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日本住宅パネル工業協同組合の運営に対する厳正なる監督及び中小企業者のプレハブ住宅内装工事における官公需の受注機会の均等化の推進に関する質問主意書

衆議院 第65回 第3号

提出者
衆議院
提出日
1971年3月10日
内閣転送 1971年3月13日
答弁書受領日
1971年3月19日
提出から9日
答弁の項目数
2
質問 2,327字/答弁 2,166字

質問本文

衆議院議長 ※(注)田 中 殿

日本住宅パネル工業協同組合の運営に対する厳正なる監督及び中小企業者のプレハブ住宅内装工事における官公需の受注機会の均等化の推進に関する質問主意書

日本住宅パネル工業協同組合(以下「パネ協」という。)の運営は、中小企業等協同組合法に定める加入自由、相互扶助、直接奉仕という協同組合の諸原則に違背し、著しく不当であると考えられる。また、公営住宅並びに公団住宅発注機関等は、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律を不当に運用し、特にプレハブ住宅における内装工事の取引分野においてパネ協の独占的受注を助長していると考えられる。

よつて、わが国政にあやまちなきを期するため、次の諸事項につき、政府の明確なる見解を示されたい。

一 パネ協の加入自由の原則違背について

協同組合は、任意に加入できることが原則とされているから、出資一口の金額は、組合員たる資格を有する者が通常負担できる程度でなければならないと考える。

しかるに、パネ協は、組合員たる資格を有する者が加入しようとする場合には、出資金百八十万円、加入金二百万円、合計三百八十万円を払い込まなければならないものとし、加入に当たり相当高額の負担を必要とすることにより、事実上有資格者の加入を困難ならしめている。

かくのごときは、加入自由の原則に違背する著しく不当なる運営というべく、政府は、直ちにこれに対する必要な是正措置をとるべきものと考えるがどうか。

二 パネ協の相互扶助、直接奉仕の原則違背について

協同組合は、組合員の相互扶助をもつてその組織原理とし、かつ、その行なう事業によつて組合員に対し直接奉仕することをもつてその運営原則とするものであり、従つて組合自体の利益を図るがごときは、本来の目的とするところではない。

しかるに、パネ協は、その組合の経費に充当するためと称し、組合員からその仕切り価格の平均七パーセントを販売手数料として徴収し、これが今や相当の組合資産を形成するに至つている。

ここに、協同組合における相互扶助、直接奉仕の目的を達成するためには、組合員の組合事業の利用については、実費主義が採用されねばならぬはずであり、よつて、配当可能な剰余金を生じたときには、原則として第一義的にこれを各組合員に対し、その事業利用分量に応じて配当すべきものであり、また、その剰余金が過大に発生する場合においては、その組合員より組合が徴収する手数料等を軽減するのが至当と考える。

これらの諸点につき、パネ協の昭和四十四年度決算報告書等によると、次のような事実が明らかにされている。

(1) 自己資本利益率が二十二・八パーセントとなり、これは必要以上の水準である。

(2) 役員及び幹部職員の給与(給料、賞与等)及び交際費が中小企業における一般的水準に照らし、比較的に上回つている。

(3) 剰余金処分は、剰余金に対し法定利益準備積立が十三・五パーセント強、特別積立金積立が十三・五パーセント強、法定繰越金が六・七パーセント強、出資配当金が三十一パーセント弱(出資金の年一割)、役員賞与引当金が九・六パーセント強、次期繰越利益剰余金が二十五・八パーセント強となつており、この剰余金処分から見ると、これは組合そのものを主体とする営利主義的色彩がきわめて濃い。

以上のような事実は、パネ協が、組合員から多額の利用料等を徴収し、組合員の利益よりも組合の営利を目的としている傾向が濃厚であつて、これは株式会社と同様に組合自体の利益を図ることを主眼として運営されていることを示す証左である。

かくのごときは、相互扶助、直接奉仕の原理原則に違背する著しく不当なる運営というべく、よつて政府は、中小企業等協同組合法の精神にのつとり、これらの諸点に対し、直ちに必要な是正措置をとるべきではないかと考えるがどうか。

三 パネ協の官公需受注の独占化について

官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律に基づき、広く中小企業者の受注機会の増大を図るために、政府は、昭和四十五年七月三十一日閣議決定により、国等の契約の方針として、銘柄指定の廃止、分割発注の推進等中小企業官公需確保対策についてその基準を設定している。

しかるに、公営住宅、日本住宅公団関係のプレハブ住宅内装工事における官公需発注の場合には、右の銘柄指定の廃止等の閣議決定にそむき、仕様書で「パネ協の製品または同等品」であることを指示するほか、パネ協を特別扱いしてこのように資力豊富なパネ協に対し研究名目の下に国庫補助金百八十万円を交付したり、日本住宅公団、通商産業省、政府関係金融機関及び都道府県建築関係職員等をパネ協の役員及び幹部職員に天下りさせてパネ協とこれにかかわる官公需発注機関との間に癒着関係を生じさせている疑いがある。

現にその結果として、昭和四十五年度の実績において、パネ協の組合員である四十五社だけが、多数の同業者を抜いて全国を組合の地区とするパネ協の名により、公営住宅、日本住宅公団のプレハブ住宅内装工事においてその発注総額のおおむね八十五パーセント程度を受注するに至つている。

このように、公営住宅発注機関等は、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律を不当に運用し、特にプレハブ住宅部品製造業の取引分野においては、パネ協の受注独占の傾向を助長していると考えられるから、政府は、独禁法並びに関係諸法令の規定とその精神にのつとり、すみやかにこれが排除措置をとるとともに、中小企業者のこの取引分野における官公需受注機会の均等化を推進する措置を講ずべきものと考えるがどうか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一 加入自由の原則違背について

(一) 協同組合への加入に際し、高額の出資金を課することが協同組合の加入自由の原則に反することとなる場合もありうることは、ご指摘のとおりであるが、その判断は、具体的な状況に即して行なわれなければならないと考える。

(二) 日本住宅パネル工業協同組合の場合、新規加入に際しての出資口数九口(一口二十万円)については、現在の組合員の平均出資口数が約三十五口となつていること、同組合の事業が内装部材の標準化、規格化、量産化を進め、共同受注、共同販売を行ない、相当規模の共同施設を運営しているため、相当の資本を要すること、新規加入者も直ちにこれらの施設を利用しうること等を考慮する必要がある。

(三) 加入金については、同組合が単に相当の物的施設を有するだけでなく、これまで技術開発等により相当の無形の資産も築いてきており、持分評価との関連で従来の組合員と新規加入者の権利の均衡を図るために徴するのであれば、持分評価が適正に行なわれる限り、相当の額であつても許されるものと考える。

(四) しかしながら、これらの出資金や加入金を一時に払い込むことは中小企業者にとつては、かなりの負担となるものと思われるので、その減額、新規加入者の共同施設の利用の態様に応じた弾力的な取扱いまたは払込みの相当期間にわたる分割払いを認めるよう日本住宅パネル工業協同組合を指導してまいりたい。

二 相互扶助、直接奉仕の原則違背について

(一) 協同組合は、組合員の相互扶助および組合員への直接奉仕を目的とするものであることは、ご指摘のとおりである。

(二) この原則に基づき、組合事業の運営に当たつては、手数料は実費に限り、余剰金が生じた際は、組合事業の利用分量に応じ、組合員に配当するのは、一つの行き方であると考える。しかし、この場合には、組合の共同事業のために、資金を要するときは、その都度出資金または賦課金を課さねばならないという不便があり、また、事業体として複雑な経済情勢に機敏に対応するには、予め十分な蓄積をもつことが要請されることも多いと思われる。

(三) このため、余剰金のすべてを組合員に直ちに還元せず、組合が内部留保に努め強力な事業体となることも一つの方法である。税制上、協同組合に対し、出資金の四分の一に達するまで、その内部留保分の二分の一を非課税としている(租税特別措置法第六十一条)のもこのような組合の運営を助成する趣旨にでたものと考える。

このいずれの運営方法を選択するかは、原則的には、組合が組合員の総意に基づき自主的に決定すべきものである。

(四) 日本住宅パネル工業協同組合の運営については、共同事業の運営による収入により経費を賄い、余剰が生じた場合に内部留保に当てている。これらの収入や内部留保は、組合の正規の手続に従い定められたものである。

組合の運営には不当はないものと思われるが、ご指摘の趣旨を尊重し、政府としても同組合に対しその運営について組合員の総意を改めて確認する等この組合の運営が営利主義的にならぬよう指導に慎重を期してまいりたい。

三 官公需受注の独占化について

(一) 政府は従来から住宅建設における工業的量産方式の採用に関する施策の推進に努めてきたところであり、その一環として公営住宅等の内装工事については、その部材、部品の標準化、規格化を進めてきたところである。

(二) 現在、公営住宅等の内装工事において採用されているいわゆるパネル組立方式は、日本住宅パネル工業協同組合が最初に開発し、その施工技術等を確立したものである。

(三) したがつて、公営住宅等の量産化を進めるに当たり、事業発注主体が当初は「日本住宅パネル工業協同組合の製品またはその同等品」と発注仕様書において定めることが多かつたものであるが、政府においては、内装パネル等のコストダウン、品質向上等を図るためには、一般的基準により発注を行なう方が好ましいと考え、また、中小企業者に関する国等の契約の方針に沿つて、社団法人プレハブ建築協会が量産公営住宅部品の一般的基準として作成した「量産公営住宅部品仕様書」を発注の基準とするよう指導してきているところである。

今後、このような指導をさらに強化し、官公需における受注機会の均等化に努めたい。

(四) 現在、公営住宅および公団住宅のうちプレハブ内装工事を採用しているものは、約二十パーセントであり、同組合は、その約八十五パーセントを受注しているが、これは、同組合が早期に協同組合組織により技術開発を進め、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律に基づく受注適格組合となり、品質、価格、供給能力等の面で従来相当の実績をあげてきたこと等によるものと考えられる。

(五) 政府としては、先に述べたようにプレハブ内装工事における官公需の発注について一般的な発注仕様の基準によるよう指導を強化する等受注機会の均等化に努めるとともに、住宅生産の工業化の進展に伴い、内装パネル等の採用が今後とも増大するものと予想されるので同組合の組合員以外の中小企業についても協業化等により、良質で安価な製品の大量供給体制を確立するよう積極的な支援を行なつてまいりたい。

右答弁する。

衆議院の原文

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