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島々谷の砂防に関する質問主意書

参議院 第155回 第5号

提出者
参議院
提出日
2002年11月14日
内閣転送 2002年11月18日
答弁書受領日
2003年2月14日
提出から92日
答弁の項目数
6
質問 1,164字/答弁 1,041字

質問本文

北アルプス南部の島々谷は、上高地のかつての表玄関である。明治時代、日本アルプスを世界に紹介したウォルター・ウェストンは、この島々谷を幾度となく歩き、渓谷の美しさを絶賛していた。

しかし、現在の島々谷には、川を分断する砂防ダムがひしめき合い、ウォルター・ウェストンの愛した渓谷美は失われている。そして、新しい砂防ダムの建設で発生した土砂が、既存の砂防ダムを埋め、更に新しい砂防ダムを造る根拠の一つとされているのである。政府は、このような賽の河原で石を積むに等しい行為を、いかに言えば止めるのだろうか。強い不信感を抱かざるを得ない。

以上の観点から、次の事項について質問する。なお、同様の文言が並ぶ場合でも、各項目ごとに平易な文章で答弁されたい。

一、島々谷川(北沢、南沢、その他の支流も含める。以下同じ。)における美しい景観と多様な渓流生態系は、自然科学的見地及び文化的見地から非常に価値が高く、国民の財産としてありのままで保全すべきものであると考えるが、どうか。

二、一九九九年の大雨の際の土砂の影響を見ると、島々谷川第三号砂防ダムより下流において最も被害が出ていた。したがって、島々谷川第六号砂防ダムを建設するよりも、下流にある既設砂防ダムについて、定期的な浚渫やオープン型(スリット型)への改修などによって、土砂調節量を増やすことを優先すべきであると考えるが、どうか。

三、島々谷川第一号砂防ダムについて、一九九九年の大雨の際、同砂防ダムによって河床が上がったため、土石流が道路にあふれやすくなり、道路を経て直下の人家に押し寄せる危険性があったと聞く。したがって、早急に同砂防ダムをオープン型(スリット型)へ改修し、河床を下げる必要があると考えるが、どうか。

四、一九九九年の大雨の際に破損した旧営林所作業小屋近辺の川原に、建設廃土が盛られている。また、二股トンネルの出入口近辺の川原でも、建設廃土が盛られている。この他、ワサビ沢トンネルの建設廃土も、近辺の川原に盛られている。しかし、川原はそもそも土砂調節機能を果たしているのである。したがって、このように建設廃土を川原に置くことは、河川本来の土砂調節機能を低下させ、砂防事業と矛盾する行為になると考えるが、どうか。

五、現地を視察したところ、次の状況を目撃した。島々谷川第四号砂防ダムは満砂状態にあり、島々谷川第五号砂防ダムの建設廃土が流れ込んでいた。また、島々谷川第五号砂防ダムも満砂状態にあり、島々谷川第六号砂防ダムの建設廃土が流れ込んでいた。このような状況について、政府の認識を示されたい。

六、政府は、環境調査及び土砂流出調査の結果を早急に公表した上で、住民やNGOなどを交えて、島々谷における砂防事業の改善策を検討すべきであると考えるが、どうか。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

一級河川信濃川水系島々谷川(以下「島々谷川」という。)の流域は、急峻な地形に加え、地質がぜい弱であり、土砂災害が発生しやすいという特性を有しているため、今後とも、島々谷川の有する自然環境及び景観にも配慮しつつ、国民の生命及び財産を守るため、土砂災害に対する安全性の向上に努めていくこととしている。

二について

御指摘の「一九九九年の大雨」とは、平成十一年六月二十九日及び三十日の大雨のことを指すものと思われるが、当該大雨による土砂の影響を確認した限りでは、「島々谷川第三号砂防ダムより下流において最も被害が出ていた」との御指摘は当たらないと考えている。

三について

島々谷第一号砂防ダムは、その上流側が山腹の崩壊のおそれがある等の特性を有しているため、当該砂防ダムの堆積土砂によって山腹の崩壊を防止する山脚固定の機能等を確保する構造としているところ、御指摘のように「オープン型(スリット型)」へ改築することは、その機能を減ずることとなるので、適当ではないと考えている。

四について

御指摘の「二股トンネルの出入口近辺の川原」及び「ワサビ沢トンネル」の建設廃土は、砂防事業の実施上必要な工事用道路の設置等に利用したものであり、また、御指摘の「旧営林所作業小屋近辺の川原」の建設廃土は、流域外に搬出することが困難なため、河川の土砂調節機能を著しく低下させることがないよう河川の形状、周辺の地形等を勘案し、流域内において適切に処理したものである。

五について

三についてで述べたとおり、島々谷第四号砂防ダム及び島々谷第五号砂防ダムについても、山脚固定の機能等を確保するため、御指摘のとおり満砂状態としているものである。

なお、島々谷第五号砂防ダムは、昭和六十二年に完成したものであり、当該砂防ダムの建設廃土が島々谷第四号砂防ダムに流れ込んでいるという御指摘の事実については、確認されていない。

また、平成十一年六月二十九日及び三十日の大雨の際に、島々谷第五号砂防ダムの上流側に工事用道路として盛土した土砂の一部が流出したことは承知しているが、当該流出の後、速やかに盛土の法面に対して必要な流出防止対策を講じたところである。

六について

島々谷川に関する砂防事業については、従来から、当該事業の内容、環境調査の結果、土砂の流出状況等について、安曇村等関係機関や住民に対し説明してきたところであり、今後とも、必要に応じて、適切に住民等への説明を行い、理解の促進に努めてまいりたい。

参議院の原文

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