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首都圏での環境保全等に関する質問
参議院 第123回 第16号
質問本文
首都圏での環境保全等に関する質問主意書
いま、地球環境の保全が国際的課題となっているが、そのためには何よりも日本での環境破壊の進行を阻止し、環境保全を図ることが急務となっている。
しかし、東京では、政府の東京一極集中政策の下で、大気汚染は悪化し、公害患者は増加するなど、環境保全に逆行する事態が進んでいる。
地球サミットを目前にし、環境悪化の焦点となっている大都市・東京での環境保全の促進を中心に、以下質問する。
一、政府は、九〇年に「地球温暖化防止行動計画」を策定したが、東京ではこの「行動計画」にすら逆行する諸計画が進行している。東京の臨海部開発がヒートアイランド現象、自動車交通量の増加を誘発する危険性は、環境庁によっても指摘されている。東京で唯一貴重な緑を残した三多摩地域では、業務核都市の形成を軸とした開発が推進され、緑地の大幅な減少が進行している。
政府は、今後の臨海部開発、三多摩地域の開発による、気温上昇、自動車交通量増加、緑地減少の危険をどのように認識し、今後どのように対処していくのか。
二、東京では、政府、東京都の諸施策にもかかわらず、二酸化窒素、浮遊粒子状物質の環境基準はいまだ達成されていない。その最大の原因は自動車交通量の増加、特にディーゼル車の増加である。
したがって、大気汚染を防止する上で、自動車交通量自体を大幅に抑制することが決定的に重要となっていると考える。政府は今後、首都圏での自動車交通量をどのように予測し、その抑制策をどのようにとろうとしているのか。
三、一九八七年、公害健康被害補償法が改悪され、新たな公害患者の認定が行われなくなったが、東京始め大都市部での大気汚染は悪化が進み、環境基準を超える地域が拡大している。政府は八七年以降の東京における大気汚染の現状、東京都が独自で行っている公害患者認定数の推移、公害患者の死亡数の推移をどのように認識しているのか。
八七年以降の大気汚染悪化の現状に即して地域指定を復活するとともに、特に汚染の激甚な幹線道路地域の新たな患者も認定されるよう、補償制度を復活すべきと考えるがどうか。
四、二酸化炭素、窒素酸化物等の排出の少ない交通体系を形成する上で、輸送コストも低く、環境への影響の少ない鉄道、船舶と低公害自動車のミックス体系及び公共輸送機関の整備が決定的に重要となっていると考えるがどうか。
これらの施策の実現には、長期の時間と経費負担が伴うものである。それだけにこれらを誘導する政府の決意と具体的計画が重要となっている。特に緊急に解決が求められている東京で、公共輸送機関の整備を促進するためにどのような施策をとろうとしているのか明らかにされたい。
五、二酸化炭素排出抑制の上でも、深刻なゴミ問題解決の上でも、紙、缶、ビンなど包装容器のリサイクルが重要となっている。政府の「行動計画」でも、「二酸化炭素の排出の少ないライフスタイルの実現」として「紙、缶、ビン等のリサイクル」を掲げている。しかし現実には鉄資源の逆有償化をはじめ、回収リサイクルに逆行する事態すら生まれている。
リサイクル、ゴミ抑制の上で、製造企業や大手スーパーなどに包装容器の回収、再利用を求めることが決定的に重要と考えるが、紙、缶、ビンのリサイクルの現状と今後の対策を明らかにされたい。
六、地球環境の焦点のひとつである地球温暖化を確実に防止するためには、二酸化炭素排出量世界第五位の日本が、大幅な排出削減を行うことが必要である。
しかし、政府が「地球温暖化防止計画」で掲げた目標は、当面二〇〇〇年を目途に、一人当たりの二酸化炭素排出量を「一九九〇年レベルで安定化」することであり、あくまでも現状の「安定化」目標である。しかも、総量での安定化は努力目標にすぎない。
気候変動枠組み条約政府間交渉会議で合意された地球温暖化防止条約案も、アメリカに押し切られて同じように拘束力のないものとなったが、国際的な二酸化炭素排出の抑制、削減に真に貢献するためにも、政府として長期的、抜本的な削減目標を明示すべきではないか。
七、六に関連して、抑制目標達成のためには、分野ごとの抑制目標の設定が不可欠の前提である。「行動計画」が掲げた二酸化炭素排出総量一九九〇年レベル抑制目標を達成するために、政府は分野ごとに、現状での増加予測と抑制目標をどのように設定しているのか、数量的に明らかにされたい。
八、地球環境保全の費用負担のために、新たな税制導入が言われているが、政府は、消費税率のアップや新たな税制を導入するつもりなのか。
環境保全費用はその直接最大の責任を負う多国籍企業などの企業が、まず負担すべきものであり、さらに軍事費の削減によって賄うべきものと考えるがどうか。
右質問する。
政府答弁書
一について
今後の臨海部開発、三多摩地域の開発により、気温上昇及び自動車交通量の増加による大気環境の悪化等が進行することがないよう努めていく必要があると認識している。また、東京では市街地、造成地等植生のほとんど存在しない地区の割合が高いことなどから、三多摩地域等に残された緑地は貴重なものと認識している。
このため、各種開発計画における適切な環境配慮、自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(平成四年法律第七十号)等に基づく窒素酸化物総量削減対策の推進、自然公園を始めとする既存の自然環境保全制度の適切な運用等により、総合的な環境保全に努めてまいりたい。
二について
自動車排出ガスによる大気汚染については、自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法に基づき、国が策定する基本方針を踏まえ首都圏の関係都県知事が策定する総量削減計画において、自動車交通量の見通し等を勘案して、自動車排出窒素酸化物の削減目標量が定められることとなっており、政府としては、その達成のため所要の施策を推進していくこととしている。
三について
公害健康被害の補償等に関する法律(昭和四十八年法律第百十一号)に基づく第一種地域の指定解除は、近年の大気汚染の状況は気管支ぜん息等の主たる原因とはいえないという昭和六十一年十月の中央公害対策審議会の答申を踏まえて行われたものであるが、最近の大気汚染の状況も、同答申に述べられた状況と基本的には変わりがなく、幹線道路沿道地域を含め、ある地域の患者を大気汚染によるものとみなして民事責任を踏まえた補償を行うことに合理性があるとは判断できないため、同法第二条第一項の第一種地域の指定を行う必要があるとは考えていない。
四について
二酸化炭素、窒素酸化物等の排出の少ない交通体系を形成する上で、貨物輸送の分野においては、地域内輸送における共同輸送等の推進、中長距離の幹線輸送において最適輸送機関の利用を促進するモーダルシフトの推進及びより低公害な自動車への代替促進が重要であると考えている。また、旅客輸送の分野においては、鉄道・バス等の大量公共交通機関による交通網の計画的かつ着実な整備が重要であると考えている。
特に、東京圏においては、運輸政策審議会の答申「東京圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画について」及び「地域における公共輸送サービスのあり方の基本的方向について」に基づき、鉄道の新線建設及び複々線化の推進等並びにバスの輸送サービス及び走行環境の改善等を図ることとし、このため所要の支援措置を講じてきているところであり、今後とも引き続きこれらの施策を進めていくこととしている。
五について
平成三年十月、再生資源の利用の促進に関する法律(平成三年法律第四十八号。以下「リサイクル法」という。)を施行し、再生資源の利用の促進を図っているところである。
古紙については、紙製造業をリサイクル法第二条第二項の特定業種に指定し、平成三年度には五十二・三パーセントである古紙利用率を平成六年度までに五十五パーセントとすることを目標としたところである。また、古紙の回収利用の促進のため、古紙利用製品にマークを表示するグリーンマーク事業等を推進している。
缶については、平成二年の再資源化率がアルミ缶で四十二・六パーセント、スチール缶で四十四・八パーセントであるが、再生資源の有効な利用を図るため、飲料用金属缶をリサイクル法第二条第四項の第二種指定製品に指定し、材質に係る表示の義務付けを行っているところである。
びんについては、ガラス容器製造業をリサイクル法第二条第二項の特定業種に指定し、平成三年度には五十一・八パーセントであるカレット利用率を平成七年度までに五十五パーセントとすることを目標としたところである。また、リターナブルびん使用促進についても、関係業界に要請しているところである。
また、古紙、缶、びん等の再資源化のための設備に対する税制・金融上の支援措置等を講じてきたところである。
平成三年十月、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)の改正により、国民及び事業者の責務として新たに廃棄物の減量等に関し国及び地方公共団体の施策に協力しなければならないこと並びに国及び地方公共団体の責務として国民及び事業者の意識の啓発を図ること等廃棄物の減量その他その適正な処理を確保するための規定が設けられたところである。
これを踏まえ、平成四年度には、市町村における分別収集、集団回収等の廃棄物回収・再生体制の整備や都道府県における広域的な観点からの減量化への取組を促進するための補助金を創設するとともに、リサイクルセンターを新たに廃棄物処理施設整備費国庫補助金の補助対象に加え、施設基盤の整備を進めることとしている。
政府としては、引き続き関係法令等の適切な運用により、事業者に対する適切な指導を行うとともに、紙、缶、びん等の再生資源の利用を促進してまいりたい。
六について
温室効果ガスの排出抑制のための国際的な共通の努力として、第一段階として、温室効果ガスの排出量の安定化を早急に達成する必要がある。このため、政府は、平成二年十月二十三日地球環境保全に関する関係閣僚会議において地球温暖化防止行動計画を決定したところである。この計画においては、二酸化炭素については、一人当たり排出量について二千年以降おおむね千九百九十年レベルでの安定化を図るとともに、革新的技術開発等が現在予測される以上に早期に大幅に進展することにより、排出総量が二千年以降おおむね千九百九十年レベルで安定化するよう努めることとしている。
また、本年五月九日に気候変動に関する国際連合枠組み条約が採択された。この条約は、先進国である締約国が、気候変動の緩和に関する国の政策及び措置を採ること、これらの政策及び措置が二酸化炭素及びモントリオール議定書の対象とされていないその他の温室効果ガスの排出量を千九百九十年代の終わりまでに従前のレベルまで戻すことが長期の排出傾向を条約の目的に沿って修正することに寄与するものであることを認識して採られることになること等を規定している。
政府としては、今後とも地球温暖化防止行動計画を引き続き積極的かつ確実に推進してまいりたい。
七について
地球温暖化防止行動計画では、分野ごとの増加予測と抑制目標の定量的な設定は行っていない。
八について
地球環境保全への取組については、国際的にも種々の議論が行われているところであるが、今後とも地球環境保全の政策の理念や具体的施策について議論を深めていくことが重要である。政府として、こうした議論の進展をも注視しつつ、地球環境保全の在り方について、費用負担の問題も含め、勉強してまいる所存である。
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