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太陽熱利用の促進に関する質問
参議院 第129回 第1号
質問本文
太陽熱利用の促進に関する質問主意書
地球環境問題が提起されて以来、自然エネルギーの導入の努力が国、地方公共団体等で始められているが、民間部門を含めて取組状況は必ずしも芳しくない。その理由の一つには経済性の問題が挙げられる。太陽光利用型の自然エネルギーは、光発電と熱利用の場合、いずれの設備にも多額の費用を要し、化石燃料の価格が低位安定している状況下では、利便性、快適性等を考慮すると、それら設備の導入ははなはだ困難といわざるを得ない。
しかし、一方で化石燃料の枯渇が叫ばれており、安定した自然エネルギーの調達は国民生活の上で不可欠であり、かつ、地球環境保全のためにも必要である。先般、通商産業省においては、太陽エネルギーのうち光発電の普及拡大を図るため、設備費の二分の一を補助する事業を打ち出しているが、残る太陽熱利用についても公費による助成の拡大を望むものであり、以下質問する。
一 一九九〇年にIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は地球温暖化防止を目的とした中間報告書を公表した。我が国でもエネルギー需要の増大と資源制約、地球環境問題に対する関心が高まる中、通商産業大臣の諮問機関である総合エネルギー調査会は、長期エネルギー需給見通しの改訂を行った。これによれば、二〇一〇年度を目標として石油依存度を五十%以下に引き下げる一方、太陽熱等の新エネルギーの活用を強く打ち出し、新エネルギーの構成比率を一九八八年度の一・三%から五・三%に引き上げるべきと強調している。これを踏まえた通商産業省の今後の太陽熱利用の具体的目標を示されたい。
二 石油、原子力、ガス、石炭等の主要エネルギーを利用する上で必須とされる調達、環境、廃棄あるいは安全対策等の間接コストは年々増加する一方である。国民経済の上にみる総コストの負担は重く、これらを考えれば決して主要エネルギーは安価なエネルギーとはならないのである。一方、太陽熱エネルギーの利用については、主要エネルギー程には間接コストは要しない。それ故に総合的な観点から、主要エネルギーに対する太陽熱エネルギーの価格競争力に遜色はないと見られているが、通商産業省は太陽熱エネルギーのコストについて、間接コストも含めてどのように把握されているか伺いたい。
三 太陽から放出されるエネルギーは莫大な量を有するとともに、非枯渇性を有し地域的遍在性も少ないため、多くの人々が利用機会の恩恵に浴し得る。このため太陽熱利用は設置において既に五百万台の実績が示すように、各種自然エネルギーの中でも最も実用レベルの高いものとして期待が寄せられている。しかし、昨今の原油価格を見ると、各種化石燃料の価格は第一次の石油危機の際の半分程度となっていることから、太陽熱温水器、アクティブソーラーシステムあるいはパッシブソーラーハウスなど、いずれの市場も縮小を余儀なくされている。通商産業省では太陽熱利用についても普及拡大の目標を定め、ソーラーシステムの設置に対する補助金制度の創設を行うべきではないか。
四 ソーラーシステムは初期設備投資額が大きく、また、毎年の設備維持費も相当額になるため、使用者に大きな負担を強いている現状にある。これら事態の改善のため、まず、設備費等の融資制度においては、事業者及び個人に対する融資利率の低減、償還期間の延長等優遇措置の拡大、他方、税制面においては、事業者に対する当該法定償却率の引上げ、また、個人に対するソーラーシステム設備取得控除等の優遇措置の検討の余地はないか。
五 我が国では一九八〇年度より一部公共施設(庁舎、社会福祉施設、保険医療施設、教育施設等)へのソーラーシステム普及のための設置補助が行われているが、それらは件数にして約二千件、金額にして約六十億円に留まっている。その理由としては、施策の対象が主にソーラーシステム普及啓蒙活動に置かれていることにある。
政府において、今後充実する方針が決定されている広範な生活関連施設について、ソーラーシステムを補助の対象として含める余地はないか。
ソーラーシステム導入の割高感が、普及の低迷を余儀なくさせていることから、公的部門における需要創出に伴う量産化により、製品価格の引下げ効果を契機とする民需の誘発の必要性を考慮する必要がありはしないか。
右質問する。
政府答弁書
一について
政府は、通商産業大臣の諮問機関である総合エネルギー調査会の平成二年六月の中間報告における「長期エネルギー需給見通し」を踏まえ、平成二年十月、閣議決定を行い「石油代替エネルギーの供給目標」を改定したところである。同供給目標においては、太陽熱が重要な部分を占める新エネルギー等の一次エネルギー総供給に対する構成比率を平成元年度の一・三パーセントから平成二十二年度には五・三パーセントとすることを目標としている。
「長期エネルギー需給見通し」については、その後の経済社会情勢等の変化にかんがみ、今般、総合エネルギー調査会においてその検証作業に着手したところであるが、同調査会の議論も踏まえ、政府としても太陽熱利用機器の普及促進策を積極的に講じていくことにより、太陽熱利用の量的拡大を図り、新エネルギー等の導入目標を達成すべく、最大限の努力をしてまいりたい。
二について
御指摘の太陽熱エネルギーのコストについては、その定義及び算出方法が明確に確立されてはいないが、太陽熱利用機器の他の主要なエネルギーの利用機器に対する価格競争力については、太陽熱利用機器の導入により節約される年間燃料費と太陽熱利用機器の初期設置費用を比較し、初期設置費用が回収されるまでの年数を計算することにより、把握することができる。
具体的には、例えば、太陽熱利用機器の一つであるソーラーシステムと石油エネルギー利用機器を比較した場合、原油価格が今後、現状程度で推移すると仮定すると、比較する燃料により異なるが、数年から二十数年程度で初期設置費用が回収できるとされている。
また、御指摘の太陽熱エネルギーの間接コストについても、その定義及び算出方法が明確に確立されてはいないものの、極めて少ないものと認識している。
三について
一についてにおいて述べたとおり、政府は平成二年十月、閣議決定を行い「石油代替エネルギーの供給目標」を改定したところであり、同供給目標においては、太陽熱が重要な部分を占める新エネルギー等の一次エネルギー総供給に対する構成比率を平成元年度の一・三パーセントから平成二十二年度には五・三パーセントとすることを目標としている。
この供給目標を達成するため、太陽熱利用機器の一つであるソーラーシステムの普及促進策として、従来よりテレビ放映等による広報事業や住宅への設置に必要な資金に係る利子補給事業に対する補助、また、住宅展示場及び公共施設等への設置に対する補助を行ってきたところである。さらに、これらに加え平成六年度よりソーラーシステムの使用者に対する相談事業及び設置工事業者に対する指導事業について補助を行う予定である。
これらの施策はソーラーシステムの普及に必要不可欠なものと認識しており、今後ともこれらの施策の着実な実施を通じ、ソーラーシステムの普及促進に努力してまいりたい。
四について
太陽熱利用機器の普及促進を図るため、従来より融資面及び税制面での各種優遇措置を講じてきたところである。
具体的には、融資面では、ソーラーシステムを設置する個人に対する利子補給及び中小企業金融公庫等による事業者に対する低利融資が行われている。また、税制面では、エネルギー需給構造改革推進投資促進税制等により、太陽熱利用機器を設置する事業者に対し税額控除等を認める措置を講じてきたところである。今後とも、これらの優遇措置を通じ、ソーラーシステムの普及促進に努力してまいりたい。
五について
ソーラーシステム導入促進のため、昭和五十五年度から行ってきた公共施設等への設置補助は、現在までに補助額にして約二百十億円、件数にして約千八百件に上っているところである。これら地域住民に密接にかかわる体育館や公民館等の公共施設等への設置を通じ、ソーラーシステムの普及啓蒙効果が十分に期待できるものと認識しており、引き続き、このような補助制度の活用による普及啓蒙を積極的に行い、民間需要の喚起を行うことによりソーラーシステムの普及促進を図ってまいりたい。
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