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米軍LCAC基地に関する質問
参議院 第147回 第15号承知していない ×1仮定の質問 ×1
質問本文
米海軍LCAC基地に関する質問主意書
現在、米軍はLCAC(エアークッション型上陸用舟艇)の基地を佐世保湾の西海町横瀬に建設する計画を進めている。この計画は米軍の最新鋭兵器導入のため新しい基地を建設するもので、基地密度が大問題となっている佐世保基地を一層拡張し、米軍基地撤去の世界的な流れに逆行するもので容認できない。
この立場から、以下の事項について質問する。
一、LCAC基地建設計画について
1 米側から日本側に、公式、非公式を問わず、LCAC基地建設を要請してきたのはいつか。
2 米側は、LCAC基地建設の目的についてどのように説明しているのか。
また、米側がLCAC基地を建設するのは、どういう目的であると日本政府は認識しているのか。
3 LCAC基地の西海町横瀬への建設は、九九年五月米海軍「艦隊支援に関する会議」で立案が決まり、その後日本側との協議があって同年七月にその全体計画が西海町に示された経過がある。どのような経緯で決定されたのか。
また、防衛施設庁は、五か所の候補地を検討したとしているが、それはいつの時期か。横瀬がなぜ最適地として選定されたのか。その理由を詳細に説明されたい。
さらに、他の候補地が選定されなかった理由を、それぞれ明らかにされたい。
4 米海軍第五強襲上陸舟艇部隊が九九年五月に「艦隊支援会議」に提出した「概況説明」では、「横瀬基地」の建設を「二〇〇五年までに完了することを提案した」と明記している。この報告書は当然入手していると思うがどうか。
日本政府には、公式、非公式を問わず、こうした申入れがあったのかどうか、明らかにされたい。
5 米側は、横瀬におけるLCACの基地建設をいつまでに完成して欲しいとしているのか。
また、横瀬に建設を要求した米側の内容、その規模、建設時期、米側の費用負担など計画の内容を明らかにされたい。米側の要求のうち、日本政府が拒否したものは何か。
6 米軍の海外におけるLCACの基地は、日本以外にどこの国にあるのか。アメリカが外国でLCACの基地を建設するのは日本が初めてなのか。
二、防衛施設庁と西海町間の「協定書」について
1 二〇〇〇年一月二六日、防衛施設庁と西海町は「横瀬貯油所内におけるLCAC施設の整備等に関する協定書」を結んだ。西海町長は町民に対し、「協定書作成に当たっては防衛施設局が米軍ともよく話し合って作成した」と説明したが、米軍のどの機関といつ、どのような協議をして作成されたのか。
2 協定では、当初計画よりも二ヘクタール縮小(「埋立て面積」と「陸上の造成面積」をそれぞれ一ヘクタール)することになった。国はこれより、工事期間が短縮されることになるという談話を発表している。計画の変更になるわけだが、ただ埋立て面積が減り、陸域面積が減るというだけということなのか。それとも全体計画(管理棟、格納庫の建設等、当初発表した計画)にも変更が及ぶのか、工事期間の短縮については「短くなるだろう」とまでは言及したが、二ヘクタール縮小することに伴う、当初計画との変更がどうなるのか、明らかにされたい。
3 総工事費についてこれまで、約百億円という説明がなされていたが、計画の変更によって、工事費はどうなるのか。また、この総工事費は、日本政府がすべて負担するのか。
4 町は、「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」第九条第一項により、「特定防衛施設関連市町村」に指定されることは確約済みと説明しているが事実か。事実とすればその根拠はどこにあるのか。
5 隻数一二隻を更に増やすことは、町当局の了承がない限り行わないのか。それを米軍当局は確約しているのか。
三、現在の崎辺基地について
1 「概況説明」は、「崎辺の制約」の項目で、崎辺には「携帯電話しかなく、地上線が配線されていない」「通信・米軍事通信網を設置することを交渉中である」、さらにLCACの格納庫がないこと、高度な整備器具を置く施設がない、雨が降ると整備できないとしている。しかも米太平洋軍準機関紙「星条旗」九月二八日付けは「横瀬が建設されるまで、崎辺を使用する」、そのため「現在の施設を改善しなければならない」と報じている。
これは、横瀬基地ができるまでは、崎辺駐機場の機能を強化していくということか。
2 「概況説明」では、現在の崎辺地区駐機場でのLCACの訓練では、LCACの運用は火曜日と木曜日の三時間に制限され、夜間運用は禁止され、LCACの騒音が佐世保市によって測定されるなど厳しい制約の下に置かれているとし、米軍は「乗員のもつ力量、練度を維持するのが困難、現場に即した訓練能力が制約されている」と、佐世保市の付けた条件を守っていては様々な場面を想定した実践的な訓練ができないと述べている。
横瀬のLCAC基地では、こうした条件に限定した運用を要求するのか、それとも更に厳しい条件を要求するのか。また、夜間・早朝の航行を行わないということについて、米軍当局と調整した結果米軍当局が受け入れない場合、基地建設を撤回させるのか。あるいは今の条件よりも緩和するというのか。どのような条件を要求するのか具体的に明らかにされたい。
四、安全・環境問題について
1 LCACは、海上を走ると強力に圧縮した空気を海面に吹き出しすさまじい騒音を発し、細かい海水が霧状になって舞い上がるため、地域住民の間では塩が車に付くし、特産のゆで干し大根が台無しになる、ミカンなど農産物への塩害も心配されている。政府は、LCACによる騒音、塩害の被害についてどのように認識しているのか。
2 佐世保湾は、魚貝類の繁殖地となっている。佐世保湾にLCACの訓練基地を置くことによって魚貝類への繁殖の影響など漁業被害についてどのように認識し、考えているのか。
3 佐世保湾は船による海上交通も盛んである。ところがLCACの海上走行は、地元では「海の暴走族」と呼ばれている。協定書にLCACの佐世保湾内航行速度上限を二〇ノットにするという規定がある。港則法などでは港内での上限速度の規定はないのか。こうした危険走行のため漁船への当て逃げ事故も起こり地元では恐れられている。上限速度を二〇ノットとすることを基地建設の条件として厳守するのか、努力目標なのか。また、米軍当局はそれを確約しているのか。LCACの基地を置くことによって佐世保湾内における海上交通に対する影響をどのように考えているか。
4 以上の諸点についてどういう調査をしたか。その調査結果も含め、同時にLCACによる騒音、塩害、危険走行に対してどのような防止措置を採ろうとしているのか明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一の1について
御指摘の要請の時期は、平成八年五月である。
一の2について
エアクッション型揚陸艇(以下「LCAC」という。)の施設の整備目的については、我が国に駐留するアメリカ合衆国軍隊(以下「米軍」という。)から、佐世保に配備されている米軍揚陸艦に搭載するLCACを支援するためには、現在の崎辺海軍補助施設の駐機場は狭あいであり、また、整備工場等の施設がないことから、新たに整備工場、駐機場等の整備が必要であるとの説明を受けているところである。
また、政府としても、崎辺海軍補助施設における現状を考えると、LCACの施設の整備は必要であると認識している。
一の3について
御指摘の平成十一年五月の「艦隊支援に関する会議」の内容については承知していない。
平成八年五月の米軍からの要請を踏まえ、LCACの施設の整備候補地については、平成九年度において、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)第二条1に基づき我が国がアメリカ合衆国に提供している施設及び区域(以下「施設及び区域」という。)のうち佐世保港に所在する五か所を対象に、騒音の影響、航路との関係等について、調査を行ったが、その結果は、別表のとおりであり、横瀬貯油所が比較的騒音の影響が小さく、通行船舶が少ないこと等により、最有力地と判断した。
このため、更に同貯油所が所要のLCACの施設の整備に適しているか否かを最終的に判断することとし、平成十年十一月から平成十一年五月までの間、同貯油所及びその周辺海域において騒音予測、ボーリング調査等を実施し、その結果を踏まえ、同年七月、同貯油所がLCACの施設の整備適地であると判断したところである。
一の4及び5について
政府としては、御指摘の報告書は入手していない。また、LCACの施設の整備の完了時期について、米軍から早期完了の要望はあるが、具体的な時期を示しての申入れや要望はない。
LCACの施設については、米軍から整備工場、管理棟、洗機場、駐機場、試運転場等の整備の要望があり、政府としては、施設整備の詳細については、今後、米軍と調整して決定することとしている。
一の6について
アメリカ合衆国外におけるアメリカ合衆国軍隊のLCACの施設は、我が国以外にはなく、また、横瀬貯油所の一部にLCACの専用施設が建設されるとすれば、それは、アメリカ合衆国外でアメリカ合衆国軍隊のLCACの専用施設が建設される初めてのものであると承知している。
二の1について
横瀬貯油所内におけるLCAC施設の整備等に関する協定書(以下「協定書」という。)を西海町長との間で作成するに際しては、福岡防衛施設局において、平成十一年十一月から平成十二年一月までの間、佐世保港にある米海軍等に対し、西海町からの要望事項について、理解を得るべく累次説明したところであり、現在も、米軍と調整を進めているところである。
二の2及び3について
LCACの施設の計画面積については、平成十一年七月に西海町に示した当初計画から埋立面積及び陸上の造成面積をそれぞれ一ヘクタール以上、合計二ヘクタール以上を縮小することとしているが、施設整備の詳細について、現在、米軍と調整を進めており、当初計画を変更する点、工事費等について現時点でお答えすることはできない。
二の4について
政府としては、御指摘の特定防衛施設関連市町村への指定について、その要件が満たされた場合には、指定することとしており、その旨西海町に対しても説明しているところである。
二の5について
協定書では、LCACの隻数を変更する場合には、福岡防衛施設局長において西海町長と協議することとされているが、このことについては、米軍に対し説明しており、米軍も、LCACの隻数を変更しようとする場合には、福岡防衛施設局長に相談するとしている。
三の1について
現時点において、崎辺海軍補助施設のLCACの駐機場の整備について米軍から要望は受けていない。
三の2について
LCACの運用については、上限速度(約二十ノット)及び航行経路の設定、夜間及び早朝の航行を行わないこと等について、現在、米軍と調整を進めているところである。
お尋ねのその他の点については、仮定の御質問であり、答弁を差し控えたい。
四の1及び2について
福岡防衛施設局において、平成十一年十一月、佐世保港におけるLCACの実際の走行による周辺地域への影響調査を実施したところ、次のような調査結果を得ている。
(一) 走行音については、等価騒音レベルでは、LCACが走行した時間帯以外においても、LCACが走行した時間帯と同等又は大きな数値を測定している時間帯があることから、LCACの影響割合は小さいものと考えられる。
(二) 飛来塩分については、LCACの走行と飛来塩分の付加に関し、走行日よりも非走行日の方が塩分濃度の高い結果も見られ、明確な相関関係は得られなかった。
(三) 水中騒音については、一般航行船舶と比較して低いレベルであり、水中への騒音影響は少ないものと考えられる。
政府としては、現時点の調査結果を踏まえれば、LCACの運用による農業又は漁業への影響は少ないものと認識している。
四の3について
港則法(昭和二十三年法律第百七十四号)には、船舶の上限速度を規制する明文の規定はない。
政府としては、LCACの運用に係る上限速度(約二十ノット)及び航行経路の設定により佐世保港内における海上交通に対する影響を可能な限り少なくするよう、現在、米軍と調整を進めているところである。
四の4について
LCACの実際の走行による周辺地域への影響調査及びその結果については、四の1及び2についてで述べたとおりである。海上交通に関しては、佐世保港内における定期客船等の航路を調査し、米軍との調整の基礎資料としている。
LCACの運用については、上限速度及び航行経路の設定により、佐世保港内の航行の安全を確保するとともに、環境への影響を最小限にするよう、現在、米軍と調整を進めているところである。
いずれにしても、今後、LCACの施設の設置又は運用に伴う安全及び環境の問題については、適切に対応してまいりたいと考えている。
別表 1/2
別表 2/2
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