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監査を前にした東京の歯科保険医の自殺に関する質問主意書

参議院 第168回 第95号

提出者
参議院
提出日
2007年12月18日
内閣転送 2007年12月25日
答弁書受領日
2007年12月28日
提出から10日
答弁の項目数
5
質問 1,418字/答弁 1,303字

質問本文

歯科医療機関の経営は患者減と診療報酬点数の抑制で悪化を続けている。特に開業歯科医師は、従業者数の削減など支出の削減を強いられているにもかかわらず、所得を減少させている。今後の歯科診療報酬の改定も、歯科医療機関の経営困難を更に促進する危険性が強い。多くの歯科医師が将来の歯科医院経営に展望を持てない状況に追い込まれている。

それに加えて、保険診療にかかわる指導や監査が歯科医師に重大な困難をもたらしている。本年九月には、東京都港区で開業する歯科保険医の松下武史氏が予定されていた監査を前に自殺をされた。一九九三年に富山県で保険医が個別指導後に自殺し、大きな社会問題にもなった。それにもかかわらず再びこのような事件が起き、富山の事件が教訓として全くいかされていない。松下医師は、二〇〇六年四月二十一日に行われた第一回目の個別指導で、指導に当たった技官から「こんなことをして、おまえ全てを失うぞ!」、「今からでもおまえの診療所に行って調べてやってもいいぞ、受付や助手から直接聞いてもいいんだぞ!」などと恫喝されたことを述べ、「なぜあそこまで人権を無視したことを言われなければいけないのか」と精神的苦痛を受けたことを訴えていた。そして、第一回目の指導が中断された後、再開まで九箇月もかかった上、「中断」に対する説明、連絡なども行われず長期間放置状態に置かれていたという。もちろん、不正な請求は許されるものではないが、犯罪者扱いとするような行き過ぎた個別指導や行政手続法など法律から逸脱した個別指導に対する改善を求める声が、多くの医療関係者から寄せられている。

そこで、以下の点について質問する。

一 本年十月二十五日の参議院厚生労働委員会における私の質問に対して、舛添要一厚生労働大臣は、「監督指導へ行くときに、・・・、暴言を吐いたとか脅すとか、そういうことがあっちゃいけないんで、これはやっぱり懇切丁寧にやる。」、「(第三者を入れるシステムが)機能していないということは大変ゆゆしいことでありますから、きちんと指導していきたいと思います。」と答弁をした。個別指導は「指導大綱」に沿い、懇切丁寧に行われる必要があるが、二〇〇六年四月二十一日に行われた歯科の個別指導の実施時間、担当技官等行政側の出席者氏名、歯科医師会等の立会人の氏名を実施された個別指導ごとに明らかにされたい。

二 二〇〇六年四月二十一日に松下医師が受けた個別指導がどのような内容であったか明らかにされたい。また、当日の担当技官の氏名を明らかにされたい。

三 松下医師が二〇〇六年四月二十一日に第一回目の個別指導を受け、本年一月十九日に再開されるまでの九箇月間、中断した理由を明らかにされたい。また、行政側としてはどのような作業をしていたのか。この期間、松下医師に対してはどのように対応したのか。それぞれ明らかにされたい。

四 本年九月二十日に予定されていた監査に出席できない旨の連絡が、松下医師の家族から社会保険事務局にはいつ行われたのか、どのように受理され、家族への連絡などどのような対応が行われたのかそれぞれ明らかにされたい。

五 東京都における歯科の個別指導の中断について、二〇〇六年度から二〇〇七年度までの個別指導実施の中断件数と中断期間を明らかにするとともに、中断の理由別の数、再開時期を被指導者に文書で連絡を行っている件数をそれぞれ明らかにされたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

お尋ねについては、昨年四月二十一日午後一時から三時までの間に四の歯科に係る保険医療機関(以下「歯科保険医療機関」という。)に対して、また同日午後三時から五時までの間に五の歯科保険医療機関に対して、それぞれ個別に、東京都歯科医師会の指定した歯科医師及び東京都地区歯科医師会の指定した歯科医師の立会いの下で、東京社会保険事務局保険部保険医療課の職員及び東京都福祉保健局指導監査室の職員により個別指導(「保険医療機関等及び保険医等の指導及び監査について」(平成七年十二月二十二日付け保発第百十七号厚生省保険局長通知)の別添1「指導大綱」第3の3に掲げる個別指導をいう。以下同じ。)を行ったものである。

お尋ねの氏名については、個人情報保護の観点から公表していないこともあり、お答えすることは差し控えたい。

二について

お尋ねについては、御指摘の歯科医師(以下「本件歯科医師」という。)の勤務する歯科保険医療機関が担当した療養の給付等が、保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和三十二年厚生省令第十五号)等に照らして妥当適切であったかどうかについて、東京社会保険事務局保険部保険医療課の職員が確認を行ったものである。

お尋ねの氏名については、個人情報保護の観点から公表していないこともあり、お答えすることは差し控えたい。

三について

お尋ねについては、御指摘の第一回目の個別指導において、更に確認を行うため新たな資料が必要となったことからその提出を本件歯科医師に求めたところ当該資料の提出までに時間がかかり、また、当該資料が提出された後に東京社会保険事務局において再開後の個別指導の準備を行っていたために時間を要したものである。

四について

東京社会保険事務局においては、本年九月十四日に、本件歯科医師の御家族より本件歯科医師が御指摘の監査に欠席する旨の電話連絡を受けた後、同月十八日付けで、郵送による本件歯科医師の監査の欠席届を受理した。

五について

個別指導においては、予定時間内に対象保険医療機関より必要な情報が得られなかった場合には後日再開する前提で個別指導を中断することとしているが、そのような中断の件数は、昨年四月一日から本年十一月三十日までの間に東京都に所在する歯科保険医療機関に対して行われた個別指導については四十一件であり、その中断の期間は、中断が継続しているものも含め、一か月未満が六件、一か月以上二か月未満が十四件、二か月以上三か月未満が九件、三か月以上四か月未満が二件、四か月以上五か月未満が二件、五か月以上六か月未満が三件、六か月以上七か月未満が一件、七か月以上八か月未満が一件、八か月以上九か月未満が二件、十一か月以上十二か月未満が一件であり、十二か月以上のものはない。

これらの中断の理由は、指導すべき内容を確定するため必要な情報の不足等から更なる調査が必要なものが四十件、指導の対象となる保険医の不在によるものが一件である。また、個別指導を再開する日時についてはすべて文書で通知することとしており、お尋ねの件数については、個別指導を再開する日時が決定した三十六件である。

参議院の原文

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