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戸別所得補償制度のコメについてのモデル事業の実施等に関する質問主意書
参議院 第173回 第98号検討してまいりたい ×1
質問本文
農家の皆さんは、すでに秋まきの麦の播種を終え、来春の種もみの準備を行っていることもあって、平成二十二年度の戸別所得補償制度のコメについてのモデル事業の実施等について、早急な具体策の明示を求めている。
これについては、衆参の予算委員会、農林水産委員会等で質疑されたが、時間が制約され政府の考えが十分に示されたとは言えない。そこで、必ずしも明らかにされていない次の項目について取り組みの現状や考え方を示されたい。
一 新しい食料・農業・農村基本計画の策定について
赤松農林水産大臣は、予算委員会の答弁において、新しい食料・農業・農村基本計画の策定を急ぐとしているが、全ての販売農家を対象とする米戸別所得補償制度モデル事業は、わが国農業の将来を展望してのものなのかどうか疑問がある。
わが国の気候風土と農地所有の特性を踏まえた日本型ともいうべき経営形態を同基本計画において示した上で、それらの経営体をつくりあげるための戸別所得補償制度にするべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。
二 水田利活用自給力向上事業について
産地確立交付金等、水田への転作作物の助成については、これまで各種加算措置や転作実施の積み上げのなかで、地域が交付金等の範囲内で判断できる柔軟性を持たせてきたが、今回は、水田利活用自給力向上事業として、麦や大豆についても一律の金額にされ、単価も引下げになった。また、地域振興作物についても単価が大きく引き下げられて、地域の取り組みがいかされない事態になっている。
これまでの取り組みの経緯も踏まえ、麦・大豆や地域振興作物への支援単価を引き上げるなど、予算措置を充実するとともに、地域の自主性がいかされるよう対策を講ずるべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。
三 生産数量目標の配分について
都道府県ごとの生産数量目標の配分が示されたが、市町村ごと、農業者ごとへの生産数量目標の配分について、これまでは地域での取り組みの実績等を勘案して配分されてきた経緯がある。モデル事業では、水田利活用自給力向上の助成金と生産調整の取り組みを連動させないことから、これまでの生産数量目標配分の取り組みとは異なる新しい動きが生じ、混乱を増幅させかねない。
例えば、これまで生産調整に取り組んでこなかった農業者への配分をどうするのか。また、これまではまじめに生産調整に取り組んできた農業者への加重な配分を見直し、水田面積当たり一律の生産数量目標配分にすべきだとする動き等も予想されるが、これではこれまでの地域の自主的な取り組みを阻害しかねない。
以上について、政府の見解を示されたい。
四 過剰米対策について
豊作や生産調整に取り組まない農家による生産数量目標を超える過剰米の現出が引き続き予想されるが、放置すれば米価の低落は間違いないし、農家の不安はもちろんのこと国による米価補てんが膨らみ財源上も問題が生じかねない。豊作分に対処すべく講じている集荷円滑化事業は今後どう扱う考えでいるのか。また、政府による買い入れはどう考えているのか。
そして、その翌年の生産数量目標の設定や配分をどうするつもりか。まじめに生産調整に取り組む農業者や地域への配分強化にならないのか。
過剰米の扱いいかんが、コメの安定生産流通の全てを壊すことになることを肝に銘じて対策を検討すべきである。
以上について、政府の見解を示されたい。
五 集落営農の取り組みについて
農地の零細分散所有というわが国の水田農業の現状を踏まえたとき、集落営農による農地の利用の集積は大きな意義を持っていることを十分承知していると思う。集落営農への所得補償分の支払いや転作作物に関する助成金は、集落営農組合が指定した口座へ一括して支払われるものと考えているが、そうした理解でよいか。政府の見解を示されたい。
六 水田・畑作経営所得安定対策の扱いについて
これまでの水田・畑作経営所得安定対策について、平成二十二年度は継続し、麦や大豆等にかかわる「ゲタ」部分の支払いの実施、平成二十一年産米の「ナラシ」部分の対策も講じられると理解しているが、平成二十二年産米の「ナラシ」及びそれ以降の経営所得安定対策の扱いをどう考えているのか。当然、生産者の拠出も廃止となり、そのあり方も見直されることになると理解しているが、政府の見解を示されたい。
七 国家戦略室や財務省からの見直し要請について
モデル事業の実施内容について、国家戦略室や財務省から農水省に対して見直し要請が来ていると報じられているが、要請内容と農水省の対応の基本的な考え方について示されたい。
八 酪農、畜産、漁業、林業、野菜・果樹対策について
鳩山総理も代表質問に対して、コメ以外の酪農・畜産・野菜・果樹等に対しても戸別所得補償を行うと答弁しているが、これらの作物や漁業・林業への対策について現在どんな検討を行っているのか、検討にあたっての基本的な考え方と検討状況を示されたい。
九 農協・森林組合・漁協の位置づけについて
わが国の農林漁業政策の実施にあたっては、これまで農林漁業者の協同組織である農協・森林組合・漁協が大きな役割を果たしてきている。今後の政策の柱となる戸別所得補償制度や直接支払い政策の実施にあたっても同様と考える。
これらの農林漁業者の協同組織の位置づけについて、政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
現在策定作業を行っている新たな食料・農業・農村基本計画において、これからの担い手像を含め、将来の日本農業のビジョンを示すこととしており、戸別所得補償制度についても、同計画を踏まえて、我が国農業の再生につながるよう、制度設計を行っていくこととしている。
二について
農林水産省において平成二十二年度予算概算要求を行っている水田利活用自給力向上事業においては、食料自給率向上に向けて重点的に取り組む必要のある麦や大豆等の作物について、主食用米並みの所得が確保できる水準の全国統一の助成単価を設定することを検討している。一方で、各地域において各々の特色を生かして生産が行われている作物について、地域が助成対象作物や助成単価を地域の実情に応じて設定できる仕組みを設けることを検討している。
三について
生産数量目標の配分に当たっては、従来のような生産調整未達成地域に不利な配分を行う等の調整措置は原則廃止することとしているが、地域の関係する農業者にとって、できるだけ納得が得られる配分が行われるような取組が重要と考えている。
四について
農林水産省において平成二十二年度予算概算要求を行っている米戸別所得補償モデル事業(以下「モデル事業」という。)においては、米の生産数量目標に即した生産を行った販売農家に対して生産に要する費用と販売価格との差を補てんする措置を講ずることを検討している。モデル事業の下では、過剰米が生じた場合には、その販売分は、当該販売農家の利益となるものであり、当該販売農家において、様々な用途に適切に販売を行うことが重要であると考えている。
五について
モデル事業において、お尋ねのとおりの方向で検討している。
六について
平成二十二年産米については、モデル事業と水田・畑作経営所得安定対策のうち収入減少影響緩和対策との間で、補てん内容に重複する部分が生じる場合には、二重に支払が行われないよう措置する必要があると考えている。また、平成二十三年度以降の水田・畑作経営所得安定対策の取扱いについては、戸別所得補償制度の本格実施に向けた制度設計の中で検討していくこととしている。
七について
財務省において、予算編成過程における戸別所得補償制度についての論点整理として、供給能力が過剰である米をモデル事業の対象とするのか、対象となる地域や農家を限定して実施することはできないのか等の問題提起を行っているところである。一方、内閣官房国家戦略室においては、マニフェストの主要事項等を実施するための意見聴取を行っているところである。
農林水産省としては、水田を対象として、モデル事業と米以外の主要な農作物の増産を図る水田利活用自給力向上事業を一体的に実施することにより、食料自給率の向上を図ることが重要であると認識している。
今後、政府として、予算編成過程において適切な対応を行っていくこととしている。
八について
戸別所得補償制度については、現在、米・麦・大豆など、恒常的に販売価格が生産費を下回っている品目を対象とすることを基本として検討しているところである。畜産物、野菜、果樹等の取扱いや、漁業及び林業への対策については、今後、モデル事業及び水田利活用自給力向上事業の実施状況等を見極めつつ、生産費等のデータの充実等を図りながら、検討を進めていくこととしている。
九について
農業者、森林所有者、漁業者等の協同組織である農業協同組合、森林組合及び漁業協同組合は、農林漁業生産力の増進及びこれらの者の経済的社会的地位の向上等に向けて主体的な役割を果たすべきものと考える。
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