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靖国問題の基本的認識に関する質問
参議院 第103回 第1号
質問本文
靖国問題の基本的認識に関する質問主意書
去る八月十五日、中曽根総理はじめ多数の閣僚が、靖国神社への公式参拝を強行したが、果たせるかな、日本政府の予想を遥かに超えた厳しい反発が内外で巻き起つている。
よつて、次の諸点について政府側の基本的認識を伺いたい。
一 そもそも内閣官房長官の私的諮問機関たる「閣僚の靖国神社参拝問題に関する懇談会」に、靖国問題と憲法の解釈についての有権的な結論を打ち出す資格があるのか。
二 昭和五十五年十一月十七日に出された靖国神社公式参拝に関する政府統一見解、即ち、公式参拝が違憲ではないかとの疑いをなお否定できないとする公式見解は、いつ、どういう形式で変更されたのか。
三 政府統一見解が変更されていないとすれば、内閣法制局が中心となつてまとめた公的見解を、一私的諮問機関たる靖国懇の単なる報告書が乗り越えたことになる。新たな閣議決定もなく、公式参拝を敢えて強行した目的と理由、判断の根拠について伺いたい。
四 総理並びに閣僚の靖国公式参拝は、まず憲法第二十条第三項、また憲法第九九条に明らかに違反するとの指摘に対しては、どう答えるのか。
五 去る七月二十七日、軽井沢で行われた自民党セミナーで、中曽根総理は、「米国にはアーリントンがある。ソ連へ行つても、外国へ行つても無名戦士の墓であるとか、そのほか国のために倒れた人に対して国民が感謝を捧げる場所がある。それは当然なことであります。さもなくして、誰が国に命を捧げるか。」等と発言されているが、政府は、アーリントン墓地と靖国神社を同列のもの、同じ性格のものと認識しているのか。
六 純粋に上官の命令に従い、国のために倒れた人々のための無名戦士の墓と、明らかに誤つた戦争を指導したA級戦犯を合祀した靖国神社とを、何故同列にとらえるのか。
七 政府は、日本による侵略戦争の責任を追及した極東軍事裁判総体について、基本的な面で疑義を有しているのか。
八 去る八月十五日の英国BBCテレビは、「中曽根総理の靖国公式参拝は、日本が第二次大戦のことをもはや恥じないという姿勢を示したもの」と論評しているが、このような論調に対してはどう考えるか。
九 去る八月二十一日、中国の新華社通信は、「公式参拝は、日本軍国主義が起こした侵略戦争の性質をあいまいにし、中国人民とアジア各国人民の感情を傷つけるものである。また、この公式参拝は、日本軍国主義の名誉回復を図ろうとする思潮に迎合し、これを助長するものである。」と論じているが、このような論旨は、中国側の誤解と偏見なのか。
十 また、八月十八日、北京大学生による抗議デモが行われたが、これについて、中国要人、例えば胡啓立政治局員などは、「彼らの行為は理解できる。」と肯定的な発言をしている。政府は、抗議デモ並びにその後の中国側の反応については、どのように認識しているのか。
十一 中国側の反応を一過性のものとみなしたり、あるいは、一部の扇動による偶発的なものととらえることは、適当ではあるまい。今後、中国に対しては具体的にどのような対応をするのか。
十二 ASEAN各国の靖国問題に対する反応には、どのような対応をするのか。
十三 先に行われたレーガン大統領の西独ビットブルク墓地参拝は、戦死者のなかにナチス親衛隊員十名が含まれていたため、国際的な非難の対象となつた。
靖国神社への公式参拝が、同じように、戦争犯罪や戦争の性格をめぐつて、共通した批判を受けるとは考えないのか。
十四 政府は、靖国神社に合祀されているA級戦犯は、故なくして罪に問われたものとしているのか。それとも、明らかに戦争責任を有する者とみなしているのか。
十五 公式参拝によつて、A級戦犯は復権されたのか。
十六 先年のレーガン大統領訪日の際、政府は、靖国神社への参拝を打診したことがあるのか。
十七 政府は、今後とも、総理並びに閣僚の公式参拝を定着させる考えか。
十八 来年五月に行われる東京サミットでは、各国の元首等に対して靖国神社への参拝を要請する考えか。
十九 将来は自衛隊の殉職者も合祀すべきだと考えているのか。
二十 中曽根総理のいわゆる「戦後の総決算」路線の中では、靖国公式参拝問題は、どのような意味合いを有するのか。中曽根政治の理念にかかわる重大性を有しているのか。
右質問する。
政府答弁書
一から三までについて
内閣総理大臣その他の国務大臣の公的な資格での靖国神社への参拝(以下「靖国神社公式参拝」という。)については、去る八月十五日、国民や遺族の方々の多くが、靖国神社を我が国における戦没者追悼の中心的施設であるとし、同神社において公式参拝が実施されることを強く望んでいるという事情を踏まえ、祖国や同胞等のために尊い一命を捧げられた戦没者の追悼を行い、併せて我が国と世界の平和への決意を新たにする目的で実施したものである。
これに先立ち、八月十四日の内閣官房長官談話により、昭和五十五年十一月十七日の政府統一見解を一部変更する旨明らかにしたが、政府統一見解の変更及び靖国神社公式参拝の実施は、「閣僚の靖国神社参拝問題に関する懇談会」の報告書等を参考として、政府として慎重に検討した結果行つたものである。
四について
去る八月十五日の靖国神社公式参拝は、憲法第二十条第三項で禁止されている「国の宗教的活動」に該当しないから同項に違反せず、したがつて、憲法第九十九条に違反することもないと考える。
五及び六について
靖国神社は宗教法人法に基づく宗教法人であり、アーリントン墓地は国立の墓地であるという点で異なる面はあるが、去る八月十五日の靖国神社公式参拝は、国民や遺族の方々の多くが同神社を我が国における戦没者追悼の中心的施設であると考えているという事情を踏まえて実施したものである。
七及び十四について
日本国との平和条約(昭和二十七年条約第五号)第十一条により、我が国は、極東国際軍事裁判所の裁判を受諾している。
八、九、十二及び十三について
去る八月十五日の靖国神社公式参拝は、戦没者の追悼を行うことを目的とするものであり、過去に我が国が行つた行為を正当化するような意図によるものでは全くない。また、我が国は、過去においてアジアの国々を中心とする多数の人々に多大の苦痛と損害を与えたことを深く自覚し、このようなことを二度と繰り返してはならないとの反省と決意の上に立つて、平和国家としての道を歩んで来ており、かかる反省と決意にはいささかの変化もない。
十及び十一について
中国側が種々の機会を通じて表明した見解は十分承知している。今後の日中関係については、両国が、率直な意見交換を通じ、相互理解を増進し、両国友好関係の一層の増進に引き続き取り組むという折り目正しい態度を堅持していくべきものと考える。
十五について
去る八月十五日の靖国神社公式参拝は、戦没者の追悼を行う目的で実施したものであり、御指摘のような問題とは関係がない。
十六について
御指摘のような打診をしたことはない。
十七について
靖国神社公式参拝は制度化されたものではないので、今後、これを実施するかどうかは、その機会があるたびに、内閣総理大臣その他の国務大臣がそれぞれ判断することとなるものと考える。
十八について
次回東京サミットでは、各国の元首等に対して靖国神社への参拝を要請する考えはない。
十九について
靖国神社の合祀対象者の範囲は、同神社が決定しているところである。
二十について
去る八月十五日の靖国神社公式参拝は、国民や遺族の方々の多くの要望にこたえて実施したものであり、御指摘の「戦後の総決算」といつたようなことを意図して行つたものではない。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。