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米印原子力協定へのわが国の対応に関する質問主意書

参議院 第170回 第22号

提出者
参議院
提出日
2008年9月29日
内閣転送 2008年10月1日
答弁書受領日
2008年10月7日
提出から8日
答弁の項目数
3
質問 1,272字/答弁 1,305字

質問本文

米印原子力協定が、わが国も所属する国際組織である原子力供給国グループ(以下、「NSG」という。)において承認されたが、一般的に、アメリカとインドの原子力協定は、核拡散防止条約(NPT)体制を補強するのではなく核兵器の拡散を拡大しかねないと指摘されている。インドは、NPTに未加盟であり、独自に核兵器の開発・実験を行い、核兵器を保有している。インドの原子炉二十二基のうち、民生用の十四の原子炉については国際原子力機関(IAEA)と保障措置協定を結び査察対象となっているが、軍事用については査察対象となっていない。

そもそもNSGは一九七四年のインドの核実験を契機として設立された。今回の米印原子力協定の承認は、NPT体制の悪い前例になる可能性が高く、NPTの不公平性への批判を招くものであり、北朝鮮やイランの核開発への対応に大きな影響を及ぼすものであると考えられる。

これを踏まえ、米印原子力協定へのわが国の対応に関して、以下質問する。

一 米印原子力協定に対するわが国の見解を示されたい。真に核拡散防止に貢献し、核拡散防止体制を強化できるのか、わが国として何ができるのかを明確にされたい。

二 このような行動をとっているインドに対し、何らの核軍縮義務や核査察義務を課さずに、NSGの輸出管理規制の例外扱いを認めることはNPT体制の瓦解につながる恐れがあるのではないか。世界で唯一の被爆国であるわが国としてはどのような対応を行う考えであるのかを明確に示されたい。

三 NSGの国際会議においては、濃縮ウラン燃料や燃料再処理技術の輸出禁止、核実験再開後の特例対応の廃止など、インドに対し、厳しい対応を求める意見が数多くあったと聞くが、同国際会議におけるわが国の意見表明はどうであったのかを示されたい。また、このような国民の関心が高い事項に関する国際会議については、その議事録を和訳して国民に示す必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。

四 わが国は、世界で唯一の被爆国としてインドに対し、NPT加盟や、包括的核実験禁止条約(CTBT)の署名及び批准を求めてきた。わが国は、引き続きこの立場を維持し、NSGにおける米印原子力協定の例外扱いは認めるべきではなく、他国が例外扱いを認めるとしても核兵器開発を完全に抑制する方策を主張すべきと考えるが、政府の考えはいかがか。

五 わが国はNPT体制の強化に貢献すべきと考えるが、政府としては今後NPT体制の強化についてどのような取組を進めていく考えなのか。具体的な貢献策があれば、その予算と併せ示されたい。

六 次回のNPT再検討会議は二〇一〇年に開かれる。前回二〇〇五年の会議は完全に決裂しており、NPTの機能は大幅に低下した。次回は今回の米印原子力協定への対応も含めた対応方針が必要となるが、我が国はどのような方針で準備を行うのかを示されたい。今から対応を図らなければNPTにおけるわが国のイニシアティブは確保できず、また、NPTの強化も困難であると考えるが、政府の見解を示されたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一、二及び四について

お尋ねの米印原子力協定は、平成十七年七月の民生用原子力協力に関する米印合意を受け、平成十九年七月三十日に実質交渉が妥結した、原子力の平和的利用に関する協力のためのインド政府及びアメリカ合衆国政府との間の協定案のことを指すものと考える。

同協定案の発効要件の一つとなる、原子力供給国グループ(以下「NSG」という。)の「インドとの民生用原子力協力に関する声明」については、平成二十年九月五日に発表されたムカジー・インド外務大臣の声明においても述べられたインドの核実験モラトリアムの継続をはじめとして、民生用の原子力施設への国際原子力機関(IAEA)保障措置の適用、NSGガイドラインの遵守を含む厳格な輸出管理の実施等のインドのコミットメント及び行動に基づくものであることが明確にされ、また、これらのコミットメント及び行動を通じて、インドに対する不拡散措置が現在より強化され、インドの原子力活動の透明性が高まるとともに、国際的な核不拡散体制の外にいるインドによる更なる不拡散への取組を促す契機となると考えられたこと等から、我が国としては、ぎりぎりの判断として、同声明に関するコンセンサスによる採択に加わった。

今回の決定は、国際社会がインドのコミットメント等を重視した結果であり、我が国としては、インドがこの決定の趣旨を重く受け止め、国際的な核不拡散体制の維持・強化のために責任ある行動をとるよう引き続き強く求めていく。また、インドに対し、非核兵器国としての核兵器の不拡散に関する条約(昭和五十一年条約第六号。以下「NPT」という。)への早期加入、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期署名・批准等を求めるとの我が国の立場には変わりはない。

三について

NSGにおける議論の詳細については公表しないこととなっているが、「インドとの民生用原子力協力に関する声明」の採択に際して、我が国は、特に唯一の被爆国として、インドによる核実験モラトリアムの継続を重視しつつ議論に参加し、仮にインドによる核実験モラトリアムが維持されない場合には、NSGとしては例外化措置を失効又は停止すべきであること、また、NSG参加各国は、各国が行っている原子力協力を停止すべきであることを明確に表明した。また、我が国としては、一、二及び四についてで述べた我が国の立場には変わりはないことについても改めて表明した。

五及び六について

NPTを基礎とする国際的な核軍縮・不拡散体制の維持・強化のためには、核兵器のない平和な世界に向けた、具体的かつ着実な取組を一歩一歩進めていく必要がある。我が国は、この考え方を示した核軍縮決議案を国連総会に提出し、圧倒的多数の支持を得てきている。また、今般、我が国はオーストラリアとともに、世界の傑出した有識者から成る核不拡散・核軍縮に関する国際委員会を設置した。この委員会は、二千十年NPT運用検討会議の成功に貢献するため報告書を提示する予定である。政府としてこの委員会を支援していくとともに、来年の第三回準備委員会を含めた二千十年NPT運用検討会議に向けた議論に参加していく考えである。

参議院の原文

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