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地球温暖化対策についての福田総理の提案に関する質問主意書

参議院 第169回 第175号検討してまいりたい ×4

提出者
参議院
提出日
2008年6月19日
内閣転送 2008年6月20日
答弁書受領日
2008年6月24日
提出から5日
答弁の項目数
9
質問 2,614字/答弁 2,420字

質問本文

平成二十年六月九日に福田総理大臣は「『低炭素社会・日本』をめざして」と題する講演を行い、七月の北海道洞爺湖サミットに向けた我が国の地球温暖化対策、いわゆる「福田ビジョン」を発表した。ポスト京都の国際的枠組み、中長期の温暖化対策の取り組み等について触れられているが、具体的な姿が明確になっておらず、北海道洞爺湖サミットにおいて何を成果としようとしているのか全く見えない。

そのような見地から、以下のとおり質問する。

一 長期目標について、二〇五〇年までに世界全体でCO2排出量の半減を目指さなくてはならないとし、日本としても二〇五〇年までに現状から六十パーセントから八十パーセントの削減を掲げるとしている。世界全体のCO2排出量は、いつの時点を基準として半減とされているのか。また、日本の目標における「現状」とはいつのことか、明らかにされたい。

さらに、日本が批准している京都議定書の規定による基準年と比較して、二〇〇六年度における温室効果ガスの総排出量は六・二パーセント増加しており、そのような「現状」を基準とすることの合理的根拠も示されたい。

二 中期目標について、福田ビジョンにおいては、来年の然るべき時期に発表するとし、具体的な目標数値、発表時期について明らかにされていない。昨年十二月のバリにおけるオールドAWGにおいて、二〇二〇年までに先進国全体で九〇年比二十五パーセントから四十パーセント削減との合意があるにもかかわらず、国民に対する説明を先送りにする理由を明らかにされたい。

三 中期目標に関連して、先般、発表された「長期エネルギー需給見通し」を基に二〇〇五年から十四パーセント削減が可能との見通しが示されている。この数字は、京都議定書の規定による基準年を基とすれば、七パーセント程度の削減にとどまるものであり、森林吸収源対策等を除いた実質的な排出削減量は四パーセントにも満たない水準である。北海道洞爺湖サミットに、二〇二〇年までに四パーセント未満という数値で議長として臨むのか。中期目標はより高い数値を示し、そのための施策を早急に整えることが重要であると考えるが、政府の見解を示されたい。

四 基準年について、「二十年も前の一九九〇年にいつまでも拘っていてよいのか」との言を引いているが、政府としては北海道洞爺湖サミットにおいて基準年の変更を提案するのか。提案するとすれば、いつを基準年とするのか、京都議定書を批准している我が国が基準年を変更すべき合理的な根拠とあわせて明らかにされたい。

五 セクター別アプローチについて、五月に開催されたG8環境大臣会合の議長総括において「同アプローチが国別総量目標を設定するために用いられるもので、これを代替するものではないことを明確にした」とされた。しかし、今般の福田ビジョンにおいては、セクター別の積み上げによって国別総量目標を設定するとも読める表現となっている。セクター別アプローチは中期目標設定に代替するものではないことを明らかにされたい。

また、G8環境大臣会合の議長総括では「ボトムアップ・アプローチによる削減ポテンシャルとトップダウン・アプローチにより計算される必要な排出削減レベルとの間に生じうるギャップは、環境上、十分なレベルを確保するために埋められる必要がある」とされた。このギャップを埋めるための施策についての政府の見解を示されたい。

六 再生可能エネルギーの普及に関連して、「太陽光発電世界一の座を奪還するため、導入量を二〇二〇年までに現状の十倍、二〇三〇年には四十倍に引き上げることを目標として掲げたい」と述べている。その思いは一にするものの、過去の施策の反省も踏まえて目標達成のためにどのような政策を採っていくのか、具体的な内容が示されていない。今後の具体的な施策について明らかにされたい。

さらに、戸建て住宅への太陽光パネルの設置を現状の約三十二万戸から二〇二〇年に約三百二十万戸とする施策を掲げているが、具体的にどのような方策を採るのか明確にされたい。新築持家住宅の七割以上が太陽光発電を採用しなければならない計算となるというが、それは法的な措置を講じるのか、それとも財政上または財政上の措置で実現するのか、見解を示されたい。

また、「ドイツの例も参考にしながら」検討するとあるが、固定価格買取制度に対する政府の見解を示されたい。さらに、固定価格買取制度とRPS法(電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法)の長所と短所についても、それぞれ見解を示されたい。

七 先のG8環境大臣会合では、排出量取引については、炭素に価格をつけ、価格シグナルを提供することを支援することが可能であるとともに、民間部門に対する長期的かつ確実な経済的インセンティブを与え、一層の排出削減を進める上で有効な手法との認識が共有された。政府としても同様の認識であると考えてよいか、見解を示されたい。

八 国内排出量取引制度について、「いつまでも制度の問題点を洗い出すというのに時間と労力を費やすのではなく、むしろ、より効果的なルールを提案するくらいの積極的な姿勢に転ずるべき」とこれまでよりも踏み込んだ発言をしたことは評価したい。しかし、今秋から国内統合市場の試行的実施、実験を開始すると述べるにとどまり、本格的な制度導入がいつになるのか、導入そのものも曖昧なものとなっている。「試行的実施、実験」は、どのような制度での実施を検討しているのか明らかにされたい。

また、環境省が実施してきた自主的排出量取引制度や経済産業省が検討している国内CDM制度(中小企業等CO2排出量削減制度)と、どのような違いがあるのか明らかにされたい。

さらに、キャップ・アンド・トレード方式によって排出削減にインセンティブを与えていく仕組みが必要と考えるが、この「試行的実施、実験」の段階において、キャップ・アンド・トレード方式を採用することも検討に入っているのか、入っていなければその理由とともに、政府の見解を明らかにされたい。

九 環境税についても、「税制のグリーン化」という表現はあるものの、これまでの目標達成計画で検討を進めると言い続けた従来の姿勢とは大差がないものとなっている。今年の税制改正における環境税の導入について、政府の見解を明らかにされたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

福田内閣総理大臣が平成二十年六月九日に発表した「『低炭素社会・日本』をめざして」における長期目標においては、現状の排出量と自然界の吸収量との関係を勘案し、広く世界各国の共通の認識を得るとの観点から、現状から半減することを目指すとしたものであり、これを踏まえ、我が国としても、その達成に向け、二千五十年までに現状から六十パーセントから八十パーセントの削減を行うことを掲げたものであって、世界全体の二酸化炭素排出量の半減の基準となる時点は、具体的な年月を特定するものではなく、また我が国の目標における「現状」は、幅広く現在の状況を指している。

二について

御指摘の合意とは、昨年十二月にバリで開催された気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書(平成十七年条約第一号。以下「京都議定書」という。)に基づくアドホック・ワーキング・グループ(AWG)の結論文書に記載されているものを指すと思われるが、これはIPCCの報告書において、一定のシナリオに基づいて試算した場合に先進国全体として削減すべき排出量として言及されたものの一つである。

いずれにしても中期目標については、今後、国際交渉の状況を踏まえて来年のしかるべき時期に発表することとしている。

三について

「『低炭素社会・日本』をめざして」に示された、二千二十年までに現状から十四パーセントの削減が可能との見通しは、経済産業省において、省エネルギー、新エネルギー等の技術を具体的にどの程度導入していくことが可能かについて詳細に検証し、削減可能な排出量を積み上げた結果得られたものである。中期目標については、来年のしかるべき時期に発表することとしており、あわせて、この目標を達成するための施策について検討してまいりたい。

四について

我が国としては、気候変動に関する国際連合枠組条約(平成六年条約第六号)及び京都議定書の規定に基づく国際交渉において既に負担の公平性やデータの信頼性の観点から基準年の見直しを提案している。具体的に基準年をいつにすべきかについては、今後の国際交渉の動向を踏まえ、引き続き検討してまいりたい。

五について

我が国としては、主要排出国とともに、今後の温室効果ガスの排出削減について、国別総量目標を掲げて取り組むこととしており、セクター別アプローチにより国別総量目標を代替するものではない。

ボトムアップ・アプローチによる削減ポテンシャルと世界全体での排出量をある時点で頭打ちさせるのに必要な排出削減レベルとの間にギャップが生じる場合には、それが適切に埋められるよう、必要な方策について検討してまいりたい。

六について

政府としては、本年三月に改定された京都議定書目標達成計画(平成二十年三月二十八日閣議決定)においては、太陽光発電を含めた新エネルギー対策の抜本的強化について、速やかに総合的検討を行うこととしており、今後、「『低炭素社会・日本』を目指して」の内容を踏まえつつ、速やかに施策の具体化を図っていくこととしている。経済産業省においては、新築持家住宅への太陽光発電の普及に向けた方策を含め、太陽光発電の導入支援策等について、現在、総合資源エネルギー調査会で審議を行っているところである。

御指摘の固定価格買取制度については、平成十三年十二月にとりまとめられた総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会新市場拡大措置小委員会報告書によれば、「価格設定を発電事業者にとって十分魅力ある水準に設定すれば、効果は大きい。」とされている一方、「固定価格での買取りが保証されるため、発電事業者側にコスト削減インセンティブが働きにくい。」等とされている。また、いわゆるRPS制度については、同報告書において、「現実的な導入可能量を踏まえた適切なクオータ設定が行われる等の結果、市場原理が有効に機能した場合、義務対象者たる電力事業者の電源選択の自由等の経営判断上のフレキシビリティが確保され、そのことが発電事業者間の競争を促し、コスト削減インセンティブが維持される」等とされている。

七について

「『低炭素社会・日本』をめざして」においては、「CO2に取引価格を付け、市場メカニズムをフルに活用し、技術開発や削減努力を誘導していくという方法を積極的に活用していく必要」があるとし、こうした手法の一つとして排出量取引制度を位置付け、実需に基づく健全な市場を作ること等が重要であることを踏まえ、今年の秋には、「国内統合市場の試行的実施」を開始し、その経験をいかしながら、本格導入する場合に必要な条件、制度設計上の課題などを明らかにすることとしているところである。

八について

お尋ねの「試行的実施、実験」については、できるだけ多くの業種・企業に参加してもらい、国内排出量取引制度を本格導入する場合に必要となる条件、制度設計上の課題などを明らかにし、技術とものづくりが中心の日本の産業に見合った制度はどうあるべきか検討できるよう、環境省が実施してきた自主参加型国内排出量取引制度や経済産業省が今秋から立ち上げることを予定している国内クレジット(CDM)制度との関係等も含め、現在、その具体的な実施方法について政府部内で検討しているところである。

九について

環境税については、国民に広く負担を求めることになるため、地球温暖化対策全体の中での具体的な位置付け、その効果、国民経済や産業の国際競争力に与える影響、諸外国における取組の現状などを踏まえて、国民、事業者などの理解と協力を得るように努めながら、真摯に総合的な検討を進めていくべき課題であると認識している。今秋に予定している税制の抜本改革の検討の際には、道路財源の一般財源化後の使途の問題にとどまらず、環境税の取扱いを含め、低炭素化促進の観点から税制全般を横断的に見直し、「税制のグリーン化」を進めることとしている。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

検討してまいりたい ×4

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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