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「SACO最終報告の見直し」に係る日米間の協議内容等に関する質問主意書

参議院 第159回 第6号

提出者
参議院
提出日
2004年2月20日
内閣転送 2004年2月25日
答弁書受領日
2004年3月9日
提出から18日
答弁の項目数
5
質問 2,941字/答弁 2,532字

質問本文

本年二月一三日付け『毎日新聞』は、「米国は普天間飛行場を代替なしでも返還するとの意向を日本政府に打診していた」と報じた。

『毎日新聞』の記事によると、昨年一一月、沖縄県を訪問したラムズフェルド米国防長官は「市街地の真ん中にある普天間飛行場を上空から視察」して、「こんな所で事故が起きない方が不思議だ。代替施設の計画自体、もう死んでいる」と指摘し、「SACO最終報告の見直し」を国防総省に指示し、しかも、ラムズフェルド米国防長官のその意向は昨年末、外務省と防衛庁にも非公式に伝えられたということである。また、本年一月一三日、国防総省を訪問した外務省の海老原北米局長に対し、ロドマン米国防次官補が「SACO合意の見直しを検討できないか」と提案し、さらに、先日訪日したアーミテージ国務副長官が二月三日夜、石破防衛庁長官と会談し、「SACO最終報告の見直しを検討したい」と、見直し協議の開始を求めたとも報じられている。

このような具体的な報道にもかかわらず、この件に関するマスコミ等の問い合わせに対し、福田官房長官や川口外相、石破防衛庁長官は、こぞって「そんなことは聞いたことがない」と、米側からの打診を否定したと聞き及んでいる。

「沖縄に関する特別行動委員会(SACO)」が発足した経緯は、言うまでもなく、一九九五年、沖縄で起きた米兵による少女暴行事件に対して、沖縄県民を始め国民の怒りが渦巻く中、沖縄県知事が駐留軍用地強制使用に係る代理署名を拒否する事態となり、日米安保体制を揺がしかねない大問題になったことである。日米間で在沖縄米軍基地の削減問題を解決する実施機関として発足したSACOは、米軍施設返還について協議を重ねたあげく、一九九六年一二月二日にSACO最終報告を発表した。それによると、普天間飛行場を始め北部訓練場、楚辺通信所、読谷補助飛行場、キャンプ桑江などに利用している一一か所の土地の返還、県道一〇四号線越え実弾砲兵射撃訓練の取りやめなど訓練及び運用の方法の調整、嘉手納飛行場及び普天間飛行場における航空機騒音規制措置などの騒音イニシアチブの実施、地位協定の運用の改善等を行うことを決定している。

特に普天間飛行場の返還については「今後五年ないし七年以内に、代替施設が完成し運用可能になった後、返還する」としていたが、それから丸七年経った今でも返還時期のめどさえ立っていない。その間、米国は国際情勢の急激な変化の中、とりわけ九・一一同時多発テロ以後の安全保障に関する基本戦略の変更に基づき、海外基地の大幅再編に動き出している。そのような中、米国側が「SACO合意を見直したい」というのも自然の成り行きと言える。

そもそも普天間飛行場返還に伴う代替施設に関し、SACO合意と、現在日本政府が進めている代替施設の建設計画とではその中身が大きく食い違っている。例えば、SACO合意では①代替施設は海上に設置し、②その施設の滑走路の長さは約一五〇〇メートルで、③工法は浮体工法とするとされていた。これに対し、現沖縄県知事の稲嶺恵一氏は一九九八年の同県知事選挙で公約として「海上ヘリ基地案は政府に見直しを求め、その代わり、県民の財産となる新空港を陸上に建設させ、一定期間、最長一五年に限定して軍民共用とする」ことを掲げた。当初、政府もそれに呼応して、代替施設は海上には作らないとして、知事候補の発言を裏付けた。

そして日本政府は一九九九年一二月二八日の閣議で「普天間飛行場の移設に係る政府方針」を決定し、建設地点を「キャンプ・シュワブ水域内名護市辺野古沿岸域」と定め、「代替施設の工法及び具体的建設場所は地域住民の意向を尊重する」とした。その後、政府と地元等との協議が進められ、二〇〇二年七月二九日に政府と沖縄県などの間で①建設は埋立工法の固定式で②滑走路は全長二五〇〇メートル等とした「普天間飛行場代替施設の基本計画」が合意されたのであるが、その内容は日米間の最初の合意と大きく違っていたのである。

ただ、日米双方はSACO合意に基づいて行動しなければならないはずであり、その合意内容に変更を加えるとなると、その後、何らかの日米協議が行われたと解することができる。

普天間飛行場の早期返還は沖縄県民の切実な願いである。日米間で約束した返還期限が守られていないのは、代替施設の県内移設にこだわり、新たな基地被害の拡散や自然環境の破壊を心配する県民・国民の声を聞き入れない日本政府が招いた結果でもある。しかし、ここに来て米側から「代替施設はなくてもよい」とするSACO合意の見直しが提案されたとなると、沖縄県民にとって朗報であり、願ってもないことである。代替施設が不要となれば、「使用期限一五年」も論議する必要はなく、新施設の土地造成費だけで三千数百億円という経費も不要となり、その資金を米軍基地撤去後の沖縄振興策に有効に使うこともできる。したがって、日本政府は、米側の意向に呼応して、SACO合意の見直し作業に入り、普天間飛行場の一日も早い返還を始めSACO合意にある他の米軍施設の返還の実現に全力を挙げるべきだと考える。

よって、次のとおり質問する。

一 SACOの一九九六年一二月二日の最終報告における合意内容は、日米のいずれかが一方的に変更でき得るものであるのかどうか、外交上の取決めとしてのその性格について明らかにされたい。

二 「普天間飛行場代替施設の基本計画」は、SACO最終報告の合意内容と明らかに違っている。したがって、そのような変更について、米国との間で、いつ、どこで、だれとだれとの協議で、どのように決まったのかを明らかにするとともに、その協議の議事録ないしは合意録を公開されたい。

三 前文で述べた『毎日新聞』の記事では、SACO合意の見直し、つまり「代替施設は不要」との米側の考えとその点に関連した見直し作業について、少なくとも米側から三度にわたって、日本政府側にアプローチがなされたとある。そのアプローチの日時、場所、対応した日本政府の要人の名前、その内容等について明らかにされたい。

四 もし、「報道された内容が事実でない」あるいは「正確ではない」とすれば、SACO合意は日米間の極めて重要な案件であり、その見直しとなると、沖縄県民だけでなく多くの国民が注目している問題であるだけに、真実が明らかにされなければならない。『毎日新聞』の記事のどこがどう違うのか、また、仮に「米側からのSACO合意見直し提案の事実はない」と言うのであれば、その報道に対してどのような対応措置を採ったのかを明らかにされたい。

五 普天間飛行場の「代替施設がなくても返還する」との米側の意向は、普天間飛行場の返還等SACO合意はもちろん在日米軍基地・施設の整理縮小を進める好機である。米軍の海外基地の再編という状況に関する政府の認識を明らかにされるとともに、在日米軍基地とりわけ在沖縄米軍基地の整理縮小、撤去に向けての政府の取組の決意を示されたい。

六 SACO最終報告にある一一か所の訓練場等各施設に利用されている土地の返還の進捗状況について明らかにされたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

「沖縄に関する特別行動委員会」(以下「SACO」という。)は、平成七年十一月十九日に行われた村山内閣総理大臣とゴア副大統領(いずれも当時)との会談の結果、日米安全保障協議委員会(以下「SCC」という。)の下に設置された。SACOの最終報告(以下「SACO最終報告」という。)は、平成八年十二月二日に開催されたSCCにおいて池田外務大臣、久間防衛庁長官、ペリー国防長官及びモンデール駐日大使(いずれも当時)が了承し、政治的な意思の表明として発表した文書である。SACO最終報告は、我が国とアメリカ合衆国(以下「合衆国」という。)との間に国際法上の権利・義務関係を設定する国際約束ではないが、日米両政府の閣僚の間の意見の一致の上に策定された文書であって、日米両政府のいずれか一方が他方の意向に反してSACO最終報告の内容を一方的に変更するような政策をとることは想定していない。

二について

普天間飛行場の移設・返還への取組は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号)及び関連取極の下における日米両政府それぞれの義務との両立を図りつつ、沖縄における合衆国軍隊の施設・区域の整理・統合・縮小を図るとのSACO最終報告の趣旨に沿って進められている。我が国政府は、代替施設協議会において、普天間飛行場の代替施設建設について関係地方公共団体と約二年間にわたる協議を積み重ねた結果、平成十四年七月二十九日に「普天間飛行場代替施設の基本計画」(以下「基本計画」という。)を策定した。

基本計画に至る普天間飛行場の移設・返還への取組の中で代替施設の具体的な整備内容に変更が生じたことについて、日米両政府間においては、SACO最終報告に基づき設置された普天間実施委員会(以下「FIG」という。)の同年十月二十三日の会合において、基本計画を踏まえて普天間飛行場の移設・返還を進めていくことで一致し、これをSCCに報告した。SCCは、この報告を受けて、同年十二月十六日の会合において、普天間飛行場の移設・返還につき、基本計画に基づいて、迅速に移設を進めることを確認した。

お尋ねの議事録又は合意録については、「日米安全保障高級事務レベル協議(SSC)の下の審議官レベル会合(ミニSSC)及び普天間実施委員会(FIG)の概要 平成十四年十月二十四日 日米安全保障条約課」(以下「FIG等の概要」という。)及び「共同発表 日米安全保障協議委員会 於 ワシントン 二千二年十二月十六日」(以下「共同発表」という。)を公表している。

FIG等の概要においては、FIGの同年十月二十三日の会合について、「米側から、日本政府が米側と密接な協議を踏まえて先に基本計画を決定したことを評価する旨の発言があり、今後、基本計画に基づき普天間飛行場の移設・返還に向けた作業を進めていくことで一致し、その旨日米各々のSSC及びSCC(「二+二」)構成員に報告することとなった。」と述べている。

共同発表においては、SCCの同年十二月十六日の会合について、「日本側は、千九百九十九年十二月の閣議決定に従い、在沖縄海兵隊の普天間飛行場の移設と同施設が現在占めている土地の地元への返還に係る問題を取り上げた。閣僚は、沖縄に関する特別行動委員会(SACO)最終報告の実施に関する両政府のコミットメントを再確認した。閣僚は、普天間飛行場代替施設の基本計画策定に際して、在日米軍の能力及び即応態勢を十分に維持しながら沖縄県における米軍施設及び区域を整理、統合、縮小するとのSACO最終報告の目的に沿って、両政府が緊密な協議を行ったことを評価した。閣僚は、二千二年七月の基本計画の策定を沖縄県民の負担を軽減するために両政府がとった一つの重要なステップとして歓迎し、同計画に基づいて、迅速に移設を進めることを確認した。」と述べている。

三及び四について

普天間飛行場の移設・返還について、本年二月十三日付け毎日新聞で報道されているような、代替施設なしでの普天間飛行場の返還を含むSACO最終報告の見直しにつき、合衆国政府から打診を受けているという事実はない。

この点は、国会審議や記者会見等を通じ、明らかにしてきている。

五について

昨年十一月に発表されたブッシュ大統領の声明によれば、合衆国政府は新たな安全保障環境における課題に対処するため、合衆国軍隊の全世界的な軍事態勢の見直し作業を行っており、海外の軍事態勢の見直しにつき、合衆国議会、同盟国、友好国等との協議を強化するとしている。

合衆国軍隊の全世界的な軍事態勢の見直しにおいては、沖縄に駐留する合衆国軍隊を含む我が国に駐留する合衆国軍隊もその例外ではないと理解している。

合衆国政府との間での我が国に駐留する合衆国軍隊の軍事態勢の見直しに関する協議においては、我が国に駐留する合衆国軍隊が有している抑止力が効率的に維持されるとともに、沖縄を含む、合衆国軍隊の施設・区域が所在する地方公共団体の負担が十分念頭に置かれるべきであると考えており、こうした観点から、合衆国政府との協議を進めていく考えである。

六について

SACO最終報告に盛り込まれた土地の返還については、その実施に取り組んできた結果、平成十年十二月二十二日に安波訓練場の全部が返還され、また、昨年三月三十一日にキャンプ桑江の一部が返還された。

このほか、普天間飛行場、北部訓練場、楚辺通信所、読谷補助飛行場、キャンプ桑江(同日に返還された部分を除く。以下同じ。)、瀬名波通信施設、那覇港湾施設並びにキャンプ桑江及びキャンプ瑞慶覧の合衆国軍隊の住宅地区の土地の一部(以下「住宅地区の一部」という。)については、これらの返還に必要な施設の移設等につき関係地方公共団体からの了解が得られ、現在、土地の返還に向け取り組んでいるところであり、これらのうち、楚辺通信所、キャンプ桑江、瀬名波通信施設及び住宅地区の一部については、代替施設等の建設工事に着手しているところである。また、ギンバル訓練場及び牧港補給地区については、関係機関と鋭意調整を行っているところである。

参議院の原文

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