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満洲開拓移住民に関する質問主意書
参議院 第1回 第123号
質問本文
満洲開拓移住民に関する質問主意書(一〇、一四、内閣参甲九七号参照)
第一
(1) 農事振興会は閉鎖機関に指定されているというが、満洲移住協会も同様閉鎖機関として措置すべきものではないか。
(2) 国民高等学校は内原訓練所とは別個のものであるというが、法律的見解としては形式的に別個であつても、運動としては同一のものであり、その主催者は加藤完治であつて、それが内原思想のオアシスであつたことは世間ひとしく認めているところである。しかるに、この国民高等学校が、今日でも旧態のまま農村青年子女の教育を続けているがこれはどうした訳か。
(3) 内原訓練所と隣接し姉妹的活動をしておつた日満鉱工青少年技術員養成所とはどのようなものか。
第二
(1) 満洲移住協会は終戦当時解散したというが、その当時の人事並びに財産目録を詳細に報告されたい。
(2) 満洲移住協会は財団法人であつたとしても、事実国庫補助により国家事業たる満蒙侵略のための特務機関であつたことは明かである。従つてその人事並びに財産は官公の財産人事に準じて処分さるべきものと思うがどうか。
(3) 右協会の財産の譲渡先は一、開拓民援護会 二、全国農業会 三、地元町村 四、開拓民帰農者の四つに分類出来る。それでこの四つの分類に従つてその譲渡したる財産の目録と価格を詳らかにし、且つその価格評価の合法的準拠を詳らかにされたい。
尚、右の特定の譲渡先はいかなる合法的準拠があつて選定されたか。
(4) 一部の土地は帰農する者に提供したとあるが、この帰農者は引揚たる開拓民か否か。
(5) 現在、内原訓練所関係の土地は開拓民援護会、全国農業会の二者が所有する部分を除きその所有権のいかんを別として、旧訓練所職員によつて占有使用され、農具、役畜、住宅等も同様占有占拠されているがこれは何等か合法的基準によつて政府が措置したものか、それともいわゆる内原残党の掠奪行為か。
これに関係する事実を詳細調査の上報告されたい。
(6) 建物の一部は附近の村に分譲したとあるが、附近の村役場その他の団体又は個人について私の聴取したかぎりでは答弁のごとき事実なし、そして極めて最近において地元と闇値によつて取引されつつある事実あり、政府答弁との相異甚だしいが、どうした訳か。
第三
(1) 一部の建物を引揚者の収容施設として利用しているというが、現在まで内原施設に収容したる引揚者の状況を詳にされたい。
尚、これらの収容者に対する職業その他更生のためにどのような補導を与えたかを詳細に説明されたい。
(2) 開拓民の送出は政府の仕事であつた。従つてその引揚に対する援護は当然政府の責任であつて、政府自らなすべきものと思うが現在政府は直接どのような援護をしているか。
(3) 開拓民引揚も一般と同様で特別の取扱いをしないということは至極当然であるが、その更生のための援護の道は異るべきものと思う。
私の見聞のかぎりでは開拓民引揚者は内地の緊急開拓地において極めて良好なる成績を示している。従つてこの開拓民を緊急開拓に向わしめる政府の措置を喜ぶのであるが、このさいその帰農状況を詳らかに示されたい。
(4) 開拓民援護会は開拓民に対する特別の取扱いをする施設ということにはならないか。
(5) 開拓民の援護更生と内地開拓農業の積極的推進のため特に開拓民の帰農と開拓事業とを合理的に結合せしめてゆくような施策を必要とすると思うが、政府にその発案がないか。
第四
(1) 開拓民援護会の経営の状況を知らされたい。
(2) 右援護会の現在の人事並に財産の動態を知らされたい。
(3) 右援護会の事業報告を詳しく説明されたい。
第五
(1) 終戦に際して満洲移住協会は解散し職員は離散したというが事実に反している。
(2) 右協会は一応法律的見解としては解散手続はとられたようであるが、直ちに援護会に改組発展せしめ、送出訓練と引揚援護即ち往を復に転換したにすぎない。しかも職員は離散せず、そのまま後継機関に勤務している。
(3) 内原訓練所中幹部訓練所と病院は全国農業会に移管されたにすぎない。事業は旧態のまま旧来の役職員によつて独立的に存立し旧来の事業を継続している。それは経営を農林省助成から全国農業会助成に切り替えその存続を合法化したにすぎない。
(4) この奇態なる解散と相続機関の設置については農林省、戦時農業団、満洲移住協会その他関東軍あたりの主脳的地位のものが共謀して終戦のドサクサ期に闇取引を行つたというようなことを、地元その他において耳にすることがある。これは単なる流言なりとして否定し去りがたい事証がないでもない。
この際、右の団体や農林省等の間に介在してこの問題に関係した主脳的人物の介在の仕方を明らかにし、その真偽のほどを明白にされたい。
(5) 内原訓練所について答弁に必要なる資料を喪失したというが、喪失の事情を説明されたい。
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話:03-3581-3111(大代表)
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政府答弁書
第一
(1) 閉鎖機関は昭和二十二年勅令第七四号閉鎖機関令第一条の規定によつて連合軍最高司令官の要求に基いて指定すべきものであるが今迄の処満洲移住協会については閉鎖指定の要求を聞いていない。
(2) 日本国民高等学校は終戦後名称変更を行つていないがその役員は更迭し教職員も教職員適格審査を得たものがこれに当つており教育内容においても教育基本法による新しい教育理念によつたものと思うがなおこの点については各種学校の監督庁である知事に調査して指導するよう指示したい。
また高等学校の名称については各種学校が用いることは学校教育法により禁止されているから変更させるよう措置したい。
(3) 日満鉱工青少年技術員養成所は財団法人日満鉱工技術員協会(既に解散した)がその目的とする満洲国鉱工技術員の教育養成並にこれが補給上必要な事業の一つとして設けた施設である。
第二
(1) 解散当時の役員
理 事 長
小 平 權 一
常務理事
生 駒 高 常
理 事
那 須 浩
〃
石 黒 忠 篤
〃
橋本傳左衞門
〃
大 藏 公 望
〃
永 雄 策 郎
〃
津 雲 國 利
〃
加 藤 完 治
〃
佐 藤 貞 次 郎
監 事
鶴 見 左 喜 雄
〃
今 井 伍 介
満洲移任協会財産目録(二〇、一一、三〇現在)
資 産
負 債
科 目
金 額
科 目
金 額
土 地
五六八、九〇一、四九
基 金
五〇、〇〇〇、〇〇
建 物
二、三八七、五三三、〇九
積 立 金
一〇七、二七七、四九
設 備 備 品
二、二一四、一三九、四八
仮 受 金
一〇九、三三七、一〇
有 価 証 券
二七、九八五、〇〇
未 払 金
五、〇九〇、九四一、一八
信 託 預 金
一〇七、二七七、四九
銀 行 預 金
五、一七三、八九六、二五
正 味 財 産
六、六七七、七八五、六七
振 替 貯 金
七七、六九五、三九
郵 便 貯 金
二六、〇九三、九〇
現 金
四五、〇八一、四五
合 計
一二、〇三五、三四一、四四
未 収 金
一、四〇六、七三七、九〇
合 計
一二、〇三五、三四一、四四
(2) 満洲移住協会は満洲移民事業を遂行するに当つて、これが宣伝普及団体として設定された民間団体であつた。政府はこれに対して委嘱した事業につき補助していたにすぎず、所謂国家事業たる満蒙侵略の特務機関ではない。従つてその役員の人事については主務官庁に報告せしめ、又基本財産の処理に当つては政府の認可を必要とすることとしていた。
(3) 譲渡した財産の目録と価格は左の通りである。
一、開拓民援護会に対して
満洲移住協会の財産全部
無償譲渡
二、全国農業会に対して
土 地
三六八、二七九円八七銭(帳簿価格)
建 物
一、七九三、八〇八円八五銭(〃 )
設備備品
二、〇一五、三九八円九五銭(〃 )
右帳簿価格を基準とし一括 三、五〇〇、〇〇〇円にて譲渡
三、地元町村に対して
日輪兵舎 二〇棟
一棟最高 四〇〇円
計
円
四、開拓民帰農者に対して
建 物 一一四棟
七四、九八二円(帳簿価格)
土 地 二〇町
代金未収 (〃 )
満洲移住協会の財産は当時監督官庁たる外務省の認可を受け財団法人開拓民援護会に一括無償譲渡をしたのであるがその後たまたま全国農業会において農業技術員の養成施設として譲りうけたき申出があつたので幹部訓練所及指導員養成所施設と病院施設を譲渡した。
又帰農者組合は当時内原訓練所職員は約六百名程であつたが帰郷し得る者は帰郷せしめ他に転職し得る者は就職斡旋をなしその大部分は離散せしめたのであるが巳むを得ず現地に留まる者については土地建物を分譲して帰農せしめたのである地元町村に対しては日輪宿舎を分譲したのであるがこれらの内訳は前述の通りである。
(4) 前項で説明した通り内原の職員の帰農者と引揚開拓民及び若干の復員者である。
(5) 現在全国農業会のものについては農業会、開拓民援護会のものについては援護会が使用しているのであつてその他は国民高等学校の所有である。
(6) 前(3)において説明した通り建物の一部は附近の村に分譲した。価格については帳簿価格を基準として分譲したのであつて闇取引の事実はないが最近において公共施設用として分譲したものについて現在の経済状況等をも勘案し帳簿価格よりも多少高価に分譲したものがある。
第三
(1) 内原収容所に収容を開始したのは昭和二十一年七月であるが収容実人員は八〇三人を算え収容開始以来昭和二十二年八月迄の収容延人員は五九、九八一人であつて、一日平均一六四人となつている。その内、開拓民として入植したものは七二三人となつている。
収容者には成るべく早く開拓農民として入植せしむべく、関係方面とも協力して入植地の選定斡旋をなすほか就農、就業の補導斡旋をしている。
(2) 引揚開拓民の援護については、一般海外引揚者及戦災者と同様政府としては生活保護法による救済炊事用具、衣料、寝具類の特別配給等の途を講じているほか開拓民に対してのみの特別の援護は行つていない。
(3)開拓民は引揚概数四万七千戸(十二万人)中開拓に従事しているもの概略二五パーセント強一万二千戸程度でその他開拓とは別に縁故をたどつて帰農しているもはその詳細は判明しないが、かなりある模様である。なお開拓民は帰農後互に扶け合い更正の道を主として国内開拓に求め目下入植促進運動を実施中で入植希望者はかなりある模様であるが開拓民の中心となるべきものが未帰還等のため必ずしも充分な成績とは云えない。
(4) 開拓民援護会は自己資金により引揚開拓民の就農、就業の補導斡旋、援護物資、援護資金の獲得斡旋等を行つている民間団体であつて政府の開拓民に対する特別の取扱いをする施設としての補助団体ではない。
(5) 開拓民に対し特別な援護は考えていないが更生の方途として政府においては昭和二十二年度、二十三年度において開拓民を最優先的に入植させる方針である。
又現在の諸般の情勢下において、国内開拓を推進するものは、開拓者自身の合理的な組織力であると考えるが、幸い開拓民は分村又は全県等一定の組織の下に送出された関係上できるだけその組織編成をくずさないでその儘入植させるよう指導している。なお特に開拓民は大集団地区の開発を希望しているから、この場合はその経験と技術を活用するよう指導している。
第四
(1) 保有財産の換価処分により調達し得たる資金を以て本節第三項に述べるような事業を遂行している
(2) 現在の役員構成は次の通りである。
理 事 長
小 平 權 一
常務理事
生 駒 高 常
理 事
橋本傳左衞門
同
永 雄 策 郎
同
碓 氷 茂
同
淺 川 其 二
同
東 浦 庄 治
同
森 重 干 夫
同
妹 尾 久 雄
監 事
富 樫 久 吉
なお職員は東京本部に二十七名、内原に六名、新潟に三名を有する。(昭和二十二年十一月二十二日現在)
次に財産の動態としては満洲移住協会解散に当り同会より無償譲渡を受けた資産の大半は全国農業会へ譲渡済みであつて、爾余の資産により逐次資金を調達し会務を遂行しているわけである。
(3) 開拓民援護会は東京に本部を置き各府県単位にその府県の援護会を設け関係諸機関との密接なる協力の下に主として就農、就業の補導斡旋、無縁故者の収容救済等の事業を行つている。
又引揚者の上陸港に職員を駐在せしめ開拓関係引揚者の把握につとめ極力之を緊急開拓入植誘導に努めている。収容施設としては現在内原の他、新潟、山形に之を有する。又孤児収容事業への協力、授産事業への協力等をなしている。
第五
(1) 解散した事実に全く相違はない。
(2) 大部分の職員は相違無く離散した。ただ資産を継承して新たに設定された機関が、旧来の事情に精通する若干の職員を新たに採用執務せしめているのである。
(3) 前項の質問事項にもある通り「協会の送出訓練」から「援護会の引揚援護」即ち「往から復」へ全く逆の大転換が行はれたのであるから「旧来の事業をその儘継続している」のではなく、全く事業内容を異にしている。又援護の対象が同じ満洲移住者であるから送出に従事した役職員の一部が引続きその援護に徒事することはその責任上からも当然そうあるべきである。それも一部の役職員のみであり大部分は更新している。
(4) 仰せの如き事実は全くない。
(5) 内原訓練所の経営を委託されていた満洲移住協会の事務所が昭和二十年五月二十五日の空襲により罹災全焼したためである。
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