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都道環状六号線拡幅事業及び首都高速道路中央環状新宿線建設事業に関する質問主意書

参議院 第154回 第27号

提出者
参議院
提出日
2002年6月14日
内閣転送 2002年6月19日
答弁書受領日
2002年7月19日
提出から35日
答弁の項目数
10
質問 2,082字/答弁 2,031字

質問本文

東京都道環状六号線を現在の二十二メートルから四十メートルに拡幅する事業(豊島区高松~渋谷区松濤)及びその地下に首都高速道路中央環状新宿線を建設する事業(豊島区高松~目黒区青葉台)について、事業地周辺住民から環境悪化への強い懸念が示されている。

したがって、次の事項について質問する。なお、同様の文言が並ぶ場合でも、各項目ごとに平易な文章で答弁されたい。

一、都市計画法の基本理念には「健康で文化的な都市生活を確保すべきこと」と定められており、たとえ公共事業であっても、事業地周辺住民に対し環境悪化の受忍を強要することは、できる限り避けなければならないと考えるが、どうか。

二、公共事業において、住民等が代替案や意見を示している場合、事業者は、いたずらに反論し事業の正当性を主張するのではなく、真摯に耳を傾け、誠実に検討し、必ず回答を示して、丁寧に説明すべきであると考えるが、どうか。

三、公共事業において事業地周辺の環境悪化を避けるため、事業地周辺の環境保全を法令に明記すべきであると考えるが、どうか。

四、東京の都市計画は、一九四七年の戦災復興計画にその基本を置いており、およそ五年ごとに行われる都市計画の見直しの際にもそれをそのまま継続させてきたという経緯があり、時代に適合していないことは明白である。政府が都市再生を重要課題と位置付けるならば、東京の都市計画について、環境保全を求める時代の要請に合わせた抜本的な見直しは、避けて通れない課題であると考えるが、どうか。

五、東京の都市計画の中でも、道路については完成率がいまだに半分程度と極めて低く、それらを計画のまま残して事業化の先送りを続けている。政府が都市再生を重要課題と位置付けるならば、東京の道路に関する計画について、環境保全を求める時代の要請に合わせた抜本的な見直しは、特に避けて通れない課題であると考えるが、どうか。

六、都道環状六号線の拡幅について、本年二月、従来六車線とされていたものが、四車線へと変更することになった。以前の計画である六車線化の場合、環境保全上どのような問題点があったのか。また、六車線化で想定されていた環境保全上の問題点は、四車線化の場合、どのように変わるのか。それぞれ具体的に示されたい。

七、環境影響評価等において大気汚染等を調べる際には、実験室内の実験ではないので、平坦な地形を想定するのではなく、土地の起伏や街並みなど現実の地形に即してシミュレーション等がなされるべきであると考えるが、どうか。

八、首都高速道路中央環状新宿線は、拡幅された都道環状六号線の地下に建設され、排気ガスは換気塔から排出される。そのため、換気塔周辺では高濃度の汚染物質にさらされる恐れがある。事業地周辺住民が民間調査機関に依頼した調査においても、実際の地形に即したシミュレーションを行った結果、住民の懸念を裏付ける結論が示されたと聞く。一方、本件の環境影響評価書は、平坦な地形という想定でシミュレーションがなされ、住民の懸念は当たらないとされている。よって、住民の懸念を払拭するためには、実際の地形に即して環境影響評価をやり直し、事業内容を見直す必要があると考えるが、どうか。

九、一九九〇年八月、環境庁長官は首都高速道路中央環状新宿線の環境影響評価書案に対する意見として、「本件事業計画地域の大気汚染の現状に鑑み、脱硝装置に関する調査研究を進め、その成果を踏まえて換気塔における脱硝装置等汚染物質の除去装置の導入を図る必要がある」と述べている。この環境庁長官意見を踏まえた「脱硝装置に関する調査研究」について、進捗状況を具体的に示されたい。また、環境庁長官意見を実現するため、政府は早急に適切な対処をすべきであると考えるが、どうか。

十、環境庁長官意見の出された一九九〇年当時では想定できなかったが、現在、換気塔によらない排気ガス浄化装置がほぼ実用化されている。これは大気を厚さ四十センチメートルほどの土壌層を通過させるだけで大部分の有害物質を除去できる極めて優れた装置である。これに対し、東京都や首都高速道路公団は旧来の機械式脱硝装置にこだわって開発を進めている。だが、機械式脱硝装置では基本的には窒素酸化物と目に見える程度の塵を除去することしかできず、最も有害なディーゼル排気ガス中の浮遊粒子状物質には効果がないことは明らかである。その上、建設費用、運転費用及び維持管理費用が膨大なものとなると考えられている。一方、土壌式ではトンネル内の換気に使った大気を、換気塔からではなく土壌を通して排出するだけであるため、運転費用は無処理の場合と変らず、維持管理も極めて容易である。

東京都や首都高速道路公団は、土壌大気浄化システムでは広い面積が必要、大雨の対策が必要など様々な理由を付けて拒否し続けているが、いずれも解決可能な問題であり、事業地周辺住民はこの装置による代替案を示している。よって、本件道路への土壌大気浄化装置の導入を積極的に検討すべきであると考えるが、どうか。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

公共事業については、従来から、周辺の環境保全等について配慮しつつ実施してきたところであり、今後とも、適切に実施してまいりたい。

二について

公共事業については、従来から、可能な限り、関係地方公共団体、関係住民等の意向の把握に努めるとともに、これらの者にその必要性等を説明してきたところであり、今後とも、これらの者の理解が得られるよう努めてまいりたい。

三について

公共事業については、環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)に基づき、環境影響評価を適切に実施し、その結果を当該公共事業に係る環境保全のための措置等に反映させているところである。また、一についてで述べたとおり、環境保全等に配慮しつつ公共事業を実施しているところである。したがって、お尋ねのような法令上の明記を新たに行うことは考えていない。

四について

都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第二十一条第一項では、都道府県又は市町村は、都市計画を変更する必要が生じたときは、遅滞なく、都市計画を変更しなければならないこととされている。東京都の都市計画についても、環境保全等の要請を踏まえ、適宜見直しが行われてきたと承知しており、今後とも、環境保全等に配慮しつつ、適切に都市計画の見直しが行われるものと考えている。

五について

東京都の道路に関する都市計画についても、四についてで述べたとおりであると考えている。

六について

東京都に聞いたところ、東京都市計画道路事業幹線街路環状第六号線の渋谷区松濤二丁目から豊島区要町一丁目までの区間を四車線から六車線に拡幅する事業については、東京都環境影響評価条例(昭和五十五年条例第九十六号)に基づく環境影響評価を実施していなかったが、本年二月に当該区間を六車線から四車線に計画を変更したことによって、歩行者に配慮した道路のバリアフリー化、全線にわたる自転車道の設置及び緑豊かな沿道環境の整備を実現することができるとのことである。

七について

環境影響評価における大気汚染の予測においては、一般的な予測方法である拡散式を基に、地域特性等を考慮した係数の設定を行い適切に実施しているところであるが、お尋ねのような予測方法についてはいまだ確立されておらず、その確立が望ましいと考えている。なお、独立行政法人国立環境研究所において、平成十三年度から、市街地における大気汚染濃度の予測方法に関する研究が行われているほか、国立大学等においても、同様の研究が行われているところであると承知している。

八について

首都高速道路中央環状新宿線の環境影響評価については、東京都において、「環境影響評価の実施について」(昭和五十九年八月二十八日閣議決定)、「建設省所管ダム、放水路及び道路事業環境影響評価技術指針について」(昭和六十年九月二十六日付け建設事務次官通達)、東京都環境影響評価条例及び「東京都環境影響評価技術指針」(昭和六十二年告示第八百三十五号)に基づき平成二年度及び平成四年度に行われており、大気汚染の予測については、これらに定められた予測方法である拡散式を基に、地域特性等を考慮した係数の設定を行い適切に実施したと承知しており、事業内容の見直しは必要ないと考えている。

九について

御指摘の環境庁長官の意見を受けて、トンネルの換気所の機械式脱硝装置については、国土交通省所管の財団法人道路環境研究所が設置した「大都市圏の窒素酸化物に関する調査委員会」において、平成二年度から平成六年度までの間、脱硝技術がトンネルの換気所に適用可能か否かについての検討やその技術的課題についての整理が行われ、その結果、安全性、耐久性、騒音、振動等の課題を解決するためには、実際の装置により近い規模での実験を行うことが必要であるとの報告書が取りまとめられた。この報告書を受けて、国土交通省、日本道路公団、首都高速道路公団及び阪神高速道路公団においては、平成九年二月から平成十年十二月までの間、実際の装置により近い規模での実験を行い、脱硝性能、安全性、安定性等を確認し、さらに、その結果を踏まえ、本年四月からは、実用化につながる開発目標を設定し、省スペース化、省エネルギー化及びコスト縮減を図るための実験を行っているところである。

十について

汚染された大気を土壌により浄化する大気浄化技術については、現在、国土交通省、首都高速道路公団及び東京都において、東京都板橋区の大和町交差点で実験を実施しているところである。これまでの実験結果では、当該技術をトンネルの換気所に適用する場合、換気量に対して土壌そのものの浄化能力が小さく、大きな面積が必要になること等が判明している。したがって、首都高速道路中央環状新宿線の換気所に当該技術を適用することは、当該換気所の周辺において市街化が進展し、地下の道路占用物件が多く、更なる用地の確保が難しいこと等から、現実的ではないと考えている。

参議院の原文

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