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ごみ処理に伴うダイオキシン類の発生防止対策等に関する質問

参議院 第140回 第2号承知していない ×2検討してまいりたい ×2

提出者
参議院
提出日
1997年4月8日
内閣転送 1997年4月9日
答弁書受領日
1997年5月20日
提出から42日
答弁の項目数
13
質問 3,417字/答弁 2,902字

質問本文

ごみ処理に伴うダイオキシン類の発生防止対策等に関する質問主意書

ダイオキシン類は自然界には存在しない化学物質で「人類が作り出した最強・最悪の毒物」ともいわれている。有機塩素化合物の生産過程や廃棄物の焼却過程等で、非意図的に生成され、燃焼排ガスや化学物質の不純物として一般環境中に排出される。

その毒性については、動物実験において、急性毒性・慢性毒性・発ガン性・催奇形性・生殖毒性・免疫毒性等の広範囲にわたる毒性影響が報告されてきた。ダイオキシン類の人間への影響評価については、世界保健機関(WHO)の国際ガン研究機関(IARC)が本年二月四日から十一日にかけて、見直しを行ったワーキンググループの検討結果として、発ガン性についてこれまでの「可能性がある」から「ある」に変更し、ダイオキシン類の発ガン性を明確に認めた。発生源も一般廃棄物焼却施設・産業廃棄物焼却施設・医療機関の焼却炉・学校等の公共施設の焼却炉な多岐にわたっている。特に最近、一般廃棄物焼却施設及び産業廃棄物焼却施設から排出されるダイオキシン類が周辺住民に不安を与えるとともに社会問題化しており、ダイオキシン類の排出削減が緊急の課題となっている。

こうした観点から、以下質問する。

一 ごみ焼却施設排ガス中のダイオキシン類濃度の調査について

1 厚生省は都道府県に対し、市町村(一部事務組合を含む)が設置した一、八五四(平成五年度実績)の全ての焼却施設を対象として、平成七年十二月に排ガス中のダイオキシン類測定の有無及び実績等の報告を求め、次いで平成八年七月にダイオキシン類の排出実態等の総点検調査の実施を要請した。ところが、都道府県から厚生省に対する報告施設数は、前者がわずか五・六%の一〇四施設、後者が三二・四%の六〇一施設で、二度の調査による報告施設数を合算しても三八・〇%の七〇五施設でしかなかった。

厚生省は、このような低調な報告の要因について、どのように分析しているのか。

2 二度にわたる調査でいずれも報告がなかった県はどこか。また、報告施設数が平均三八・〇%を下回った県はどこか。

3 二度にわたる調査の結果は、およそ総点検調査とは言い難いものであり、今後ダイオキシン類の削減対策を検討、実施する上での基礎資料としては全く不十分ではないかと思われる。残る六二・〇%の一、一四九か所に係る補足調査の実施について、政府は今後どのように取り組むのか、そのスケジュールと方策の内容を問う。

4 これまでに実施した二度の調査は市町村(一部事務組合を含む)が設置した焼却施設しか調査対象としていない。これはなぜか。民間が設置した一般廃棄物焼却施設は一日当たり五トン以上の処理能力を有する焼却施設が平成六年度実績で全国五七か所(愛知県に一一施設、東京都・広島県に各六施設、兵庫県に五施設、千葉県・神奈川県・大阪府・愛媛県に各四施設、静岡県・三重県に各三施設、山形県・長野県に各二施設、北海道・秋田県・群馬県に各一施設)存在する。これらを含めて、全ての一般廃棄物焼却施設についてダイオキシン類排出濃度の調査を実施するとともに、ダイオキシン類排出削減対策を講じさせる必要があると考えるが、今後の政府の取組みはどうか。

5 産業廃棄物の焼却施設が平成六年四月一日現在で全国に三、三七六か所ある。

厚生省は、これら産業廃棄物焼却施設について、ダイオキシン類の排出濃度調査を実施していないが、どうして実施しないのか。周辺住民の不安には焼却施設が焼却している廃棄物が一般廃棄物か、産業廃棄物かの区別はなく、政府の姿勢は全く理解に苦しむ。産業廃棄物の焼却施設についても、直ちにダイオキシン類の排出濃度調査を実施するとともに、ダイオキシン類の排出削減対策を講じさせるようにすべきではないかと考えるがどうか。

二 ダイオキシン類排出濃度測定結果の公表について

1 報告のあった七〇五施設のうち、厚生省が本年一月二十三日にまとめた「ごみ処理に係るダイオキシン類発生等ガイドライン」(新ガイドライン)の緊急対策の判断基準である八〇ナノグラム(一ナノグラムは十億分の一グラム)を超えている施設は五二であった。厚生省は、この五二の施設の施設名を伏せた排出濃度一覧表を一部マスコミに提供しているが、こういった作為は由々しき情報隠匿であり問題である。施設名を明らかにしてきちんと公表すべきであると考える。

住民の不信感を払拭するためにも、最低限当該五二の施設については必要な情報を公開することによって、住民と協力して対策を講じていくことが重要であるが、政府の対応を問う。

2 ダイオキシン類排出濃度測定結果を公表している都道府県の状況について厚生省に照会したところ、去る三月二十四日に「把握していない」との書面での回答があったが、納得できない。

千葉県は本年二月二十五日に、県内五四の一般廃棄物焼却施設全てに係るダイオキシン類の排出実態調査の結果を公表するとともに、県内の七施設が判断基準値である八〇ナノグラムをオーバーしていることを明らかにしたが、県議会における答弁に当たり、県当局は「公表時期については、厚生省と調整を取りたい」としていたことを把握している。また、福岡県は本年三月の定例議会の一般質問で県内の三施設が判断基準値をオーバーしていることを明らかにしている。「把握していない」とのいい加減な回答は直ちに撤回しきちんと明らかにすべきではないか。

3 行政が住民の信頼を得るには情報公開を積極的に進めなければならないが、厚生省は都道府県に対し、ダイオキシン類排出濃度測定結果の公表を抑えるような行政指導を行ってきたのが偽りのないところではないのか。この間の経緯について、政府の説明を求める。

4 今回報告された全てのダイオキシン類排出濃度測定結果について、隠すことなく直ちに公表すべきであると考えるが、政府の見解を問うとともに、早急な対応を求める。

特に厚生省は都道府県に対し、ダイオキシン類排出濃度測定結果を進んで公表するよう通知を発すべきではないかと考えるがどうか。

三 既設焼却炉の改良等に対する助成措置の強化について

1 排出濃度が新ガイドラインの緊急対策の判断基準値である八〇ナノグラムを超える施設については、早急に具体的な削減対策を実施しなければならないが、全連続炉への切替え、バックフィルターの設置等の改良費用の捻出と改良期間中のごみの処理に頭を抱えている市町村が少なくないと思われる。政府は助成措置の強化についてどう考えているか、方策を問う。

2 国庫補助の在り方を早急に検討し直す必要がある。特に公害防止地域に指定されていない財政力の弱い市町村については、補助の拡充が是非とも必要ではないか。

3 焼却施設改良期間中のごみ処理については、当該市町村の枠を超えた対応が必要になるが、当該市町村まかせでは対応が難しいのではないか。政府はどのように都道府県を指導していく考えか。

4 ごみ焼却施設の作業員の労働環境の改善のための助成の強化も検討すべきではないかと考えるがどうか。

四 焼却灰の最終処分に係る対策について

1焼却施設における焼却灰の処分は市町村等の共通の悩みである。焼却灰に含まれるダイオキシン類を分解する溶融固化処理の技術開発が進み既に実用化の段階に達しているが、どの程度の市町村等で導入されているか。

2 溶融固化処理に伴って発生するスラグの再生利用の状況についても説明されたい。

五 ダイオキシン類規制条例の制定等自治体の対応に係る政府の評価について

1 埼玉県所沢市議会が本年三月の定例議会で「ダイオキシンを少なくし所沢にきれいな空気を取り戻すための条例」、いわゆるダイオキシン類規制条例を全会一致で可決・制定し、六月に施行する。このような条例制定は全国で初めてか。

埼玉県所沢市に続いて、ダイオキシン類規制条例を制定する市町村が少なからず出てくることが予想される。こうした動きについて、政府はどのように受け止め評価しているか。

2 埼玉県所沢市では、小中学校に設置されている焼却施設の運用を停止したところもあると報じられている。政府は学校等の教育現場におけるダイオキシン類への対応についてどこまで実態把握を行っているのか、明らかにされたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一の1について

御指摘の厚生省が都道府県に対して求めた報告のうち、平成七年十二月に行ったもの(以下「第一回調査」という。)は、ダイオキシン類の排出濃度の測定の実施状況を把握することを目的とし、平成八年七月に行ったもの(以下「第二回調査」という。)は、第一回調査の結果及び同年六月の厚生省におけるダイオキシン類の毒性評価に関する調査研究の中間報告を踏まえ、市町村(一部事務組合を含む。以下同じ。)の設置する千八百五十四か所(平成六年三月末現在)の一般廃棄物の焼却施設(以下「ごみ焼却施設」という。)すべてについて、ダイオキシン類の排出濃度を測定した上で報告を求めたものである。

第二回調査については、本年一月二十日までに、御指摘の七百五か所の施設について報告があったところであるが、その後、同年三月末までに、更に四百四十五か所の施設について報告があり、合計千百五十か所の施設について測定結果の報告があったところである。

第二回調査に対する報告が遅れているのは、ダイオキシン類の測定には精密な機材及び高度な専門技術を必要とするため、調査の対象施設の数に比べて当該測定を行う能力を持つ機関の数が限られていることによるものと考える。

一の2について

第二回調査について本年一月二十日までに報告がなかった都道府県は富山県のみであったが、同県からは同年三月末までに同県内の市町村の設置する十四か所のごみ焼却施設のうち、十一か所について報告があったところである。また、同年一月二十日時点で報告のあった施設の割合が御指摘の三十八・〇パーセントを下回っていた都道府県は、北海道、青森県、岩手県、福島県、新潟県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、静岡県、三重県、兵庫県、奈良県、和歌山県、岡山県、徳島県、香川県、高知県、佐賀県、長崎県、大分県、鹿児島県及び沖縄県である。

一の3について

厚生省において、都道府県を通じて市町村に対し、いまだに報告のないごみ焼却施設について、速やかに測定を実施し、結果を報告するよう指導しているところである。

一の4及び5について

第一回調査及び第二回調査においては、排出量が多いとされているごみ焼却施設のうち、その数及びごみ焼却量のほとんどを占める市町村の設置するごみ焼却施設について、ダイオキシン類の削減対策を早急に講ずるために排出濃度の測定の実態等を把握する必要があることから、市町村の設置するごみ焼却施設を対象としたものである。

市町村以外の者が設置するごみ焼却施設及び産業廃棄物の焼却施設も含めた廃棄物の焼却施設から排出されるダイオキシン類の削減対策については、現在、必要な知見の集積に努めるとともに、生活環境審議会廃棄物処理基準等専門委員会において施設の構造及び維持管理に関する基準の見直し等の規制の方策を検討しているところであり、燃焼温度等の燃焼条件がごみ焼却施設と異なる産業廃棄物の焼却施設におけるダイオキシン類の排出実態把握等のため、厚生省において必要な範囲における調査を実施することとしている。

二について

厚生省において、御指摘のダイオキシン類の排出濃度が一立方メートル当たり八十ナノグラムを超えるごみ焼却施設に限らず、本年三月末までに同省に報告のあったすべてのごみ焼却施設(千百五十施設)について、設置している市町村名、施設名、焼却炉の形式、処理能力、集じん器の形式、使用開始年月及び排出ガス中のダイオキシン類濃度の測定結果を、同年四月十一日に公表したところである。

また、厚生省において、本年一月に、各都道府県知事に対して「ごみ処理に係るダイオキシン類の削減対策について」(平成九年一月二十八日衛環第二十一号厚生省生活衛生局水道環境部長通知)を発出し、当該通知において、都道府県知事が市町村に対してごみ焼却施設から排出されるダイオキシン類濃度の測定結果を公表するよう指導することを求めたところである。

厚生省において、各都道府県のダイオキシン類排出濃度の測定結果の公表状況について調査したところ、本年四月十一日現在で二十一都道県が既に公表し、十県が公表を予定している旨の回答があったところである。

三の1について

市町村がダイオキシン類の削減対策として実施するごみ焼却施設の集じん器の交換等の改良事業に要する費用については、国庫補助の対象とすることができるものであるので、申請があった場合には、優先的に補助することとしているところである。

三の2について

ごみ焼却施設の整備事業に対する国庫補助については、御指摘の公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律(昭和四十六年法律第七十号)第二条第二項に規定する公害防止計画に基づく事業のほか、これまで離島振興法(昭和二十八年法律第七十二号)第五条第一項に規定する離島振興計画、奄美群島振興開発特別措置法(昭和二十九年法律第百八十九号)第二条第一項に規定する振興開発計画及び沖縄振興開発特別措置法(昭和四十六年法律第百三十一号)第三条第一項に規定する振興開発計画に基づく事業について、その他のごみ焼却施設の整備事業に比べて高い補助率を設定しているところである。

三の3について

御指摘のごみ焼却施設の改良期間中のごみ処理については、都道府県に対し、引き続き、当該市町村が適正なごみ処理を確保するために周辺市町村にごみの焼却を委託することができるように市町村間の調整を図る等必要な市町村に対する技術的援助を与えるよう指導してまいりたい。

三の4について

ごみ焼却施設の労働環境については、ダイオキシン類の削減対策としてその発生防止を進めることにより改善が図られるものと考えるが、民間事業者が設置するごみ焼却施設については、労働省において、地域別、業種別等に組織された中小企業集団又は当該集団の構成員である中小企業者が行う職場における作業環境改善の事業に対して中央労働災害防止協会が助成する「中小企業労働安全衛生活動促進事業助成制度」を設けており、その効果的な活用を図ってまいりたい。

四の1について

御指摘の焼却灰の溶融固化処理を行う施設は、本年四月現在、全国の市町村のうち十七所において設置されていると承知している。

四の2について

溶融固化処理に伴って発生するスラグの再生利用については、例えばアスファルト舗装の骨材、路盤材等として用いられていると承知している。

五の1について

御指摘のダイオキシン類を規制する条例については、現在のところ、所沢市以外で制定されている例は承知していない。このような条例は、地方公共団体において、ダイオキシン類の削減対策の必要性にかんがみ、地域の実情に応じて制定されるものと承知しており、政府としても、このような状況を踏まえつつ、必要なダイオキシン類の削減対策を講じてまいりたい。

五の2について

学校等の教育現場におけるダイオキシン類への対応の実態については、現在のところ把握していないが、今後、焼却施設の設置状況の調査を含め、その対応について早急に検討してまいりたい。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

承知していない ×2検討してまいりたい ×2

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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