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廃棄物問題の抜本的解決と環境保全に適合したリサイクル法の整備に関する質問

参議院 第120回 第15号

提出者
参議院
提出日
1991年2月14日
内閣転送 1991年2月16日
答弁書受領日
1991年3月8日
提出から22日
答弁の項目数
8
質問 3,240字/答弁 2,013字

質問本文

廃棄物問題の抜本的解決と環境保全に適合したリサイクル法の整備に関する質問主意書

廃棄物問題は現在、大量生産・大量消費型社会の文明病として、我が国においても、危機的状況を呈している。

従来、資源に乏しい我が国にとって、天然の原材料を極力節約しながら生産活動や消費生活を営むべきことは自明の理であり、同時に、狭隘な国土においては、廃棄物の最終処分用地の確保が難しくなる一方であるから、廃棄物の発生量を極力抑制することも重要であると言われてきた。

これら一次資源の消費抑制や廃棄物の減量化は、今やさらに一層大事な問題として、すなわち人類の生存と社会経済活動の基盤である地球環境を保全し、持続可能な発展を確かなものとするために、自治体レベルにとどまらず、国の最重要政策課題として、位置づけられるべきである。

よって、以下質問する。

一 リサイクルの大切さは、かねてより各方面から訴えられてきたにもかかわらず、政府の取組はこれまで誠に消極的であったと言わざるを得ない。ところが、最近の新聞報道等によれば、通産省、厚生省及び環境庁はそれぞれリサイクルの法制度化が必要であると判断し、法案を検討中であると伝えられている。これらの省庁は、なぜ、法制度化が必要と判断したのか、その理由を三省庁ごとに明らかにされたい。

二 通産省、建設省等は、省資源の観点から、事業者に対し、使用済みの製品や工程からの副産物を再利用させることを義務づけることを内容とした「再生資源の利用の促進に関する法律案」(仮称)を立案中であると報じられているが、省資源の観点だけに立ったリサイクルについては、環境保全の観点から以下の点で疑問があるので説明されたい。

(一) リサイクルが省資源の観点のみから進められると、環境保全の枠を逸脱することがあり得る。例えば、建設廃材や鉄鋼スラグなどを再生資源と称して、地盤改良剤として埋め立てに利用されるおそれが多分にある。廃棄物として勝手に埋め立てに用いられれば、不法投棄である。

また、有害物質を含有した汚泥を土壌改良剤などと称して、一般環境中に撒き散らされるおそれも否定できない。このような事態を防ぐため、立案中の法案では、どのような歯止め措置を考えているのか、その内容を明らかにされたい。

なお、この種の歯止め措置が立案中の法案には用意されていないならば、たとえ大気汚染防止法等の他の環境法制による別途の規制を歯止め措置に予定しているとしても、環境保全上問題の残るリサイクルを奨励するものとのそしりを免れないであろう。万が一、歯止め措置を用意しない場合は、その理由を明らかにされたい。

(二) リサイクルが省資源の観点のみから進められると、環境保全上効果の少ないリサイクルを奨励してしまうおそれがある。例えば、高炉スラグは路盤材として再利用するよりも、通常のセメントの代替品として再利用する方が温室効果ガスである二酸化炭素の排出抑制には効果的であるが、省資源の観点からだけでは、通常のセメントの方が安価なため、あえて高炉スラグのセメント転用を促進することはできないであろう。環境保全上有利なリサイクルを進めるために、本法案にはどのような措置が用意されているのか。

なお、本法案に、通産大臣等の事業所管大臣が環境保全を含め、種々の事情を考慮に入れて具体的な再利用方法を基準として定めるような仕組みを用意しているならば、通産省等はその設置法等において広く環境保全の任務、権限を与えられていないにもかかわらず、どのような根拠で環境保全上の効果を裁量し得るのかを併せて明らかにされたい。

三 「再生資源の利用の促進に関する法律案」(仮称)については、環境保全上の効果の有無は別として、単に省資源の観点からだけでもその効果が疑わしい点がある。

新聞報道等によれば、本法案は、「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(いわゆる「省エネ法」)のように、事業者が講ずべき対策の技術的な基準を事業者の実情に詳しい事業所管官庁が作成することになっている。具体的な基準の内容は政令以下に譲っているが、これでは、基準の厳しさの程度は所管大臣の言わば「お手盛り」であり、肝腎な時に尻抜けとなれば、実効性が確保できまい。

事実、同様の委任立法である「省エネ法」の場合には、つい最近までの石油価格低迷期にはエネルギー消費原単位が悪化していた状態にあったのである。

本法案では、「省エネ法」の轍を踏まずに、実効ある厳しい基準を設定するために、どのような仕組みを設けているのか。

四 厚生省は、廃棄物の適正処理の観点から、廃棄物の再生利用の拡大を通じて、その減量化を進めることを目的の一つとして、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の改正案を検討中であると報じられている。しかし、廃棄物の減量化の観点だけからのリサイクルでは、環境保全の観点から次のような点で不十分と考えられるので、説明されたい。

(一) 例えば、焼却による最終処分量の減量化の方法と、事業者や住民を巻き込んだ形でリサイクルのルートを作り再資源化を図る方法とを比較した場合、前者の方が温室効果ガスである二酸化炭素の排出抑制効果が劣っているが実現は容易である。このような場合、専ら廃棄物の減量化だけを考えていると、前者の方法が安易に選ばれて、結果として地球的規模の環境保全が進まないおそれがある。

費用が高くても環境保全上好ましい方法は、必ずしも即効的な廃棄物減量効果に結びつかない場合があるが、このような場合に、廃棄物処理を担当する厚生大臣は、環境保全上効果の高い方法を奨励することができないのではないか。

(二) 清掃事業は、地方公共団体の固有事務とされていることから、個々の公共団体のおかれた事情、例えば、最終処分用地の賦存状況などによってその進め方が異なることはやむを得ないものである。しかし、リサイクルを通じた二酸化炭素の排出抑制などの地球的規模の環境保全は、廃棄物最終処分場の容量の大小などにかかわらず、着実に進めるべき性質のものであろう。

「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の改正案では、いかなる根拠と仕組みをもって、地方公共団体に対し、全国的あるいは地球的に意義のある環境保全への寄与を求めるつもりか。

五 「再生資源の利用の促進に関する法律案」(仮称)及び「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の改正案によって、通産大臣等の事業所管大臣が事業者の講じるリサイクルを監督し、また、これに並行して廃棄物処理を所管する厚生大臣が廃棄物のリサイクルを監督する仕組みが設けられたとしても、果たしてそれだけで、社会全体としてみた場合に、リサイクルを円滑かつ効果的に進めることは難しいのではないかと思われる。

いわゆる静脈産業の育成を含めて、より大きな社会的仕組みと環境教育の充実が必要であると考えるが、具体的に、どのような措置をもって、リサイクル社会の構築を促進し、循環型の社会を作っていくつもりか。

六 事業者の行うリサイクルに関する法制度と、廃棄物処理にかかわる限りでのリサイクルを行う法制度との二つの法制度が並立する仕組みとなった場合、これらの法制度は必ずしも環境保全を主目的とするものではなく、さらに、所管の官庁が環境を専門とするものではないことから、環境保全上必要なリサイクル措置が十分に行われる保証はないと言わなければならない。

廃棄物問題は優れて環境問題である。今般の法整備において、国家行政組織上環境保全を主たる任務とする環境庁の役割が過少なものにとどまるとすれば、それは環境保全上不十分なものとして、到底国民の理解が得られないであろう。

環境の保全を預かる環境庁が、これら両制度に大局的見地から十二分に関与し、環境保全の実を挙げる必要があると考えるが、政府は、環境庁に具体的にどのような役割を担わせるつもりか。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

通商産業省としては、平成二年十二月の産業構造審議会答申「今後の廃棄物処理・再資源化対策のあり方」を踏まえて、再生資源の利用の状況等について把握に努めるとともに、その利用の促進の方策等について検討してきたところである。

また、環境庁としては、大量消費・大量廃棄によって有限な地球の環境資源を損ないつつある現在の経済社会を見直し、環境保全型の社会づくりを進める方策等について検討してきたところである。

かかる両省庁の検討等を踏まえ、主要な資源の大部分を輸入に依存している我が国において、近年の国民経済の発展に伴い、再生資源の発生量が増加し、その相当部分が利用されずに廃棄されている状況にかんがみ、資源の有効な利用の確保を図るとともに、廃棄物の発生の抑制及び環境の保全に資するため、再生資源の利用を総合的に推進する必要があると考え、今般政府として再生資源の利用の促進に関する法律案(以下「再生資源利用促進法案」という。)を提出した次第である。

さらに、厚生省としては、平成二年十二月の生活環境審議会答申「今後の廃棄物対策の在り方について」を踏まえて、廃棄物処理制度の基本的見直しについて検討してきたところである。

その結果、最近における廃棄物の発生量の増大及びその質の多様化等に伴い、廃棄物の適正な処理が困難となっている状況にかんがみ、廃棄物の排出の抑制及び廃棄物の適正な処理(再生を含む。)を確保するため、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。以下「廃棄物処理法」という。)の抜本改正が必要と考え、今般政府として廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案(以下「廃棄物処理法等改正法案」という。)の提出を予定しているところである。

二の(一)について

再生資源の利用は、従来から大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号)等の規制の下で行われてきたところである。再生資源利用促進法案の対象となる場合でも、従前と同様に他法令による規制を受けるものであり、同法案において環境保全に関する規制を新たに設ける必要はないものと考える。

二の(二)について

再生資源の利用は、資源の有効な利用を通じて環境への負荷を軽減する等環境の保全に資するものである。

また、通商産業大臣等事業所管大臣は、その設置法に定められた所掌事務の範囲内において環境の保全についての事務を行い得るものである。

三について

再生資源利用促進法案においては、事業者は再生資源を利用するよう努めるとともに、その事業に係る製品等を再生資源として利用することを促進するよう努めなければならないこととしている。このため、主務大臣が「事業者の判断の基準となるべき事項」を策定し、事業者の努力のよりどころとすることとしている。この策定に当たっては、専門的かつ技術的な知見が要求されることから、各業種又は製品の生産、流通、消費等の実態に精通した各事業所管大臣がこれを定めることが適切であると判断したものである。

四の(一)について

廃棄物処理法等改正法案においては、廃棄物の適正処理を推進し、生活環境の保全を図る観点から、廃棄物の排出抑制、再生及び中間処理による減量を総合的に実施することとしており、環境保全にも配慮した適正な処理が行われることとなる。

四の(二)について

廃棄物処理法等改正法案においては、市町村の一般廃棄物処理計画に定める事項を明確にし、最終処分場の確保の状況等にかかわらず、廃棄物の排出抑制、分別収集及び再生を積極的に進めることとしており、環境保全にも配慮した適正な処理が行われることとなる。

五について

再生資源利用促進法案においては、再生資源の利用の促進に関する事業者の責務について定めるとともに、国による科学技術の振興、国民の理解を深めるための活動等を通じて、社会全体の再生資源の利用を促進することとしている。

また、廃棄物処理法等改正法案においては、廃棄物の再生を処理の一形態として、明確化し、廃棄物減量等推進員を設置すること等により国民及び事業者に対する啓発活動を活発にするとともに、廃棄物再生事業者の登録制度を設け、市町村は、登録された事業者に一般廃棄物の再生に関する協力を求めることができることとしている。

六について

再生資源利用促進法案において、環境庁長官は、再生資源の利用の促進に関する基本方針の策定、公表及び改定に関し、主務大臣となるものである。

また、廃棄物処理法は、廃棄物の適正な処理による生活環境の保全を目的としており、厚生省は、環境保全にも配慮して同法を適切に運用しているところである。環境庁は、同法においては従来から廃棄物の最終処分に関する基準の設定に関する事務及び厚生省とともに最終処分場に関する基準の設定に関する事務を処理しているところである。

参議院の原文

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