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医薬分業の推進に関する再質問主意書
衆議院 第71回 第5号
質問本文
衆議院議長 中村梅吉 殿
医薬分業の推進に関する再質問主意書
わが国の医薬分業制度は、法制的には昭和二十六年以来確立されている。それにもかかわらず、政府は、今日まで法律の施行を怠り、法律を誠実に執行するという憲法上の義務を事実上放棄しているというべきである。
このため、さきの質問主意書において、医薬分業の実施状況を問い、今後の方策をただしたのであるが、これに対する内閣の答弁書からは、法律を誠実に執行しているものとはとうてい判断しがたく、また、まつたく答弁の要領を得ないので再質問いたしたい。
一 答弁書によれば、昭和四十六年度における保険薬局の調剤報酬は、医療費総額のわずかに〇・四四パーセントを占めるに過ぎない。また、医療金融公庫の薬局に対する貸付けは、過去十三年間の総計でわずかに二十五件を数えるに過ぎない。
この事実は、法律施行後十七年間、医薬分業をほとんど実施していないことを立証している。
この怠慢について政府はどのように反省しているかを明らかにせよ。
二 答弁書によれば、「無薬局地区の解消」について「所要の措置を講じている」という。しからばいかなる措置を講じ、その結果無薬局地区とその解消地区の分布にどのような変化が生じたかを具体的に明らかにせよ。
三 答弁書によれば、「広報活動」等を通じ「国民に対する積極的な啓発宣伝を行なうなど」をしているという。
しからば、厚生省がみずから広報ポスターを作成したことがあるか。
四 答弁書によれば、「医療金融公庫の貸付け等を通じて」薬局の整備に努めているという。過去十三年間の貸付総件数二十五件、一件当たり貸付金額平均が四十万円にも満たない実績に照らして、果たして薬局の整備に努めているといえるか。
五 さきの質問主意書において薬局整備の現状を明らかにするよう求めたが、これに対する答弁がない。現状を明らかにせず、ただ抽象的に整備に努めているという答弁をすることは、内容の欠落した単なる文言だけの羅列に過ぎない。このことは、言葉としての薬局の整備を強調しつつ、実体的には薬局の整備を事実上放置してきた証左ではないか。
六 薬局の整備のための資金援助について関係者の要望も多い現状にあるにもかかわらず、医療金融公庫の融資制度が前述のごとき実績しか生まれないことについて、検討を加えたことがあるか。また、この制度自体についてあるいはこの制度の運用において何らかの欠陥があると考えないか。
七 医薬分業と診療報酬適正化との関連については、厚生大臣が衆議院本会議において、みずから言及したところである。従つてさきの質問主意書において、その点の具体的な内容をただしたものである。しかるに答弁書によれば、結局診療報酬は、従来から適正化されており、今後も適正化の審議が行なわれるので善処したいという意味のように推察されるが、およそ日本語の通常の読解力をもつてしては、その意味はまつたく理解しがたい。結局、いかなることを答弁しようとしているのか、その真意は何か。
八 法律施行の経過を顧み、かつ、現状を客観的に分析するならば、結局のところ、政府は、法律を誠実に執行するというみずからの義務を放棄しながら表面上は、法律の施行について積極的に取り組んでいるかのように偽装している。しかも政府は、何らかの積極的な施策を講じない点を覆いかくし、事実を明らかにしないことによつて、医薬分業体制未確立の基本的要因が薬局側それ自体にあるかのように印象づけ、すべての責任をこれに転嫁させている。このような二重の行政的政治的手法を用いて、政府は、医薬分業の事実上の遅延を図つていると判断せざるを得ない。この点をいかに考えるか。
九 最後に答弁書によれば、「医薬分業の推進は国民医療の向上を期するため必要と考えている」ともいう。この言葉をこの際あえて文字通り信ずるとすれば、重ねて医薬分業の推進について政府の決意を問う。
右質問する。
政府答弁書
一について
医薬分業は、昭和三十一年から制度的に確立されたが、実施状況がなお低い水準にとどまつていることは、ご指摘のとおりである。
政府としてはこの間医薬分業の推進を図るために、薬局の受入れ体制を整備する等分業の基礎的条件をととのえるとともに、国民に対して医薬分業の意義について周知徹底していくことをもつて施策目標としてきたところであるが、今後とも医薬分業推進のための施策に対する各方面の意見をも十分に勘案したうえ、施策の一層の改善、充実に努めてまいる所存である。
二について
現在医療金融公庫の融資制度においては、薬局の不足地域における薬局に対する貸付けについて特に配慮しているが、このほか無薬局地域の解消については薬局のない地域に薬局の開設を促進するよう都道府県に対し指導を行なう等努めており、無薬局町村数は昭和四十年末現在一、一四二町村、昭和四十六年末現在一、〇二七町村となつている。なお、今後とも無薬局地域の解消に努めてまいりたい。
三について
薬局及び薬剤師の社会的役割については、都道府県等を通じて常時国民に対してその趣旨の徹底が図られるよう努めているほか、例年十月に薬と健康の週間を設け、この期間中に厚生省がテレビ、ラジオによる広報活動を行ない、また関係団体と協力してポスター(壁新聞)、リーフレット類の作成、配布を行なつているところであり、今後とも国民に対する啓発に努めてまいりたい。
四について
医療金融公庫による薬局に対する貸付けは昭和三十九年度から開始され、これにより調剤を行なう機関としての薬局の整備の推進が期待されることとなつたが、医療金融公庫の融資制度の運用面の改善充実については今後とも努力してまいる所存である。
五について
わが国の薬局数は昭和四十年末現在二一、四二八施設であつたが、その後年々増加し、昭和四十六年末には二四、四六七施設となつている。
今後ともさらに受入れ体制の整備を図るため、調剤施設の整備等薬局の機能の向上と薬剤師の資質の向上に努めるとともに、都道府県薬剤師会の設置する医薬品検査センターを整備する等地域全体の受入れ体制の水準向上に努めていく方針である。
六について
薬局は、一般的にいつて調剤部門及び商品販売部門からなつており、そのほかに開設者等の住宅を兼ねているものもあり、薬局を整備する場合これらを一括して行なうことが多く、そのため調剤を行なう場所である薬局の整備を目的とする医療金融公庫以外の融資制度を利用するためもあつて医療金融公庫の貸付けの実績が必ずしも上つていないものと考える。
薬局の整備は医薬分業の推進を図るため必要であるので、従来も調剤専門薬局については一般薬局に比し建築資金の貸付対象面積をひろげているところであるが、融資の限度額等については、今後とも改善していくとともに、本制度の周知徹底に努める等本制度の活用を図つてまいりたい。
七について
診療報酬体系については、昭和三十三年における調剤料と処方薬剤料の分離、昭和三十六年における処方せん料の新設等点数項目の設定、さらに昭和四十二年及び昭和四十七年における処方料及び調剤料の剤数日数比例制の廃止による薬剤と技術の分離等医薬分業をも考慮してきたところであるが、なおその推進のためには薬価基準及び診療報酬体系の適正化との関連においてさらに検討を要する問題があるものと考えている。
これら診療報酬体系の問題については、従来の種々の経緯もあり、保険医療行政の円滑な運営を期するため、中央社会保険医療協議会における審議の結果をまつて今後ともその適正化に努める考えである。
八について
医薬分業を推進するためには、すべての関係者がこの問題について正しい認識と理解を持ち、それぞれの分野において協力することが必要であり、政府としても国民的合意のもとにその推進を図ることが国民全体の医療の向上を期するゆえんであると考えている。従つて政府としては今後ともこの問題に積極的に取り組んでいく所存である。
九について
政府としては、医薬分業が国民医療の向上を図るために必要であるとの基本的な考え方を今後とも堅持し、医薬分業の推進を図るため努力を払つていく所存である。
右答弁する。
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