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徳島県吉野川第十堰改築計画等に関する再質問

参議院 第142回 第18号お答えすることは困難 ×10承知していない ×2

提出者
参議院
提出日
1998年5月28日
内閣転送 1998年6月1日
答弁書受領日
1998年8月21日
提出から85日
答弁の項目数
62
質問 13,589字/答弁 17,444字

質問本文

徳島県吉野川第十堰改築計画等に関する再質問主意書

徳島県吉野川第十堰改築計画に関しては、平成十年二月四日に「徳島県吉野川第十堰改築計画等に関する質問主意書」を提出し、政府から平成十年三月三十一日付で、内閣参質一四二第二号の答弁書(以下「答弁書第二号」という。)が寄せられたところである。その答弁内容については、未だ不明確な点も含まれており、事実関係のさらなる解明を行う必要があると考える。したがって、再度以下の質問をする。

一 吉野川における洪水について

1 答弁書第二号によれば、一般に洪水時に河川の水位が上昇するに従って堤防が決壊する危険性は高くなることから、第十堰による水位上昇も吉野川の堤防決壊の一因として考えられる、とされている。

(1) このような一般論が、明治二十一年七月の洪水に適用できるとする根拠は何か。

(2) 明治二十一年七月の洪水が、堤防決壊の第一の原因であると考えるのか。考えるとすればその理由を示されたい。

2 答弁書第二号によれば、「現在の吉野川における河道の状況等を基に、第十堰を改築する必要があると判断した」とあるが、明治二十一年七月の洪水は、改築の根拠足り得ないという認識でよいか。根拠足りうると考える場合にはその理由を示されたい。

二 粗度係数について

1 答弁書第二号によれば、吉野川に計画高水流量が生起したものとした場合の計算上の値については、想定する同川の河道の状況によっても異なるとされているが、「第十堰改築事業に関する技術報告書」(以下「技術報告書」という。)において想定されている吉野川の河道の状況を図面等を用いて詳細に示されたい。

2 答弁書第二号によれば、「別途算出した高水敷の粗度係数の値等」を「代入することにより吉野川の複数の流下断面について低水路の粗度係数を算出し」たとされている。

(1) 複数の流下断面をどのように設定したのかを、図面を用いて示すとともに、それぞれの粗度係数を示されたい。

(2) 低水路及び高水敷の粗度係数の算出にあたっては、粗度係数の逆算法を用いたのか。用いた場合には、その逆算法が痕跡不定流逆算法によるものか痕跡不等流逆算法によるものかを、用いなかった場合には、算出方法を明らかにされたい。

(3) 技術報告書作成の際に、改訂新版建設省河川砂防技術基準(案)同解説(以下「河川砂防技術基準」という。)調査編にある、実測洪水データに基づく計算精度の検証や河道状態との関係での吟味はどのように行われたのか、検証過程及び結果を詳細に示されたい。

(4) 河川砂防技術基準調査編によれば、平均流速公式レベル三においては、「樹木群内の流速が外に比べ十分小さく樹木群内を死水域として扱うことができると仮定したうえで、流れの計算を樹木群領域を除いた流水断面について行う」こととされている。このような仮定が吉野川でも成り立つということを検証したか。検証を行った場合にはその結果を、行わなかった場合にはその理由を示されたい。

(5) 答弁書第二号によれば、粗度係数が含みうる誤差や不確実性は、上流区間の複数地点における水位の値がそれぞれ同じ地点における痕跡水位の値をおおむね下回ることとならないような安全側の値となるように決定することにより考慮しているとされている。ところで、河川砂防技術基準計画編によれば、超過洪水に対する配慮とは、「まず超過洪水の生起とそれによる被害の態様を予測することであり、関係する地域社会に対してこの洪水防御計画で対処し得る洪水の限界とその対処の方法を明らかにすることにより超過洪水の生起に際しての適切な対応を予め求めること」であるとされており、水位の値を安全側に設定するというだけでは、超過洪水の適切な予測とは言えないと考えるがいかがか。

(6) 河川砂防技術基準調査編によれば、痕跡水位を用いた粗度係数逆算の手順は、「粗度係数を仮定して水位計算を行い、得られた計算水位ピークを洪水後に観測された痕跡水位縦断と比較する。両者が必要な精度で一致するまで粗度係数を変えて水位計算を行う」とされている。技術報告書における粗度係数設定にあたって、どのように粗度係数を変えて水位計算を行ったのか示されたい。

また、吉野川における「必要な精度」とは何かを、理由も含めて具体的に示されたい。

3 答弁書第二号によれば、「粗度係数の観測」が行われた河川の区間における河道状況と、吉野川の河道状況との間で、特に考慮すべき差異は存しないと考えられる、とされているが、「特に考慮すべき差異」とは何かを具体的に示されたい。

三 水位計算について

1 答弁書第二号によれば、「建設省の実績再現計算は、第十堰に関し一定の条件を設定した上で水理学上の基礎的な理論式によって一義的に算出される吉野川の河口から十四・二キロメートルの地点における水位の値を所与」としている。

(1) 「水理学上の基本的な理論式」とは何か、詳細に示されたい。

(2) 「一義的に算出される」というのはなぜか、その理由を示されたい。

(3) 「水理学上の基礎的な理論式によって一義的に算出される」とあるが、算出の前提となる、建設省の水位計算における「第十堰の上流側及び下流側の堰が共に十四・二キロメートル地点において流下方向に対して直角に存在するものと仮定して、同地点での流下断面については高水敷と第十堰とを区分せずに一体の河床部分として扱っており、吉野川に計画高水流量が生起しているものとした場合における流水の幅及び当該河床部分の平均的な高さの値は、それぞれ約六百十八メートル及び阿波工事基準面を基準とした高さ五・八七メートル」という仮定は、一義的なものなのか。一義的であると考える場合にはその理由と根拠を、考えない場合には、その前提が一義的でないにもかかわらず算出が一義的であると結論づける理由を示されたい。

2 答弁書第二号の別表第三から第六によれば、建設省が行った主要実績洪水に関する水位の計算によって得られた値は、吉野川の河口から十六キロメートル地点において、少なくとも左岸で〇・九メートル、右岸で〇・六メートル実際の痕跡水位を超えている。このような差は、「計算の性質上結果的に生じ得る」としているが、このような差をできる限り小さくし、計算結果を実際の自然現象にできる限り近づけることが「基本的に望ましいこと」だとも認めているところである。

(1) 河川砂防技術基準調査編に、流出モデルの適合性を客観的に判断する方式の一つとして、誤差評価値を最小にする方式が記述されているが、この式に建設省の行った水位計算の計算流出量を代入した場合における誤差の値がどの程度になるか示されたい。

また、誤差評価値を最小にする流出モデルについても併せて示されたい。

(2) 痕跡水位と再現計算水位の値の差は「計算の性質上結果的に生じ得る」としても、これをなるべく少なくすることは可能であると考えるが、吉野川の場合、実際の自然現象に近づけるため、どのような努力をしたのか具体的かつ詳細に示されたい。

3 答弁書第二号によれば、「河口より十六キロメートルの地点においては計画高水位を四十二センチメートル超過する」ことを「絶対的なものとして取り扱っているわけではない」としているが、技術報告書においては計画高水位を超過することが、「治水上大きな問題である」とし、改築の根拠として位置づけている。

(1) 建設省の主要実績洪水に関する水位の計算によって得られた値は、吉野川の河口から十六キロメートル地点において、少なくとも左岸で〇・九メートル、右岸で〇・六メートル実際の痕跡水位を超えているにもかかわらず、計画高水流量が生起した場合の水位の値が、同地点において「計画高水位を四十二センチメートル超過」し、「治水上大きな問題である」と結論づけることの意味は何か。

(2) 「絶対的なものとして取り扱っているわけではない」ということは、改築の根拠とはならないということか。なると考える場合にはその理由を詳細に示されたい。

4 答弁書第二号によれば、技術報告書を作成した後に行った模型実験の結果等も併せて考慮すれば、建設省の水位計算は妥当であるとされている。

(1) 「模型実験の結果」以外に、どのようなものが考慮されたのか、具体的に示されたい。また、「同程度」と予測することが妥当であると判断した客観的な根拠を示されたい。

(2) 模型実験の信頼性の根拠とされている、航空写真の実体視から水位を求める手法は、河川砂防技術基準において何らかの形で位置づけられているのか。

5 答弁書第二号によれば、「計算結果を実際の自然現象にできる限り近づけることは基本的には望ましいことであると考えているが、計画高水流量の生起といった実際に観測された自然現象の範囲を超える仮想の現象を取り扱うに当たっては、その適用範囲に関する十分な検証がされた手法によるべき」とされている。

(1)  仮想の現象とはいえ、実際の河川に生起する可能性のある事象を取り扱うのであって、その結果が河川のあり方に影響を及ぼすことは事実である。十分な検証がされた手法により計算を行う場合であっても、その前提条件となる計算上の堰の形状や流水の幅等について、十分に検証を行うべきであると考えるがどうか。そのように考えない場合にはその理由を示されたい。

(2)  適用範囲に関する十分な検証がされた手法によって仮想の現象を取り扱ったとしても、実際に観測された自然現象が十分に再現できない計算方法では、十分な精度があるとは言えないのではないか。言えると考える場合にはその根拠を示されたい。

6 答弁書第二号によれば、「第十堰のような堰の上流における水位の値は理論上堰の形状に応じて算出されることは明らか」であるとされている。

(1) 「理論上」とは、どのような理論なのか、具体的に示されたい。

(2) 「堰の形状」は計算を行う前提として絶対的な値で決まるのか。また、「堰の形状」を数値化する際に何ら問題は生じないのか。生じないとすればその理由を示されたい。

7 答弁書第二号では、市民団体の実績再現計算におけるエネルギー水頭の値が適切なものとは考えられないとしているが、その理由を具体的数値や数式を用いて説明されたい。また、建設省が考える「適切なエネルギー水頭」の数値とそれが適切であると考える理由及び「適切なエネルギー水頭」とは絶対的な値であって、他にはあり得ない数値であると考える場合には、その理由も併せて示されたい。

8 水位計算資料に明記されている第十堰に関する計算上の条件、水理学上の基礎的な理論式等を基に、建設省が算出したエネルギー水頭の値につき、具体的に計算上の条件及び水理学上の理論式等を示して説明されたい。

9 答弁書第二号によれば、「流水の流下方向に対して斜めに設置されている堰を越流する流水の幅の値は、当該堰が当該流下方向に対して直角に存在するものと仮定した場合の仮想の堰を越流する流水の幅の値以上のものとなる」とされている。

(1) このように認めながらも、実際の吉野川における建設省の水位計算においては、「吉野川の流水の幅を、一次元不等流計算でいう流水の流下方向に対して直角の方向に測った幅」である六百十八メートルとしているのはなぜか。また、それにより誤差が生ずる危険性はないのか。ないと考える場合にはその理由を示されたい。

(2) 建設省においても、水理模型実験や過去の様々な洪水において、第十堰付近では流水の向きが変えられていることを認めていると考えるがどうか。

10 答弁書第二号によれば、建設省の水位計算は、上流側の堰を考慮しており、市民団体の水位計算より適切であるとのことだが、堰による流水の幅の増加を考慮していない点についてはどのように考えているのか。

四 計画降雨等について

1 答弁書第二号によれば、「降雨の状況等の治水計画に係る状況に大きな変化がないにもかかわらず計画降雨量等の値から定められる基本高水等について頻繁に小規模な見直しを行うことは必ずしも適切であるとは限らない」とされている。

(1) 大きな変化とは何か、具体的に示されたい。

(2) 頻繁とはどの程度の頻度をいうのか、具体的に示されたい。また、吉野川の場合、昭和五十七年に定められた工事実施基本計画を平成十年に見直すことが、「頻繁」に当たるのか。

2 答弁書第二号によれば、「現在までの新しい試料を加えても当該計画降雨量の値は大きく変化しないと考えられる」とされている。

(1) 吉野川第十堰建設事業審議委員会において、建設省は、新しい試料を加えても当該計画降雨量の値は変わらないと答えたとされているが事実か。事実とすれば、計画降雨量とそれに基づく基本高水流量、計画高水流量を新たに計算したということか。新たに計算した場合には、その計画降雨量の検討方法及び結果について、計画降雨量を検討する際の日雨量等をはじめとするデータの具体的内容を示して説明されたい。また新たに計算していない場合には、どのような判断をもとに計画降雨量は変わらないと答えたのか、具体的な数値や計算式をもとに判断根拠を示されたい。

(2) 技術報告書によれば、「計画降雨を算定するために用いた雨量観測所は、百十一観測所、降雨は五百二十降雨であった」とされているが、現在までの試料を加えた場合、計画降雨を算定するために用いる雨量観測所及び降雨の数を示されたい。

3 答弁書第二号によれば、「河川整備基本方針」の作成時期、作成に当たって用いる計算手法等については、現時点では未定である」とされているが、平成十年二月十六日付の「第九回審議委員会での質問へのお答え」によれば、「吉野川水系の河川整備基本方針については、現在策定作業に着手した段階であるとしている。現在どのような作業を行っており、今後どのような作業が必要なのか具体的に示されたい。

五 模型実験等について

1 水位測定について垂直航空写真の実体視による手法は一般的なのか。一般的だと考える場合には、現在までにどの程度の実績があるのか示されたい。また、実際に工事実施基本計画を策定する際の基礎資料として、実体視手法を用いて水位の算定がなされた事例があるのかについても併せて示されたい。

2 答弁書第二号にある「実体視手法」における「流水が堤防に接している地点は、どの程度の誤差をもって測定が可能なのか。また、当該測量は、河川砂防技術基準調査編にある空中写真測量の記述に基づいて行われたものか。

3 実体視手法を用いて得られた比高の値が航空写真を撮影する高度等に応じて含むとされている誤差の程度につき説明されたい。

4 答弁書第二号では、痕跡水位と洪水時の水位の最大値の真値との誤差を明らかにすることは困難な性格のものであるとしているが、両者の関係についての研究はなされていないのか。

5 「吉野川第十堰水理模型実験 第十堰をもっとよく知っていただくために」に掲載されていない昭和四十九年洪水中の十五・六キロメートルから上流の実体視手法を用いた水位を〇・二キロメートルごとに明らかにされたい。また、十五・四キロメートル地点の水位が、右岸しか掲載されていない理由と、当該地点における左岸の水位を明らかにされたい。

六 利水目的について

1 答弁書第二号によれば、「吉野川に新設されることが計画されている第十取水口からの取水並びに一部残される旧吉野川及び今切川からの取水が困難になる事態が発生する可能性もある」とされている。

(1) 新設される第十取水口、一部残される旧吉野川及び今切川からの取水量は、何月に最大どの程度になると予測しているのかそれぞれ明らかにされたい。

(2) 第十堰がどの程度損壊すれば、そのような事態が発生するのか、具体的に説明されたい。

2 答弁書第二号によれば、大正十二年初夏に生じたとされる第十堰の損壊の原因に人為的なものが含まれるか否かについては、現時点で確認することは困難であり、また現時点で当時の旧吉野川の河床の状況を正確に把握することができないことから、当時の旧吉野川の河床の高さが取水障害に関係しているか否かを確認することは困難であるとされている。

(1) 堰の損壊及び取水障害の原因が特定できない事例を「第十堰建設事業に関する質問へのお答え」(建設省四国地方建設局作成)に記載した理由を示されたい。

(2) 吉野川下流部の流路が現在の形に固定されたとされる昭和二年以降で、現在の第十堰が直接の原因となって取水障害が生じた例があるのか、簡潔に示されたい。

3 答弁書第二号によれば、農業用水については、取水量の全体は把握できていないとのことである。

(1) 旧吉野川及び今切川における農業用水の許可水利権量を示されたい。

(2) 農業用水についての取水量の全体を把握しないまま、国営総合農地防災事業「吉野川下流域」地区事業を行っている理由を示されたい。

七 環境保全等について

1 答弁書第二号によれば、平成三年度及び平成四年度に実施した現地調査でハクセンシオマネキの生息が確認されていないのは、それぞれの調査の手法及び時期によるとされているが、現地調査の手法及び時期についてその内容を詳細に記されたい。また、当該現地調査を行った者の氏名及びその者に調査を依頼した理由を詳細に示されたい。

2 徳島県自然保護協会が指摘するまで、ルイスハンミョウの生息が確認できていなかったことは事実か。また、平成五年度の文献調査までその生息が確認できなかった理由を示されたい。

3 シマヘナタリが第五回環境調査委員会資料に記載されていることは事実か。また、「貴重種」であることが記述されていないことも事実か。記述がなされていない場合はその理由を示されたい。

4 イボウミニナについて調査で存在が確認されていながら、それが貴重種であると認識できなかったのは、この種についての専門知識を有しない者が調査を行ったとの疑問を抱かざるを得ない。当該調査を行った者の氏名及びその者に調査を依頼した理由を示されたい。また、徳島工事事務所が資料を有していなかったために、貴重種であることを見落としていたことについては、建設省としてその監督に問題はなかったのか。ないと考える場合にはその理由を示されたい。

5 答弁書第二号によれば、「徳島工事事務所は、吉野川の河口部から柿原堰までの区間において生息する生物等に関する現地調査を平成二年度から実施するとともに、学識経験者等から構成される第十堰環境調査委員会を平成四年から設置して、当該現地調査の結果の検討、吉野川第十堰建設事業によってもたらされる周辺環境への影響に関する調査等を実施してきた」とされている。

(1) 吉野川第十堰改築に係る河川環境調査の内容を、河川砂防技術基準調査編に基づき、各調査項目・段階ごとに示すとともに、現地調査を行った者の氏名、とりまとめられた調査結果の報告書名とその内容を示し、その結果を受けてどのような判断に至ったかを具体的に説明されたい。

(2) 「生物等に関する現地調査」を行ったとされているが、調査を行った年月日と調査を行った者の氏名、調査範囲、調査内容、調査に関する報告書名とその内容につきそれぞれ示されたい。また、調査を行う際に事前に現地調査計画を作成した場合にはその内容を、しなかった場合にはその理由を示されたい。

(3) 「学識経験者等から構成される第十堰環境調査委員会」が設置されているとのことであるが、構成員の氏名と任命された理由、当該委員会が開催された年月日、趣旨、議論の内容、提出された資料名をそれぞれ示されたい。

(4) 「周辺環境への影響に関する調査等を実施してきた」とされているが、調査を行った年月日、調査目的、調査範囲、調査を行った者の氏名、調査結果報告書名とその内容をそれぞれ明らかにされたい。

6 答弁書第二号にある仔アユの降下及び量に関する政府の見解について、その理由の根拠となる第一回環境調査委員会の資料に示された仔アユの降下に関するデータ等を示して説明されたい。また、政府は第十堰の改築にかかわらず、第十堰から仔アユが降下することはほとんどないという認識をもっていると考えられるがどうか。

7 答弁書第二号によれば、アユの遡上状況については当該改築によって改善されるとしているが、そのように考える理由を、現第十堰がアユの遡上に与える影響も含めて詳細に示されたい。

8 平成十年三月二十七日の財団法人日本自然保護協会から建設大臣に宛てた、「吉野川第十堰可動堰化及びダム事業審議委員会に対する意見書」(以下「意見書」という。)の添付資料には、建設省及び環境調査委員会の見解と最新の科学的知見の差異についての記載がなされている。

(1) 「最新の科学的知見」について、政府の見解を各項目ごとに示されたい。「最新の科学的知見」が事実ではないと考える場合には、反証となる資料や数値等を示し説明されたい。

(2) 一般的に、建設済の可動堰である河口堰は環境に対して大きな影響を与えていると考えるが、改築後の吉野川河口堰については今までの可動堰とは異なり影響が小さいと考える理由は何か、具体的に示されたい。

9 生活協同組合ふれあいコープ徳島、阿波みずすましの会及び吉野川シンポジウム実行委員会が「今切川の水質・底質、およびそれから予想される第十堰改築後の吉野川の環境変化について(第一次報告)」をまとめているが、本報告の内容を承知しているか。

その中では、今切川河口の藻類の発生原因として底泥からの燐供給の可能性等が指摘されているが、本報告中の数々の指摘に対する政府の見解を、根拠となる数値を示して具体的に説明されたい。特に、吉野川の栄養塩濃度は低いにもかかわらず、旧吉野川や今切川の河口堰付近では夏場に大量の藻類が発生する原因をどのように考えているのか、具体的に示されたい。

八 異常深掘れについて

1 答弁書第二号にある、「流下方向に対して斜めに設置されている堰付近における洪水時の流水及び土砂の挙動に関する特性」とは何か、具体的に示されたい。

2 答弁書第二号によれば、堰下流の深掘れの大きな原因は斜め堰であるとしているが、河床洗掘は昔から指摘されているはずである。堰下流の深掘れについて、過去にどのような指摘がなされているか、その文献名を含めて示されたい。

3 昭和五十一年に徳島工事事務所副所長から国府町佐野塚地区代表に「砂利採取について」が提出されているとのことだが、提出されるに至った経緯を詳細に示されたい。

4 堰下流右岸の深掘れ対策及び堤防補強につき、これまで行われてきた工事の実施年、費用、工事区間、実施理由及び各工事の内容につき詳細に説明されたい。特に、昭和五十一年から五十二年にかけて行われた深掘れ対策工事の具体的な内容を二百メートルピッチの横断図を示した上で詳細に説明されたい。

5 昭和五十一年の工事以降現在までの河床洗掘の経年変化につき、横断図や数値をもって具体的に説明されたい。

九 代替案等について

1 答弁書第二号によれば、根固めブロック等を投入する対策は、洗掘の進行を完全に抑止する効果までを期待できるとは必ずしも言えないとされているが、進行を完全に抑止できる効果が期待できる場合につき、具体的に示されたい。また、吉野川第十堰直下の深掘れは、なぜそのような場合に該当しないのかも併せて示されたい。

2 答弁書第二号によれば、昭和五十一年の河床洗掘は一回の洪水で大規模な洗掘が生じたとされているが、当該箇所でそれ以前に堤防の決壊に至るような大規模な洗掘が生じたことがあればその具体的な内容を、ない場合には、なぜ昭和五十一年の場合のみそのような洗掘が生じたのか、データをもとに説明されたい。

3 答弁書第二号によれば、「昭和五十八年度に根固めブロックを追加的に投入したにもかかわらず当該箇所でその後再び河床の洗掘が進行していることが確認されていること等」により、「根固めブロック等の投入のみによっては堤防の決壊に至るような河床の洗掘が生じる可能性を除去することは困難である」としている。

(1) 「確認されていること等」の「等」には、どのような事項が含まれるのか具体的に示されたい。

(2) 洗掘防止には様々な方法があるにもかかわらず、昭和五十八年の工事をもってそのような結論を得た理由を、当該工事内容を具体的に示した上で、科学的根拠をもって説明されたい。

(3) 「堤防の決壊に至るような河床の洗掘が生じる可能性」が、吉野川第十堰の直下においてどの程度考えられるのか、具体的に説明されたい。

4 吉野川第十堰改築事業については、昭和六十三年度から平成二年度まで実施計画調査が行われているが、特定多目的ダム法の施行についての河川局長通達(建河発五七六)に基づく基本計画の原案は策定されているのか。策定されているのであれば、策定年月日とその内容を、策定されていない場合にはその理由を示されたい。

5 堤防嵩上げ補強について

(1) 「第十堰改築事業代替案について(資料三)」(以下「資料三」という。)によれば、現位置固定堰改築案では、堤防拡幅に必要な面積は平均幅七メートルに延長である十キロメートルを乗じた七へクタールとなると考えるがどうか。なぜ用地取得の面積が十二ヘクタールになるのか計算過程や数値を示して詳しく説明されたい。

(2) 現位置固定堰改築案では過去の実績等から堤防嵩上げ補強に約二十年を要するとあるが、過去の実績等とはどの河川のどのような工事におけるものか具体的に示されたい。また、複雑で大規模な高速道路建設工事が着手から供用開始まで約十年でできていることを考慮すると、予算や人員が整えば、堤防嵩上げ補強についても十年以内にできると考えるが、二十年も要する理由を高速道路の建設や他の公共事業の例と比較して説明されたい。

(3) 堤防補強は、堤防上に供用されている県道の付け替えや拡幅にあわせて行えば非常に効率的であり、社会的影響は軽減されるものと考えるがどうか。また、現在道路工事が行われている右岸の六条大橋から防災ステーション付近は、洪水時において漏水などが発生するとされており、道路工事と同時に漏水対策や堤防補強を行えば経費などの節減を図ることができるものと考える。堤防補強を道路工事にあわせて行わない場合にはその理由を示されたい。

(4) 資料三によれば、関連工事として樋門や排水機場の改築が必要としているが、具体的な施設名、当該施設の河口からの距離及び改築費用をそれぞれ示されたい。また、改築が必要な理由を、その地点の堤防補強の前後の地形と施設の関係を図面に示し、詳細に説明されたい。

(5) 現位置固定堰改築案に限っては、平成九年七月十一日付の内閣参質一四〇第一二号の答弁書によれば、堤防嵩上げは一地点で六センチメートルのみとほとんど生じないので、樋管などに対する加重の増加はなく、拡幅幅がわずかであることから樋門などの改築の必要はないと考えられるがどうか。また、同様に排水機場の増設も必要とされているが、どの地点の排水機場において何トンの能力のポンプ等を増設するのか、その計算根拠を示して詳細に説明されたい。

(6) 資料三によれば、現況堤防の安定解析結果、計画高水位をあげた場合に堤内側安全率が一・一六から一・一九とされているが、安定計算に用いた計算式及び土質定数透水係数等を示されたい。

(7) 対策工の検討において、現位置固定堰改築案では法勾配を四割に緩傾斜化すると堤内法面安全率が一・二一になっているが、この安定計算は六十六ページに示されている検討断面図の堤防法先部分(小段より下部)のみの勾配を四割としたのか、それとも堤天から下の全体の法面を四割勾配としたのか。また、これらの計算に用いた全ての計算式及び定数を示されたい。

(8) 安定計算の外水条件に昭和五十一年波形を用いているが、技術報告書によると、昭和五十一年洪水における「岩津上流域平均二日間雨量は約五百八十ミリメートルに達しており、水文統計学見地から見ると異常値と検出された」とされている。このことから、昭和五十一年洪水波形を用いることさえ慎重であるべきにもかかわらず、さらにこの異常な洪水波形を増嵩したことは、二重に過大な外水条件を与えていると考えるがどうか。こうした過大な外水条件を与えた理由を、他の河川での採用事例や河川砂防技術基準など建設省が採用している基準と比較した上で説明されたい。

十 老朽化及び堰損壊の原因について

1 昭和三十年代から昭和五十年頃にかけて急激に河床が低下した原因は、無秩序な砂利採取にあると考えられる。吉野川全体及び吉野川第十堰より下流における砂利採取の実績を年度別にそれぞれ示されたい。

2 吉野川第十堰左岸部等のうち、徳島県が管理している時代に行った補修部分について、堰損壊につながるような堰下流端の川底からの浮き上がり、いわゆる根切れ及びこれに続く内部の空洞化が生じていると言われている。

(1) 根切れ状態が事実である場合には、いつから放置されているのか明らかにされたい。

(2) 根固めブロックとの間に生じている隙間と併せて、捨て石などによる埋め戻し等の応急的な処置が行われないのはなぜか。

(3) このような根切れと河床低下との関係についてどのように考えるのか。

3 昭和四十年以降に建設省が補修を行った部分につき、図を使って説明するとともに、当該部分で重大な損壊が生じていないか、明らかにされたい。また、当該部分の面積が、下堰全体の面積に対して占める割合を示されたい。

4 昭和五十七年の補修以降、大きな補修工事が行われていないのは、砂利採取が適切に管理され、急激な河床低下がなくなったことが主な原因であると考えるがどうか。

5 建設省の管理になって以降、堰の補修や復旧、補強に使われた費用とその内訳を年度別に示されたい。

十一 堰の撤去による河床低下等の問題について

建設省は、「第十堰撤去に伴う河床変動について」において、第十堰の撤去に起因する河床変動は、昭和三十年度とほぼ同様の安定的な河床勾配に移行するまでの比較的短期間に発生する現象であるとしているが、大熊孝新潟大学教授は第十堰審議委員会において、「学術的裏付けのない、単なる希望的観測にすぎないと考える」と指摘した上で、堰を撤去すると「日本の多くの川の事例を考えると、河床低下は避けられず、いずれかなり上流に及ぶものと考えておいた方が安全である。その場合第十堰を撤去したとしても、その後に床固めなど何らかの構造物が必要である」との重大な指摘をしている。

1 建設省の予測の根拠となった、河床変動計算に関する計算式及びその式に代入した数値につき示されたい。

2 河床勾配は、掃流砂量が非常に多かった昭和三十年頃とその後の砂利採取によって川に砂利すなわち掃流砂量が少なくなった現在とでは異なった数値になるはずである。また、昭和三十年度の河床勾配の想定において、堰によって生じた落差を含んだ河床勾配を想定していることは、河床勾配を大きくとりすぎて不適当ではないか。昭和三十年度の堰によって生じた落差も含んだ急な河床勾配で安定するという建設省のシミュレーション結果は、計算条件の設定や計算結果そのものに大きな誤差があると考えがどうか。

3 堰を撤去すると、高瀬橋(河口より十七キロメートル)付近より上流に生じているような明瞭な澪筋が連続して形成され、これに沿って局所洗掘が進行するものと考えられる。また、堰の撤去による河床低下は、堰を撤去することによって発達する澪筋に集中して起きることが多くの事例より予想されることから、現在水衝部となっている箇所ではより大きな河床低下が起きると考えられ、堰の上流部数キロメートルにわたって堤防などの根固め補強が必要になると考えるがどうか。

4 堰を撤去すると、川の蛇行の影響により、堰上流で形成された澪筋が堰付近では右岸堰取り付け部に向かい、現在生じている堰直下流の洗掘箇所をより大きく洗掘すると予想され、ここでもより大きな澪筋形成による洗掘が起きると考えるがどうか。

5 建設省は堰を撤去すると堰の右岸上流部の異常な局所洗掘がなくなると説明しているが、異常な局所洗掘とは、模型実験や第十堰下流の河床等高線図から読みとると、河口から十四・四キロメートルから十四・六キロメートルの間にポットホール状に生じた他の部分より著しく深くなっている洗掘部分であると考えられる。したがって、堰の撤去により、このようなポットホール状の洗掘はなくなるが、同時に、より発達する澪筋形成によるより大きな洗掘に収斂されることになると考えるがどうか。

6 堰の撤去によって生じる河床低下や新たな澪筋形成から起きると考えられる、より危険な局所洗掘に対して、可動堰への改築ではどのような対策を予定しているのか示されたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一の1について

盛土により築造された河川の堤防は、一般的に、洪水時における河川の水位の上昇に従って決壊する危険性が高くなると考えられることから、御指摘の「第十堰による水位上昇」については、御指摘の「堤防決壊」の原因の一つとして考えられるところである。

一の2について

建設省においては、現在の吉野川における河道の状況等から見て、洪水時における第十堰による水位上昇が堤防の決壊の危険性を高めること等にかんがみて、第十堰を改築する必要があると判断したものであるが、御指摘の「明治二十一年七月の洪水」による同川の堤防の決壊も、洪水時における第十堰による水位上昇が発生させる治水上の問題点を示す事例の一つであると考えている。

二の1について

御指摘の「想定されている吉野川の河道の状況」が、平成七年十一月に建設省四国地方建設局が作成した「第十堰改築事業に関する技術報告書」(以下「技術報告書」という。)のどの記載に関するものであるかは明らかでないが、例えば技術報告書の六十二ページに記載されている水位縦断図における水位の計算に当たっては、建設省四国地方建設局が作成し、平成七年十一月二十四日に開催された第二回吉野川第十堰建設事業審議委員会で配布した「吉野川定期川渡り横断図(縮小版)」中の「昭和四十八年断面」(以下「昭和四十八年度横断測量図」という。)を用いている。

二の2の(1)について

御指摘の「流下断面」は、昭和四十八年度横断測量図等を基に、吉野川の河ロからの距離が十キロメートルから二十四キロメートルまでの区間において、基本的に二百メートルごとに設定しているものである。また、徳島県吉野川第十堰改築計画等に関する質問に対する答弁書(平成十年三月三十一日内閣参質一四二第二号。以下「第三回答弁書」という。)二の2についてで述べた手法により、主要実績洪水(技術報告書の五十八ページに記載されている吉野川において過去に生起した主要な四洪水をいう。以下同じ。)のうち昭和四十九年に生起した洪水及び平成二年に生起した洪水について建設省が算出した各流下断面ごとの低水路の粗度係数の値は、別表第一のとおりである。

二の2の(2)について

別表第一の粗度係数の値の算出に当たって用いた「主要実績洪水から求めた粗度係数」については、「改訂新版建設省河川砂防技術基準(案)同解説調査編」(建設省河川局監修)(以下「河川砂防技術基準調査編」という。)の百三十九ページに記載されている「痕跡不等流逆算法」により算出したものである。

また、第三回答弁書二の2についてで述べた「高水敷の粗度係数」の算出に当たっては、徳島県吉野川第十堰改築計画等に関する質問に対する答弁書(平成九年十二月十九日内閣参質一四一第三号。以下「第二回答弁書」という。)二の3についてで示した手法を用いており、河川砂防技術基準調査編の百三十八ページに記載されている「粗度係数の逆算法」は用いていない。

二の2の(3)について

御指摘の「検証」及び「吟味」が、河川砂防技術基準調査編の百九ページにおける「一次元解析を前提にした平均流速公式自体の限界も考慮し、実測洪水データに基づく計算精度の検証、その結果を河道状態との関係で吟味すること、それを踏まえての計算結果利用における総合的判断は非常に大切である。」との記述に関するものとすれば、建設省四国地方建設局においては、技術報告書を作成した際に、吉野川の第十堰が存在する区間では、主要実績洪水において観測された痕跡水位(過去に生起した洪水の痕跡から観測された水位。以下同じ。)の値と建設省が行った主要実績洪水に関する水位の計算(以下「建設省の実績再現計算」という。)によって得られた水位の値とが合致しないことを検証した上で、当該区間ではその河道の状況から一次元的とはいえない複雑な流れが生じており、当該区間の水位計算に当たっては、一次元解析を適用することは困難である旨の結論を得たものである。

なお、こうした検討を踏まえた上で、吉野川に計画高水流量が生起したものとした場合の同川の河口からの距離が十四・二キロメートルから二十四キロメートルまでの区間における水位については、建設省四国地方建設局徳島工事事務所(以下「徳島工事事務所」という。)が平成八年に行った模型実験(以下「模型実験」という。)の結果等も勘案して総合的に判断している。

二の2の(4)について

河川砂防技術基準調査編の百十一ページの御指摘の記述は、「樹木群」内を「死水域」として扱う際の手法に関するものであるが、吉野川の河口からの距離が零キロメートルから二十四キロメートルまでの区間においては「死水域」として扱うべき「樹木群」は存しないことから、別表第一の粗度係数及び第二回答弁書二の4についてで述べた「合成粗度係数」の計算においては、御指摘の「検証」は行っていない。

二の2の(5)について

第三回答弁書二の3についてで述べた粗度係数の決定の方法については、粗度係数が含み得る誤差及び不確実性に対応したものであり、御指摘の「超過洪水に対する配慮」の観点からのものではない。

二の2の(6)について

建設省の実績再現計算においては、第十堰に関し一定の条件を設定した上で、水理学上の基礎的な理論式によって一義的に算出される吉野川の河口からの距離が十四・二キロメートルの地点(以下「十四・二キロメートル地点」という。)における水位の値を所与として、原則として〇・〇二〇から〇・〇〇五刻みの粗度係数の値を与え、必要に応じて〇・〇〇五刻みの値の中間的な値も用いて、それぞれの粗度係数の値に対応する水位の値を同川の河口からの距離が十四・二キロメートルから二十四キロメートルまでの区間の複数の地点について求め、当該求められた値がそれぞれの同じ地点における痕跡水位の値をおおむね下回ることとならないような一個の粗度係数の値を、同川の河口からの距離が十キロメートルから二十四キロメートルまでの区間を代表する粗度係数の値として決定したものである。

また、御指摘の「必要な精度」については、粗度係数を算定する際の一般的な留意事項として記述されているものである。

二の3について

御指摘の「特に考慮すべき差異」とは、植生の状況等の高水敷の粗度係数を規定する条件の差異を指すものである。

三の1について

御指摘の「理論式」とは、開水路において水理学上の限界水深が生じる場合に、流速の値を重力加速度の値と水深の値の積の平方根で除して得られる値(以下「水理学上のフルード数」という。)が一となる式を指しており、この式については水理学上の基礎的な知見であると認識している。技術報告書において行われている吉野川の洪水時の水位計算(以下「建設省の水位計算」という。)は、第十堰の上流側の堰及び下流側の堰が共に十四・二キロメートル地点において流下方向に対して直角に存在するとの条件を設定した上で、十四・二キロメートル地点の流下断面における平均的な水深及び流速により得られる水理学上のフルード数が一となる水位の値を当該条件下で一義的に算出し、当該水位の値を所与として、十四・二キロメートル地点より上流の水位の値を計算しているものである。

三の2の(1)について

御指摘の「建設省の行った水位計算の計算流出量」及び「誤差評価値を最小にする流出モデル」が具体的に何を指すか明らかではないが、例えば技術報告書の二十八ページから三十三ページまでに記載されている「実測洪水再現検証図」における「岩津地点流量」の計算値を求めるのに用いた流出モデルについては、吉野川において過去に生起した十一洪水における流量の再現状況からその適合性は良好であると判断したところであり、改めて河川砂防技術基準調査編の八十五ページに記載されている式(5-6)による検討を行う必要はないと考えている。

三の2の(2)について

建設省においては、吉野川の洪水による被害を未然に防止することを目的として治水計画を策定する観点から、二の2の(6)についてで述べた方法により主要実績洪水に係る粗度係数の計算を行ったところであるが、その過程においては、主要実績洪水において観測された痕跡水位の値と建設省の実績再現計算によって得られた水位の値との差をできる限り小さくするように努めたところである。

三の3について

技術報告書における吉野川に計画高水流量が生起したとした場合の水位の値は、「一次元不等流の計算法は一般的な計算手法であるが、斜め固定堰の複雑な流れを忠実に再現するには限界がある」との留保を付した上で、「不等流計算によれば、(中略)河口より十六キロメートルの地点においては計画高水位を四十二センチメートル超過することとなり」という形で計算結果として記述されているものであるが、その後行った模型実験の結果等も併せて考慮すれば、吉野川に計画高水流量が生起した場合において、同川の河口からの距離が十六キロメートルの地点(以下「十六キロメートル地点」という。)より上流の区間における同川の水位が建設省の水位計算から得られた値と同程度のものとなると予測することは、妥当であると考えている。

したがって、「洪水が流下する時に、第十堰が存在することにより、ある区間においてその水位が高くなることは、その区間においては安全性が他の区間の堤防に比べて低下することとなることから、治水上大きな問題である」との技術報告書の記述については、現在においても妥当なものと考えている。

三の4の(1)について

徳島工事事務所が平成九年十月に作成した「第十堰改築事業に関する質問へのお答え」(以下「第十堰改築事業に関する質問へのお答え」という。)の二十四ページに記載されている「建設省の3つの手法のせき上げ水位の比較表」に示されているように、十六キロメートル地点より上流の区間について、吉野川水系工事実施基本計画において計画高水流量を定めるに当たって想定した洪水が同川を流下する状態を想定した模型実験により得られた水位の値及び当該模型実験の結果と一次元不等流計算とを組み合わせた手法により得られた水位の値が、建設省の水位計算のうち同川に計画高水流量が生起したとした場合の水位の計算により得られた値と同程度であったことから、御指摘の「判断」を行ったものである。

三の4の(2)について

河川砂防技術基準調査編においては、その第二十一章第四節(空中写真測量)において、空中写真の実体視から標高を求める方法について、一般的な記述がなされている。

三の5の(1)について

計画高水流量の生起といった実際に観測された自然現象の範囲を超える仮想の現象を計算上取り扱うに当たっては、御指摘の「堰の形状や流水の幅」等の計算上の前提条件についても、用いられる計算手法の特性及び計算の目的を総合的に勘案して検討されるべきものと考えられる。

三の5の(2)について

河川に第十堰のような流水の流下方向に対して斜めに設置されている堰(以下「斜め堰」という。)が存在することにより一次元的とはいえない複雑な流れが生じている場合には、実際の自然現象を一次元不等流計算の手法を用いて再現することには限界があると考えており、第十堰に関しては、模型実験等も併せて行っているところである。

三の6について

第三回答弁書三の5及び6の(1)については、堰の上流における水位の値は理論上堰の形状に応じて算出されるものである旨を一般的に述べたものであり、堰の形状に関する計算上の前提条件については、計算手法の特性及び計算の目的に応じて適切な設定を行うべきものであると考えている。また、御指摘の「理論」とは、水理学上の限界水深が生じる場合には水理学上のフルード数が一となる等の理論を指している。

三の7及び8について

吉野川シンポジウム実行委員会が平成九年五月に作成した「水位計算の結果について」(以下「水位計算資料」という。)中の昭和四十九年九月に生起した洪水(以下「昭和四十九年洪水」という。)を対象としたと考えられる水位の計算結果を用いて、十四・二キロメートル地点における水理学上のエネルギー水頭の値(以下「市民団体のエネルギー水頭の値」という。)を建設省において算出した結果、阿波工事基準面(東京湾平均海面マイナス〇・八三三三メートル。以下同じ。)を基準とした高さ九・八三メートルという値を得ている。

一方、水位計算資料に明記されている堰頂部の高さ(阿波工事基準面を基準とした高さ五・一メートル)、堰の長さ(五百五十メートル)及び高水敷の幅(百メートル)並びに水位計算資料から推定した高水敷の高さ(阿波工事基準面を基準とした高さ七・一メートル)を用いて、計算上第十堰が流下方向に対して直角に存在するものと仮定した上で、昭和四十九年洪水を対象に、計算上の第十堰の存する地点の流下断面における平均的な水深及び流速から得られる水理学上のフルード数が一となるものとして建設省において算出した同地点におけるエネルギー水頭の理論上の最小値は、阿波工事基準面を基準とした高さ十・四六メートルとなる。このことから、当該最小値を下回る市民団体のエネルギー水頭の値は適切ではないと考えたものである。

なお、一次元不等流計算におけるエネルギー水頭の値については、計算上の前提条件に応じて算出されるものであり、御指摘のような「絶対的な値」が存するものではない。

三の9及び10について

斜め堰を越流する流水の向き、幅等の値は、堰付近での複雑な水の流れにより変化するものと考えられるが、流水の二次元的な挙動を的確に反映することが可能な汎用性を有する一次元不等流計算の手法は確立されていないと考えられることから、建設省の水位計算においては、一般に用いられている一次元不等流計算の手法と同様に、吉野川の流水の幅を、一次元不等流計算でいう流水の流下方向に対して直角の方向に測った幅として取り扱っているものである。

なお、斜め堰の存在が洪水時の水位に及ぼす影響を的確に予測するためには、一次元不等流計算の手法では限界があることから、必要に応じ模型を用いた水理実験等を行った上で総合的な判断を行うことが適切であると考えている。

四の1について

御指摘の「大きな変化」とは、治水計画において氾濫防御の対象とする氾濫原の市街化が著しく進むこと、治水計画の対象とされた河川において大きな被害をもたらすような洪水が生起すること等の変化を指すものであり、それぞれの河川における基本高水等の見直しについては、当該河川における治水計画に係る状況の変化を踏まえ、適切な検討がなされるべきものと考える。

四の2について

徳島工事事務所は、平成十年三月二十日に開催された第十一回吉野川第十堰建設事業審議委員会で配布した「計画降雨量と確率計算の試料期間について」において、大正二年から平成八年までに百十一の雨量観測所において記録された五百八十降雨の降雨量のデータを用いて吉野川岩津地点上流の年超過確率百五十分の一の流域平均二日雨量を試算した結果として、当該試算により求められた値が現行の吉野川水系工事実施基本計画において用いられている計画降雨量の値と大きく変わらない旨を明らかにしたものであり、新たに計画降雨量、基本高水及び計画高水流量に関する計算を行ったものではない。

四の3について

吉野川水系における河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第十六条第一項に規定する河川整備基本方針の作成に向けて、現在、徳島工事事務所において基礎資料の収集、整理等を行っており、今後、同水系に係る基本高水、計画高水流量等の検討を行うこととしている。

五の1から3までについて

御指摘の「垂直航空写真の実体視」による洪水時の河川の水位の測定を行うことは、必ずしも一般的ではないと考えられる。また、一級河川について、河川法の一部を改正する法律(平成九年法律第六十九号)による改正前の河川法第十六条第一項に規定する工事実施基本計画を定める際の基礎資料として「垂直航空写真の実体視」による水位測定の手法が用いられた事例については確認していない。

なお、御指摘の「垂直航空写真の実体視」による地形測量については、河川砂防技術基準調査編の第二十一章第四節において一般的な記述がなされているところである。また、「実体視手法を用いて得られた比高の値が航空写真を撮影する高度等に応じて含むとされている誤差の程度」については、「写真測量」(社団法人日本測量協会)等に一般的な知見として記述されているところである。

五の4について

痕跡水位と洪水時において水位計で観測された水位との関係については、例えば、河川砂防技術基準調査編百四十六ページの図6-24に示されているような研究成果があるが、当該研究成果のみをもって痕跡水位の値が洪水時の水位の最大値の真値に対して有する誤差の程度を理論上明らかにすることは困難であると考えている。

五の5について

御指摘の「十五・六キロメートルから上流」の地点については、徳島工事事務所が昭和四十九年洪水時の水位を測定するために用いた垂直航空写真の撮影範囲には入っておらず、また、当該航空写真における御指摘の「当該地点における左岸」に相当すると考えられる箇所については、雲の影響により当該箇所における水面の映像が得られていないことから、いずれも御指摘の「実体視手法を用いた水位」を示すことはできない。

六の1の(1)について

国営吉野川下流域土地改良事業(以下「本件土地改良事業」という。)の実施に伴う水利使用は、本件土地改良事業を所管する農林水産省と本件土地改良事業に係る水利使用の許可を所管する建設省との間で現在予備的な協議を行っているところであり、本件土地改良事業に係る取水量は確定されていない。

六の1の(2)について

第十堰がどの程度損壊すれば、本件土地改良事業に伴って吉野川に新設されることが計画されている第十取水口からの取水並びに第十取水口設置後も一部残される旧吉野川及び今切川からの取水が困難になる事態が発生するかを具体的に特定することは困難であるが、例えば平成四年度に測量した吉野川の河道形状を前提とし、同川に毎秒百立方メートルが流下しているとの仮定の下に、第十堰の左岸側が約百メートルにわたり損壊したとした場合には、第十樋門の存する地点における水位は第十樋門の敷高(流水を流下させる部分の底部の高さをいう。)よりも低くなると予測されることから、そのような事態が発生する可能性は否定できないものと考えている。

六の2の(1)について

第十堰改築事業に関する質問へのお答えの二十ページにおける大正十二年初夏に生じたとされる第十堰の損壊に関する記述は、第十堰の損壊により旧吉野川の流量が減少し同川沿川の地域に被害が発生した事例として記載されたものであり、堰の損壊の原因を問題としているものではない。なお、大正十二年当時においては吉野川の流水は基本的には、第十堰によってせき上げられ、旧吉野川に流下していたと考えられることから、御指摘の「取水障害」は同年の第十堰の損壊で第十堰の上流の区間における水位が低下し、それに伴って旧吉野川の流量が減少したことによって生じたと推測することが妥当であると考えている。

六の2の(2)について

昭和二年以降の第十堰の損壊に伴う取水障害の事例をすべて把握しているとはいえないが、建設省においては、昭和三十六年の第十堰の損壊に伴い旧吉野川の流量が減少し海水が遡上したため農業用水が使えなかった事例を掲載した昭和三十七年二月三日付けの徳島新聞の記事の存在は確認している。

六の3の(1)について

旧吉野川及び今切川に係る平成十年七月現在の農業用水の許可水利権に基づく最大取水量の合計は、毎秒約八・〇立方メートルである。

六の3の(2)について

本件土地改良事業については、土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第八十七条第一項に基づいて土地改良事業計画を策定し、事業を実施しているところである。

本件土地改良事業の施行に係る地域(以下「本件事業地域」という。)における農業用水については、許可水利権に係る取水施設以外に、取水量を報告する義務がない慣行水利権に係る九十か所以上の取水施設によって取水されていることから、その取水量の総量の実態は把握できていない。

一方、本件土地改良事業に係る土地改良事業計画における農業用水の最大取水量については、本件事業地域に関し、吉野川、旧吉野川及び今切川に係る農業用取水施設の取水方法、規模、能力等の実態を把握するとともに、かんがい面積、営農計画等の本件土地改良事業の諸元を勘案して、本件事業地域における許可水利権及び慣行水利権に基づく農業用水の最大取水量の合計の範囲内において、おおむね毎秒三十二立方メートルと算出しており、取水量の総量の実態が把握できていないことによる本件土地改良事業実施上の支障は生じていない。

七の1について

徳島工事事務所が平成三年度に実施したエビ・カニ類分布調査においては、平成三年七月から十一月までの期間において、カニカゴによる採捕及び現地踏査による目視により、出現種、生息分布等の調査を実施している。また、徳島工事事務所が平成四年十月に実施した底生動物の調査においては、サーバーネット、採泥器、手網等による採捕により出現種、生息分布等の調査を実施している。なお、平成三年度のエビ・カニ類分布調査及び平成四年度の底生動物調査については、競争入札による委託契約により株式会社建設環境研究所が行ったものである。

七の2について

平成二年度から平成八年度までの間に、吉野川の河口部から柿原堰までの区間で徳島工事事務所が実施した自然環境調査(以下「徳島工事事務所の自然環境調査」という。)において、ルイスハンミョウの生息が確認されたのは、平成五年度の文献調査が初めてである。なお、御指摘の「確認できなかった理由」については、徳島工事事務所の自然環境調査のうち平成二年度から平成四年度までの間に行われたものにおける現地調査の調査の地点等によるものと考えられる。

七の3及び4について

シマヘナタリは、平成九年三月に徳島工事事務所が作成し平成九年三月二十一日に開催された第五回第十堰環境調査委員会で配布した「吉野川下流域の自然環境調査(基礎データH2~H8)」(以下「自然環境調査基礎データ」という。)に記載されている。

自然環境調査基礎データでは「日本の絶滅のおそれのある野生生物」(環境庁編)等の一般的と考えられる文献に基づいて「貴重種」の選定を行ったものであり、シマヘナタリ及びイボウミニナについては、これらの文献に記述されていなかったことから自然環境調査基礎データにおいて「貴重種」として記述されなかったものである。

なお、イボウミニナの存在が確認された平成六年度の底生動物調査については、競争入札による委託契約により株式会社建設環境研究所が行ったものである。

七の5について

御指摘の「吉野川第十堰改築に係る河川環境調査」が具体的に何を指すか明らかではないが、河川砂防技術基準調査編の第十八章第二節(生物調査)に相当する御指摘の「生物等に関する現地調査」については、平成二年度から平成八年度までの間に徳島工事事務所によって実施されており、その結果は、魚類、底生動物、付着藻類、海産藻類、陸上植物、大型水生植物、鳥類、昆虫類、両生類、爬虫類及び哺乳類の項目ごとにとりまとめられ、自然環境調査基礎データにおいても生物目録等として記載されているところである。

また、御指摘の「周辺環境への影響に関する調査等」については、平成九年三月に徳島工事事務所が作成し第五回第十堰環境調査委員会で配布した「第五回第十堰環境調査委員会資料」(以下「第五回環境調査委員会資料」という。)等の中で、第十堰の改築により生ずると予測される河床の変動、水質の変化等に関する調査の結果が記載されたところである。

さらに、第十堰環境調査委員会は、第十堰の改築に先立って、水域及び陸域の現況並びに生物の現況を把握して第十堰の改築に伴う周辺環境の保全対策について検討し、これらを事業に反映させるための提言及び助言を行うことを目的に徳島工事事務所が設置したもので、その目的を達成するために必要な学識経験者並びに建設省及び徳島県職員を委員として、平成四年十月五日、平成五年六月十六日、平成六年七月二十日、平成八年一月三十日及び平成九年三月二十一日に開催されたものである。第十堰環境調査委員会では、第十堰周辺の自然環境調査計画案、第十堰周辺の自然環境調査の結果、第十堰の改築に伴う環境保全対策案等に関する資料が提出され、これらに関する検討が行われた結果、平成九年三月二十一日に開催された第五回第十堰環境調査委員会において、第十堰の改築に伴う生物環境への影響について、第十堰環境調査委員会が設定した環境保全目標は達成される旨の判断がなされているものである。

なお、徳島工事事務所の自然環境調査及び御指摘の「周辺環境への影響に関する調査等」は、多様な項目に関して実施されたものであることから、調査の日時等として特定のものを示すことのできる性格ののではない。

また、各回の第十堰環境調査委員会に提出された資料については基本的に公開されているところであり、第十堰環境調査委員会における委員等については、公開された資料に示されている。

七の6について

御指摘の「政府の見解」は、平成八年度及び平成九年度に徳島工事事務所が実施した現地調査の結果から旧吉野川の分派点における降下仔アユの密度は吉野川と旧吉野川とで同程度と判断することが妥当との結論が得られていることから、吉野川において仔アユが降下するとされるおおむねの期間における近年の同川の流水の状況からみて、産卵場から降下してきた仔アユの大部分は旧吉野川を降下するものと考えられるとしたものである。

また、第三回答弁書七の4及び6については、御指摘の「第十堰から仔アユが降下することはほとんどないという認識」を示したものではなく、現在の第十堰に代わる可動堰をその下流側に設置した場合に、吉野川の産卵場から海へ降下する仔アユの量が現状と比較して大きく減少することにはならないと考えている旨を述べたものである。

七の7について

現在の第十堰の魚道については、堰上流の水位が低いときには水が流れないこと等から、アユの遡上に影響があるものと考えている。今回第十堰を可動堰に改築するに当たっては、現在のものと比較して機能上より優れた魚道を設置することとしていること、魚道を流下する流量を増加させることとしていること等から、当該改築によってアユの遡上状況は改善されるものと考えている。

七の8の(1)について

御指摘の「最新の科学的知見」については、その事実関係等について現時点で確認しておらず、見解を示すことは困難である。

七の8の(2)について

可動堰が環境に与える影響は、堰ごとに条件が異なるためー律にとらえられるものではなく、個々の堰ごとに評価されるべきものと考えており、第十堰の改築については、今後環境影響評価を実施することとしているところである。

七の9について

御指摘の「報告」については承知しているが、その事実関係等について現時点で確認しておらず、見解を示すことは困難である。

八の1について

御指摘の「流下方向に対して斜めに設置されている堰付近における洪水時の流水及び土砂の挙動に関する特性」とは、斜め堰が存在する河道を洪水が流下する際に、当該堰の直下流において、堰の取付け位置が上流である側の河岸(以下「上流側河岸」という。)の方向に流れが集中し、流れが土砂を掃流する力が大きくなる一方で、当該堰の直上流において、河床付近の土砂が堰に沿って上流側河岸の対岸方向に流れることにより、堰下流部の上流側河岸への土砂の供給が阻害されることを指すものである。

八の2について

第三回答弁書八の1及び2についてで述べたとおり、吉野川において昭和五十一年九月に生起した洪水(以下「昭和五十一年洪水」という。)によって生じた通常時の水面から約二十メートルの深さに及ぶ河床の洗掘については、第十堰が流下方向に対して斜めに設置されていることがその大きな原因であると考えているが、建設省においては、第十堰下流の河床の洗掘に関する文献の記載については承知していない。

八の3について

昭和五十一年十月二十五日に徳島市国府町佐野塚地区代表等から徳島工事事務所長あてに「河川敷の早期復旧ならびにバラス採取の段階的中止並に採取業者に対し採取規制の厳守についての厳重な指導監督のご依頼について」とする陳情書が提出され、同日付けで徳島工事事務所副所長から佐野塚地区代表あてに御指摘の「砂利採取について」が提出されていることは確認しているが、御指摘の「提出されるに至った経緯」について現時点で確認することは困難である。

八の4について

御指摘の「堰下流右岸の深掘れ対策及び堤防補強」として昭和四十年度以降徳島工事事務所が行った工事のうち現時点で確認できるものについて、工事の実施年度、工事に要した費用、工事区間、工事内容及び工事の実施理由を示すと別表第二のとおりである。

また、昭和五十一年度及び昭和五十二年度に徳島工事事務所が行った昭和五十一年洪水に係る災害復旧工事においては、十四・二キロメートル地点から測って上流側に百メートルの地点から吉野川の河口からの距離が十四・六キロメートルの地点から測って上流側に四十メートルの地点までの区間で右岸側に生じた河床の洗掘に対して、基本的には阿波工事基準面を基準とした高さマイナス十メートルまでを砂利で、マイナス十メートルからマイナス八メートルまでを捨石でそれぞれ埋め戻した上、マイナス八メートルからマイナス六・三メートルまでを根固めブロックで被覆している。また、当該区間の同川の水位が阿波工事基準面を基準とした高さ一メートルであるときに生じる水際線から川側に水平におおむね二十五メートルの範囲の河岸を、根固めブロックで被覆している。

八の5について

昭和五十一年以降の吉野川の河口からの距離が十四・四キロメートルの地点及び十四・六キロメートルの地点の同川の横断面について、徳島工事事務所が測量した阿波工事基準面を基準とした最深の河床の高さの値を示すと、別表第三のとおりである。

九の1について

吉野川の昭和五十一年洪水による河床の洗掘が発生した箇所においては、昭和五十八年度に根固めブロックを追加的に投入したにもかかわらずその後再び河床の洗掘が進行していることが確認されており、これまでに施工された他の河川における多くの事例等から判断しても、河床の洗掘への対策として河床の洗掘が生じた場所に根固めブロック等を投入する工法では、河床の洗掘の進行を緩和する効果は期待できるものの、その進行を完全に抑止する効果までを期待できるとは必ずしもいえないと考えている。なお、どのような場合に根固めブロック等の投入によって河床の洗掘の進行を完全に抑止できるかについては、承知していない。

九の2について

御指摘の「箇所」において、御指摘の「堤防の決壊に至るような」河床の洗掘が生じたことがあるか否かについては、確認できない。

九の3の(1)及び(2)について

御指摘の「事項」は、八の1についてで述べた斜め堰付近における洪水時の流水及び土砂の挙動に関する特性を指しており、当該特性も考慮すれば、第十堰が流下方向に対して斜めに設置されている状況においては、堤防の決壊に至るような河床の洗掘が生じる可能性を除去することは困難であると考えたものであって、昭和五十八年度の工事後の河床の状況のみをもって御指摘のような結論を得たものではない。

九の3の(3)について

御指摘の「程度」について具体的に示すのは困難であるが、第三回答弁書九の1の(1)及び(3)についてで述べたとおり、根固めブロック等の投入のみによっては堤防の決壊に至るような河床の洗掘が生じる可能性を除去することは困難であると考えている。

九の4について

吉野川第十堰建設事業に関して、「特定多目的ダム法の施行について」(昭和三十二年建河発第五百七十六号建設省河川局長通達)に基づく基本計画の原案は作成されていないが、これに代わるものとして、平成二年八月に建設省河川局開発課により「吉野川第十堰建設事業計画書」が作成されている。

九の5の(1)について

建設省四国地方建設局が平成八年十二月に作成した「第十堰改築事業代替案について」(以下「代替案検討資料」という。)の六ページに記載されている「第十堰治水対策案概要」(以下「第十堰治水対策案概要」という。)中の「現位置固定堰改築案」における堤防拡幅については、代替案検討資料の七十三ページの「対策工の概要」に示されているように、左岸及び右岸の堤防拡幅の幅に排水路の設置のため必要な幅(約六メートル)を加えた幅(平均約十二メートル)を用地買収幅としており、これに堤防拡幅の延長である十キロメートルを乗じて御指摘の「十二ヘクタール」を算出しているものである。

九の5の(2)について

代替案検討資料において堤防嵩上げ補強に約二十年を要すると記述しているのは、昭和二十四年から約二十年間にわたって行われた吉野川における第二期改修工事の実績を参考としたものである。なお、河川工事については、施工時期等に制約があることから、その施工期間について他の公共事業と単純に比較することは困難であると考えている。

九の5の(3)について

代替案検討資料の十二ページに記載されている「第十堰の治水対策案の比較」における「治水対策案」は、代替案の比較検討のための資料として、各案について河川管理者が単独で行う河川工事に要する事業費を試算しているものである。

九の5の(4)及び(5)について

第十堰治水対策案概要中の「現位置固定堰改築案」の関連工事として改築が必要と考えられた樋門又は排水機場の名称、河口からの距離及びその改築に要する費用並びに排水機場のポンプの増設能力(ポンプを増設する河川の流域面積等を勘案した概算値)は、別表第四のとおりである。また、「堤防補強案」及び「引堤案」の関連工事として改築が必要であると考えられた樋門又は排水機場の名称、河口からの距離及びその改築に要する費用は、別表第五から別表第八までのとおりである。

第十堰治水対策案概要中の「現位置固定堰改築案」及び「堤防補強案」を採用すると仮定した場合には、吉野川の計画高水位の上昇に対応するため、排水機場のポンプの増設並びに第十堰治水対策案概要中の「堤防嵩上げ補強断面」に示される堤防の嵩上げ及び拡幅に伴う樋門の改築が必要となると考えたものであり、堤防の嵩上げの必要がほとんど生じない箇所においても、堤防の拡幅による荷重条件の変化に伴って樋門の改築は必要であると考えたものである。

また、第十堰治水対策案概要中の「引堤案」を採用すると仮定した場合には、第十堰治水対策案概要中の「堤防引堤案標準断面図」に示したように堤防が設置される位置が変わることから、樋門及び排水機場の改築が必要であると考えたものである。

九の5の(6)及び(7)について

代替案検討資料の六十九ページに記載されている「現位置固定堰改築案の緩傾斜化勾配」の「平均法勾配」が「一: 四・〇」の堤防(以下「四割堤防」という。)とは、同ページの「対策工検討ケース」に示されているように、堤防天端の堤内地側の端部から堤内地盤までの法面全体について、鉛直距離に対する水平距離の比の値が四・〇である堤防をいうものである。

また、代替案検討資料の六十六ページに記載している「現状堤防」及び四割堤防の安定計算に用いた数式は、代替案検討資料の五十五ページに示されているものを用いており、当該計算を行うに当たって用いた土質定数及び透水係数は、代替案検討資料のそれぞれ五十六ページ及び五十三ページの表に示されている値を用いている。

九の5の(8)について

技術報告書においては、水文統計学的見地から、昭和五十一年洪水時における吉野川岩津地点上流の流域平均二日雨量を、雨量の値としては異常値であるとしているにすぎないものであり、昭和五十一年洪水の「波形」を堤防の浸透流解析を行うに当たっての外水条件として用いることが、御指摘の「過大な外水条件」となるとは考えられない。

また、既往洪水の水位波形を計画高水位まで引き伸ばすことについても、堤防の浸透流解析を行う際の外水条件に関し、「改訂新版建設省河川砂防技術基準(案)同解説設計編[I]」(建設省河川局監修)の十六ページに「各洪水の基準地点における水位波形をもとに、堤内地盤高あるいは平水位以上の水位の継続時間を求め、これを計画高水位まで引き伸ばした台形波形に置き換えて外水を設定する方法もある。」と記述されていることに照らしても、御指摘のような「過大な外水条件」となるとは考えられない。

十の1について

吉野川の建設省が管理する区間(建設省四国地方建設局吉野川ダム統合管理事務所の所管する区間を除く。)及び同川の第十堰下流の区間のそれぞれにおける河川法第二十五条の許可を受けた砂利採取量を年度別に示すと別表第九のとおりであるが、砂利採取量の実績については、現時点で確認することはできない。

十の2から5までについて

第十堰の下流側の端部において、第十堰を構成するコンクリートより下部の土砂が流出した状能(以下「根浮き状能」という。)が生じている箇所が存在することは認識しているが、その根浮き状態が生じた時点を詳細に承知しているものではない。

昭和三十六年度以降において、第十堰の災害復旧工事等を実施した箇所については、第十堰改築事業に関する質問へのお答えの十五ページに記載されている「第十堰本体災害復旧等履歴平面図」に示されているとおりであり、これらの箇所のうち昭和四十年度以降に徳島工事事務所が災害復旧工事等を実施した部分(以下「建設省による復旧部分」という。)の面積が下堰(第十堰の構造物のうち、吉野川の中央部から右岸にかけて設置されている上流側の固定堰を除いた部分をいう。)が設置されている土地の面積に占める割合は約八割程度であると考えている。また、昭和四十年度以降、現時点で確認できる範囲で、第十堰の災害復旧工事等に要した費用及びその内訳を年度別に示すと、別表第十のとおりである。

建設省による復旧部分については、徳島工事事務所が平成八年二月に実施した目視による調査で確認した結果では、堰表面のコンクリートの亀裂及び破損、漏水等が確認されており、建設省による復旧部分についても将来災害復旧工事を要するような堰の損壊が生じる可能性は否定できないと考える。

また、第十堰において、災害復旧工事を要するような堰の損壊及び根浮き状態については、河床低下のみを原因として生じたものと推測することは困難であり、内部が主として土砂等により構成されているという第十堰の構造そのものが大きな原因となって生じたものと考えられることから、第十堰の損壊を防ぐためには、抜本的な改築が必要であると考えているところである。

十一の1及び2について

第十堰の撤去に伴う河床変動については、建設省四国地方建設局が作成し、平成八年七月十一日に開催された第四回吉野川第十堰建設事業審議委員会で配布した「第十堰撤去に伴う河床変動について」において、過去の河道の状況の変化から「第十堰を撤去することにより、堰上流の土砂は、撤去したあと数洪水で堰下流に移動し、昭和三十年度の安定した河床勾配とほぼ同様となって安定すると予想される」との判断を示しているところである。

その後、建設省四国地方建設局において、河川砂防技術基準調査編の二百七十五ページ及び二百七十七ページに記載されている式(14-1)及び(14-15)、「河川の土砂災害と対策」(森北出版株式会社)の四十一ページに記載されている式(2・67)、「流砂の水理学」(丸善株式会社)の三百八十二ページに記載されている式(12・37)、式(12・39)等の計算式並びに吉野川の流量、河床材料の粒径分布、水理学上の諸定数等の数値を用い、第十堰を撤去した場合の吉野川の河床の変動に関する予測計算を行い、平成九年五月九日に開催された第六回吉野川第十堰建設事業審議委員会で配布した「第十堰に関わるせき上げ及び河床変動計算について」の三ページの「第十堰撤去後の河床変動予測」に示された第十堰撤去後の河床変動予測の計算結果を得ているものであり、当該計算結果が、昭和三十年度の平均河床から想定される縦断形にほぼ等しくなることから、「第十堰撤去に伴う河床変動について」において示された判断は妥当であると考えている。

なお、御指摘の「昭和三十年度の河床勾配の想定」については、昭和三十年度の第十堰の上下流にわたる吉野川河口からの距離が十一キロメートルから二十四キロメートルまでの区間の河床勾配から判断して、御指摘のように「河床勾配を大きくとりすぎて不適当」であるとは考えていない。

十一の3から6までについて

御指摘の「川の蛇行」及び「澪筋形成」については、河川において一般に見られる現象であり、現在の第十堰を撤去し可動堰に改築した場合の吉野川の河道維持のための対策については、河川について通常必要とされる対策の程度と大きく変わらないものとなると考えられる。

別表第一~別表第十 1/23

別表第一~別表第十 2/23

別表第一~別表第十 3/23

別表第一~別表第十 4/23

別表第一~別表第十 5/23

別表第一~別表第十 6/23

別表第一~別表第十 7/23

別表第一~別表第十 8/23

別表第一~別表第十 9/23

別表第一~別表第十 10/23

別表第一~別表第十 11/23

別表第一~別表第十 12/23

別表第一~別表第十 13/23

別表第一~別表第十 14/23

別表第一~別表第十 15/23

別表第一~別表第十 16/23

別表第一~別表第十 17/23

別表第一~別表第十 18/23

別表第一~別表第十 19/23

別表第一~別表第十 20/23

別表第一~別表第十 21/23

別表第一~別表第十 22/23

別表第一~別表第十 23/23

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×10承知していない ×2

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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