ことばで探す › 参議院 第173回
電磁波対策に関する質問主意書
参議院 第173回 第99号承知していない ×1
質問本文
携帯電話基地局建設をめぐって全国各地で建設中止や撤去をもとめる運動、裁判が続いている。また電磁波過敏症を発症した人々からは日常生活を安全に安心して過ごせるよう、携帯電話や基地局、その他さまざまな電磁波発生源の適切な住み分けや規制をもとめる声があがっている。これらを踏まえ、すでに第一六六回国会に質問主意書(質問第七七号、二〇〇七年七月五日)を提出し、当時の自公政権の対応をただした。
その後の電磁波対策をめぐる現況を把握するとともに、新政権がこの問題にどのような姿勢で臨むのか、以下質問する。
一 電磁界・電磁波をめぐる各省庁の研究、検討状況について
1 二〇〇八年度以降において各省庁が予算を支出した電磁界・電磁波に関する研究実績(委託研究をふくむ)について、研究開始年度・終了(予定)年度、調査研究名、研究機関、研究者名、役職名、研究費をすべて示されたい。さらに各省庁横断的に行っている調査研究があれば同様に示されたい。
2 各省庁が所管公益法人(一例として、総務省では財団法人テレコム先端技術研究支援センター(以下「(財)テレコムセンター」という。))に調査研究を委託し、もしくは請け負わせている場合、それぞれの公益法人で行っている各調査研究の研究開始年度・終了(予定)年度、調査研究名、研究機関、研究者名、役職名、研究費を示されたい。
3 調査研究業務を受注した公益法人において、2の調査研究を決定している機関((財)テレコムセンターの場合は評価会)について、その構成員の氏名、役職名を示されたい。
4 調査研究業務を受注した公益法人において、省庁からのいわゆる天下りがある場合は、その氏名、省庁での最終役職名、省庁退職年月日、公益法人への就職年月日、公益法人での役職名、常勤非常勤の別を示されたい(過去五年分)。
5 総務省によると、(財)テレコムセンターが受注し、二〇〇七年度から開始した生体電磁環境に関する十五テーマの各研究では「携帯電話基地局及び携帯電話からの電波が人体に影響を及ぼさないことを示している他、過去に影響があると報告された結果について生物・医学/工学的な手法を改善した実験においては、いずれも影響がないという結果を得ている」とのことである。
ところで、(財)テレコムセンターの役員、評議員はいずれもKDDI株式会社、株式会社日立製作所、株式会社東芝、日本電信電話株式会社など電気通信事業者が大半を占めている。このような団体が行う研究が事業推進に不利な結果とならないことは容易に推察される。
政府は、電気通信事業を推進する団体による電磁波の健康影響に関する研究結果に、客観性、公正性、中立性がどのように担保されると考えるか、所見を示されたい。
6 政府が一九九六年から開催している電磁界関係省庁連絡会議について、二〇〇七年度から今年度までの開催実績と審議内容を示されたい。
二 携帯電話基地局建設をめぐる現況について
1 総務省は衆議院で「携帯電話基地局の建設をめぐって周辺住民と携帯電話業者との話し合いがスムーズに進んでいないケースが平成十七年三月末現在、二十件程度」と答弁(二〇〇五年四月二十六日)し、前記の質問主意書に対する答弁書(内閣参質一六六第七七号、二〇〇七年七月十日)では「携帯電話事業者が携帯電話用基地局を設置するにあたり、周辺地域の住民から説明を要求されるなどの理由により、当初の設置予定を変更したものの件数は、平成十八年十月現在において、四十件」と答えている。
これまでに住民から変更、撤去等の要望が出された件数、及び総務省としてその内容を関係の携帯電話事業者に連絡した件数について、年度ごとの件数と累計数で示されたい。
2 携帯電話事業者が携帯電話基地局を建設するにあたり、住民からの要望で計画を変更し、別の場所に建設した件数、また一度建設した携帯電話基地局を住民からの要望等で撤去又は移転などに至った件数を示されたい。
3 前記の答弁書では「携帯電話用基地局の設置に関し、携帯電話事業者と当該基地局の周辺地域の住民との間で訴訟により係争中となっているものの件数は、平成十九年七月現在において九件」と答えている。現在、係争中の事案は何件か。それぞれの訴訟名と審理状況を示されたい。
4 経済産業省は衆議院で「電力会社が送電線、変電所、配電線の建設等に際して地域住民などと電磁界に関する健康影響等の理由により訴訟及び調停申し立てがあった件数は平成九年度から現在までに十八件あり、現在も係争中のものは二件と電力会社から承っている」と答弁(二〇〇七年五月二十五日)している。それぞれの現在までの件数及び係争中の事案名を示されたい。
三 今後の電磁波対策について
1 電磁波の生体影響についての研究で著名な科学者、公衆衛生・公共政策専門家十四名からなる「バイオイニシアティブ・ワーキング・グループ」が超低周波電磁波と無線周波数電磁波の影響を評価し、二〇〇七年八月、超低周波電磁波への長期間曝露でがんの発症率やアルツハイマー病のリスクが増加すること、無線周波数電磁波への長期間曝露で悪性脳腫瘍、聴神経腫発症の危険性が高まると指摘しているが、政府はこの研究結果をどう評価しているか。
2 携帯電話基地局の位置情報は、諸外国では米国、英国、ドイツ、フランス、オランダ等々でインターネット公表を行っている。
当該情報は、電磁波過敏症の発症者にとって、住居の選択等にあたって、また、日常生活を安全、安心に過ごす上で重要な情報の一つであり、わが国でもさらに情報公開をすすめるべきではないか。
3 電磁波過敏症の発症者にとっては、鉄道車両内での携帯電話使用による健康影響が重要な問題になっており、さらなる対策がもとめられる。現在、各鉄道事業者でとられている車両内での部分的な携帯電話の電源オフ対策は事実上形骸化している。
阪急電車では、二〇〇三年七月からすべての運行で最低一両以上の携帯電話オフ車両を設けており、電磁波過敏症の人々に安心、安全な移動を提供している。
こうした取り組みを鉄道事業者にさらに促進する必要があるのではないか。
4 世界保健機関(WHO)は二〇〇七年六月、超低周波電磁波の環境保健基準を示すとともに、被曝を防ぐ予防的な対策をとるよう各国に要請した。これまで政府は、生体影響についても、弱い電磁波への慢性的な被曝についても調査を行うばかりで予防的アプローチをとっておらず、対策は先送りされている。これでは被害が拡大しかねない。電磁波対策に予防的アプローチをとり入れ、子ども、高齢者への対策を強化すべきではないか。また、現在の政府の予防的アプローチに関する所見を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一の1について
総務省においては、平成二十年度及び平成二十一年度に「電波の安全性に関する調査」を財団法人テレコム先端技術研究支援センターに請け負わせて行っており、平成二十年度の事業費は四億四千五百万円である。厚生労働省においては、「職場における電磁場環境および人体ばく露の実態と労働衛生管理の在り方に関する調査研究」に、平成二十年度において、首都大学東京理工学研究科教授多氣昌生氏を主任研究者として、補助金九百万円、「磁界の生体への影響とその機構の解明」に、平成二十年度から平成二十二年度まで、東京大学大学院総合文化研究科教授久保田俊一郎氏を主任研究者として、平成二十一年度までに補助金累計額二千八百万円、「居室における中間周波電磁界に関する研究」に、平成二十一年度から平成二十四年度まで、明治薬科大学客員教授大久保千代次氏を主任研究者として、平成二十一年度に補助金二千四百万円を拠出している。経済産業省においては、平成二十年度及び平成二十一年度に「電力設備電磁界情報調査提供事業」を実施しており、平成二十年度において株式会社野村総合研究所に千百万円を委託している。環境省においては、平成二十年度に「一般環境中電磁界ばく露に係る情報収集」を社団法人環境情報科学センターに請け負わせて行っており、その事業費は百万円である。
一の2について
総務省においては、平成二十年度及び平成二十一年度に「電波の安全性に関する調査」を財団法人テレコム先端技術研究支援センターに請け負わせて行っており、その内容は一の1についてで述べたとおりである。環境省においては、平成二十年度に「一般環境中電磁界ばく露に係る情報収集」を社団法人環境情報科学センターに請け負わせて行っており、その内容は一の1についてで述べたとおりである。
一の3について
財団法人テレコム先端技術研究支援センターにおける評価会委員は、九州大学大学院特任教授上野照剛氏、東京工業大学大学院教授安藤真氏、明治薬科大学客員教授大久保千代次氏、東北大学大学院教授澤谷邦男氏及び社団法人生命科学振興会理事長渡邊昌氏と承知している。なお、環境省における一の2についてで述べた事業においては、調査研究の内容が請負契約時に決定しているため、お尋ねのような機関は設置していない。
一の4について
一の2についてで述べた二つの公益法人において、平成二十一年十二月一日前五年間に天下り(府省庁が退職後の職員を企業、団体等に再就職させることをいう。)に該当する者はいない。
一の5について
研究を行う団体が、客観的なデータを用いた科学的な手法で評価、研究を行うことにより、客観性、公正性、中立性が担保されると考えている。
一の6について
電磁界関係省庁連絡会議については、平成十九年度は、平成十九年五月、六月、十月及び十一月に開催し、総務省、文部科学省及び経済産業省における取組、世界保健機関(以下「WHO」という。)の超低周波電磁界に関する環境保健基準等を議事とし、平成二十年度は、平成二十年五月に開催し、経済産業省における取組、電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)の改正による電波利用料の使途の範囲の見直し等を議事とした。
なお、平成二十一年度は、平成二十一年十二月九日現在で、まだ開催されていない。
二の1について
携帯電話用基地局の周辺住民から要望が寄せられ、総務省がその内容を関係の携帯電話事業者に連絡した件数は、参議院議員紙智子君提出電磁波対策に関する質問に対する答弁書(平成十九年七月十日内閣参質一六六第七七号。以下「先の答弁書」という。)の閣議決定の日から平成十九年度末までにおいて四十八件、平成二十年度に五十七件、平成二十一年度は平成二十一年十一月末までにおいて二十七件であり、合計百三十二件である。
二の2について
携帯電話事業者が携帯電話用基地局を建設するに当たり、周辺地域の住民から説明を要求されるなどの理由により、当初の設置予定を変更したものの件数は、先の答弁書の閣議決定の日から平成二十一年十一月末までにおいて二十二件、うち撤去又は移転したものの件数は六件と承知している。
二の3について
携帯電話用基地局の設置に関し、携帯電話事業者と当該基地局の周辺地域の住民との間で訴訟により係争中となっているものの件数は、平成二十一年十一月末現在において七件、うち最高裁判所に上告中のものが三件、高等裁判所に控訴中のものが二件、地方裁判所に提訴中のものが二件と承知しているが、それぞれの訴訟名については承知していない。
二の4について
電力会社が送電線、変電所又は配電線の建設等を行うに際して、電磁界に関する健康影響等の理由により地域住民などから提訴及び調停の申立てがなされたものの件数は、平成九年度から平成二十一年十一月末までにおいて十九件で、同月末現在係争中のものはない、と承知している。
三の1について
電磁波の健康への影響については、御指摘の研究も含め、様々な研究が行われていると承知している。
現在、WHOの国際電磁界プロジェクトにおいて総合的な検討が進められており、政府としては、同プロジェクトにおいて十分な検討が行われることが重要であると考えている。
三の2について
先の答弁書二の2の(三)についてで述べたとおり、携帯電話用基地局の詳細な設置場所については、設置主体である法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることや、犯罪の予防その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあること等により、明らかにしないこととしている。
三の3について
鉄道車両内における携帯電話の使用については、これまでも、各鉄道事業者の自主的な判断の下、優先席の付近等での電源の切断を呼び掛けるため、車内放送の実施、ポスター・ステッカーの掲示等の取組がなされているところである。
国土交通省としては、社団法人日本民営鉄道協会が行っているマナー啓発活動に対し、従前から後援を行ってきているところであり、引き続き、鉄道事業者が行う鉄道車両内における携帯電話使用の在り方を含むマナー向上の啓発について、協力してまいりたい。
三の4について
お尋ねの電磁波に係る予防的アプローチについては、WHOの国際電磁界プロジェクトにおいて検討が進められているが、平成十九年六月にWHOが超低周波に関する正式見解を発表した文書であるファクトシートのナンバー三百二十二(以下「WHOファクトシート」という。)においては、御指摘の被曝を防ぐための予防的な対策をとるべきとの各国への要請はなされていない。
いずれにせよ、政府としては、WHOファクトシートを踏まえ、電磁界の健康影響に係る関係者間の対話を充実させていくこと等が重要であると考えている。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。