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ライト・レール・トランジットの国内普及に関する質問

参議院 第145回 第28号承知していない ×1

提出者
参議院
提出日
1999年8月6日
内閣転送 1999年8月11日
答弁書受領日
1999年9月17日
提出から42日
答弁の項目数
14
質問 3,361字/答弁 2,315字

質問本文

ライト・レール・トランジットの国内普及に関する質問主意書

近年、我が国でもLRT(Light Rail Transit:ライト・レール・トランジット。生まれ変わった路面電車。以下「LRT」という。)の導入に関する具体的議論が、ようやく盛んになってきた。これは、従来の路面電車に技術面及び営業面から幾多の改善が加えられ、格段に進化・向上を遂げた市街電車であり、地下鉄にも準ずる速度能力、輸送能力等を有する新しい都市交通機関であって、欧州、北米、豪州、東南アジア等の諸都市において導入等が続いている。

しかし、我が国の諸都市への導入に関し、LRTをLRTたらしめる諸特性が既存の法規制と抵触し、我が国ではLRTは無理だとの論も後を絶たない。その法規制とは、路面電車の準拠法である軌道法(大正十年法律第七十六号)及びその下にある諸省令のことである。軌道法の運用及びその下の省令に記されている規制値の見直しに関して以下質問する。

一 列車の長さについて

1 列車の長さについては、軌道運転規則(昭和二十九年運輸省令第二十二号)に記されている。同規則第四十六条では故障等によって牽引する場合を除き列車の長さは三十メートル以内とされているが、この列車の長さ「三十メートル以内」とは、どのような科学的根拠によるものか示されたい。

2 オランダのアムステルダム市等西欧では全長三十メートル前後のLRT車両が一般的である。中には、ドイツのマンハイム市のように一車体当たり約四十メートルのものが街路を全く問題なく安全に走行しているものもある。さらに、ドイツのケルン市では全長三十メートル程度の車両を二組連結したもの(連結した全長は六十メートル程度)が市街地を頻繁に走っている。ドイツにおける法規では列車長を七十五メートルまで許容していると聞く。ドイツでは、この程度まで列車長を許すことにより、地下鉄にも準ずる輸送能力等を確保し、市街地のより広い地域に市街鉄道の恩恵を普及させている。我が国でもLRTは、地方中枢都市、地方中核都市の基幹交通として有効と考えられる。LRTは、建設費も一キロメートル当たり十億円ないし三十億円程度であり地下鉄等より格安である。巨額の建設費用を要する地下鉄を考える前に、こうした使い方を認め、公共事業の費用対効果を上げることを考えるべきではないのか政府の見解を示されたい。

二 列車の速度について

1 列車の速度については、軌道運転規則第五十三条で最高速度は毎時四十キロメートルとされているが、今や一般の乗用車でも容易に毎時百キロメートルを出せる時代である。市街地の道路でも毎時五十キロメートル制限の所が珍しくない。それにもかかわらず、路面を走る電車にだけ毎時四十キロメートル制限とは余りに不合理である。路面電車の乗客はこの不合理な速度を我慢せざるを得ない状況に置かれている。この規定は、路面電車利用者に対して差別的ですらある。速度の上限を毎時四十キロメートルに留めている科学的な根拠は何か示されたい。

2 この最高速度制限は今すぐ見直すべきであると考える。この制限では、現に路線バスと同程度の速度性能を持つ路面電車が速く走れないし、仮にLRTを導入してもせっかくの高速性能がいかせない。LRTは性能上毎時七十キロメートルから八十キロメートルまでは容易に出せる水準に達している。欧米のものには毎時百キロメートルも可能なものがあるほどである。一昨年、熊本に導入された高性能のLRT電車は、わざわざ性能を下げて走らせていると報じられている。現在の路面電車にも路線バスや一般車と同程度の速度を今日からでも認めるべきではないか政府の見解を示されたい。

三 軌道の勾配について

1 軌道の勾配については、軌道建設規程(大正十二年内務省・鉄道省令)に記されている。その第十六条においては勾配は千分の四十以下(但書では千分の六十七まで認められている。)とされている。勾配を千分の四十以下とする科学的根拠は何か示されたい。

2 西欧諸国では、千分の八十級の勾配が当たり前になっており、当然電車の性能もこれに充分対応できるものとなっている。我が国では、一般に街中の道路の勾配は最大千分の六十とされている。LRT路線を街路等に設置することを考えたら、千分の四十以下では不十分である。確かに、但書で千分の六十七までは認められているが、但書によらず一般道路並の勾配を認めるべきではないか政府の見解を示されたい。

四 軌道の導入空間について

電車の走る道路幅については、軌道建設規程第八条で道の中央に軌道を敷設する場合の車体外幅員、第九条で道の片側に偏して軌道を敷設する場合の車体外幅員について規定している。

そしてこれら各々に、道が条件分けされ、電車車体外の幅員が規定されている。

1 巷間、しばしばLRT導入には道幅が二十七メートル以上必要であるとの説を聞く。道幅が広くなければ電車は走らせられず、しかも、道路の中心でないと駄目であるとも言われている。しかし、この第八条にも第九条にもそれら数字等の規定は見当たらない。二十七メートルと言われる根拠はどこにあるのか政府の見解を示されたい。

2 しかも、第九条には軌道を道路の片側に偏して敷設する場合の規定が用意されている。それにも関わらず、道路中央と言う文言のみが一人歩きをしており、運用が硬直していると考えられるが、この点について政府はどのように把握しているか示されたい。

3 また、歩行者の乗降時の利便性や安全確保の見地から、電車軌道を道の片側に偏する場合をもっと広く認めてもよいし、複線軌道の上下線を各々歩道側に寄せて敷設させてもよいはずである。さらには、歩行者天国道路に電車のみを乗り入れさせる方式(トランジットモール)も考えられてしかるべきであり、諸外国にはこうした事例が多い。もっと早い時期から我が国でも検討を始めてもよかった課題であるが、今日まで検討されないでいたのはなぜか政府の見解を示されたい。

4 さらに、欧米諸都市では、LRTは基本的に路面走行であるものの、他の車両との走行区分が充分になされると共に、地下区間、高架区間、専用軌道区間も必要最小限取り入れられており、高速性を確保すると共に旅客利便性にも応えている。こうした多様な走行空間を検討することも不可欠ではないか政府の見解を示されたい。

五 LRTに関する法制について

1 軌道法は、原文が漢字片仮名混じりで書かれるほど、また、今もって「内務省」、「鉄道省」という言葉が記されているほどかくも古式ゆかしき法令であるが、現代の地下鉄、モノレール、新交通システムにこれが適用される場合がある。今日建設される近代的な市街鉄道にも現に適用されており、感覚的にはかなり落差がある。新交通システム等については、道路を道路下の地下線及び道路上の高架線まで広義に解釈し、軌道法を適用しているのではないか政府の見解を示されたい。

2 建設省は、現に、道路下の地下鉄は「軌道」であると解釈し、大阪市営地下鉄に軌道法を適用している。その他、千葉モノレール等の都市交通モノレールも「軌道」扱いであり、軌道法を適用している。また、モノレールの仲間である神戸新交通システムや東京ゆりかもめも「軌道」扱いの区間を持っている。これらは軌道法が旧来の路面電車以外に適用されている実例である。

LRTもモノレール等と同等の近代的な都市交通機関として位置付け、当面、軌道法の弾力的な運用を図り導入実績を積むべきではないか政府の見解を示されたい。

3 そして、同じ路線でありながら、線路の敷設位置や条件によって適用法律が区間毎に違うといった使い併せはやめ、一つの路線に対して一つの法が一貫して適用されるものとして、そして、LRTのみならずモノレール等も包括した、いわば「市街鉄道法」を制定すべきではないか政府の見解を示されたい。

4 この旧態依然たる軌道法等について、現代の優れた市街鉄道であるLRTの導入及び普及のため、運輸省、建設省は現在どのような運用策を取っており、また、今後どのような改善を進めていく予定か政府の見解を示されたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一の1について

軌道運転規則(昭和二十九年運輸省令第二十二号)第四十六条の規定による連結車両の長さの制限は、併用軌道が道路上に敷設され、他の道路交通に影響を及ぼすことから、交差点等において他の道路交通の進路に支障を来す時間が著しく長くなること等がないよう定められたものである。

一の2について

併用軌道における連結車両の長さの制限は、一の1についてで述べたとおり、路面電車が他の道路交通に影響を及ぼすことを考慮すれば、道路交通の円滑化を図ること等のために適切なものであると認識している。

なお、特別の事由がある場合には、軌道運転規則第二条第一項ただし書の規定により、個々の事業者からの申請に基づき、その線区の道路状況、交通量、道路交通上の安全性等を勘案し、同令の定めによらないことを許可する取扱いを行っているところである。

また、軌道運転規則第三条第一項の規定により、道路上その他公衆の通行する場所以外の場所に敷設される新設軌道の運転については、鉄道運転規則(昭和六十二年運輸省令第十五号)を準用することとしており、軌道運転規則の連結車両の長さの制限を受けることはない。

二の1について

軌道運転規則第五十三条の規定による併用軌道の最高速度の制限は、他の道路交通に比べ路面電車の制動距離が著しく長いこと、併用軌道が鉄道や新設軌道と異なり目視により車両間の間隔を確保する方式によっていること等を勘案し、道路交通上の安全性を確保する観点から定めたものである。

二の2について

併用軌道における最高速度の制限は、二の1についてで述べたとおり、他の道路交通及び路面電車の制動性能等を考慮すれば、道路交通上の安全性を確保するために適切なものであると認識している。

なお、特別の事由がある場合には、軌道運転規則第二条第一項ただし書の規定により、個々の事業者からの申請に基づき、その線区の道路状況、交通量、道路交通上の安全性等を勘案し、同令の定めによらないことを許可する取扱いを行うこととしているところである。

また、軌道運転規則第三条第一項の規定により、新設軌道の運転については、鉄道運転規則を準用することとしており、軌道運転規則の最高速度の制限を受けることはない。

三の1について

軌道建設規程(大正十二年内務省令・鉄道省令)第十六条第一項の規定による勾配の制限については、一般的な車両の勾配途中において停止した場合の再起動性能、連続した勾配における登坂性能等を勘案し、道路交通の円滑化を図る観点から定めたものである。

三の2について

軌道建設規程第十六条第一項ただし書の規定は、橋梁取付部等の特殊な箇所における勾配を対象としたものであり、短い区間を想定したものである。このため、仮にこれを全線に適用した場合には、車両に連続して過大な負担を課すこととなり、連続した勾配における登坂等に支障を来すおそれがあることから、現在の基準を御指摘のように同項ただし書の規定によらず、最大千分の六十とすることは適切ではないと考える。

なお、特別な事由がある場合には、軌道建設規程第三十四条の規定により、その線区の道路状況及び車両の性能等を勘案し、同令の規定による設計によらないことができる。

四の1について

御指摘の「LRT導入には道幅が二十七メートル以上必要であるとの説」については、承知しておらず、「二十七メートルと言われる根拠」について見解を示すことはできない。

四の2について

軌道建設規程第八条及び第九条においては、道路交通上の安全性、排水上の優位性等の理由から併用軌道は道路の中央に敷設することが原則とされているが、道路の種別及び幅員によっては道路の片側に偏して敷設することができることとされており、同令は適切に運用されているものと認識している。

四の3について

軌道の敷設位置については、歩行者の利便性や安全確保の観点からは道路の片側に偏して敷設することにも利点はあるが、道路交通全体に与える影響を総合的に勘案すれば、道路の中央に敷設することを原則とすることに合理性があると考える。

また、御指摘のトランジットモールについては、中心市街地の活性化、道路空間の再構築等の観点から、近年、その重要性を認識し、導入のための検討を進めている。

四の4について

御指摘のLRTについては、今日においても、地下、高架等を活用することは制度的に可能である。

五の1について

地下鉄については、おおむね鉄道事業法(昭和六十一年法律第九十二号)が適用されている。

また、主として道路に敷設されるモノレール及びいわゆる新交通システムについては、おおむね軌道法(大正十年法律第七十六号)が適用されている。

五の2について

御指摘のLRTについては、主として道路に敷設される区間においては、軌道法の適用により導入が可能であると認識している。

五の3について

御指摘のLRTを含む路面電車、モノレール及びいわゆる新交通システムには、主として道路に敷設するものについてはおおむね軌道法、これ以外のものについてはおおむね鉄道事業法を適用しているが、事案に応じ適切に対応しているところである。

五の4について

軌道法及び同法に基づく命令については、事案に応じた適切な運用を行っているところである。さらに、御指摘のLRTを含む路面電車の整備のための補助制度として、運輸省においては低床式車両の導入等のための近代化補助、建設省においては路面電車走行空間改築事業及び都心交通改善事業を実施しているところであり、今後とも御指摘のLRTを含む路面電車の整備の促進を図ってまいりたい。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

承知していない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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