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「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」に関する質問

参議院 第149回 第3号

提出者
参議院
提出日
2000年7月28日
内閣転送 2000年8月2日
答弁書受領日
2000年9月22日
提出から56日
答弁の項目数
13
質問 2,513字/答弁 2,839字

質問本文

「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」に関する質問主意書

第百四十七回国会において「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」(以下「法律」という。)が成立したが、審議時間の制約もあり、十分な質疑ができなかった。この法律は、高レベル放射性廃棄物の後始末にかかわる重要な法律であり、原子力委員会高レベル放射性廃棄物処分懇談会においても「国民一人一人が自らの身に迫った問題であるという意識を持つことが望まれる」とされたものである。したがって、疑問を疑問のまま残しておくべきではないと考える。よって、以下質問する。

一、法律では、その定義において使用済燃料の再処理を前提としている。しかし、再処理して得られたプルトニウム等を再び利用するという核燃料サイクル政策については、内外から多くの批判があることは周知のとおりである。そもそもプルトニウムを利用するために再処理をしているのか。あるいは、再処理をするとプルトニウムが出てくるので、余剰を持たないという国際的な約束のために利用しようとしているのか。そのどちらであるのかを明らかにされたい。

二、約四万本の特定放射性廃棄物が発生することは、言い換えると四百トン程度のプルトニウム(核分裂性プルトニウム)が発生することを意味する。それだけのプルトニウムをどう利用しようとしているのか。利用の時期と場所、量など、具体的な計画を明らかにされたい。

三、調査地区の選定に関し、速やかに情報公開を行うという通商産業大臣の答弁があったが、文献調査についても、概要調査地区の基準に適合しなかった地区、適合したが選定しなかった地区を含めて、調査結果が明らかにされると考えてよいか。

四、例えば北海道の幌延町周辺では、幌延地区地下水調査、幌延地区気象調査、幌延地区地震観測、北海道北部地域の地質に関する研究、北海道北部地域の断層に関する研究といった調査が行われている。それらの調査結果は、文献調査にすぐに活用できるものと考えるが、政府の見解を示されたい。

五、概要調査地区等の選定に際しては、地層の特性だけを考えて選定をするのか。そうでないとすれば、どのような点が選定の条件となるのか。五月十日の衆議院商工委員会で参考人の小島圭二地圏空間研究所代表・東京大学名誉教授は「むしろ社会的条件で立地が決まって、そこの地質にどうやって合わせていくかというところに技術の振るいようがあるというのが日本の普通のやり方」と述べ、「やはり、これを受け入れながら、この画期的な一つの三段階の選定ということへ踏み込んでいく必要があるだろう」と主張した。これは政府の考えと同じか。違うとすればどう違うのかを明らかにされたい。

六、五月十日の衆議院商工委員会での審議で通商産業大臣は「処分地の選定過程において、国及び機構が公平な第三者の意見等をいただくことは重要と考えておりまして、適切な仕組みを設けてまいりたい」と答弁した。具体的にどのような仕組みを設けようとしているのかを明らかにされたい。

七、法律の中で「住民」の語が出てくるのは、通商産業大臣が基本方針を定める事項の中に「関係住民の理解の増進のための施策に関する事項」と書かれているのと、機構の業務運営に際し「地域の住民等の理解と協力を得るよう努めなければならない」とあるだけである。住民はただ「理解」、「協力」させればよいと考えているとすれば、明らかに民主主義の根本に違背する。法案審議の中で住民からの直接の意見聴取について、「今後何が必要な手続きであるかということは別途検討する余地はある」と答弁があったように、手続の制度化を行うべきである。調査や施設建設の規模、環境への影響の大きさからすれば、少なくとも環境影響評価法に定めるものと同程度の影響評価手続が必要であると考えるが、政府の見解を示されたい。

八、地元意見を十分に尊重するとの修正が行われ、「地元の意に反して行うということはない」と答弁があった。地元が一度反対を表明したなら、そこはもう候補地から外されるのか、それとも賛成するまで繰り返し意見を求めるようなことはあるのか、明らかにされたい。

九、立地に当たっての都道府県知事及び市町村長の意思確認について、法律原案の「意見を聴かなければならない」と、修正後の「意見を聴き、これを十分に尊重してしなければならない」とは、法的な拘束力にどのような違いがあるのかを具体的に、客観性をもった言葉で説明されたい。また、それらは「同意を得なければならない」とした場合とどう違うのかを説明されたい。

十、北海道、青森県、岐阜県には「地元が処分場を受け入れない意思を表明されているもとでは、処分場の立地場所になることはない」といった内容の科学技術庁長官の確認書がある。「当該都道府県知事及び市町村長の意見を聴き、これを十分に尊重してしなければならない」とする法律の条文と、確認書との間には、法的な差異はあるのか無いのか。あるとしたら、それは具体的にどう違うのか。無いとすれば、約束の有無にかかわらず全自治体は法的に平等だと解釈されるのか。

十一、処分実施主体である機構が行う研究開発と、核燃料サイクル開発機構が今後幌延や東濃で行う研究開発の内容は、どのように区別されるのか。その明確な違いを具体的に説明されたい。

十二、費用の見積りの際に想定されるすべての情報は、市民が入手できるようになっていなければならない。そこで、人件費の算出根拠となった機構の職員数を、設立から処分事業終了までについて具体的に明らかにされたい。

十三、放射性廃棄物の後始末を安全に実施する責任は発生者にあり、国には、安全規制等により放射能・放射線災害を防ぐ責任があると考えられる。両者の責任は明確に区別されるべきである。しかるに、法律では責任の所在が極めてあいまいであると言わなければならない。法律第七十四条にいう「業務困難の場合」が起き、原子力損害が発生した場合において、賠償責任を有する者は誰かを明らかにされたい。また、処分事業の終了後に仮に原子力損害が発生した場合はどうか。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

我が国が使用済燃料を再処理してプルトニウム等を回収しているのは、将来にわたるエネルギーの安定確保等の観点から、回収されたプルトニウム等を燃料として有効利用するためである。

二について

我が国の使用済燃料に関しては、これまでの海外再処理委託契約に基づき、平成二十二年ごろまでに累計約三十トン、国内においては、六ケ所再処理工場が本格的に操業した段階で年間約五トン弱の核分裂性プルトニウムが回収される見込みであるが、これらは、当面、プルサーマル及び高速増殖炉等の研究開発において用いられる予定である。

プルサーマルにおける利用については、電気事業者は、平成二十二年までに十六から十八基の軽水炉で実施することを計画しており、それぞれの電気事業者により具体的にウラン・プルトニウム混合酸化物燃料の装荷量及び装荷時期が決定されて、順次実施されていく予定である。

また、高速増殖炉等の研究開発における利用については、高速増殖原型炉もんじゅの運転再開後には、年間数百キログラムの核分裂性プルトニウムが利用される予定である。

三について

原子力発電環境整備機構(以下「機構」という。)は、特定の地区を対象として、一般的な調査以上の文献調査を行った場合には、当該地区が「概要調査地区の基準に適合しなかった地区」又は「適合したが選定しなかった地区」に該当した場合であっても、当該地区に関する文献調査の結果を明らかにするものと考えている。

四について

地震等の自然現象、活断層等に関して公表されている調査結果のうち、文献調査対象地区に関するものは、機構による文献調査に活用し得るものと考えている。御指摘の調査結果が文献調査に活用できるか否かについては、機構において、個々の資料ごとに判断することとなると考えている。

五について

特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(平成十二年法律第百十七号。以下「法」という。)第六条から第八条までの規定により、機構は、概要調査地区等を選定しようとするときは、地層の特性その他通商産業省令で定める事項を考慮すべきものとされている。現在、通商産業省において省令の検討を行っているところである。

法第六条から第八条までに定める条件に適合していると認められない地区について、社会的条件で概要調査地区等に選定されるということはない。

六について

御指摘の公平な第三者の意見等を聴く適切な仕組みの具体的内容については、現在、検討を行っているところである。

七について

通商産業省においては、機構が概要調査地区等を選定しようとするときには文献調査、概要調査及び精密調査の結果や選定の理由等を記載した報告書を作成して縦覧に供し、報告書の内容を周知させるため説明会を開催するとともに、報告書の内容について住民等が意見書を提出する機会を設定する等の手続について、環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)を参考に、通商産業省令において明確にすべく検討を行っているところである。

八について

法第四条第五項は、最終処分計画において概要調査地区等の所在地を定めようとするときは、当該概要調査地区等の所在地を管轄する都道府県知事及び市町村長の意見を聴き、これを十分に尊重すべきものと規定している。このように、概要調査地区等の選定に当たっては、地元の理解と協力が不可欠であることから、国、機構及び発電用原子炉設置者は、地元の理解等を得るべく最大限の努力を行うこととしている。それでもなお、地元の理解等が得られず、当該都道府県知事等が概要調査地区等の選定につき反対の意見を示している状況においては、当該都道府県知事等の意見に反しては、概要調査地区等の選定は行われないものと考えている。国が、地元の理解等が得られると考える場合において、結果として、当該都道府県知事等に対して複数回にわたり意見を求めることはあり得るが、当該都道府県知事等が概要調査地区等の選定につき反対の意見を示すであろうことがあらかじめ容易に予測し得る場合においてまで、当該都道府県知事等に対して「賛成するまで繰り返し意見を求める」ことはないものと考えている。

九について

法第四条第五項の「意見を聴き、これを十分に尊重してしなければならない」との規定は、国は、最終処分計画において概要調査地区等の所在地を定めようとするときは、当該概要調査地区等の所在地を管轄する都道府県知事及び市町村長の意見を十分尊重する旨を明確化したものであると考えている。

右規定は、「同意を得なければならない」という規定とは異なり、当該都道府県知事等の同意を得るということを国の決定についての要件とするものではないが、国に対して当該都道府県知事等の意見を十分尊重しなければならないという義務を課するものである。

十について

御指摘の文書は、国の行政機関の長である科学技術庁長官が、北海道知事等にあてて政策意図を表明したものであるのに対し、法第四条第五項の規定は、国に対し、概要調査地区等の所在地を管轄する都道府県知事等の意見を十分尊重しなければならないという法律上の義務を課するものであって、両者はその性格を異にしている。

なお、右規定の適用については、すべての地方自治体は平等に取り扱われると考えているが、国は、最終処分計画において概要調査地区等の所在地を定めようとするときは、当該概要調査地区等の所在地を管轄する都道府県知事及び市町村長の意見を十分尊重しなければならないのであって、このことに照らすと、当該都道府県知事等が概要調査地区等の選定につき反対の意見を示している状況において、当該都道府県知事等の意見に反しては、概要調査地区等の選定は行われないものと考えている。

十一について

機構は、法第五十六条に定める業務の一部として、最終処分業務等の安全な実施、経済性及び効率性の向上等を目的とする技術開発を行うものと考えている。一方、核燃料サイクル開発機構が、今後、北海道幌延町や岐阜県瑞浪市において行うことを計画している研究開発は、核燃料サイクル開発機構法(昭和四十二年法律第七十三号)第二十四条に定める業務の一部として、深地層の科学的研究等の基盤的な研究開発、最終処分の安全規制・安全評価のために必要な研究開発及び地層処分技術の信頼性の向上に関する技術開発等を目的として行うものと考えている。

十二について

通商産業省に置かれた総合エネルギー調査会が、本年七月に最終処分に係る費用の試算を行うに際して想定した機構の要員数は、別表のとおりである。

十三について

特定放射性廃棄物の最終処分に係る原子力損害に関しては、最終処分についての安全規制に関する今後の検討結果を踏まえて、賠償制度を適切に整備することとしている。

別表 費用の試算を行うに際して想定した機構の要員数 1/2

別表 費用の試算を行うに際して想定した機構の要員数 2/2

参議院の原文

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