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防衛統合ディジタル通信網に関する質問

参議院 第116回 第7号

提出者
参議院
提出日
1989年11月22日
内閣転送 1989年11月29日
答弁書受領日
1989年12月12日
提出から20日
答弁の項目数
9
質問 2,056字/答弁 856字

質問本文

防衛統合ディジタル通信網に関する質問主意書

防衛庁は、平成五年度より運用開始の予定で、防衛統合ディジタル通信網(以下「IDDN」と略す。)の建設を昭和六十二年度から進めている。この建設費は、総額が昭和六十年度価格で八百億円という膨大なものであり、今年度予算においても、約二百十四億円が計上されている。

IDDNは、指揮命令、情報等を迅速・確実に伝達する能力を有するだけでなく、情報等を秘匿するための保全性と被害局限、被害復旧及び代替機能の確保という抗堪性を兼ね備えたものであると言われている。

また、自衛隊の所有する多数の指揮通信システムの共通伝送路としてのマイクロ回線の複ルート化、通信衛星を利用した伝送路の立体化や洋上通信能力の向上、電子交換システムの導入、防衛マイクロ回線のディジタル化を目的としている。

一方、IDDNは、米軍のC3Iシステムの構築とも密接な関連をもつ可能性が強い。報道によれば、今年九月までに、自衛隊と米軍間の通信面でのインターオペラビリティ(相互運用性)に関する日米共同研究が終了し、報告書がまとめられた。この通信面でのインターオペラビリティに関する研究は、有事の際に日米共同作戦を円滑、有効に実施するのに必要な通信手段、連絡・調整の手続きの統一などに関するものだと言われている。

このように、IDDNは、「自衛隊の保有する各種の防衛力が統合され、その能力を最大限に発揮することが可能となる。」(平成元年版防衛白書)と同時に有事の際の米軍と自衛隊の統合運用に役立つことをその目的としている。

ところが、防衛庁は、IDDNの軍事的役割や機能、実態を関係自治体や住民に明らかにしようとはしていない。

自衛隊の情報・通信の実態が国民に公開されないまま、IDDNのマイクロ波回線の中継所や衛星用地球局が各地に建設されようとしているが、住民の中からこの中継所の軍事的役割に対して疑問と不安が起きている。

よって、ここに質問する。

一 全国のIDDNの通信施設(既設、予定を含む)の位置、名称、機能をすべて明らかにされたい。

二 自衛隊の保有する指揮通信システムの名称、機能、端末装置の態様、伝送手段をすべて明らかにされたい。

三 自衛隊の通常業務で現在、通信容量の増大のため支障を来している業務はあるのか。仮に、通信量の増大があるとしても、太平洋側に加えて日本海側にも新たに幹線が必要になるほど大容量・高速の情報通信を処理しなければならない理由は何か。

四 各種指揮通信システムのうち、中央指揮通信システムを始め、戦術指揮通信システムとして現在新バッジシステム(空自自動警戒管制システム)、SFシステム(海自自衛艦隊指揮支援システム)、DICS(陸自師団新通信システム、開発中)が三自衛隊で運用又は開発中であるが、これらのシステムはIDDNによってどのように連接・統合されるのか。

五 これら三自衛隊の通信システム上の情報は、IDDNによって中央指揮通信システムと接続され、中央指揮所に伝送されるのか。また膨大な情報を処理するため、中央指揮所は将来、高度な情報処理機能・通信機能を持ったいわゆるインテリジェント・ビルに建て替えることが必要になるのか。

六 IDDNの中継所などの諸施設は指揮通信の重要性から、有事においては攻撃目標になることは疑いない。マイクロ回線が破壊された際の通信回線の復旧を想定して陸海空三自衛隊は、昨年十月二十五日から二十七日までの三日間、陸自久里浜駐屯地で初の共同通信訓練を行ったとの報道があるが、この訓練の目的、形態を説明されたい。

七 今年度から統合幕僚会議に新設された第六幕僚室は、IDDNの統合運用面からの検討を始め、各自衛隊間や米軍との通信方式の統一についても検討すると言われているが、これは事実か。もしそうだとすれば、この通信方式の統一は、自衛隊を米軍の一部隊として運用することになる危険なものだと思うがどうか。

八 現在、自衛隊と米軍との間には電話、ファクシミリなどが連接されていると思うが、IDDNが完成し運用を開始するときには、この回線を米側に接続し自衛隊の各種情報を直接提供することになるのか。

九 IDDNと在日米軍通信網、例えば関東地域米軍ディジタルマイクロ通信網あるいは日本と韓国を結ぶ在日米軍トロポスキャッター回線などを連接させ、在日米軍と自衛隊が双方向通信を行うためにこれを利用することは、防衛庁設置法・自衛隊法など国内法上可能なのか。

十 IDDNは、以上みたようにC3I戦略に基づき自衛隊の統合運用、有事即応体制を強化するものであり、さらには米軍との一体的なインターオペラビリティを高めるものに外ならない。このことは、日本が一層アメリカの核戦略に組み込まれることを示すものである。また、八百億円もの巨額の国費を新たな通信回線の建設につぎ込むことは認められない。よって、IDDN建設計画を直ちに中止すべきだと思うがどうか。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

防衛統合ディジタル通信網(以下「IDDN」という。)の通信施設は、地上通信の機能を持つ通信所、地上通信の中継機能を持つ中継所及び衛星通信の機能を持つ衛星通信所である。

既設、建設中又は建設予定のIDDNの通信施設の位置は、平成元年十一月三十日現在、次のとおりである。

なお、特定の名称は付していない。

図 表 1/2

図 表 2/2

二について

自衛隊の指揮通信システムは、指揮命令・情報等を伝達するものであり、これには、防衛庁長官を中心とする指揮中枢と各自衛隊の主要司令部とを連接する中央指揮通信システムを始め、各自衛隊の戦術指揮通信システムとして、陸上自衛隊の野外通信システム、海上自衛隊の自衛艦隊指揮支援システム(SFシステム)、航空自衛隊の自動警戒管制組織(バッジシステム)等があるが、御指摘の内容すべてを明らかにすることは、事柄の性質上差し控えたい。

三について

日本海側における新規マイクロ回線の整備は、IDDNを伝送路として利用する指揮通信システムの抗たん性の向上を図るとともに、今後の回線の需要増等に対応するために行うものである。

四及び五について

現時点においては、IDDNによる御指摘の各指揮通信システムの連接・統合等に関する具体的な計画はないが、今後検討すべき課題と考えている。

六について

御指摘の訓練は、陸・海・空各自衛隊の通信部隊が昭和六十三年十月に行った訓練を指すものと考えるが、これは、防衛マイクロ回線の被害等を想定し、多重通信回線の構成手順等について訓練したものである。

七について

統合幕僚会議事務局に第六幕僚室が新設されたという事実はない。

八について

現時点においては、IDDNによる米軍との回線の接続に関する計画はない。

九について

現時点においては、IDDNと在日米軍通信網とを連接する計画はないので、仮定の問題について答弁することは差し控えたい。

十について

IDDNの整備は、自衛隊の指揮通信能力を向上させるために必要であり、これを中止する考えはない。

参議院の原文

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