という発言に対して、出席した委員が首肯している。こうした議論を踏まえて、HPVワクチンの男性接種の定期接種化に向けた検討においては、諸外国のように、費用対効果が優れていない場合であっても、費用対効果以外の観点も勘案して総合的に評価を行うべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

八 二に関連して、日本以外のG7諸国を含む八十以上の国で男性接種の定期接種が導入されている中で、我が国において男性接種の定期接種化が未だ導入されていないことにより、日本国民に具体的にどのような健康上の不利益がありうると想定しているのか。また、その不利益を回避するために、政府として現在どのような対策を講じているのか、明らかにされたい。

九 昨年十一月二十日付けのm3.comの記事「国会議員・自治体議員議連、男性の定期接種化や自治体間格差解消を要望」で、「国会議員で構成する「HPVワクチン推進議員連盟」会長の田村憲久衆院議員は十一月二十日、「HPVワクチン接種推進自治体議員連盟」との共同開催の場で、HPVワクチンを定期接種化せずに男性の中咽頭がんが日本だけ残るとなった場合、「将来的に裁判をされた時に行政の不作為が問われるのではないか」との懸念を呈し、男性への定期接種化を強く要望した。」と報じられている。政府はこの報道内容及び田村憲久衆院議員が会議の場で実際に同趣旨の発言をしたことを承知しているのか。承知している場合、政府としてこの懸念をどのように受け止めているのか、見解を示されたい。

十 我が国において男性接種の定期接種化が未だ導入されていない現状を踏まえて、HPVワクチンを定期接種化せずに男性の中咽頭がんが日本だけ残ることとなった場合、将来的に裁判をされた時に行政の不作為が問われる可能性について、政府の見解を示されたい。また、そのような事態を避けるために、政府として今後どのような措置を講じる予定であるのか、具体的に明らかにされたい。

十一 HPVワクチンの男性接種の定期接種化に関して、定期接種化の時期の目標を含め、今後の具体的なスケジュールを明らかにされたい。なお、スケジュールが現時点で示せない場合は、その理由及びスケジュールを示すことができる時期についても明らかにされたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

御指摘の「要望書」については真摯に受け止め、「HPVワクチンの男性接種の定期接種化」の有効性等に係る情報収集に努めているところ、今後こうした情報が得られた場合には、厚生科学審議会において必要な議論を行い、当該議論を踏まえながら、適切に検討をしてまいりたい。

二について

お尋ねについては、令和八年六月九日の参議院厚生労働委員会において、上野厚生労働大臣が「諸外国との比較でおきましても、やはり予防接種制度の枠組み自体が異なりますので、一概に比較するのはなかなか難しいわけではございますが、諸外国の状況なども注視をしながら、やはり、その科学的知見に基づいてどうかということが大事でありますので、そうした観点で審議会の議論が進むということを期待しておりますし、我々としてもしっかりそれを後押しをしていきたいと考えています」と答弁しているとおりである。

三及び六について

令和七年七月四日の第三十回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会の資料二「HPVワクチンの男性への接種について」において、お尋ねの「接種回数」についての「エビデンス」については、「薬事承認の「用法及び用量」外の一回または二回接種・・・を支持する直接的なエビデンス」と、お尋ねの「予防する対象疾病」についての「エビデンス」については、「薬事承認が得られていない中咽頭がん、陰茎癌の予防効果に関するエビデンス」及び「男性接種による女性の子宮頸がん等の予防効果に関するエビデンス」と示し、お尋ねの「安全性」についての「エビデンス」については、「一定程度エビデンスが蓄積されている」とされているものの「引き続き最新のエビデンス」を「広く収集」すると示しているとおりであり、さらに、同年九月二十五日の同小委員会の資料三−一「HPVワクチンの男性への接種について」において、お尋ねの「費用対効果」についての「エビデンスやデータ」については、「より精緻なモデルを再構築するのに必要な、性行動の頻度や男女間の感染確率などの」「国内データ」と示しているとおりである。また、お尋ねの「エビデンス」及び「データ」の「収集」については、これらの「エビデンス」及び「データ」に関する国内外の論文等について、厚生労働省において実施している「令和八年度ワクチンに関する科学的知見の収集及び諸外国における予防接種施策調査研究事業」及び令和八年度厚生労働科学研究費補助金による新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業「ワクチンの費用対効果の評価法及び分析手法の確立のための研究」により、広く「収集」しているところであるが、「いつ頃を目途に収集する予定」かとのお尋ねについては、「収集」した「エビデンス」及び「データ」から信頼性の高いものを抽出するために精査を要することから、現時点でその具体的な時期をお示しすることは困難である。

四について

御指摘のように「既に男性の定期接種を導入している国があること」については承知している。その上で、「男性の定期接種」について審議を行う厚生科学審議会での検討においては、その有効性等を評価する際に、御指摘のような「予防効果」や「波及効果」についても評価を行い、御指摘の「観点」での検討も行われているものの、「中咽頭がん」や「子宮頸がん」に関し、現時点では、令和八年六月九日の参議院厚生労働委員会において、政府参考人が「男性に対するHPVワクチン接種につきましては、尖圭コンジローマや肛門がん等が薬事承認されている一方で、男性接種による女性の子宮頸がん等への予防効果につきましては、薬事承認では認められておらず、予防接種として直接的な効果を示すものはなく、エビデンスは限られているものと承知しております」と答弁しているとおりであることから、現在、当該エビデンスも含め、一についてで述べたとおり、「HPVワクチンの男性接種の定期接種化」の有効性等に係る情報収集に努めているところ、今後こうした情報が得られた場合には、同審議会において必要な議論を行い、当該議論を踏まえながら、適切に検討をしてまいりたい。

五について

御指摘の「新たなエビデンス」については、「頭頸部がん」に係る「HPVワクチン」の有効性についてのエビデンスの一つであると認識しているが、我が国においては、ワクチンを含め、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号。以下「法」という。)第二条第一項に規定する医薬品についての承認(法第十四条第一項の規定による承認をいう。以下同じ。)に際しては、法第十四条第二項第三号の規定にのっとり、承認等の申請に係る効能又は効果を有すると認められるか否か等について、独立行政法人医薬品医療機器総合機構において審査が行われ、薬事審議会における議論を経て厚生労働大臣が判断することとしているところ、御指摘の「頭頸部がん」に係る「HPVワクチン」の有効性は当該ワクチンの承認に際して審査されておらず、また、「頭頸部がん」に係る当該ワクチンの有効性は複数のエビデンスに基づき評価する必要があることから、現在、当該エビデンスも含め、一についてで述べたとおり、「HPVワクチンの男性接種の定期接種化」の有効性等に係る情報収集に努めているところ、今後こうした情報が得られた場合には、厚生科学審議会において必要な議論を行い、当該議論を踏まえながら、適切に検討をしてまいりたい。

七について

厚生科学審議会での検討においては、お尋ねのように「費用対効果以外の観点も勘案して総合的に評価を行う」こととしているものの、まずは、二についてで述べたとおり、令和八年六月九日の参議院厚生労働委員会において、上野厚生労働大臣が「諸外国の状況なども注視をしながら、やはり、その科学的知見に基づいてどうかということが大事でありますので、そうした観点で審議会の議論が進むということを期待しておりますし、我々としてもしっかりそれを後押しをしていきたいと考えています」と答弁しているとおりであり、まずは、一についてで述べたとおり、「HPVワクチンの男性接種の定期接種化」の有効性等に係る情報収集に努めてまいりたい。

八について

御指摘の「健康上の不利益」に関しては、例えば、九で御指摘のような「男性の中咽頭がんが日本だけ残る」こと等の「懸念」を示した意見があることは承知しているが、「男性の中咽頭がん」に係る「HPVワクチン」の有効性は当該ワクチンの承認に際して審査されておらず、御指摘の「男性接種の定期接種化」の導入により当該「懸念」が解消されるか否かは明らかではないため、お尋ねの「想定」について一概にお答えすることは困難であり、また、これを前提としたお尋ねにお答えすることも困難である。

九の前段について

御指摘の「報道内容」及び「発言」については承知している。

九の後段及び十について

御指摘の「懸念」及び「可能性」に関するお尋ねについては、仮定の質問であることからお答えすることは差し控えたいが、いずれにせよ、現在、一についてで述べたとおり、「HPVワクチンの男性接種の定期接種化」の有効性等に係る情報収集に努めているところ、今後こうした情報が得られた場合には、厚生科学審議会において必要な議論を行い、当該議論を踏まえながら、適切に検討をしてまいりたい。

十一について

お尋ねについては、令和八年四月二十七日の参議院予算委員会において、上野厚生労働大臣が「審議会におきましては、最新のエビデンスや信頼性の高いデータについて引き続き情報収集を行うこととされておりますので、今後の具体的な議論のスケジュールや定期接種化の時期について現段階で申し上げることはなかなか難しいわけでございますが、定期接種化に向けて必要な検討をしっかり進めさせていただきたい」と答弁しているとおりである。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×3仮定の質問 ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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