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ダイオキシン問題に関する質問主意書
衆議院 第119回 第10号検討してまいりたい ×1
質問本文
衆議院議長 櫻内義雄 殿
ダイオキシン問題に関する質問主意書
十月二十三日に愛媛県川之江市沖で採取されたぼらから高濃度のダイオキシンが検出され、その原因が製紙工場排水と考えられると報道され、全国の製紙工場の周辺住民に大きなショックを与えました。
言うまでもなく、ダイオキシン(二、三、七、八 ― TCDD)は、合成化合物のなかで最強の毒性を示すものとされているだけでなく、広範囲な環境が汚染されている。また、ダイオキシンは、他の動物よりも人間における残留性が高いとの指摘もあり、人間の母乳からもダイオキシンが検出されている。それだけに、ダイオキシンの発生源を規制し、ダイオキシンの発生を根絶することは、国民的緊急課題だと言える。
諸外国のダイオキシン対策が、アメリカが総合的な「ダイオキシン戦略」を立て、スウェーデンやカナダなどにおいては、いち早くゴミ焼却場の対策や製紙工場の排出規制に取り組むなど日本より数段進んだものになっていることは、各種の報道からも明らかである。先進国日本として、早急に抜本的ダイオキシン対策を立てるときである。
従って、次の事項について質問する。
一 ダイオキシン対策を進めるには、ダイオキシンによる環境汚染の重大性の認識と発生源を押さえるための機敏な行動が必要である。しかしながら、今回の製紙工場を発生源とするダイオキシンの検出問題についてもその対応は後手後手に回っているとしか言えない。さらに問題なのは、製紙工場がダイオキシンの発生源の一つであることは、少なくとも二年前から研究論文等で指摘されていたにもかかわらず、その対策を放置していたことである。政府は、速やかに製紙工場のダイオキシン対策を確立すべきである。政府の対策を明らかにせよ。
二 ダイオキシン対策の根幹は、ダイオキシンの発生源をできるだけ早く押さえ、規制することである。専門文献(「ポリ塩化ジベンゾジオキシン及びジベンゾフランの環境汚染」)からもダイオキシンの発生源として、�@都市におけるゴミ焼却炉、�A電線などの再生工場、�B銅の製錬所や製鉄所の排ガス、�C自動車のモーターオイル、�D鉛を添加したガソリンの排ガス、�E変圧器の火災、�F製紙工場、�G農薬、�HPCB製品、�I化学物質の事故、�J化学物質廃棄場などが列記されているが、政府は、�@〜�Jのダイオキシンの発生源についてそれぞれどのように規制と対策を立てようとしているのか。
三 ダイオキシン対策を進めるに当たって必要なことは、広域なダイオキシンによる環境汚染の実態調査とともに、発生源として指摘されている工場周辺の汚染状況の調査である。また、人間に対するダイオキシン汚染については、母乳に対する蓄積が心配されるところであり、発生源周辺を含めその系統的調査が必要であるが、政府の対応はどうか。
四 諸外国のダイオキシン対策は、我が国の対策に比べると格段に進んでいるが、日本としても総合的なダイオキシン対策を打ち出し、各省庁横断的な対応を強力に進めるべきである。また、ダイオキシン研究予算を格段に増額するとともに、研究者の育成を進めるべきであると考えるが、政府の対応はどうか。
右質問する。
政府答弁書
一について
製紙工程におけるダイオキシンの発生機構は、詳細については不明であるが、パルプの漂白工程でパルプ中に含まれるリグニンと漂白剤の塩素が反応することにより、ダイオキシンが発生する可能性があるとされている。製紙業界においては、従来から、塩素使用量削減等のため、パルプ製造工程における酸素漂白設備の導入、二酸化塩素の使用促進等の対策が推進されてきている。
政府としては、製紙工場の排水等の調査を行うとともに、製紙業界に対し、塩素使用量削減対策等の一層の促進を指導してまいりたい。
二の�@について
ごみ焼却施設から発生するダイオキシンについては、現在の技術水準で可能な限り発生を抑制するための方策を検討しているところである。
二の�Aについて
我が国においては、再生原料として使用される電線について、被覆部を物理的に分離した上で再生処理が行われており、ダイオキシンの発生は防止されているところである。
二の�Bについて
我が国においては、製鋼工程における原料又は銅の製錬工程における副原料として用いられるスクラップの事前処理において、製錬・製鋼の対象とならない混在物は除去することとしており、銅の製錬所及び製鉄所の排ガスからのダイオキシンの発生は防止されているところである。
二の�C及び�Dについて
我が国においては、自動車のモーターオイルに塩素系化合物は加えられていないと承知しており、また、ガソリンについては既に無鉛化対策を講じてきているところである。
二の�E及び�Hについて
ポリ塩化ビフェニル(以下「PCB」という。)の製造及び輸入については、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和四十八年法律第百十七号)に基づき、通商産業大臣の許可が必要となっているが、許可を行った例はなく、事実上禁止されている。また、同法に基づきPCBを新たに使用する製品の製造及びPCBを使用した製品の輸入が原則的に禁止されている。
さらに、電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)に基づく電気設備に関する技術基準を定める省令(昭和四十年通商産業省令第六十一号)に基づき、PCBを含有する絶縁油を使用する変圧器を施設することが禁止されており、また、同法に基づく保安規制等により、電気事故による火災の発生防止等に努めているところである。
二の�Fについて
製紙工場におけるダイオキシン対策については、一についてにおいて述べたとおりである。
二の�Gについて
農薬については、農薬取締法(昭和二十三年法律第八十二号)に基づき、その登録に際し厳正な検査を行っているところであり、今後とも厳正な検査を実施することにより安全性の確保に努めてまいりたい。
二の�Iについて
化学物質を取り扱っている工場においては、保安の確保について万全を期するよう指導しているところであり、今後ともより一層の安全の確保がなされるよう努めてまいりたい。
二の�Jについて
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)第二条第三項の産業廃棄物は、化学物質を含むものも含め、同法第十二条第一項に基づく基準に従い処分されている。今後とも、その適正処理の確保に万全を期してまいりたい。
三について
ダイオキシンの環境汚染の実態を把握するため、昭和六十年度から毎年度一般環境中における魚介類及び底質のダイオキシンの残留状況を調査するとともに、昭和六十一年度から隔年度で大気中のダイオキシンの濃度についても調査している。
政府としては、今後ともこれらの調査を引き続き実施するとともに、製紙工場の排水の調査等の発生源に関する調査を実施することにより、ダイオキシンに係る環境汚染の実態の把握に努めてまいりたい。
四について
我が国としても、ダイオキシンに係る環境汚染の未然防止対策は重要な課題と認識しており、従来からダイオキシンの発生機構、分解等に関する研究、環境汚染の実態調査等を実施してきたところである。今後とも、ダイオキシンに係る必要な研究を推進するとともに、関係省庁の緊密な連携を図りつつ、必要な対応を図ってまいりたい。
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