ことばで探す › 参議院 第145回
徳島県吉野川第十堰改築計画等に関する質問
参議院 第145回 第8号お答えすることは困難 ×1承知していない ×1
質問本文
徳島県吉野川第十堰改築計画等に関する質問主意書
徳島県吉野川第十堰改築計画に関しては、平成十年五月二十八日に「徳島県吉野川第十堰改築計画等に関する再質問主意書」(以下「前回の質問主意書」という。)を提出し、政府から平成十年八月二十一日付で、内閣参質一四二第一八号の答弁書(以下「答弁書第一八号」という。)が寄せられたところである。その答弁内容については、未だ不明確な点も含まれており、事実関係のさらなる解明を行う必要があると考える。したがって、再度以下の質問をする。
一 粗度係数について
1 平成七年十一月に建設省四国地方建設局が作成した「第十堰改築事業に関する技術報告書」(以下「技術報告書」という。)によれば、「粗度係数の再現に用いた洪水の水位は高水敷部の水深が小さく大部分が低水路を流れているため、その水位はほとんど低水路の粗度によって支配されており、実績洪水の痕跡から求めた粗度係数は低水路の粗度係数と考えられる」とされており、実績の平均冠水深は、内閣参質一四一第三号の答弁書に示されているところである。当該答弁書によれば、各地点の高水敷部のかなりの部分で一メートルを超える冠水が見られる。
その水深であるにもかかわらず、「高水敷部の水深が小さい」というのは、どのような根拠でそのような判断を行っているのか、計画高水時と実績洪水時の水深の比較をもとに具体的に説明されたい。
2 技術報告書によれば、吉野川の高水敷の草丈は一・二メートル程度であるとしているが、実際の草丈の調査はいつ、誰が、どのような形で行いどのような結果が出たのか、また、高水敷の草丈が一・二メートルであると誰がどのような根拠をもとに判断をしたのか、具体的に示されたい。
3 答弁書第一八号によれば、「十四・二キロメートルの地点における水位の値を所与として、原則として〇・〇二〇から〇・〇〇五刻みの粗度係数の値を与え、必要に応じて〇・〇〇五刻みの値の中間的な値も用いて、それぞれの粗度係数の値に対応する水位の値を同川の河口からの距離が十四・二キロメートルから二十四キロメートルまでの区間の複数の地点について求め、当該求められた値がそれぞれの同じ地点における痕跡水位の値をおおむね下回ることとならないような一個の粗度係数の値を、同川の河口からの距離が十キロメートルから二十四キロメートルまでの区間を代表する粗度係数の値として決定したものである」とされているが、「おおむね下回らない」という判断は主観的であり、客観的な根拠が不明であると言わざるを得ない。建設省の実績再現計算における十四・二キロメートル地点から二十四キロメートルまでの水位を計算した粗度係数ごとにそれぞれ示すとともに、なぜ河口から十キロメートル地点から二十四キロメートル地点までの実績洪水から求めた粗度係数が〇・〇三五であると判断したのかを示されたい。
4 吉野川第十堰の改築にあたっては、過去にかなりの委託調査を行い、報告書が出されている。過去の報告書において、吉野川の粗度係数の想定はどのように変化しているのか、計画高水時と実績洪水時の変遷を示し、なぜそのような変更が行われているのか、その理由を示されたい。
二 水位計算について
1 前回の質問主意書において、「「水理学上の基礎的な理論式によって一義的に算出される」とあるが、算出の前提となる、建設省の水位計算における「第十堰の上流側及び下流側の堰が共に十四・二キロメートル地点において流下方向に対して直角に存在するものと仮定して、同地点での流下断面については高水敷と第十堰とを区分せずに一体の河床部分として扱っており、吉野川に計画高水流量が生起しているものとした場合における流水の幅及び当該河床部分の平均的な高さの値は、それぞれ約六百十八メートル及び阿波工事基準面を基準とした高さ五・八七メートル」という仮定は、一義的なものなのか。一義的であると考える場合にはその理由と根拠を、考えない場合には、その前提が一義的でないにもかかわらず算出が一義的であると結論づける理由を示されたい。」との質問をしたところである。
(1) 答弁書第一八号によれば、「御指摘の「理論式」とは、開水路において水理学上の限界水深が生じる場合に、流速の値を重力加速度の値と水深の値の積の平方根で除して得られる値(以下「水理学上のフルード数」という。)が一となる式を指しており、この式については水理学上の基礎的な知見であると認識している。」とされている。しかし、これは堰形状がきちんと決まっていれば、水理学上のフルード数が一となる水深は一義的に算出可能であるという一般的な水理学上の意見を述べているにすぎないのではないのか。
(2) 当方の質問は、「堰形状(幅六百十八メートル、高さ五・八七メートル)を一義的に結論付ける根拠は何か」というものであり、一般的な水理学上の知見を聞いているわけではない。なぜ、堰形状が一義的に決まるとしているのか、明確に示されたい。
(3) 答弁書第一八号によれば、「計算上第十堰が流下方向に対して直角に存在するものと仮定した上で、昭和四十九年洪水を対象に、計算上の第十堰の存する地点の流下断面における平均的な水深及び流速から得られる水理学上のフルード数が一となるものとして建設省において算出した同地点におけるエネルギー水頭の理論上の最小値は、阿波工事基準面を基準とした高さ十・四六メートルとなる。このことから、当該最小値を下回る市民団体のエネルギー水頭の値は適切ではない」とされている。しかし、市民団体の計算上の第十堰の投影断面と、建設省の第十堰の投影断面が異なるのであるから、建設省の算出した理論上のエネルギー水頭の最小値を、市民団体の算出したエネルギー水頭が下回っても、何ら矛盾はないと考えるがどうか。矛盾があると考える場合にはその理由を示されたい。
2 答弁書第一八号によれば、「吉野川において過去に生起した十一洪水における流量の再現状況からその適合性は良好であると判断した」とあるが、いつ、誰が、どのようにして、何を根拠に適合性が良好であると判断したのか示されたい。
3 答弁書第一八号によれば、「吉野川に計画高水流量が生起した場合において、同川の河口からの距離が十六キロメートルの地点より上流の区間における同川の水位が建設省の水位計算から得られた値と同程度のものとなると予測することは、妥当であると考えている」としているが、誰が、何を根拠としてそのように判断しているのか、また、同程度というのは、どの程度の誤差を想定して同程度であると言っているのか、明確に示されたい。
4 下流に堰を投影する場合には、河川勾配を考慮すべきであると考えるがどうか。考慮すべきでないと考えるのであれば、その理由を示されたい。考慮すべきであると考えるのであれば、建設省の堰の仮定(幅六百十八メートル、高さ五・八七メートル)にどのように反映されているのかを具体的数字を示して説明されたい。
5 建設省の水位計算は、河川勾配という重要な点を考慮せず、河川勾配を無視した投影を行い、吉野川第十堰の上堰を過大なものとしているという指摘もあるが、この点についての見解を示されたい。
三 計画降雨等について
1 答弁書第一八号によれば、「「大きな変化」とは、治水計画において氾濫防御の対象とする氾濫原の市街化が著しく進むこと、治水計画の対象とされた河川において大きな被害をもたらすような洪水が生起すること等の変化を指す」とされているが、逆に大きな被害をもたらすような洪水が長年生じていないことも大きな変化ではないのか。もし、そのように考えなければ、過大な計画を見直す機会がないということになるのではないか。そうではないと考えるのであればその理由を示されたい。また、一級河川における基本高水等の見直しがどのような期間で行われているのか、各水系ごとに示されたい。
2 答弁書第一八号によれば、「当該試算により求められた値が現行の吉野川水系工事実施基本計画において用いられている計画降雨量の値と大きく変わらない旨を明らかにした」とあるが、どの雨量観測所のデータを用いてどのような試算を行い、その結果どのような値が求められたのか示されたい。
3 吉野川における河川整備基本方針策定の進捗状況について示されたい。
四 模型実験等について
1 答弁書第一八号によれば、空中写真の実体視から標高を求める方法については、河川砂防技術基準調査編において一般的な記述がなされている旨の記述があるが、吉野川における昭和四十九年九月洪水のピーク時付近で撮影されたとされる垂直航空写真による測量は、この河川砂防技術基準の作業内容に従って行われたものなのか。行われているとすればその詳しい作業内容を、行われていないとすればその理由を示されたい。
2 答弁書第一八号によれば、「「垂直航空写真の実体視」による洪水時の河川の水位の測定を行うことは、必ずしも一般的ではない」としているが、そのような手法をなぜ用いたのか、その理由を示されたい。
3 答弁書第一八号によれば、一次元不等流計算の手法を用いて再現することには限界があることから、模型実験も併せて行っている旨の記述がなされている。しかし、平成八年八月三十日付の毎日新聞によれば、「今回の実験は第十堰という斜め固定堰の上を流れる複雑な流れを見てもらうのが趣旨なので」、実験方法を検証する「公開実験は行わない」とされているところである。当初の模型実験はどのような目的で行う予定だったのか、模型実験の目的等を示した文書名とその内容を示されたい。
4 模型実験は移動床実験であり、「移動床実験では水位が合わないのはやむを得ないことを主として、河床変動に注目する」(「水理模型実験」須賀堯三編書 山海堂)とされているが、この点についてはどのように考えるのか。
5 模型実験の結果は水位計算の正確性を充分に担保しているとは考えにくい。模型実験で求まったポイントゲージ毎の水位と河床変動結果について詳細に示されたい。
五 異常深掘れについて
1 答弁書第一八号によれば、「建設省においては、第十堰下流の河床の洗掘に関する文献の記載については承知していない」としている。しかし、一方で「河床の洗掘については、第十堰が流下方向に対して斜めに設置されていることがその大きな原因であると考えている」ともされているところである。過去の文献に洗掘の記述が見あたらない原因をどのように考えているのか。
2 答弁書第一八号によれば、「御指摘の「箇所」において、御指摘の「堤防の決壊に至るような」河床の洗掘が生じたことがあるか否かについては、確認できない」としている。昭和五十一年以外に一回の洪水で大規模な洗掘が生じた例が確認できないとすれば、昭和五十一年の大規模な洗掘は、何が原因でそのような特殊な状況が生じたと考えるのか、データをもとに説明されたい。
六 代替案等について
1 答弁書第一八号によれば、「吉野川第十堰建設事業に関して、「特定多目的ダム法の施行について」(昭和三十二年建河発第五百七十六号建設省河川局長通達)に基づく基本計画の原案は作成されていない」とされているが、なぜ作成されていないのか、その理由を示されたい。
2 答弁書第一八号によれば、「これに代わるもの」として吉野川第十堰建設事業計画書をあげているが、なぜこれで代替可能なのか、法律上の根拠を含めその理由を示されたい。
七 過去の委託調査結果について
1 昭和五十一年度吉野川河床変動調査外一件業務委託報告書(第十堰の改築について)(以下「昭和五十一年度業務委託報告書」という。)によれば、「現状の状態で毎秒一八〇〇〇立方メートルの流量が流下した時でも計画高水位を越えることは、認められない」とされているところである。
(1) この計算はどのような手法を用いてなされたのか、具体的に示されたい。
(2) この計算において、吉野川第十堰は、どのような位置にどのように存在すると仮定したのか、具体的に示されたい。
(3) 昭和五十一年度業務委託報告書十八ページの不等流計算水位縦断図を見る限りは、第十堰付近における現在の計画高水流量である毎秒一九〇〇〇立方メートルが流下したとしても、昭和五十一年度業務委託報告書による計算によれば第十堰付近において計画高水位を超過することはないと思われるがどうか。
2 昭和五十五年度第十堰改築に伴なう水理的影響調査業務委託その1(第十堰改築による流下能力向上調査)概要書(以下「昭和五十五年度業務委託概要書」という。)によれば、「事業費からみれば築堤案がもっとも安い」とされているところである。
(1) 昭和五十一年度業務委託報告書や昭和五十五年度業務委託概要書の存在や内容を吉野川第十堰建設事業審議委員会に説明していなかったとされているが事実か。
(2) 昭和五十一年度業務委託報告書や昭和五十五年度業務委託概要書のような、現在の計画を基礎づける資料とは異なる内容の検討資料を吉野川第十堰建設事業審議委員会に説明しなかったことについてはどのように考えているのか。
(3) このような事実が吉野川第十堰建設事業審議委員会に報告されていれば、審議内容や結論が変わっている可能性はないか。ないと考えるのであればその理由を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一の1について
平成七年十一月に建設省四国地方建設局が作成した「第十堰改築事業に関する技術報告書」(以下「技術報告書」という。)に記載されている「計画高水位に対応する粗度係数」の根拠となる低水路の粗度係数は、主要実績洪水(技術報告書の五十八ページに記載されている吉野川において過去に生起した主要な四洪水をいう。以下同じ。)から求めた粗度係数をそのまま用いたものではなく、徳島県吉野川第十堰改築計画等に関する質問に対する答弁書(平成十年三月三十一日内閣参質一四二第二号。以下「第三回答弁書」という。)二の2についてで述べた方法により吉野川の複数の流下断面について高水敷の影響を除いた低水路の粗度係数を算出し、その結果を基に決定されたものである。
一の2について
御指摘の「調査」は、建設省四国地方建設局徳島工事事務所(以下「徳島工事事務所」という。)が、平成五年度に吉野川の複数の地点における植生を調査し、自然植生の状態にある吉野川の河口からの距離が十・六キロメートルの地点付近の左岸高水敷における植生の地表からの高さの平均的な値である約一・二メートルを、治水計画上同川の高水敷の植生の地表からの高さを代表する値としたものである。建設省においては、当該調査を踏まえ、同川の治水計画の作成に当たって、御指摘の「高水敷の草丈」の値として一・二メートルを採用することが適切であると判断したものである。
一の3について
建設省が主要実績洪水に関する水位の計算において複数の粗度係数を与えて算出した水位の値を、吉野川の河口からの距離が十四・二キロメートルから二十四キロメートルまでの区間の二百メートルごとの各地点について主要実績洪水ごとに示すと、別表第一から別表第四までのとおりである。
御指摘の「〇・〇三五」は、徳島県吉野川第十堰改築計画等に関する再質問に対する答弁書(平成十年八月二十一日内閣参質一四二第一八号。以下「第四回答弁書」という。)二の2の(6)についてで述べた方法により決定した主要実績洪水ごとの粗度係数の値を包括する値として採用したものである。
なお、主要実績洪水ごとの粗度係数の決定は、複数の粗度係数を与えて算出した水位の値と過去に生起した洪水の痕跡から観測された水位(以下「痕跡水位」という。)の値とを図上で比較して行っているところである。
一の4について
昭和四十九年の吉野川の直轄河川改修計画書、昭和五十七年の吉野川水系工事実施基本計画及び平成元年の吉野川水系の直轄河川改修計画書を策定するに当たって用いた粗度係数の値は、別表第五から別表第七までのとおりである。これらの値の間の相違については、粗度係数を算定するに当たって用いた対象洪水等の相違によるものである。
なお、御指摘の「委託調査」は、これらの計画を作成する過程等において様々な観点から試行的な検討を行ったものであり、その結果はこれらの計画に用いた粗度係数の決定には必ずしも反映されていない。
二の1の(1)及び(2)について
第三回答弁書三の3について及び第四回答弁書三の1については、堰の形状が一義的に決定されるということを述べたものではなく、第十堰の上流側及び下流側の堰が共に吉野川の河口からの距離が十四・二キロメートルの地点において流下方向に対して直角に存在するとの条件を設定した上で、同地点における水位の値が、水理学上の基礎的な理論式により一義的に算出されることを述べたものである。
二の1の(3)について
建設省において御指摘の「建設省の算出した理論上のエネルギー水頭の最小値」の算出に当たっては、御指摘の「市民団体の計算上の第十堰の投影断面」として、吉野川シンポジウム実行委員会が平成九年五月に作成した「水位計算の結果について」に明記されている第十堰に関する計算上の条件等を用いたものである。
二の2について
建設省が、昭和五十七年三月に吉野川水系工事実施基本計画を作成した際に、計算上の流量の値と観測された流量の値とを図上に表し目視によって比較した結果、両者の適合性は良好であるとの判断を行ったものである。
二の3について
徳島工事事務所が平成九年十月に作成した「第十堰改築事業に関する質問へのお答え」の二十四ページに記載している水位の比較表において、「一次元不等流計算」の数値と「(右岸実験水位)」の数値との差及び「一次元不等流計算」の数値と「(左右岸平均水位)」の数値との差が、吉野川の河口からの距離が十六キロメートルの地点ではそれぞれ〇・〇二メートル及び〇・二〇メートルであること等から、建設省において御指摘の「判断」を行ったものである。
二の4及び5について
一様な河道に対して直角に設置された堰にあっては、堰が実際に存在する地点(以下「堰地点」という。)より下流のある地点に当該地点と堰地点との間の河床勾配を考慮した高さの仮想の堰を置いて計算した堰地点上流の水位は、実際の堰の条件により計算した結果得られる水位の値以下の値となると考えられる。このことに照らせば、一般的に、堰地点より下流に河床勾配を考慮した高さの仮想の堰を置いて計算を行うことは、必ずしも適切ではないと考えている。
なお、第十堰のように流下方向に対して斜めに設置されている構造物の存在が洪水時の水位に及ぼす影響を的確に予測するためには、水位の計算手法として一般に用いられている一次元不等流計算の手法では限界があることから、必要に応じ模型を用いた水理実験等を行った上で総合的な判断を行うことが適切であると考えている。
三の1について
河川の整備が進んだ等の事情により洪水被害が軽減される場合もあることから、御指摘の「大きな被害をもたらすような洪水が長年生じていない」ことが必ずしも御指摘の「大きな変化」に相当することとはならないと考えている。
また、河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第四条第一項に規定する一級河川において、河川法の一部を改正する法律(平成九年法律第六十九号)による改正前の河川法第十六条第一項に規定する工事実施基本計画の決定又は基本高水に係る変更を行った年は、別表第八のとおりである。
なお、吉野川については、同川の大きさ、同川における洪水により被害を受けると想定される地域の社会的及び経済的重要性、当該洪水で想定される被害の状況等を総合的に勘案すれば、現行の吉野川水系工事実施基本計画において用いられている計画降雨量の値は合理的なものであると考えており、当該計画降雨量等の値を用いて定められた基本高水等が過大であるとは考えていない。
三の2について
別表第九に掲げる雨量観測所において記録された降雨量のデータを用いて、平成十年三月二十日に開催された第十一回吉野川第十堰建設事業審議委員会で配布した「計画降雨量と確率計算の試料期間について」において示した五種類の手法により確率計算を実施し、これらの手法のうち降雨群と最も適合度の高い手法により算出された吉野川岩津地点上流の流域平均二日雨量(年超過確率百五十分の一)の値として、四百三十三ミリメートルを得たものである。
三の3について
吉野川水系に係る河川整備基本方針については、その策定に向けて、現在、建設省四国地方建設局において基礎資料の収集及び整理、基本高水の検討等を行っているところである。
四の1及び2について
河川に洪水が生起している時点での垂直航空写真の実体視による河川の水位の測定は、垂直航空写真の撮影が降雨等の影響により一般的に困難であること等から必ずしも一般的に行われているものではないが、吉野川で昭和四十九年九月に生起した洪水(以下「昭和四十九年洪水」という。)については、撮影された垂直航空写真が存したことから、当該航空写真について「改訂新版建設省河川砂防技術基準(案)同解説調査編」(建設省河川局監修)の第二十一章第四節(空中写真測量)に記載された方法に準じて「刺針」、「空中三角測量」等を行い、流水が堤防に接している地点の標高を求めて、当該標高を昭和四十九年洪水時の河川の水位と考えたものである。
四の3について
吉野川水系工事実施基本計画において計画高水流量を定めるに当たって想定した洪水が吉野川を流下する状態を想定して徳島工事事務所が行った模型実験(以下「模型実験」という。)の目的については、徳島工事事務所が平成八年八月の公開の模型実験の際に配布した「第十堰の模型実験について」において、「実験の目的」として「複雑な水理現象を数値シミュレーションにより忠実に再現することは限界があることから、大縮尺の水理模型実験により、吉野川の計画で想定した洪水が第十堰付近を流下する際に生じる堰周辺の流れ、せき上げや洗掘などの複雑な洪水現象を把握するものです。」と記載されている。なお、徳島工事事務所は、平成八年六月に、模型実験の信頼性を検証するための予備的な実験を行っている。
四の4について
御指摘の「「水理模型実験」」の四十六ページには、「移動床実験では水位が合わないのはやむを得ないこととして主として、河床変動に注目することが多いが、水位についても、その最高値などに対する要請が強い。(中略)そのため、実用的には検証実験の重要性が認識される。」と記載されているところである。
徳島工事事務所においても、こうした認識から、模型実験の信頼性を検証するための予備的な実験を実施しており、模型実験と同じ模型を用いて、昭和四十九年洪水における時間の経過に伴う洪水の流量の変化の観測結果を基に流量を段階的に変化させたときの最大の水位を計測し、その値を吉野川の水位に換算したものが当該洪水において実際に観測された痕跡水位等とおおむね一致することを確認していること等から、模型実験から得られた結果について信頼性が低いとは考えていない。
四の5について
徳島工事事務所が平成八年六月に行った模型実験においてポイントゲージにより計測された模型の左岸及び右岸の最大の水位の読取り値並びに当該読取り値を吉野川の水位に換算した値を、同川の河口からの距離が十四キロメートルから十九キロメートルまでの区間の一キロメートルごとの各地点に相当する地点についてそれぞれ示すと、別表第十のとおりである。
また、当該模型実験後の河床の高さの値を吉野川の河床の高さに換算した値を代表的な地点について示すと、別表第十一のとおりである。
五の1について
建設省においては、第十堰という特定の構造物の下流の河床の洗掘に関し、御指摘の「過去の文献に洗掘の記述が見あたらない原因」は承知していないが、流下方向に対して斜めに設置されている構造物付近における洪水時の流水及び土砂の挙動に関する特性については、平成元年三月に建設省土木研究所河川部河川研究室が作成した「土木研究所資料床止め工に関する調査報告書」等に記述されているところである。
五の2について
建設省においては、吉野川において昭和五十一年九月に生起した洪水によって生じた通常時の水面から約二十メートルの深さに及ぶ河床の洗掘については、流下方向に対して斜めに設置されている堰付近における洪水時の流水及び土砂の挙動に関する特性、当該洗掘が生じた箇所も含めた同川における河床の状況等から判断して、第十堰が流下方向に対して斜めに設置されていることがその大きな原因となっているものと考えている。
六について
「特定多目的ダム法の施行について」(昭和三十二年建河発第五百七十六号建設省河川局長通達)に基づく基本計画の原案(以下「基本計画の原案」という。)は、多目的ダム建設事業として採択を予定している事業について、その概要及び見通しを明らかにするために作成されるものであるが、吉野川第十堰建設事業の採択に当たっては、平成二年八月に建設省河川局開発課が作成した「吉野川第十堰建設事業計画書」により事業の概要及び見通しを明らかにしたところである。
なお、基本計画の原案の作成は、特定多目的ダム法(昭和三十二年法律第三十五号)によって要求されているものではない。
七の1について
御指摘の「計算」は、第十堰の改築の在り方を検討する過程において様々な観点から試行的に行ったものの一つであり、第十堰による堰上げの影響を粗度係数に置き換えて計算することが可能であると想定した上で、吉野川の河口からの距離が十三・八キロメートルから十六キロメートルまでの区間の粗度係数を計算上増加させて一次元不等流計算を行ったものであるが、現在の水理学上の知見に照らせば、当該想定は第十堰の影響を評価するものとして適切でないと考えている。
七の2について
御指摘の「昭和五十一年度業務委託報告書」及び「昭和五十五年度業務委託概要書」は、吉野川第十堰建設事業審議委員会(以下「審議委員会」という。)には示されていない。第十堰の改築の在り方を検討する過程では、様々な観点から試行的な調査が行われているが、こうした試行的な調査の結果を審議委員会における審議の資料とすることは適切でないと考える。
別表第一 「昭和四十九年九月洪水」 1/5
別表第一 「昭和四十九年九月洪水」 2/5
別表第一 「昭和四十九年九月洪水」 3/5
別表第一 「昭和四十九年九月洪水」 4/5
別表第一 「昭和四十九年九月洪水」 5/5
別表第二 「昭和五十年八月洪水」 1/5
別表第二 「昭和五十年八月洪水」 2/5
別表第二 「昭和五十年八月洪水」 3/5
別表第二 「昭和五十年八月洪水」 4/5
別表第二 「昭和五十年八月洪水」 5/5
別表第三 「昭和五十一年九月洪水」 1/5
別表第三 「昭和五十一年九月洪水」 2/5
別表第三 「昭和五十一年九月洪水」 3/5
別表第三 「昭和五十一年九月洪水」 4/5
別表第三 「昭和五十一年九月洪水」 5/5
別表第四 「平成二年九月洪水」 1/5
別表第四 「平成二年九月洪水」 2/5
別表第四 「平成二年九月洪水」 3/5
別表第四 「平成二年九月洪水」 4/5
別表第四 「平成二年九月洪水」 5/5
別表第五 昭和四十九年の吉野川の直轄河川改修計画書
別表第六 昭和五十七年の吉野川水系工事実施基本計画 1/2
別表第六 昭和五十七年の吉野川水系工事実施基本計画 2/2
別表第七 平成元年の吉野川水系の直轄河川改修計画書 1/2
別表第七 平成元年の吉野川水系の直轄河川改修計画書 2/2
別表第八 1/9
別表第八 2/9
別表第八 3/9
別表第八 4/9
別表第八 5/9
別表第八 6/9
別表第八 7/9
別表第八 8/9
別表第八 9/9
別表第九 1/5
別表第九 2/5
別表第九 3/5
別表第九 4/5
別表第九 5/5
別表第十
別表第十一 1/2
別表第十一 2/2
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。