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日本油糧工業協同組合連合会に対する外貨割当不正行使及び不正業務に関する質問主意書
衆議院 第31回 第5号
質問本文
衆議院議長 加※(注)鐐五※(注) 殿
日本油糧工業協同組合連合会に対する外貨割当不正行使及び不正業務に関する質問主意書
さる昭和三十四年三月十九日衆議院農林水産委員会において当委員としての質問に対し出席政府委員の答弁がやや確答に欠ける点があるので、次の通り改めて質問する。
日本油糧工業協同組合連合会及び日本油糧株式会社に対し監督の立場にある官庁で農林省及び大蔵省が過去数箇年にわたり次の事実に対しいかに処理したかその詳細を説明されたい。
一 同連合会は、昭和三十年度以降四年間製油用輸入大豆及びなたねの外貨割当を団体割当として一括して交附されているが、これを傘下数百工場(単位協組約六十組合)へ割当てるべき原料の買付については同連合会の専務理事たる志田佳治は責任ある理事として組合法に定める善良なる管理者としての忠実義務をじゅうりんし、取引商社に対し巨額のリベート及び乗用車、家財具等を強要し、該特定の商社とほとんど全量に近い取引をし、常に相場より高価なる原料を買付け、いわゆる御手盛割当を断行し、大豆及びなたねはともに農産物価格安定法により海外市況よりはるかに高い価格が政府で保護されているため、製油業者は外貨割当による輸入原料の入手を干天に滋雨をこうごとく、即ちトン当り最低三千円より最高一万五千円もの値幅があり。
割当そのものが「金券」と同一であるため、この割当の掌をにぎる立場にある者が絶大なる権力を持ち業界に君臨し『志田天皇あるいは油脂界のナセル』という尊称がある由であるが、かかる値幅のある物資の一括割当をすること自体がそもそも間違いのもとであると思うが、監督官庁たる農林省はいかなる見解を持つているか承りたい。
同連合会への外貨割当配分は、実質上同連合会に一括任されているが、実際には日本油糧株式会社が代行業務を行い傘下組合員へはなんら割当基準となるべき資料は公表されず、また監督官庁もこれを公表させようとしない。業者の自治にまかした美名をもつて表現しているが、このことは「よらしむべし知らしむべからず」の衆愚政治を具現し、いたずらに国家の貴重なる外貨を一部の専断にまかし、需要者割当本来の精神を没却したものでこの点その責任と関係当局の真意を承りたい。
二 輸入外貨割当の行使に関し契約数量及び価格の明細等はいつさい公表していない。特に大豆については輸入大豆割当総量の約一割を受け、この購入に当り輸入商社より割当クーポンと引替えに約四割分の商社割当わくを強引に供出させ、これらを加え合計約五割を横流し又は任意処分し驚くべき利得を得ているも転売依頼の傘下工場へは需割分の転売益金の僅少額を手渡すのみにて、これら取扱数量及び転売価格は正式帳簿には記載されず処理されている。
輸入なたねにおいては割当総量の実に約八割を昭和三十、同三十二、同三十三年度の三年間一括受配されているがこの輸入に当り昭和三十二年及び同三十三年の両年ともに当該外貨の正式公表以前の約半年前に輸入業者又は産地業者と契約をなしその一括割当の絶大なる利権をたてに傘下中小業者の危険負担の上にあぐらをかき独断的な投機をなし、その多大な差益金をろう断私腹している。この事実は所管官吏が政府の方針を事前にろうえいしたものと思われ、かつまた外国為替管理法上の違法が行われているものである。これらのことについて調査をしたかどうか承りたい。なお、かかる不公正なる割当方式の現状にかんがみ今後関係官庁がどのような割当の方針で善処するか詳細に承りたい。
ちなみに通産省は前記の質問に関し左記必要書類等を御調査の上正確なる御回答を願いたい。
昭和三十三年三月二十四日横浜入港太洋物産株式会社取扱い長山丸積カナダ国産ナタネ一万余トン(一部神戸回航)分に対する関係書類中、信用状開設依頼書、日油連対輸入商社売買契約書、産地外商対輸入商社売買契約書、外貨割当許可申請書、船積書類(インボイス及び積地重量証明書)通関申請書、陸揚質貫表、貨物引換証、荷かわせ取組明細書、荷渡し指示書等。
三 同連合会は、昭和三十二年四月、日本油糧株式会社なる資本金一千万円の営利会社をあたかも政府の意のあるごとく見せかけ急遽設立し実態は役員、事務所を同一とし同連合会の専務代表理事たる志田佳治が社長となり独裁的に双方の業務を執行し、その大部分の持株を取得し二重人格をもつていつさいの運営をしている事実をどう考えるか。また会社設立に当り同連合会の所有金を流用した形跡があるがこの監査をしたことがあるか承りたい。
前記輸入大豆及びなたねの余剰分の横流し処分による利得金は年間数億円に上る多大なるものであり、連合会と日本油糧株式会社の双方より賦課金及び取扱手数料等の名目で二重的搾取を行い連合会及び会社は若干の利益金のみを帳簿に計上しており、数億円に上る利得金は特別背任、業務上横領及び同隠匿、脱税等の疑い濃厚であるが、このことに関し監督官庁である大蔵省はいかなる態度で会計監査等を行いその所得及び税額はいかほどに決定したか承りたい。
四 同連合会が割当を受けた外貨限度内示書は一括記載により同連合会に手渡され、その配分は志田専務理事の独断にて行われ傘下組合員は一片の通知のみにて割当量を決められている現状だがこれに関する報告監督がいかにして行われているか承りたい。
また同連合会の昭和三十一年度決算書類が総会において丹※(注)賢藏外二名の監事がその監査を否認しているにかかわらず総会開催約一箇月以前すでに役員の偽印鑑を捺印し、農林省経済局市場企業課に提出されており、そのことは同連合会の議事録を見れば判然たるにかかわらず、そのまま受理され当時丹※(注)監事は同課に数回おとずれ、これを指摘し中小企業等協同組合法第百五条の四による職権検査を鋭意依頼したが今日まで故意に放置されている。かかる責任をだれがとるのか、また今後の処置をどうする考えか回答を承りたい。
五 同連合会の直接監督庁たる農林省食糧庁業務第二部油脂課員にして都内某料亭、バー、キヤバレー等にしばしば出入し、その中にはあたかも寮的存在となつた所もあり、その遊興代金を同連合会、日本油糧株式会社又は志田佳治個人等に支払わしめ、かつまた盆暮の心付、餞別、新築祝、出産入学卒業等の祝等の名をかりて常識外の多額の金銭及び贈答品を受けている者がある。かかる不良汚職官吏をいかにして処罰するか承りたい。
以上要約すればかかる不正乱脈なる連合会は、官民ともに悪疫発生の不浄個所にして、国民大衆に対し不当に高価なる油脂製品を押付ける結果となり、現状のままの運営はすみやかに離断せしめることが国家経済上より見て最良の方策と考えられるが、どのような処置をとるか率直に承りたい。
右質問する。
政府答弁書
一 輸入大豆の割当について
昭和二十八年度から始まつた輸入大豆の外貨割当は、昭和二十九年度までは主として大規模の三十三工場を対象とする個別割当であつたが、昭和三十年度からは、大豆抽出設備を有する中小規模の四十五工場に対して、中小企業対策の一環として製油用大豆枠の一〇パーセントを割り当てることにした。この割当方法については、種々検討の結果、次の理由に基いて中小企業等協同組合法に基く全国組織である日本油糧工業協同組合連合会(以下「日油連」という。)を通じて配分することとし、日油連に一括発券を行つた。
(1) 中小企業協同組合がその本来の機能として行う原料の共同購入
(2) 配分対象工場の大部分がいわゆる山工場と称される中小企業者であつて、個々の工場の実態が把握しがたいという割当技術上の困難性
日油連の行う組合員別内部配分については、公正に行うよう指導し、その結果について報告を徴してきたが、その間工場別の実態調査を行うなど種々検討を続け、昭和三十三年下期からは、日油連内部の工場別配分は、食糧庁の定めた割当基準による算定の通りに実施させるように改め、さらに現在は食糧庁による公正な配分がなされている。
二 輸入なたねの割当について
なたねについては、国産なたねの端境期における原料対策及び主としてなたねを製油する中小工場対策として昭和三十年度から外国産なたねの臨時的な輸入を行つてきたが、その割当の方法は前記大豆の場合に比べてさらに割当対象工場が零細多数にわたつているので、その全量の八割を中小業者の団体である日油連に一括割当を行い、その内部配分については、組合の公的機関である理事会に諮らせるなどして自主的かつ公正に行われるよう指導してきたが、今後相当期間恒常的にこういう輸入が行われるとすれば、前記大豆の場合と同様食糧庁の割当基準に基いて工場の処理実績により合理的な配分がなされることが望ましいと考えるので、それに必要な資料の検討を行つている次第である。
三 昭和三十二年度における輸入なたねの外貨割当について
(1) 昭和三十二年度における輸入なたねの外貨資金割当については、昭和三十三年二月十九日付をもつて農林省農林経済局長より通商産業省通商局長あて書面で正式に依頼した。
(2) この依頼に基き、通商局長は昭和三十三年二月二十六日付をもつて「輸入発表第四八号」および「外貨資金割当基準第一五号」の公表を行つた。
(3) 前記(2)に基く外貨資金の割当総額は、一、七二四、九九五・〇〇ドル(申請数量一七、二五二M/T)である。
(4) なお、日油連の発注に係る太洋物産株式会社(以下「太洋」という。)に対する当該割当分(長山丸関係分)は、一、〇九二、五〇〇・〇〇ドルで、この輸入状況の明細は次のとおりである。
(イ) 太洋は、前記(2)の輸入発表に基き、昭和三十三年二月二十八日通産省に対し輸入なたね外貨資金一、〇九二、五〇〇・〇〇ドル(約一一、一七五M/T単価FOB九七・七五ドル)の割当を申請し、同年三月三日に申請額の外貨割当を受けた。
(ロ) 太洋は、三十三年三月一日カナダのジェイ・ゴーデン ロス シンジケートとカナダ産なたね一一、一七五M/T(単価九七・七五ドル、一M/T当りFOBビィクトリア三月積)の売買契約を締結し、三月六日信用状一、〇九二、三五六・二五ドルを前記シッパーあて開設した。
(ハ) これより先、太洋は、日油連との間に、昭和三十二年九月十一日付をもつて一〇、〇〇〇M/T(単価正味六十キログラム当り二、九五〇円、横浜および神戸貨車乗渡条件)の売買契約を締結し、さらに三十三年二月二十一日右契約中単価二、九五〇円を二、九〇〇円に改める旨の更改契約を締結した。
(ニ) 太洋は、三十三年三月十三日カナダビィクトリアにおいて、カナダ産なたね一一、〇一九・一四M/T(一、〇七七、一二一・〇三ドルFOB)を長山丸に船積し、三月二十六日本船横浜入港後直ちに荷揚を開始し六、〇一六・〇三一九M/T陸揚げ後、神戸に回航の上、神戸港揚四、九四七・五六七M/T合計一〇、九六三・五九八九(一、一五二、二九三・六〇ドルCIF)を荷揚通関し、直ちに横浜港より六、〇一六・〇三一九M/T、神戸港より四、三七九・三二七M/T合計一〇、三九五・三五八九M/Tを、日油連の指示する各工場向けに、発送すると同時に貨物代金を受領した。
四 日本油糧株式会社について
日本油糧株式会社は、日油連の組合員の総意に基いて日油連関係の原料共同購入及び製品の共同販売などの経済行為の代行をする機関であるから、行政官庁として格別の措置をとる必要はないものと考える。
五 日油連の割当に関する報告
大豆及びなたねの日油連の内部配分については前記のごとく常に公正に行われるよう指導し、割当結果については要領に基いて毎期必ず報告を徴し、割当が不公平にならないよう監督を行つてきた。
六 日油連の決算書類等について
(1) 昭和三十二年六月二十四日付で日油連より提出のあつた昭和三十一年度決算書類並びにその補完のため同年八月三十一日付で提出された公認会計士の監査報告書については、組合法上特に違反事実は認められなかつた。
なお、前記決算書類を承認した昭和三十二年度通常総会は、昭和三十二年五月二十二日に開催されており、また組合法第百五条の二に基く前記提出書類については、監事の署名押印を要するものはない。
(2) 前記総会の前後、日油連の会員たる三重県組合の丹※(注)氏が連合会の業務運営の不当を口頭にて数回説明されたが、個人の口頭による不平を取り上げることは適切でないので、組合法第百四条による不服申出書を提出されるよう指示したが、不服申出書の提出はなかつた。
なお、その後本件について丹※(注)氏が東京地検に告発し、現在司直の調査が行われている模様である。
(3) 日油連については、中小企業等協同組合法上常例的に検査を行う建前にはなつておらず、かつまた、前記の事情に照らし職権検査の必要もないと考えたので、今までに検査をしたことはない。
(4) なお、日油連及び日本油糧株式会社の課税状況は、次のとおりである。
七 人事管理について
食糧庁業務第二部油脂課員についてのご指摘の点は、従来からも十分注意しているのでそのような事実は絶対にないと信じているが、なお、今後もそのようなことのないよう指導監督と人事管理を一層徹底して疑惑を招くことのないよう注意したい。
八 今後の方針について
輸入大豆及びなたねの日油連内部配分については、前述の如く、今後は日油連に一任することなく食糧庁の指示に基いて配分させるように改めるなどの措置を講じ、日油連及び日本油糧株式会社については、組合員の意向に反するような運営がなされないことは勿論、中小企業等組合本来の使命が達成されるよう今後とも充分な指導監督を行つて行きたい。
右答弁する。
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