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予備費使用の国会承諾に関する質問

参議院 第140回 第4号

提出者
参議院
提出日
1997年4月21日
内閣転送 1997年4月23日
答弁書受領日
1997年5月13日
提出から22日
答弁の項目数
5
質問 1,890字/答弁 1,326字

質問本文

予備費使用の国会承諾に関する質問主意書

平成八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)ほか予備費案件が、国会の承諾を求めるため、例年なら九年三月末までには提出されるはずであるが、未だ提出されていない。そこで調べてみると、予備費使用の国会承諾案件を、決算と同じく衆参両院に別々に提出するよう求める具体的動きが、与党・自由民主党を中心に行われているという情報を得た。

申すまでもなく、日本国憲法は、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」(第八十三条)、「国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。」(第八十五条)、「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」(第八十六条)と、財政処理に関する国会中心主義と事前議決の原則を明らかにしている。そして、予備費制度はこの事前議決の原則の例外として憲法が認めたものであるが、「すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。」(第八十七条第二項)と定めており、これを受けて財政法では、「内閣は、予備費を以て支弁した総調書及び各省各庁の調書を次の常会において国会に提出して、その承諾を求めなければならない。」(第三十六条第三項)と規定している。

憲法及び財政法においては、予備費の使用について国会の承諾を求めなければならないとされているにもかかわらず、予備費使用の事後承諾案件を、両院関係のある議案としてではなく、各議院に提出し、各議院が別々に審議し議決すれば足りるとして、これまでの予備費の扱いを変更しようとする動きは、国会の権威と権能を低下させるものであり、憲法施行五十年を前にして極めて遺憾なことと言わざるを得ない。

そこで、予備費使用の事後承諾案件の扱いについて、その提出責任のある内閣に、以下質問する。

一、平成八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(平成八年四月から九年一月の間の使用分)ほか予備費使用の事後承諾案件が、未だ国会に提出されていない理由は何か。

二、予備費使用の事後承諾案件が、第二回国会(常会)以降第百三十九回国会まで、「両院関係のある議案」として国会に提出(衆議院先議)されてきたが、この取扱いは、どのような根拠に基づくものか。

私の理解では、予備費の使用について憲法が明文で「国会の承諾」を要求しており、「両議院の承諾」あるいは「各議院の承諾」としていない以上、「両院関係のある議案」として提出することは、内閣の当然の責務であり、疑問の余地のないものと考えるが、どうか。

三、私は、予備費使用の事後承諾案件を各議院に提出して、各議院がそれぞれ審議し議決する方式に変更することは、憲法上の疑義があると考える。

しかし、憲法学説の中には、第八十七条第二項は、予備費使用の事後承諾案件の提出の仕方まで規律したものではないとして、「両院関係のない議案」すなわち「一院限りの議決案件」として両院に提出することも、憲法上可能であるとの説があることも承知しているので、一歩譲って、仮にそのような解釈を採るとしても、現行財政法が「内閣は、予備費を以て支弁した総調書及び各省各庁の調書を……国会に提出して、その承諾を求めなければならない。」(第三十六条第三項)と明文で規定している以上、同法の改正なくして、予備費使用の事後承諾案件を「一院限りの議決案件」として提出することは、許されないと思うが、憲法上の疑義を含めて、内閣法制局の見解はどうか。

なお、決算の提出と予備費の事後承諾の違いについても政府の見解を示されたい。

四、私は、予備費使用の事後承諾案件を「一院限りの議決案件」とした場合には、国会法第六十五条、第五十八条、第八十三条以下の両議院関係の規定が適用できず、同法全体の見直しを含めた検討が必要であると思う。

憲法上も疑義があり、財政法や国会法の改正も必要と思われる「予備費使用の事後承諾案件の提出及び議決方式の変更」を、憲法施行五十年を前に行わなければならない積極的理由を見いだし難く、また、その動機が不明であり、理解し難いのであるが、政府の認識はどうか。

五、各年度の予備費使用の事後承諾案件は、これまで、(その1)(その2)として、分割して国会に提出されてきたが、それは、どのような国会論議を踏まえての政府の対応であったか、分割提出の目的は何であったかなど、分割提出に至った経緯を具体的に明らかにされたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

御質問の予備費使用の事後承諾案件の国会への提出については、衆議院及び参議院の議院運営委員会において、現在、その提出の在り方について協議中であると承知しており、政府としては提出を差し控えているところである。

二について

これまで国会に提出した予備費使用の事後承諾案件については、憲法第八十七条第二項の「すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。」との規定及び財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第三十六条第三項の「内閣は、予備費を以て支弁した総調書及び各省各庁の調書を次の常会において国会に提出して、その承諾を求めなければならない。」との規定に基づき、これを国会に提出しているものである。

この場合、予備費使用の事後承諾案件は、先例を踏まえ先に衆議院に提出し、同時に国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第五十八条の規定に基づき、予備審査のため参議院に同一の案を送付しているところである。

三について

予備費使用の事後承諾案件を「一院限りの議決案件」として提出することの憲法上の疑義についての御質問は、国会における議案の取扱いに係るお尋ねであり、政府としては答弁を差し控えることといたしたい。

また、これに関連して財政法第三十六条第三項の改正の要否については、仮定の前提を置いての御質問であるので具体的な答弁は差し控えることといたしたいが、一般論として申し上げれば、「国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。」(憲法第四十二条)とされているとおり「国会」という言葉は両議院を含んだ概念であること、財政法第四十条第一項は「内閣は、(中略)歳入歳出決算を、翌年度開会の常会において国会に提出するのを常例とする。」と規定しているが、決算の取扱いは両議院それぞれに提出されていることなどにも留意して検討されるべきものと考える。

なお、御質問の決算の提出と予備費の事後承諾の違いについては、決算は、国会の議決によって成立した予算の執行実績であって、「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。」との憲法第九十条第一項の規定に基づいて、国会に提出することが義務付けられているものであり、他方、予備費は、予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて設けられ、内閣の責任で支出することができるものであって、「すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。」との憲法第八十七条第二項の規定に基づいて、事後に国会の承諾を得ることが義務付けられているものと理解している。

四について

国会における議案の取扱いに係るお尋ねであり、政府としては答弁を差し控えることといたしたい。

五について

予備費使用の事後承諾案件の国会への提出については、財政法第三十六条第三項において「次の常会において国会に提出」すべきものと規定している。

この規定の趣旨を踏まえて、できるだけ早い機会に予備費使用の事後承諾案件の審議が可能となるよう、従来から(その1)及び(その2)に区分して提出してきたところである。

参議院の原文

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