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普天間飛行場の移設先に関する質問主意書

衆議院 第164回 第120号

提出者
無所属
提出日
2006年3月2日
内閣転送 2006年3月6日
答弁書受領日
2006年3月10日
提出から8日
答弁の項目数
2
質問 1,779字/答弁 1,286字

質問本文

在日米軍の再編をめぐり、沖縄・宜野湾市の普天間飛行場の移設先が問題となっている。普天間飛行場の返還は、橋本政権時(九十六年四月)、「米兵の少女暴行事件」に端を発した沖縄の基地負担軽減の一環として、日米トップレベルの合意で約束されていたものである。その政策決定時の当事者の一人として、以下、質問する。

一 なぜ、移設先(政府案)が、当初構想された名護市辺野古の「沖合」ではなく、一部陸地を含む「沿岸」となったのか。

普天間飛行場に関するSACO最終報告(平成八年十二月二日)では、代替施設として三つの具体案、すなわち�@ヘリポートの嘉手納飛行場への集約、�Aキャンプ・シュワブにおけるヘリポートの建設、並びに�B海上施設の開発及び建設について検討された結果、�B「海上施設の建設を追求」することとされた。そして、その理由としては、「海上施設は、他の二案に比べて、米軍の運用能力を維持するとともに、沖縄県民の安全及び生活の質にも配意するとの観点から、最善の選択」だからとされている。

今回、この考え方をとらず、かつ、あえてこれまでの計画地を変更してまで、キャンプ・シュワブ南部沿岸部の陸地に一部かかる案にしたのか。まさに、ここに、安全・騒音・環境面等における、周辺住民の懸念からくる反対の最大の理由があるのではないか。

二 なぜ、新たに建設される飛行場が、海上浮体方式ではなく埋立方式なのか。同じくSACO最終報告では、「海上施設は、軍事施設として使用する間は固定施設として機能し得る一方、その必要性が失われたときには撤去可能なものである」とされ、今後の国際・軍事情勢如何によっては、沖縄の基地負担軽減に大いに資する可能性も考慮された。そして、それを担保するために、その「海上施設の工法」としては、技術専門家グループの検討の結果、�@杭式桟橋方式(浮体工法): 海底に固定した多数の鋼管により上部構造物を支持する方式、�A箱(ポンツーン)方式: 鋼製の箱形ユニットからなる上部構造物を防波堤内の静かな海域に設置する方式、�B半潜水(セミサブ)方式: 潜没状態にある下部構造物の浮力により上部構造物を波の影響を受けない高さに支持する方式、いずれもが実現可能とされた。

にもかかわらず、「普天間飛行場代替施設基本計画」(平成十四年七月二十九日・第九回代替施設協議会)では、「埋立工法」で建設することが決定された。埋立は、右記三つの工法と異なり、恒久施設化する可能性が高く、また、藻場やリーフの破壊、海流の変化による生態系への悪影響等環境への負荷が著しく大きいという欠点もある。

誰が、なぜ、どういう経緯で、SACO最終報告の趣旨を無視してまで、このような決定を下したのか。

三 普天間飛行場の移設先の迷走は、まさに返還合意当時の原点を見失った政府の迷走にある。安全保障上の要請から、沖縄県内移設しかないとすれば、周辺住民の安全面や騒音等の環境面、生態系への負荷等の負担を極力軽減し、日米安保上の要請も満たす、そのベストミックスを追求するしかない。

こうした観点から、総合的に検討され得られた結論が、当時のSACO最終報告の海上施設案であり、三つの工法であった。特に、杭式桟橋方式(浮体工法)とされるものは、埋立案に比し、�@海底にくい打ちをして滑走路を支えるため、リーフや藻場を痛める度合いも少なく、ポンツーン方式のようにコンクリート構造物の防波堤を設ける必要もなく海流の流れを変えることもないので、生態や環境への負荷も比較的少ない、�Aくい打ちなので撤去可能性もあり、将来固定化しないことで沖縄県民感情にも沿う等のメリットがあるとされた。

代替施設を海上沖合に設置することで、ヘリコプターの飛行経路が住宅地にかかることが避けられ、陸地とは「桟橋又はコーズウェイ(連絡路)により接続することが考えられる」。これらはすべてSACO最終報告に盛られている内容である。

もう一度、この原点に立ち返って、日米両政府が、移設案の再検討をすべきだと考えるが、政府の見解如何。シーファー駐日米大使も二月十三日の那覇市での講演で、「地元からいい案が出れば耳を傾ける。よりよい考え方が出れば、それを採る可能性もある」と述べ、沿岸案の修正もありうるとの考えを表明している。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一及び三について

普天間飛行場については、平成八年十二月二日に発表された「沖縄に関する特別行動委員会」の最終報告(以下「SACO最終報告」という。)、平成十一年十二月二十八日に閣議決定された「普天間飛行場の移設に係る政府方針」(以下「政府方針」という。)及び平成十四年七月二十九日に策定された「普天間飛行場代替施設の基本計画について」(以下「平成十四年基本計画」という。)を踏まえ、一日も早い同飛行場の返還に向けて一貫して努力をしてきたが、当初想定されていた五年から七年以内での同飛行場の返還は実現しておらず、同飛行場の代替施設(以下「代替施設」という。)の完成までに更に十数年要することが見込まれていたところである。また、平成十六年八月十三日の沖縄県宜野湾市における我が国に駐留するアメリカ合衆国軍隊(以下「在日米軍」という。)のヘリコプター墜落事故の発生もあり、より早期の同飛行場の返還の必要性が日米両国で強く認識されたものである。

このため、在日米軍の兵力態勢の再編に係る我が国とアメリカ合衆国との間の協議において、在日米軍の運用上の能力を維持しつつ、同飛行場の返還を加速することができるような多くの選択肢を検討し、住民の生活環境や安全、環境に対する影響等の複数の要素を考慮した結果、平成十七年十月二十九日に開催された日米安全保障協議委員会で発表された文書において、代替施設を「キャンプ・シュワブの海岸線の区域とこれに近接する大浦湾の水域を結ぶL字型」に設置するとの案(以下「L字型案」という。)につき合意したものである。

政府としては、これに基づき、一日も早い同飛行場の返還に向けて全力を尽くす考えである。

二について

代替施設については、SACO最終報告後、平成十一年十一月二十二日の沖縄県知事による代替施設の移設候補地の表明、同年十二月二十七日の名護市長による代替施設の受入れの表明等を踏まえ、政府方針において、代替施設の工法及び具体的建設場所の検討を含めて基本計画の策定を行うこと、代替施設の基本計画の策定に当たっては、政府、沖縄県及び地元地方公共団体の間で協議機関を設置し、協議を行うこと等を閣議決定した。

政府方針に基づき、平成十二年八月二十五日、代替施設の基本計画の策定を目的として、沖縄及び北方対策担当大臣が主宰し、防衛庁長官、外務大臣、国土交通大臣、沖縄県知事、名護市長、国頭郡東村長及び国頭郡宜野座村長を構成員(平成十三年一月十六日現在。また、環境に係る課題を協議する場合は、環境大臣の出席を求めることとされていた。)とする代替施設協議会が設置され、代替施設の規模、工法及び具体的建設場所その他代替施設の基本計画の策定に必要な事項を協議することとされた。

代替施設協議会での約二年間にわたる協議を積み重ねた結果、平成十四年七月二十九日に開催された第九回代替施設協議会において、平成十四年基本計画の案が決定された。政府において、これを受けて、同日、平成十四年基本計画を策定した。

なお、L字型案に係る工法については、現時点において決定されていない。

衆議院の原文

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