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皮革・革靴の関税割当制度に関する質問
参議院 第119回 第3号
質問本文
皮革・革靴の関税割当制度に関する質問主意書
皮革・革靴四品目について、一九八六年四月に輸入数量制限から関税割当制度(以下「TQ制度」という。)に移行して四年半が経過する。その間、一次関税率枠は毎年一〇%ないし一五%ずつ拡大され、ニューカマーは他業種からの参入も含め急増し、枠の消化率も高い水準にある。
また、TQ品目外で入ってくるスポーツシューズ等も含めると、皮革・靴業界として相当大きな外国製品の輸入急増に耐えているというのが現状である。
さらに、TQ制度の期限後をにらんだ動きも活発化しており、EC諸国からの売り込み攻勢や、国内でも異業種からの参入が強まっている。
皮革・革靴産業は、歴史的にみて同和地区の伝統産業であり、現在でも地区の主要産業である。小規模零細企業の比率が高く、その下に非常に零細な家族経営の下請け関連企業を多数抱える業種である。また、差別の歴史的な累積によって、産業あるいは企業としての発展を妨げる多くの問題を内包している。
このような実態を踏まえ、同和問題の抜本的な解決という観点から、皮革・革靴産業の振興を図るため、以下の諸点について質問する。
一 ガットにおいて再び皮革・革靴四品目のTQ制度が協議の対象になっている。皮革・革靴産業の国際競争力が抜本的に強化されるまで、一次、二次関税率及び一次関税率枠を現状の水準で維持していくことが最低限の条件であると考えるが、どうか。
二 一九八六年三月二四日の衆議院大蔵委員会における「関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案」の審査の中で、浜岡通産省生活産業局長(当時)は次のように答弁している。
「(今後、総合対策に取り組んでいく際)人材養成ということに特に意を用いてまいりたい。また皮革産業対策は中央で皮産連(社団法人日本皮革産業連合会。以下「皮産連」という。)を中心に総合的対策を講ずると同時に地域地域において、地方自治体、関係業界が協力して、きめ細かい対策を講じていくことが必要かと思う。
また皮産連の対策と地域地域の対策との間にきめ細かいネットワークも不可欠であろう。」皮革・革靴産業の国際競争力の強化を図るためには、現在でも答弁の趣旨である(1)人材の養成、(2)地域地域におけるきめ細かい対策、(3)皮産連の対策と地域地域の対策とのきめ細かいネットワークづくり、を具体化する事が、必要不可欠であると考えるが、どうか。
三 大阪の皮革産業は大阪市の浪速区・西成区にほぼ集中して立地している。主要な経営上の問題としては、人手不足、人材の確保と養成、同和地区産業としての厳しい就業の実態がある。そのもとで、職人の高齢化と後継者の不足は深刻化しており、企業としての発展や産業としての見通しを厳しいものにしている。
しかし、他方ではファッション産業への脱皮をめざし、経営者グループの育成、靴学校や技術者の研修制度、デザイナーの確保と育成、産地間のネットワークづくりなどへの要求や熱意が高まっている。産業や産地としてのイメージを改革し、モノづくりに誇りを持ち、消費者のニーズや時代にあった製品を開発・供給していこうという皮革・革靴産業に従事する人たちの努力に十分こたえ得る総合的対策の確立が是非とも必要である。
そのためにも、皮産連が従来から行っている対策の充実を図るとともに、具体的な産地対策として以下に挙げる二点の対策が、同和問題の解決という観点からも必要であり、国としての積極的な支援が必要であると考えるが、どうか。
(一) 産地における、産業振興基金の創設。
(二) 基金の創設による、大阪皮革産業会館を拠点とした大阪府・大阪市及び関係業界の協力による「きめ細かい対策」の具体的な展開。
四 皮革・革靴産業の企業体質の改善を図るため、人材養成とネットワーク化の事業を全国ベースでも今後より一層強めていく必要がある。そのため、全体としての振興計画あるいは振興ビジョンをとりまとめること、地域地域の実態を踏まえたきめ細かい対策事業が実施できる地方自治体と関係業界の協力体制の整備を図ることが、皮産連の充実とともに必要であると考えるが、どうか。
右質問する。
政府答弁書
一について
皮革・革靴の輸入に関して昭和六十一年四月一日から実施している関税割当(TQ)制度については、ガット・ウルグアイラウンド等の場において、EC・米国等関係国から、その撤廃を含む厳しい要求が出されている。
一方、我が国の皮革・革靴産業は、社会的・歴史的にも非常に困難な問題を抱えているとともに、中小零細企業が大部分を占め、技術力・国際競争力にもぜい弱な面があることも十分認識している。
政府としては、皮革・革靴の関税割当制度については、国内の産業事情に十分配慮しつつ、ガット・ウルグアイラウンド等の場において、関係国からの具体的な市場アクセス改善の要求に対し、適切に対処してまいりたい。
二について
皮革・革靴産業に対しては、国際競争に耐え得る産業基盤を早期に整備するため、一般会計の製革業公害等対策事業、社団法人日本皮革産業連合会(以下「皮産連」という。)が実施している皮革・革靴産業の活性化事業等により、人材養成に配慮しつつ、各地域の実情に応じたきめ細かな皮革・革靴産業振興のための施策を実施している。
具体的には、製革業公害等対策事業の中で、中堅技術者のための業種ごとの技術者研修、各地域の中小零細企業の技術力向上を図るための巡回技術指導事業等を実施するとともに、皮産連の活性化事業の中で、各地域の産業の実情に応じた商品開発や技術開発を実施している。
また、これらの施策の実施に際しては、地域の要望を十分尊重するとともに、各事業の連携等を図るため、通商産業省と皮産連が密接に連絡・調整を行っているところである。
今後ともこれらの施策の一層の充実を図ってまいりたい。
三について
皮革・革靴産業の振興に当たっては、産地の実態を踏まえたきめ細かな対策が必要であると認識している。このため、政府としても従来から、地方公共団体が実施する各種の皮革・革靴産業振興事業に対し、製革業公害等対策事業の一環として補助している。
大阪地区については、大阪府及び大阪市の補助により、大阪皮革産業会館が建設され、運営されているが、政府としても、大阪府が実施する靴製造技術研修機関への研修生派遣事業、国際見本市参加事業、デザインコンクール事業に対して、事業を実施するための必要経費の一部を補助している。
今後とも、これらの施策及び皮産連の活性化事業の充実を図り、各地域の実情に応じたきめ細かな皮革・革靴産業振興対策の実施に努めてまいりたいと考えており、現在のところ、これらに加えて、政府として、産地における産業振興基金の創設を助成する考えはない。
四について
政府としては、皮革・革靴産業については、従来から、業界、地方公共団体等関係各方面からの意見を聴取し、国際競争に耐え得る産業基盤を整備するという明確な振興目標を立てており、これを実現するため、人材育成等各種の皮革・革靴産業振興対策を実施しているところである。
また、各皮革・革靴産地の状況を的確に把握し、地域の実情に即したきめ細かな対策を実施するため、関係地方公共団体において地域産業の実態等を常時把握するとともに、通商産業省と当該関係地方公共団体とが定期的に全国皮革行政連絡協議会を開催しているところである。
今後とも、製革業公害等対策事業及び皮産連の活性化事業の充実を図るとともに、関係地方公共団体との連絡・協力体制を密にすることにより、各地域の実情に応じたきめ細かな皮革・革靴産業振興対策を実施してまいりたい。
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