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中曽根政治の根本的理念に関する質問
参議院 第103回 第2号
質問本文
中曽根政治の根本的理念に関する質問主意書
中曽根総理は、去る七月二十七日、軽井沢で行われた自民党セミナーで、教育改革、防衛、靖国神社、アイデンティティなど、中曽根政治の根本的理念に触れる特別講演をされた。
そこで、以下、その内容に関して具体的に質問する。
一 中曽根総理は、その講演の中で、「日本としてのアイデンティティ」や「国家のアイデンティティ」、あるいは「日本のアイデンティティ」などと多用されているが、この場合、総理の認識の中では、「アイデンティティ」には、どのような意味がこめられているのか。
二 一般には、「自己同一性」が「アイデンティティ」とされているが、総理の言われる「国家のアイデンティティ」は、「国家としての独自性」とか、「国家としての歴史的連続性」を意味するのか。あるいは、単に「国家らしさ」、「日本らしさ」に近い表現なのか。
三 中曽根総理が、「国家のアイデンティティ」とか「日本のアイデンティティ」とか言われる場合、その根底には、総理としてのどのような国家像が踏まえられているのか。
この際、中曽根総理の「あるべき国家像」について伺つておきたい。
四 総理の認識の中では、わが国は、経済を第一義とするよりは、「政治国家」あるいは「国際国家」への変革をめざすべきだとお考えか。
五 総理は、先の特別講演の中で、「われわれは国際国家日本へ急速前進しなければならない。と同時に大事なことは日本としてのアイデンティティをもう一遍確立することである。」と述べておられる。
「日本としてのアイデンティティをもう一遍確立する。」とは、どういうことなのか。
六 総理はまた、「アイデンティティ」に関する展開の中で、「日本には戦前に皇国史観があり、敗戦後には太平洋戦争史観が出て来た。いわゆる東京裁判史観。この裁判については、終局的な判定を歴史がするだろう。裁かれるに値いすることもなくはなかつた。しかし、そのとき出て来たのは、日本は何でも悪いんだ、ややもすると自虐的思潮であり、これは今も残つている。」
「いま戦後四十年、天皇陛下在位六十年になつて、もう一度日本のアイデンティティを。いままでいろんな思想が外国から入つてきたが、それらを全部澄まして、これだというものを作るときにきた。」、と言われる。
中曽根総理の言われる「東京裁判については終局的な判定は歴史がする。裁かれるに値いすることもなくはなかつた。」とは、戦争に対する反省は、さほど痛切ではないと言うことか。
七 「いろんな思想を全部澄まして、これだというものを作るときにきた。」とする表現には、どんな意味がこめられているのか。
八 総理は、戦後民主主義四十年の足跡については、どのような評価を下されるのか。つまり、何を肯定され、何を否定されるのか。
九 総理は、わが国の風潮について、個人主義からの脱却と民族主義高揚の必要性を感じておられるのか。
十 中曽根総理のいわゆる戦後政治の総決算路線にとつては、教育改革による国民の意識変革、防衛問題におけるタブーへの挑戦、靖国神社への公式参拝等はすべて一体のもの、相互に関連する重要な政治課題ではないのか。
十一 総理は、過般の訪欧に先立つて、フランス人記者に対し、「私はかつてゴーリストといわれたことがある。」と述べておられるが、「ドゴール主義」についてはどのように認識しておられるのか。
十二 総理のブレーンと目されている臨時行政改革推進審議会の瀬島龍三氏は、かつて「行革審は将来の国家原理を決めるという重要な役割を担つていた。」と発言されたが、中曽根政治も、全体としてめざすところは、新国家像、新国家主義ともいうべき方向ではないのか。
右質問する。
政府答弁書
一から五まで及び七について
中曽根内閣総理大臣が「日本のアイデンティティを確立する」などと述べているのは、国際化の急速な進展の中で、日本文化の全体像を歴史的、かつ、国際的な視野の中で捉えつつ、その特質、外国文化との差異等を明らかにすることにより、いわば日本自身を知るための努力を重ね、併せてその研究成果を海外に提供し、日本文化の国際的理解を深める必要があり、また、このことは、国際国家を目指す我が国にとつて極めて重要な意義を持つ、との考え方に基づくものである。
六について
我が国は、今後とも、過去においてアジアの国々を中心とする多数の人々に多大の苦痛と損害を与えたことを深く自覚し、このようなことを二度と繰り返してはならないとの反省と決意の上に立つて、平和国家としての道を歩むべきものと考えている。
八、九及び十二について
中曽根内閣総理大臣は、民主主義はもとより、平和主義、基本的人権の尊重、国際協調主義など、戦後今日の日本の繁栄をもたらす礎となつた諸原則を高く評価し、今後もこれを堅持する必要があると考えているところである。
また、中曽根内閣総理大臣は、民主主義の健全な発展を図るためには、国民の一人一人が、国家という共同社会を構成する一員としての自覚を持ち、また、社会的責任を適切に果たすことが重要と考えているところである。
十について
中曽根内閣総理大臣の述べている「戦後政治の総決算」とは、民主主義等の前述の諸原則をあくまで堅持しつつ、従来の基本的な制度や仕組み等について、タブーを設けることなく、新しい目で見直し、良いものは更に伸ばし、戦後から今日までに生じたひずみがあればこれを是正することによつて、二十一世紀という新しい時代を迎えるための準備を進めるという意味であり、これを通じ、たくましい文化と福祉の国、平和を志向し、積極的に国際的役割を分担する国際国家日本をつくつていこうとする考え方を指すものである。
十一について
中曽根内閣総理大臣は、ドゴール元大統領を優れた政治家の一人として尊敬しているものであるが、中曽根内閣総理大臣自身はあくまでも日本の政治家であり、日本の置かれた国際環境の中で、世界の平和と繁栄に積極的に貢献するため努力しているところである。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。