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FSX選定に関する質問

参議院 第110回 第2号

提出者
参議院
提出日
1987年11月9日
内閣転送 1987年11月11日
答弁書受領日
1987年11月24日
提出から15日
答弁の項目数
9
質問 1,597字/答弁 2,026字

質問本文

FSX選定に関する質問主意書

FSX選定問題については、十月二十三日の安全保障会議で栗原防衛庁長官から「米機F16を基本型として日米で共同開発することとし、その費用の一部を六十三年度予算概算要求に追加要求する」旨の報告がなされ、了承されたと伝えられているが、実際にはどのような決定がなされたのか不明瞭であるので以下質問する。

一 安全保障会議でどのような決定がなされ、閣議においてはどのような説明がされ了承が得られているのか明らかにされたい。

二 今回の決定は、防衛庁は「共同開発」との認識を示しているようだが、実質的にはF16の「共同改造」と認識すべきものと考える。防衛庁が「共同開発」と位置づける理由を述べられたい。

三 現在まで防衛庁は、今回の決定に至る選定経過をほとんど明らかにしていない。この際、選定の過程において対象を絞つてきた経過を詳細に説明するとともに、その理由を明らかにされたい。

四 今回、日本主導による「共同開発」を新たに行うことにかんがみ、「共同開発」で得られた新技術の特許権の帰属及び使用等を規定する日米間の取決めを結ぶ必要はないか。

五 今回の「共同開発」で得られた新技術を米国が、(1)第三国向けの輸出用戦闘機等に転用する場合、(2)第三国に技術提供する場合、(3)米国内で転用する場合の我が国の対応はどうか。

六 「共同開発」の結果、完成したF16改造型機全体の製作権限は我が国に帰属するのか。また、米国が我が国に対して、(1)米国内で米軍用に製造する、(2)米国内で第三国向けに製造する、(3)第三国にライセンス生産させる等の要請をしてきた場合の政府の対応はどうか。

七 今回の「共同開発」によるF16の主なる改造計画案に関し、次の点について現在考えられている構想及び使用技術を説明されたい。

(1) 機体の改造(素材を含む)

(2) 搭載コンピューター

(3) レーダー

(4) エンジン

(5) その他

八 FSXについての要求性能については、国会でのたび重なる要求に対しても一切明らかにされていないが、その内容によつては我が国の基本防衛政策に重大な影響を及ぼすおそれも考えられる。国会におけるシビリアンコントロールを実効あるものとするためにも、次の点について明らかにされたい。

(1) 開発、現有機の転用及び外国機の導入といつた三つの選択肢で検討を行つていた時点における空幕の要求性能と、「共同開発」決定後の要求性能に差はあるか。

(2) 防衛庁はFSXは「日本独自の使い方や地理的条件に合つたもの」を作りたい旨を明らかにしているが、それらについて具体的に説明されたい。

(3) 要求性能について安全保障会議で論議されなかつたのは、それが我が国の防衛構想と密接に係わる問題であるとの立場に立てば、大きな問題と考えるが、政府の見解はどうか。

(4) 伝えられているFSXの搭載能力と航続距離にかんがみれば、専守防衛との関係で重大な疑義が生ずると考える。このようなものについては、開発に入る前に国会で十分な論議をしてから行うべきと考えるが、政府が要求性能について一切説明しない理由は何か。また、政府は将来にわたつても要求性能については国会に説明しないつもりか。

(5) この際、過去の主力作戦機(F4EJ、F15J、F1、P3C、E2C)を採用する際の要求性能と現実の採用機との差を明らかにされたい。

九 今回の「共同開発」のベースとなるF16型機について、十月二十六日の米上下両院合同経済委員会の経済・国際安全保障小委員会の公聴会において、F16戦闘機の安全性について重大な疑義が出された旨報道されているが、防衛庁はF16の欠陥問題についてどのような認識を持つているか。

十 FSXに要する総経費と、その内訳(開発費及び単価)を明示されたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

支援戦闘機(F-1)の後継機である次期支援戦闘機(以下「FS-X」という。)の開発は、「防衛力の整備内容のうち主要な事項の取扱いについて」(昭和五十一年十一月五日国防会議・閣議決定)第四項に該当するものであることから、昭和六十二年十月二十三日の第九回安全保障会議において、FS-Xに関する措置の防衛庁における検討結果について報告を受け、審議を始めたものであり、同会議においては、いまだ決定はなされておらず、また、閣議には付議されていない。

二について

防衛庁が、FS-Xに関する措置として今回決定したのは、日米の優れた技術を結集し、F-16を、我が国の運用構想、地理的特性等に適合するよう改造するための開発を行うことである。

三について

FS-Xについては、昭和六十年九月策定された中期防衛力整備計画において、「支援戦闘機(F-1)の後継機に関し、別途検討の上、必要な措置を講ずる」旨決定されている。

その後、防衛庁は、FS-Xに関する措置の具体的検討作業を開始し、「国内開発」、「現有機の転用」及び「外国機の導入」について検討を進めてきたが、この過程で米国から「共同開発」の提案があつたので、それまで「国内開発」としていたものを「開発」に改めた。

防衛庁は、この三つの選択肢について、引き続き、いわゆる栗原三原則の下で検討してきたが、昭和六十二年十月の日米防衛首脳会談における意見交換の成果を含め検討した結果、既存の戦闘機は、いずれも我が国の運用構想、地理的特性等の観点から、FS-Xとして採用することは適当でなく、我が国の運用構想、地理的特性等に適合するよう、我が国の主導の下、日米の優れた技術を結集し、F-15又はF-16を改造開発する案が、取得の確実性、費用対効果、インターオペラビリティ(相互運用性)の確保等の観点から最も適切であると判断した。

さらに、この二つの改造開発案について検討した結果、防衛庁として、昭和六十二年十月、FS-Xに関する措置については、F-16の改造開発案が費用対効果等の観点から最も適切なものであるとの結論を得たところである。

なお、FS-Xの機種選定は、この開発の成果を踏まえ、将来行われるものであることは言うまでもない。

四から六までについて

本開発をどのような枠組みの下で日米間で実施するかという問題については、御指摘の点も含め、我が国の国内法、日米間の関連取極等を踏まえて、今後日米両国の政府間で協議することとしている。

七について

防衛庁としては、開発に際して、機体については、複合材等の先進材料及び先進構造技術を適用し、また、搭載電子機器についてはアクティブ・フェーズド・アレイ・レーダー、小型軽量コンピューター等を採用するとともに、エンジンはより推力の大きいものに換装すること等を予定しているところである。

八の(1)、(2)及び(4)について

我が国の防空については、「防衛計画の大綱」にあるとおり、十三個飛行隊の戦闘機部隊をもつてこれにあたることとし、その中で、支援戦闘機部隊三個飛行隊は、着上陸侵攻阻止及び対地支援の任務も果たし得るものとして整備してきている。

また、我が国は、地理的に細長く、戦闘機を配備できる基地の数も限定されており、さらに、航空軍事技術の進歩等を考慮すれば、我が国防衛作戦においては、作戦地域に近い基地には要撃戦闘機を展開して防空作戦を行い、支援戦闘機は、同地域からかなり離れた基地から運用せざるを得ない。

したがつて、FS-Xは、我が国のこのような特殊性を踏まえ、将来における技術的水準の動向等に対応して、防空、着上陸侵攻阻止及び対地支援といつた任務を遂行し得る性能のものが必要であると考えており、この要求性能の主要事項については既に公表したところであるが、その細部は秘にわたるので、公表は差し控えたい。

なお、開発に際して期待する主要性能については、国会審議等に資するため、今後とも、可能な範囲で公表してまいりたいと考えている。

また、検討の過程において基本的な要求性能が変更されたという事実はない。

八の(3)について

昭和六十二年十月二十三日に開催された第九回安全保障会議においては、御指摘の要求性能の点も含めて、審議を行つたものである。

八の(5)について

御指摘の航空機は、いずれも防衛庁の要求性能を満足するものとして採用されたものである。

九について

F-16は、高い安全性を有し、多くの国で採用されている航空機であると承知しており、FS-Xのベースとして改造開発することについて、特に問題があるとは考えていない。

十について

FS-Xの所要経費及び単価については、その量産化が決まつていないこと等から現段階で申し上げることは差し控えたいが、防衛庁の検討においては、開発経費は、一定の前提の下に、昭和六十年度価格で約千六百五十億円と見積もつている。

参議院の原文

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