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防衛政策の基本に関する質問

参議院 第103回 第3号

提出者
参議院
提出日
1985年10月14日
内閣転送 1985年10月16日
答弁書受領日
1985年11月5日
提出から22日
答弁の項目数
5
質問 985字/答弁 987字

質問本文

防衛政策の基本に関する質問主意書

去る九月十八日決定された中期防衛力整備計画をはじめ、中曽根内閣の防衛政策については、今国会での論戦によつて掘り下げるべきであるが、この際改めて防衛政策の基本にかかわる問題について伺いたい。

一 わが国防衛政策の基本たる専守防衛は、昭和四十五年、中曽根防衛庁長官時代に打ち出されたものであるが、この専守防衛なる概念と、既に軍事用語として定着している戦略守勢とはどのように違つているのか、明確にされたい。

二 政府は、従来、専守防衛と戦略守勢を同様のものと理解しているようだが、専守防衛は防衛上の必要からも相手側の基地を攻撃せず、もつぱら国土とその周辺で防衛行動をとるのに対して、戦略守勢の場合は必要によつては相手の策源地を攻撃することをも含んでいるのではないか。

三 国土防衛を想定した場合、専守防衛の限界は水際撃破か、それとも領海又は領空における撃破を基準とするのか。

四 洋上撃破(公海上)は、専守防衛の枠内と考えられるか。

五 日本への上陸をめざす相手国の実戦力に対して、反撃のため、自衛権を発動するタイミングは、侵攻勢力が領海を犯した瞬間なのか。

六 専守防衛と、政府がめざしている一千カイリ・シーレーン防衛(洋上防空を含む。)とは、一体どのように整合するのか。

七 一千カイリ・シーレーン防衛(洋上防空を含む。)は、わが国にとつて第一義的な防衛範囲と考えるか、それとも、米国側との同盟関係に基づく役割分担の範囲と考えるのか。

八 中期防衛力整備計画が達成された場合、わが国のシーレーン防衛能力は概成されるのか。

九 中期防衛力整備計画がめざす作戦機数(海上自衛隊二百十四機、航空自衛隊四百十五機)によつて、本土防空と洋上防空の最低限の要請は充たし得るのか。

十 昨今濃密になつている日米防衛協力路線や、日米共同作戦の方向は、国土防衛に限局した専守防衛の理念とは基本的に相容れないものではないのか。国民の合意から大きく踏み出す明らかな防衛政策の質的転換ではないのか。

十一 このような方向をめざす日米両国政府には、ソ連による軍事的な脅威が今や飛躍的に高まつているとの共通の認識があるためか。

十二 陸・海・空三自衛隊の兵器体系と装備、配置や編成の現状は、専守防衛を全うするための最善のレベルに到達していると考えるか。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一から四までについて

(一) 「専守防衛」という用語は、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限られるなど、憲法の精神にのつとつた受動的な防衛戦略の姿勢をいうものであり、我が国の防衛の基本的な方針である。

また、「戦略守勢」という用語は、我が国の防衛力の運用面において、「専守防衛」と同じ意味で使用していたものである。

(二) 我が国の防衛力行使の態様は、具体的な状況に応じて異なるものであるが、その地理的範囲が必ずしも我が国の領土、領海、領空に限られるものでないことは、政府が、自衛権の行使につき従来から一貫して明らかにしているところである。

五について

自衛権の発動としての武力の行使は、自衛権発動の三要件に該当する場合に限られるが、現実の事態において我が国に対する武力攻撃がどの時点で発生したかは、その時の国際情勢、相手国の明示された意図、攻撃の手段、態様等々により判断されるものであり、限られた与件のみ仮設して論ずべきではないと考える。

六から九までについて

(一) 我が国は従来から我が国に対する武力攻撃が発生した場合において、周辺数百海里、航路帯を設ける場合にはおおむね千海里程度の海域において、自衛の範囲内で海上交通の安全を確保し得ることを目標に海上防衛力を整備してきている。

(二) 中期防衛力整備計画の実施により海上交通の安全を確保するため必要な対潜能力については、相当程度向上するものと考えているが、洋上防空能力については、更に、総合的な検討を行うこととしている。

また、本土防空能力については、本計画の実施により、相当程度向上するものと考えている。

十及び十一について

(一) 我が国は憲法及び基本的な防衛政策に従い、自ら適切な規模の防衛力を保有するとともに、米国との安全保障体制を堅持することにより国の防衛を図ることを基本としている。

(二) 政府としては、このような考え方に立つて、引き続き、日米安保体制の信頼性の維持向上のための各種施策の推進に努めていく必要があると考えている。

十二について

我が国は、「防衛計画の大綱」に基づき防衛力の整備を進めているところであるが、我が国の防衛力の現状は、いまだ大綱の定める防衛力の水準に到達していない。

参議院の原文

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