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震災時における電気火災防止のための「感震ブレーカー」に関する質問

参議院 第143回 第8号検討してまいりたい ×1

提出者
参議院
提出日
1998年10月15日
内閣転送 1998年10月16日
答弁書受領日
1998年11月13日
提出から29日
答弁の項目数
5
質問 1,412字/答弁 1,526字

質問本文

震災時における電気火災防止のための「感震ブレーカー」に関する質問主意書

平成九年十二月二日の参議院建設委員会において私小川勝也は、震災時における電気火災防止のために「感震ブレーカー」を普及すべき、との立場から質問を行った。それに対して、政府は、「震災時に自動的に電気が遮断される装置については、火災報知機やエレベーターが作動しなくなる」などの理由をあげ、「マイナス面がある」と消極的な姿勢に終始した。しかし、この答弁には、一部事実誤認や、認識不足がある。また、政府自身が答弁している通り、震災時の貴重な資料に基づく担当省庁間の協議が行われていなかったことが明らかになった。政府は、多くの尊い犠牲の上に積み上げられたデータを、真剣に分析、活用すべきである。さらに、いつ来るか分からない災害に対処するため、民間が開発した有益な装置の普及を促進するなど、できるところから積極的に取り組むべきと考える。また、こうした政府答弁が範となり、札幌市でも同様の議会答弁が行われるなど、事実誤認に基づく政府の誤った対応が、自治体においても災害対策の遅れを惹起していると懸念している。

そこで、以下のとおり質問する。

一、阪神大震災時の電気に起因する火災に関し、建設委員会の質問で指摘した神戸市消防局のデータ、筑波大学の熊谷教授の報告書及びノースリッジ地震における報告について、消防庁やエネルギー庁はその後情報を把握したか。また、質問以来十カ月余りの中で、省庁間の協議をどのように行い、どのような結果を出したか。

二、資源エネルギー庁は前記委員会において「地震の際にはブレーカーを切って避難をしていただくなどの震災発生時の注意点につきましてPR活動を行っているところ」と答弁しているが、逃げるのに精一杯の緊急時に、何割ぐらいの人がブレーカーを切る事ができると考えているのか。

三、現在開発、市販されている感震ブレーカーは、戸建て住宅やマンション等集合住宅の各戸別に、分電盤に取り付けるものが主流となっている。政府は、「エレベーター内に閉じ込められる」「自動ドアが停止する」などをマイナス面としてあげているが、このタイプは電気の各支流ごとに制御するもので、感震ブレーカーが作動しても、エレベーター等共有施設の電源が遮断される訳ではない。また、蓄電池等を内蔵し、ブレーカー作動時に、自動的に補助照明が点灯するものも多く、夜間であっても避難に多大なる支障が起きるものではないと考える。さらに、火災報知機等については「火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令」等により停電時においても作動するよう定められている。つまり、政府が消極的理由としてあげた事例はすべて事実誤認、認識不足によるもので、感震ブレーカーに対するマイナス面になり得ないと考えるが、いかがか。

四、前記の通り、感震ブレーカーに関しては、震災後の再通電時に多発する電気火災に対し効果はあっても、デメリットがあるとは思えない。政府は、感震ブレーカーのみならず、災害防止に効果のあるものであれば、その普及を促進すべきと考えるが、見解を伺いたい。

五、前述の通り、地方自治体においては、政府の認識不足による対応を範としているところがすでにある。万が一の時の災害をいくらかでも未然に防ぐため、政府は自治体に対し、早急に正しい情報を提供すべきと考えるが、いかがか。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

消防庁及び資源エネルギー庁においては、神戸市消防局による火災原因調査結果及びノースリッジ地震に関する政府調査団作成の報告書を平成九年十二月二日以前に入手していたところであるが、同日の参議院建設委員会での審議を踏まえ、その後、ノースリッジ地震に関する追加資料及び筑波大学熊谷良雄教授が平成七年度日本火災学会講演討論会において「阪神大震災からの教訓」と題して講演した内容に関する資料を入手した。

また、消防庁においては、平成九年度に、財団法人消防科学総合センターに対して、阪神・淡路大震災における被害状況等を踏まえ、地震時における出火防止対策の在り方に関する調査検討を委託したが、その調査検討結果の取りまとめに関しては、資源エネルギー庁と協議を行った上で、阪神・淡路大震災における火災の発生状況及び出火原因に関する分析結果、地震時における出火防止対策に関する提言等を内容とする報告書を作成し、本年七月にこれを各地方公共団体に送付した。

二について

電気機器は、震災等の異常時には通常想定できないような事故を招く危険性を内包しているが、日常生活において通常の状態で使用している限り、かかる危険性が表面化することはないと考えられるため、一般的に需要家の電気の危険性に関する認識が希薄になりがちである。このため、地震の発生時にブレーカーを切るという行動をとることができる者は一般的にさほど多いとは思われないので、平素から電気の需要家の防災意識の高揚を図ることが、非常時における的確な対応を促進するために必要であると考え、通商産業省においては、関係団体を通じた周知等により、地震の発生時にブレーカーを切って避難する等の注意喚起を行っているところである。

三について

需要家の受電盤において地震を感知して電源を切る装置である感震ブレーカーについては、御指摘のような場合には避難に支障を来す等の問題を生じないこともあるが、各戸別に分電盤に取り付けられる感震ブレーカーについても、これまでに製造されているもののうち主回路を遮断する型式のものが占める割合が少なくないため、地震の発生時に、戸建て住宅や小規模な店舗において、感震ブレーカーの作動によりエレベーター内に閉じ込められたり自動ドアが停止する等、避難に支障を来す等の事態が発生することが懸念される。また、蓄電池等を内蔵し、ブレーカー作動時に自動的に補助照明が点灯するものは、必ずしも十分に普及しているとは言えないため、夜間の避難に支障を来す恐れがある。さらに、消防法令上設置が義務付けられている自動火災報知設備には、停電時に備え非常電源の附置が求められているが、住宅等に自主的に設置されているものについては、非常電源を附置していないものがある。

いずれにせよ、感震ブレーカーの技術開発の状況等を勘案し、今後、その活用の在り方について検討してまいりたい。

四について

政府としては、災害防止を目的とする製品等の普及を促進すべきか否かについては、当該製品等の災害防止に対する効果の有無や程度、その製品の普及のために必要となるコストその他の事情を勘案して判断すべきであると考えている。

なお、感震ブレーカーについても、その災害防止に対する効果の有無や程度に加え、感震ブレーカーの作動による安全確保措置に対する支障の有無、感震ブレーカーの信頼性、設置に係るコスト等を勘案して判断すべきであると考えている。

五について

政府が行う調査研究等の成果を始め、災害防止に有益かつ必要な情報については、これまでも各地方公共団体に周知するように努めてきたところであり、今後ともこのような情報の積極的な提供に努めてまいりたい。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

検討してまいりたい ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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