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国立大学法人化後の問題点に関する質問主意書
参議院 第160回 第15号
質問本文
今年度から国立大学は国の一機関から「国立大学法人」という独立した組織に変わった。大学とその各部局独自の方策をとることが容易になるなど、法人化によって改善された面はあったものの、法人化によって失ったことも大きい。大学における教育研究は日本の国力の源泉であり、これをおろそかにするような制度であってはならない。
このような観点から、以下質問する。
一 運営費交付金への効率化係数への適用について
1 国立大学法人の予算は、独立行政法人通則法による一般の独立行政法人と同様に運営費交付金等が削減されるようになっている。すなわち、毎年一%の効率化係数を乗じて、年々、研究費などが減少していくこととなる。このようなことは、国立大学法人法制定の経緯・趣旨及び同法案の国会の委員会における附帯決議などに照らして、不当と言えるものであり、大学の活力をそぐものではないか。
2 設置基準上必要とされる専任教員の給与費相当額等を対象外にするなど配慮が見られるが、十分とはいえない。国立大学協会も訴えていたことであるが、運営費交付金を義務的経費として効率化係数を適用しないようにすべきではないのか。
二 教育研究経費の実質減について
法人化によって大学の運営の在り方が大きく変わり、大学運営のコストは上昇している。例えば、訴訟に係ることが国としての対応から大学独自の対応となり、そのため各大学は保険をかけるなどして対応している。一方で大学全体の予算はむしろ減少傾向にあり、実質的に教育研究の経費が減少している。このことをどう考えているか。
また、各大学の努力に応じ増額できる仕組みとして「特別教育研究経費」の制度があるが、どの程度改善されるのかが疑問である。国立大学法人を予算面から充分に支援できる制度設計をどう考えているのか示されたい。
三 大学への評価について
大学への評価については、大学側が作成する中期計画に数値等が盛り込まれ、その達成度を国立大学法人評価委員会が評価し、さらに総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会が意見を述べることとなっている。その他にも様々な組織が違う視点から評価するが、評価の視点が大学側からは必ずしも明確でないと思われる。特に、数値目標が立てにくい基礎的な研究や長期的な研究についての評価基準が明示されておらず、研究現場の懸念を招いていることをどのように考えるか。
四 教員の負担増について
中期計画の作成や様々な評価への対応などの大学運営に費やす時間が増えたことにより、教員が教育研究を行う時間が減っているが、これについてどのように考えるか。また、定員削減のために職員が削減された影響もあり、法人化後は教員の教育研究以外の負担は増える一方にもかかわらず、裁量労働制の導入で勤務時間の増加などが考慮されていない。法人化により職員の負担も増えており、教員を支援する職員の増員を図るなど、何か解決策は考えているのか。
五 時間外労働の賃金不払いについて
平成十六年七月十三日、広島大学教職員組合が、同大学に時間外労働の賃金不払いがあるなどとして、広島労働基準監督署に立ち入り調査を求める告発をしている。運営費交付金の減額により、今後、時間外労働の賃金不払いがより懸念される。四月二十二日の参議院文教科学委員会では、大学内の問題として答弁しているが、そもそも業務量を増やしたのは政府であるのに、なぜ政府が責任を持って手当てをしないのか。予算措置を含めた制度的な改善策が必要ではないのか。
六 実態の把握及び施策への反映について
以上に述べた理由により大学全体の力が落ちているとの意見があるが、国立大学法人化後の大学の実態はどれくらい把握しているのか。また、今後、アンケート等による実態の把握及びその施策への反映はどのように行うつもりか。
右質問する。
政府答弁書
一について
国立大学の法人化は、自律的な環境の下で国立大学をより活性化し、優れた教育や特色ある研究に積極的に取り組む個性豊かな魅力ある国立大学を育てることなどをねらいとするものであるところ、国立大学法人への運営費交付金においても、一定の経営改善努力を求めることは必要なことと考えている。もとより、その算定に当たっては、効率化係数を適用しつつも、「大学の教育研究機関としての本質が損なわれることのないよう、国立大学法人と独立行政法人の違いに十分留意すること」との国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)の国会審議における附帯決議等にのっとり、その対象から大学設置基準(昭和三十一年文部省令第二十八号)等により必要とされる専任教員の給与費相当額を除外するなど、大学における教育研究の特性に配慮した仕組みとしているところである。
また、各大学の教育研究上の努力に応じ運営費交付金を措置できる仕組みとして「特別教育研究経費」を設けたところであり、これにより、各大学の個性や特色をいかした教育研究上の意欲的な取組を予算面から支援することとしている。
二について
国立大学が法人化し、国の施設等機関ではなくなることに伴い新たに必要となる賠償責任保険などの経費については、平成十六年度予算において、所要の措置を講じたところである。
また、一についてで述べたとおり、国立大学法人への運営費交付金については、「特別教育研究経費」を設け、教育改革、大規模基礎研究の推進や新たな研究分野・領域への挑戦など、各大学の教育研究上の意欲的な取組を支援することとしており、今後とも、国立大学法人の業務が着実に実施されるとともに教育研究活動の活性化が図られるよう、所要の運営費交付金を措置していくこととしている。
三について
国立大学法人評価委員会の評価は、国立大学法人法第三十五条において読み替えて準用する独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第三十四条第一項及び第二項の規定に基づき、中期目標の期間における中期目標の達成状況の調査及び分析をし、その結果を考慮して当該中期目標の期間における業務の実績の全体について総合的な評定をして行うものであり、国立大学法人に対して国が責任を持って予算を措置することを踏まえ、その国費が有効かつ適切に使用されたかどうかを国として検証する視点から行うものである。
一方、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会は、政府全体の立場から、国立大学法人法第三十五条において読み替えて準用する独立行政法人通則法第三十四条第三項において、国立大学法人評価委員会の行った評価の結果について、必要があると認めるときに国立大学法人評価委員会に対して意見を述べることができることとされており、国立大学法人の評価を直接行うものではない。
また、国立大学法人の教育研究の評価については、教育研究の特性に十分配慮しつつ、専門的な観点から評価を行う必要があることから、国立大学法人法第三十五条において読み替えて準用する独立行政法人通則法第三十四条第二項の規定に基づき、国立大学法人評価委員会から独立行政法人大学評価・学位授与機構にその評価の実施を要請し、その結果を尊重することとされている。
より具体的な評価の在り方については、「国立大学の評価に当たっては、明確かつ透明性のある基準に従って行うとともに、基礎的な学問分野の継承発展にも十分配慮すること」との国立大学法人法の国会審議における附帯決議等にのっとり、国立大学法人評価委員会及び同機構において今後とも検討を行うこととしている。
四及び五について
国立大学の法人化により、各国立大学法人の自主的な判断に基づき柔軟かつ機動的な組織編成や人員配置、多様な雇用・勤務形態の活用が可能となったことから、各国立大学法人自らが、超過勤務の縮減など教職員の負担軽減を図りつつ、教育研究活動を着実に実施することが重要であると考えている。もとより、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第三十七条第一項及び第三項に規定する割増賃金については、使用者である各国立大学法人において適切に支払うべきものである。
六について
各国立大学法人の運営状況については、学長会議等の会議や日常的な情報交換等を通じ把握に努めているところであるが、今後とも、社団法人国立大学協会等と連携しながら、実態の把握を行うとともに、必要に応じ、適切な施策を推進してまいりたい。
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