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東大医学部附属病院精神神経科の正常化に関する質問主意書

衆議院 第84回 第14号承知していない ×1

提出者
衆議院
提出日
1978年2月22日
内閣転送 1978年2月25日
答弁書受領日
1978年3月3日
提出から9日
答弁の項目数
3
質問 2,421字/答弁 2,264字

質問本文

衆議院議長 保利 茂 殿

東大医学部附属病院精神神経科の正常化に関する質問主意書

東大医学部附属病院精神神経科病棟(以下「病棟」という。)は、昭和四十四年九月以降八年六箇月の長期にわたり、一部無法な医師グループに占拠されている。これがため精神神経科の機能は全く失われ、精神神経科の教育、研究及び診療に著しく支障を来して今日に及んでいる。

このような大学の自治とは全く無関係な異常事態が密室の中の出来事のように一般に知らされず、従つて一般から批判されることもなく、延々と続けられてきているということは、真に奇怪至極であり、法の秩序と大学の使命にかんがみ、断じて看過することは許されない。

よつて、一日も速やかにこれが正常化を図るべきであると考えるので、次の諸点につき政府の説明と見解を承りたい。

一 病棟の占拠等について

(一) 病棟が占拠されるに至つた経緯及び現在まで占拠が続けられている事情は、何であるか。

また、病棟を占拠した東京大学精神科医師連合とは、如何なる性質の団体であるか。

(二) 占拠されている病棟の施設の用途、目的及び面積等を明らかにせられたい。

(三) 占拠当時から現在に至るまでの占拠者全部の氏名及び職名並びにその首謀者の氏名、職名及び経歴等を明らかにせられたい。

(四) 東大職員以外の医師約三十人が交代で診療の手助けをしていると聞くが、これらの医師の手助けは如何なる法的根拠、理由で正当化されているのか。また、これらの医師に対する報酬はどのように支払われているのか。

(五) 病棟の病床は七割が空きベッドであり、かつ、病床は診療に関係のないゲバ学生らの宿泊にしばしば利用されていることが警視庁に確認されていると聞くが、その事実の有無等を詳細に明らかにせられたい。

(六) 占拠直後から暴力事件が多発し、管理・監督の地位にある責任者が「暴力が起こるから(病棟に)入つてはいけない。暴力を誘発する人にも責任がある」などとの不可解な発言を続けていると聞くが、そのとおりの事実であるか。また、昨年十二月には入院患者に自殺者を出したと伝えられるが、これは病棟内での管理が極めて不十分であることに基因するのではないか。

(七) 病棟が占拠されて以降、精神神経科に係る治療費や入院費、諸経費等収支の経理、物品・国有財産等の管理は、どのように行われてきているか。

(八) 病棟が占拠されたことにより、精神神経科の教育、研究及び診療にどのような支障を来しているか。また、学生の病棟実習は、どのように実施されてきているか。

二 国有財産法との関係について

(一) 国有財産法に基づく文部省所管国有財産取扱規程によれば、部局長は国有財産をその用途及び目的に応じ、常に良好な状態に維持し、保有し、これを最も効率的に運用する等、監督の責任を負うことになつているが、病棟の管理、監督の責任者である東大附属病院長は、忠実にこの管理、監督の責任を果たしてきているか。

(二) また、国立大学の長は、教育及び研究に支障を来すこととなる国有財産の用途及び目的の阻害が発生し、又は発生するおそれがあると認めるときは、これを是正するため速やかに必要な措置を講じるとともに、速やかに当該事態及び措置状況について文部大臣に報告しなければならないことになつているが、東大の学長は、占拠された病棟につき今日まで如何に対処してきたのであるか。

(三) 更に、文部大臣は、独自の権限をもつて、当該国立大学の長から報告を求め、国有財産の管理及び処分について特に必要があると認める場合には、当該大学の長に対し採るべき措置を指示することができることになつているが、文部大臣は、本件に関し東大の学長に対し如何なる指示をし、また、東大の学長は、当該指示に従い如何なる措置を講じてきたのであるか。

(四) なお、文部大臣は、監査員を派遣して各部局に所属する国有財産の管理及び処分に関する事務について監査するものとされているが、文部大臣は、占拠された病棟について今日までどのような監査をしてきたのか。その監査状況の詳細について明らかにせられたい。

(五) 物品管理法によれば、各省各庁の長は、その所管に属する物品を管理し、また、物品管理職員は、法令の規定に従い善管注意をもつて物品管理事務を行わなければならないことになつているが、病棟内の物品管理はどのように行われてきたのであるか。

(六) 会計検査院法によれば、会計検査院は、常時会計検査を行い、会計経理を監督し、その適正を期し、かつ、是正を図ることになつているが、会計検査院は、病棟に関する会計検査を徹底的に行つてきたのか。また、その非違をどのように是正してきたのか。

三 教育公務員特例法等との関係について

(一) 教育基本法によれば、法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であつて、自己の使命を自覚し、その職務の遂行に努めなければならないことを明記しているが、病棟を占拠している医師グループの行動は、この法の規定に違反する暴挙と考えるがどうか。

(二) 教育公務員特例法によれば、教育公務員の服務については、国家公務員法の規定が一般的に適用され、国家公務員と同様、その職務を遂行するについては、法令に従い、かつ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならないとされ、また、同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は政府の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならないとされているが、病棟を占拠している医師グループの行動は、教育公務員としての服務規定に違反するものと考えるがどうか。

(三) 病棟を占拠している医師グループの今日までの行動にかんがみ、任命権者たる東大の学長は、速やかに所要の手続きを採り、これら職員を法に基づいて処断するとともに、直ちに退去命令を出して速やかに病棟の秩序回復を断行すべきではないか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

(一) 東京大学医学部においては、昭和四十三年十月、医局講座制の解体等を主張する精神神経科の講師、助手等により、東大精神科医師連合(精医連)が結成されたが、その後、授業の再開等紛争の収拾に関して意見を異にする者により結成された精神医学教室会議との対立もあつて、精医連側は、いわゆる「自主管理」と称し、昭和四十四年九月以降同病棟を占拠し、今日に至つている。

この間、大学当局としては、話合いを進めることにより、この不正常な事態を解決すべく努力を払つてきたところであり、入院患者が常時在院している等の事情を考え、強行手段をとることを避けてきたものである。

なお、現在精医連と称しているのは、引き続き医局講座制の解体等を主張している医師の集団であり、東京大学医学部では講師一名(石川 清)が参加していると承知しているが、その詳細についてはは握していない。

(二) 占拠されている施設は、精神神経科において、病室、研究室及び実験室等の用に供されるものであり、現時点で占拠と認められる面積は、千三百六十六平方メートルである。

(三) 精神神経科病棟は、昭和四十四年以降精医連による占拠の状態が続いており、同病棟には、現在医師としては、東京大学医学部講師一名(石川 清)のほか、同大学職員以外の者が約三十名出入りし、診療に従事しているものと承知しているが、遺憾ながらその実態を正確にはは握できる状況になつていない。

(四) 精神神経科の入院患者に対する診療は、東京大学の医師以外の者によつても行われているが、これは、病院当局が事実上このことを容認しているものである。しかしながら、このような状態は、附属病院の運営の在り方として正常なものではなく、極めて遺憾であると考える。

なお、これらの者に対しては、報酬は、支払われていない。

(五) 精神神経科病棟が極左暴力集団の宿泊場所に利用されたことがあると聞いているが、その実態については確認していない。

(六) 占拠後これまでに、大学当局の責任者によつて、そのような発言がなされた事実については、承知していない。

昨年十二月に発生した精神神経科入院患者の死亡と病棟内の管理体制との関連性については、現在のところは握できる状況にはない。

(七)及び二(五) 精神神経科病棟の入院患者に係る診療料金及び診療に必要な経費、光熱水料等は、東京大学医学部附属病院の所定の手続にのつとり経理されている。

占拠以後の同病棟は、国有財産及び物品の管理責任者等が自由に立ち入ることができないため、国有財産及び物品の使用等の状況を十分には握することができない状態にある。

なお、本年二月十三日、これら管理責任者等が、短時間ではあるが、国有財産及び物品の使用等の状況を調査したところである。

(八) 精神神経科病棟の占拠により、同病棟において学生の臨床実習ができず、また、外来患者で入院を必要とすると判断されるものを同病棟へ入院させることができない状態にある。

なお、学生の病棟実習については、東京大学医学部附属病院分院等で実施している。

二について

(一) 医学部附属病院長は、国有財産である大学施設の管理責任者である学長から、附属病院施設の管理の補助執行を命ぜられているが、精神神経科病棟は、病院長を含め大学当局の努力にもかかわらず、現在なお、病院長等の自由な立ち入りができない状態にある。

したがつて、同病棟の管理が十分になされているとは言い難い。

なお、本年二月十三日、病院長等は、短時間ではあるが、同病棟の使用等の状況を調査したところである。

(二)から(四)まで 学長は、国有財産である大学施設の不正常な事態を解消するためとるべき措置について、施設の管理責任者としての立場のほか、教育、研究、診療等大学の運営全体の責任者としての立場から適切な判断をする必要があるという考えの下に、また、占拠されている病棟には、入院患者が常時在院していることもあつて、これまで、話合いにより事態を正常化すべく努力を続けてきた。政府としては、大学当局と緊密な連絡の下に、大学の努力を助け、速やかな解決に導くよう強く指導、助言を行つているところである。

なお、占拠されている病棟の実情については、適時、大学当局から報告を受け、必要なは握を行つており、この点についての監査は行つていない。

(六) 本件は、内閣に対して独立の地位を有する会計検査院の所掌事務に関する御質問であり、本来、内閣としてお答えすることになじまない問題ではあるが、会計検査院に照会したところ「会計検査院は、国立大学の学内紛争によつて生ずる諸問題については、東京大学医学部附属病院精神神経科病棟の占拠という事態も含め、昭和四十四年十一月意見を表示して大学側の善処方を求めており、その後その推移を見守つてきたところである。しかし、本病棟については今日に至るもなお事態の進展をみないので、去る二月十五、十六の両日に、特に会計実地検査を実施した。」旨の回答を得た。

三について

教員は、全体の奉仕者であつて、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならないことは当然であり、長期にわたり不正常な事態を継続していることは、まことに遺憾である。

大学当局は、このような不正常な事態を速やかに解決するため、最大限の努力を傾けるべきものと考える。

政府としても、大学当局の今後の努力を助け、速やかな解決に導くよう、一層努力してまいりたい。

右答弁する。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

承知していない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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