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不可解な3件の大韓航空機事件の真相解明に関する質問

参議院 第112回 第15号承知していない ×3

提出者
参議院
提出日
1988年5月24日
内閣転送 1988年5月25日
答弁書受領日
1988年6月28日
提出から35日
答弁の項目数
19
質問 3,334字/答弁 2,405字

質問本文

不可解な三件の大韓航空機事件の真相解明に関する質問主意書

昨年十一月二十九日、ビルマ沖で消息を断つた大韓航空機の事件は朝鮮半島を巡る国際政治に大きな影響を与え、事件に対するわが国の国民の関心も極めて大きいが、今日に至るも事件の核心は極めて不明確なままである。

また、同じ大韓航空が昭和五十三年にソ連のムルマンスク付近で起こした事件や昭和五十八年にカムチャッカ半島からサハリンにかけて起こした事件に関しても政府が国民を十分納得させるに足る説明をしたとは言い難いので、ここに不可解な三件の大韓航空機事件の真相の解明を求め、以下質問する。

一 昭和五十三年に大韓航空機がソ連軍の大陸間弾道弾発射原子力潜水艦基地として知られるムルマンスク付近のソ連領空を長時間にわたつて侵犯しソ連軍戦闘機の攻撃を受け、日本人乗客にも死者一名、負傷者多数を出す事件が発生しているがこの事件に関し、政府が本日までの間に実施した調査の結果に基づき、次の各項目について具体的に答弁されたい。

1 大韓航空機はソ連戦闘機のミサイルを被弾したのか、それとも機関銃弾を被弾したのか。

いずれであるかを判断の根拠を示して明らかにされたい。

2 なぜ、ソ連機は大韓機を攻撃するに至つたのか、その因果関係および責任の所在について政府の見解を明らかにされたい。

3 大韓航空機の大幅な航路逸脱の原因はムルマンスク付近のソ連軍の防衛体制を探知する目的で大韓航空機が某国情報機関と連携の上で、故意にコース変更をしたものであるとする見解が今日では支配的になつているが、右見解に対する日本政府の判断を明らかにされたい。

4 大韓航空機の乗員らおよび大韓航空に対し、大韓民国政府当局が事件後とつた刑事上又は行政上の処分の内容と、大韓航空(会社)が前項の乗員らに対し、おこなつた処分の内容をそれぞれ明らかにされたい。

5 大韓航空機の乗員の職・氏名・年齢(当時)を明らかにされたい。

6 日本人乗客の氏名・年齢(当時)およびその被害の内容をそれぞれ明らかにされたい。

7 大韓航空機の大幅な航路逸脱(ソ連領空侵犯)の結果日本国政府が発行した旅券を所持していた乗客の受けたその被害を救済することは政府の義務でもあると考えるが、政府は乗客保護の立場から、大韓民国政府および大韓航空(会社)に対し、いかなる要求をし、その結果、被害者に対し、どのような補償がなされたか、各人別に明らかにされたい。

二 昭和五十八年にまたしても大韓航空機がソ連領空(カムチャッカ半島およびサハリン島など)を大幅に侵犯し、ソ連軍の大陸間弾道弾発射原子力潜水艦基地として知られる、ペトロパブロフスク・カムチャッキーなど、ソ連の軍事的要衝付近を飛行した結果、ソ連軍戦闘機のミサイル攻撃を受け、乗客・乗員二百六十九名が死亡するという事件が発生しているが、この事件に関し、日本政府が本日までの間に実施した調査の結果に基づき、次の各項目について答弁されたい。

1 大韓航空機がソ連軍のミサイル攻撃を受けた際、国際法上、同機に対する航空管制の権限を有していた日本政府の主務大臣の職・氏名を明らかにされたい。

2 現在の運輸大臣石原慎太郎君は右事件当時から今日に至る間、衆議院議員として、事件の真相を明らかにすることの必要性等を認める趣旨の積極的な発言を再三公的に明らかにし、「新潮」(昭和六十一年八月号)、月刊「ダン」(昭和六十一年十一月号)の誌上においても右撃墜された大韓航空機が東京国際対空通信局(成田)と交わした「ワン・ゼロ・ワン・デルタ」という最後の通信は、大韓航空機とアメリカ側の情報機関との間で、あらかじめ決められていた暗号であり、そのことは「アメリカ側も認めた事実」であると公言されているが、右の石原慎太郎君の見解は運輸大臣に就任された今日においても変更はないか。

3 石原運輸大臣は、真相の解明を求めた昭和五十八年九月の国会決議に応え、日本の運輸省が主務官庁として保管中の、大韓航空機と航空管制当局との間の交信テープを解析させ、各通信ごとに、大韓航空側と、航空管制当局側の通信者を特定し、国会および遺族、研究者らに、真相解明の基礎資料として公開すべきと考えるがどうか。

三 昭和六十二年十一月二十九日、またまた大韓航空機が奇怪な事件を起こした。すなわち、ビルマ沖で行方不明になつた大韓航空機の機体、乗客、手荷物などが何ひとつ発見されないまま今日に至つているという事件である。

大韓航空機には「蜂谷真一」「蜂谷真由美」なる名義の、日本国政府の偽造パスポートを所持していた一組の男女が途中まで搭乗していた趣旨の報道がなされ、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)政府機関による「爆破説」や逆に大韓民国政府機関による「謀略説」が連日のようにマスコミをにぎわし、国民の関心も高いので、この事件に関し、日本政府が本日までの間に実施した調査の結果に基づき、次の各項目について具体的に答弁されたい。

1 政府はICAO(国際民間航空機関)に対し、この事件の真相解明のための調査を要求した事実があるか。あるとすれば、その結果、ICAOはどのような行動を開始しているか。

ないとすれば、何故、政府はICAOに調査を求めないのか、その理由を明らかにされたい。

2 大韓航空機の飛行ルート上で利用可能であつたビルマおよびタイ両国の地上航行援助施設((イ)空港監視レーダー、(ロ)航空路監視レーダー、(ハ)無指向性無線標識、(ニ)全方向式無線標識、(ホ)距離測定装置、(ヘ)タカンおよびタカンとの組合わせ施設)をすべてあげ、その地上航行援助施設の各所在位置の緯度、経度を明らかにされたい。

3 前項の地上航行援助施設中、事件当時故障していた施設があつたか。

4 大韓航空機と最後の交信をした通信局名およびその交信時刻(何時何分何秒と正確に)を明らかにされたい。

5 大韓航空機を最後に捕捉したレーダーの名称およびそのレーダーから大韓機が消失した時刻(何時何分何秒と正確に)を明らかにされたい。

6 「蜂谷真一」を名乗つた男性が死亡する前に、バーレーンのホテルで「蜂谷真一」に会つた日本政府職員の職・氏名を明らかにされたい。また、その職員はいかなる動機・目的から、バーレーンのホテルにいる「蜂谷真一」を訪問したのか。

7 「蜂谷真一」を名乗つた男性が死亡する前に日本政府関係者に語つた言葉の内容は何か。またその際、「蜂谷真一」の日本語には日本人であることを疑わせる特徴が何かあつたか。

8 日本政府関係者はバーレーン空港において、いかなる根拠に基づいて、「蜂谷真一」が所持していた旅券を偽造旅券と判断することができたのか。

9 警察庁は「蜂谷真一」「蜂谷真由美」両名の偽造旅券は北朝鮮で作られたものであると断定し、その旨公表しているが、当該偽造旅券を日本の警察が捜査資料として入手した事実があるのか。またどのような鑑定手段を用いた結果、それが北朝鮮で作られたものであることがわかつたのか。警察庁発表の確実な根拠を示されたい。

10 政府は日本国の偽造旅券を所持している旨、バーレーン政府が公表した男女一組の者の身柄の引き渡しを請求した事実があるか。

あるとすれば、その請求はいかなる理由によつて拒絶されたのか。

ないとすれば、なぜ、右の男女の身柄の引き渡しを請求しなかつたのか。

また、将来においても、右の男女の身柄の引き渡しを請求する考えはないのか。さらに、右の男女を日本国の刑法犯として起訴する方針はないのか。

11 大韓航空機の乗員・乗客の各氏名・年齢等を(1)バグダード空港離陸時および(2)アブダビ空港離陸特に分けて、明らかにされたい。仮に、今日においても、政府に右調査資料が存在しない場合、政府が右調査をしない理由を明らかにされたい。

12 政府は大韓航空機の機体、乗客、手荷物など何ひとつ発見されないまま今日に至つている事実に対し、国際民間航路の安全確保の見地に立つて、今後いかなる真相解明の努力をする決意であるか。具体的な方法、手段を明らかにされたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一の1から3までについて

これらの諸点については、韓国政府が昭和五十三年四月に設置した事故調査委員会の検討結果がいまだ公表されるに至つていないこともあり、政府として見解を表明する立場にない。

一の4について

大韓航空及び事故機乗務員に対して刑事上、行政上の処分はなされていないが、乗務員については資格証の取消しがなされ地上勤務に移されたと承知している。

一の5について

当該大韓航空機の乗員は十三名であり、その職、氏名、年令(当時)は、次の表のとおりであると承知している。

図 表

一の6について

日本人乗客四十九人中、死亡者一名、負傷者六名であり、その氏名、性別、年令(当時)及び被害内容は、次の表のとおりである。

図 表

一の7について

(1) 被害者に対する補償の問題については、被害者又はその遺族と大韓航空との間の民事上の問題であるが、政府としても可能の範囲内で最大限の側面的援助を行うとの方針から、大韓航空に対しては補償問題についての誠意ある対応を、また、韓国政府に対しては補償問題の円満な解決のための協力を、事故直後から数次にわたりそれぞれ要請した。

(2) 六名の邦人負傷者については、慰謝料三十万円及び治療費金額を支払うこと並びに被害者及びその他家族に対し東京-ソウル間の航空券を支給することで昭和五十三年中に大韓航空と合意が成立し、邦人死亡者一名の遺族については、昭和五十四年四月に大韓航空を相手どり東京地裁に損害賠償請求訴訟(請求額一億八千万円)を提起したが、その後昭和五十九年十二月に大韓航空との間で和解が成立したものと承知している。

なお、和解の内容については、不公表とされているので承知していない。

二の1について

我が国が航空交通業務を実施することとしている空域は、東京飛行情報区及び那覇飛行情報区内であるが、当該大韓航空機は、これらの飛行情報区外でソ連機のミサイル攻撃を受けたと判断される。

二の2について

個人の見解に関しては、政府は答える立場にない。

二の3について

交信テープの解析結果については、衆議院予算委員会理事会の要請に基づき昭和六十年十月三十一日に、及び参議院決算委員会理事会の要請に基づき同年十二月十九日にそれぞれ開かれた大韓航空機交信記録説明会等で既に公表しているところである。

なお、通信者については、組織の一員として業務を実施したものであり、氏名等を公表することは差し控えたい。

三の1について

事件の直接の被害国である韓国は、シカゴ条約(国際民間航空条約(昭和二十八年条約第二十一号))第十三附属書に基づき、当該大韓航空機の登録国として事故に関する調査を実施しており、国際民間航空機関(ICAO)に対して調査の要請を行つておらず、我が国としてもその必要性を認めていない。

三の2について

当該大韓航空機が計画していた飛行経路上の航行を援助するためのビルマ及びタイ両国内の航空保安無線施設及び管制用レーダーは、両国の関係当局によれば、次の表のとおりであつたと承知している。

図 表 1/2

図 表 2/2

三の3について

ビルマ及びタイ両国の関係当局によれば、バンコクNDB事故当時休止していたが、その他のものは正常に作動していたと承知している。

三の4について

本件に関するビルマ政府の報告書はKE八五八便が〇五〇一UTC(協定世界時)にURDISを通過した旨ラングーン航空管制センターに無線連絡を行つたとしている。

三の5について

事件当時KE八五八便をレーダーが捕捉していたとの情報は承知していない。

三の6について

「真由美」の旅券が偽造と判明した後、我が国大使館は、両名の動向を鋭意フォローしていたが、我が国大使館員がホテルで「蜂谷真一」と会つたという事実はない。

三の7について

事柄の性質上内容に触れることは差し控えたいが、「蜂谷真一」の日本語に特に日本人であることを疑わせる特徴があつたとは承知していない。

三の8について

「蜂谷真一」名義の旅券については、男性死亡後国内での調査の結果、初めて偽造であることが判明したものであり、バハレーン空港におけるやりとりの時点では偽造とは判明していなかつた。

三の9について

「蜂谷真一」名義の偽造旅券については、北朝鮮工作員が関与しており、「蜂谷真由美」名義の偽造旅券については、北朝鮮において、旅券用の写真が撮影され、成田出国、バンコク入出国のスタンプが押されていた偽造旅券に署名したと金賢姫が供述していることから、北朝鮮において偽造されたものと判断している。

なお、当該偽造旅券は現在韓国にあり、我が国関係当局専門家の鑑定により、偽造されたものであることが判明している。

三の10について

身柄の引渡しについては、すべての条件、事情を総合し慎重に判断すべきものであるとの観点より事態の推移を見守つていたところ、バハレーン政府が同女を韓国に引き渡すとの決定を行つたので、同女の身柄に関する措置は基本的にバハレーン政府が決定することであり、我が国としてもこれを尊重したものである。

三の11ついて

在外公館を通じ、消息不明になつた当該大韓航空機の邦人乗客の有無は照会した。しかし、御指摘のような全乗客の氏名、年令等を調べるという形の調査は通常政府としては行つておらず、今回も特にその必要は認められないことから行つていない。

三の12について

政府としては、去る昭和六十三年一月二十六日の内閣官房長官談話等で明らかにしたとおり、大韓航空機八五八便事件について、その真相究明のため韓国を始め関係各国政府と緊密な協力を行うとともに、情報の収集に努め、その結果、本事件は北朝鮮の組織的テロ行為によるものであると確信するに至つている。さらに、新たな情報もあり得べく、今後とも情報収集努力を継続してまいりたい。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

承知していない ×3

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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