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電磁波対策に関する質問主意書
参議院 第183回 第146号趣旨が明らかではない ×1承知していない ×1検討してまいりたい ×2
質問本文
携帯電話基地局建設をめぐって、建設中止や撤去をもとめる運動が全国各地で起こり、電磁波による健康被害を懸念する声が広がる中、日本環境学会は二〇一二年六月、携帯電話基地局問題をテーマにシンポジウムを開催した。これは国内の学会としては初めての取組であった。さらに同年九月には、日本弁護士連合会が「電磁波問題に関する意見書」(以下「意見書」という。)を初めて発表しており、政府に対策をもとめる動きが広がり始めている。
これまで二度の質問主意書で政府に対策をもとめたが(第百六十六回国会質問第七七号及び第百七十三回国会質問第九九号)、政府はその後も新たな対策を講じていない。しかし、環境中の電磁波は携帯電話、基地局の増加のみならず、WiFi、WiMAXなどの新たなアンテナ機器の広範囲の設置、さらに、スマートメーターの拡販などにより増大し続けており、電磁波過敏症の人々にはいっそう苦痛を増す環境が広がっている。そこで、改めて政府の対策等について、以下質問する。
一 携帯電話基地局建設をめぐる現況について
1 携帯電話基地局の建設に対して、住民らから建設地変更、撤去等の要望が出された件数、及び総務省としてその内容を携帯電話事業者に連絡した件数について、二〇〇九年度以降の件数を年度別に示されたい。
2 携帯電話事業者が携帯電話基地局を建設するに当たり、住民からの要望で計画を変更し、別の場所に建設した件数、また、一度建設した携帯電話基地局を住民からの要望等で撤去又は移転などに至った件数を示されたい。
3 携帯電話基地局の設置に関し、携帯電話事業者と基地局周辺住民との間で係争中の事案は何件か。地方裁裁判所、高等裁判所、最高裁判所の別に示されたい。
二 携帯電話基地局建設に係る条例等の制定状況について
政府による電磁波対策がすすまない中、より住民に近い地方自治体が条例を制定し、携帯電話事業者に対し住民に事前に説明することを定めるなどしている。鎌倉市ではこうした条例を二〇一〇年三月に制定した一方、福岡県篠栗町では二〇〇六年に制定された条例が二〇一二年十二月に住民に事前に周知されないまま廃止される事態も起きている。
全国的に見て、携帯電話基地局建設に係る条例・環境基本計画等を制定している自治体を政府は承知しているか。自治体名及び条例等の内容を示されたい。
三 予防的対策及び住民への情報提供について
意見書では、現在までのところ、ICNIRPガイドラインよりも低い強度の電磁波での健康被害について、科学的因果関係が証明されているとまではいえない状況であるとしながらも、電磁波による健康被害として懸念される疾患には、小児白血病、がん等、生命の危険も含まれており、厳密な科学的知見の確立を待っては取り返しのつかない大きな被害を発生させてしまう危険性もあると指摘している。したがって予防原則の観点に立ち、たとえ科学的な知見が確立していないとしても、将来の健康被害の発生、特に影響を受けやすいと思われる子どもたちや病人の健康被害の発生を防止するため、社会的弱者への予防的対応とそのための支援策に言及している。
1 宮崎県延岡市ではKDDI携帯電話基地局周辺の住民が、基地局設置後に耳鳴り、頭痛、肩こり、鼻血、めまいなど共通した健康被害が発生したとして三十名が基地局の撤去をもとめて同社を提訴した。住民の運動で延岡市が二〇〇七年十一月に健康相談会を開催し、基地局稼働後に四十五名が何らかの症状を持っていることが確認され、二〇一〇年には住民が基地局から三百メートル以内に住む住民を対象として行った調査で百六十二名以上が症状を訴えている(耳鳴り・聴力低下七十一名、肩こり・関節痛六十一名、睡眠障害四十九名、頭痛四十七名、目の痛み・かすみ三十六名、めまい・ふらつき三十五名)。
政府は、裁判でのこうした住民の訴えを承知しているか。意見書及びこうした住民の調査を受け止め、予防的対策を検討すべきではないか。
2 意見書は、現在の我が国では、自分が居住する地域のどこに電磁波施設が存在するのか、また、新たな電磁波施設の建設の予定があるのかについて、適切な情報が得られない状況にあり、このままでは住民にとって重要な意思決定をする前提としての情報がなく意思決定のしようがないと指摘するとともに、住民に対して電磁波施設に関する情報公開の制度を設けるべき、ともとめている。
政府としてこの意見書を受け止め、電磁波施設に関する住民への情報提供のあり方について検討を開始すべきではないか。
3 意見書は、電磁波の健康被害に関する研究がいまだに不十分であることを踏まえ、国に対し、関連企業からの利益供与の有無及び内容が公開された研究者により公正に構成された調査・研究機関を設置して、高圧電線の近くに居住する住民や携帯電話中継基地局周辺に居住する住民の健康被害についての実態調査、電力会社や携帯電話事業会社等、強い電磁波の曝露を受けている企業に勤務する労働者の職業曝露と健康被害についての実態調査などももとめている。政府として調査を行うべきではないか。
四 バイオイニシアティブ報告書(二〇一二年補足。以下「増補版」という。)について
バイオイニシアティブ・ワーキング・グループはすでに二〇〇七年に、現在の公衆安全限度値は公衆衛生を保護するには不適切であり、生物学的見地に基づいた新しい公衆安全限度値が必要だという結論を発表している。同年版では屋外での一平方センチメートル当たり〇・一マイクロワットとしていたが、増補版では「合理的で予防的な行動レベルとして一平方センチメートル当たり〇・三から〇・六ナノワット」としている。携帯電話で使用されている周波数と比較すると、この数値は総務省の電波防護指針値の一千万分の一レベルという厳しい値だが、政府はこうした増補版の数値を承知しているか。また、こうした「合理的で予防的な」数値につき、どのように評価しているか。
五 スマートメーターの各家庭への設置について
政府は「エネルギー基本計画」(二〇一〇年六月)において「二〇二〇年代の可能な限り早い時期に、原則全ての需要家にスマートメーターの導入を目指す」としており、連動して電力事業者は各家庭の従来の電気計測メーターのスマートメーターへの切り替えに着手している。
1 携帯電話や基地局、無線LANなどと同様にスマートメーターが発する無線周波数電磁波は、WHOの下部機関であるIARC(国際がん研究機関)が二〇一一年に発がん性がある可能性のあるグループ2Bに分類している。そのためAAEM(アメリカ環境医学会)は二〇一二年一月に無線周波数電磁波を発生させるスマートメーターの設置中止を勧告しているが、こうした無線周波数電磁波発生源を各家庭に設置することに問題はないのか、政府の認識を示されたい。
2 北海道電力株式会社は二〇一五年度からの各家庭への導入に向け、モデル地域での電気計測器のスマートメーターへの切り替えを行っているが、対象家庭には「新しい電気計測器と交換します」との説明のみであり、無線周波数電磁波を発生させるなどの説明はされていない。政府は電力事業者に対し、スマートメーターへの切り替えに際し、IARCによりグループ2Bに分類された無線周波数電磁波発生源であるなどの情報を住民にかならず周知させるよう指導すべきではないか。
3 スマートメーターの被ばく量、アクセスポイント周辺での被ばく量は不明な点が多いが、電力事業者は「個人情報に関わる」として各家庭の無線周波数や出力などの問い合わせに回答しない。政府は電力事業者に対し、スマートメーターの周波数、出力、予測される被ばく量(スマートメーターからの距離ごとの電力密度)などを公表するよう指導すべきではないか。
4 スマートメーターの設置がすすめられたアメリカ合衆国カリフォルニア州では、設置後に体調不良を訴える人が多数現れたことから、有線スマートメーターという選択肢を設けるよう事業者に勧告した。政府は、各家庭へのスマートメーター設置を一律にすすめるのではなく、情報公開をして市民の意見を聞き、多様な選択肢を継続すべきではないか。
5 各家庭の電気計測器が切り替えられる場合、スマートメーターの代金、設置費用、送信用電力は消費者が負担するものなのか。または、すでに原価算入によって消費者が負担しているのか。
右質問する。
政府答弁書
一の1について
携帯電話用基地局の周辺住民から要望が寄せられ、総務省がその内容を関係の携帯電話事業者に連絡した件数は、平成二十一年度に四十二件、平成二十二年度に三十五件、平成二十三年度に六十四件、平成二十四年度に四十八件である。
一の2について
携帯電話事業者が携帯電話用基地局を建設するに当たり、周辺地域の住民から説明を要求されるなどの理由により、当初の設置予定を変更したものの件数は、参議院議員紙智子君提出電磁波対策に関する質問に対する答弁書(平成二十一年十二月十一日内閣参質一七三第九九号)の閣議決定の日から平成二十四年度末までにおいて一件であり、撤去又は移転したものはないと承知している。
一の3について
携帯電話用基地局の設置に関し、携帯電話事業者と当該基地局の周辺地域の住民との間で訴訟により係争中となっているものの件数は、平成二十五年三月末現在において、高等裁判所に控訴中のものが一件と承知している。
二について
携帯電話用基地局の建設に係る条例等については、網羅的に把握しているわけではないが、神奈川県鎌倉市において「鎌倉市携帯電話等中継基地局の設置等に関する条例」(平成二十二年鎌倉市条例第二十号)が制定されていることは承知している。
三の1について
お尋ねの訴訟において、携帯電話用基地局周辺の住民が健康被害を訴えていることは、報道等により承知している。
携帯電話用基地局等からの電磁波による健康への影響に関しては、世界保健機関(以下「WHO」という。)が「基地局および無線技術」についての正式見解を示したファクトシートのナンバー三百四(以下「ファクトシート三〇四」という。)において、国際非電離放射線防護委員会により平成十年四月に発表された「時間変化する電界、磁界及び電磁界による曝露を制限するためのガイドライン(三百ギガヘルツまで)」(以下「ICNIRPガイドライン」という。)に定められている基準値以下の弱いRF(無線周波)信号による健康への影響について説得力のある科学的証拠はない旨の見解が示されていることから、政府としては、現行の基準により人体への危害の防止が図られているものと考えているところではあるが、御指摘の「予防的対策」については、WHOの国際電磁界プロジェクトの動向や今後の国内外の調査研究の進展を踏まえつつ、その必要性も含め検討してまいりたい。
三の2について
御指摘の「電磁波施設」の意味するところが明らかではないが、総務省としては、携帯電話用基地局の詳細な設置場所については、設置主体である法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることや、犯罪の予防その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあること等により、明らかにしないこととしているが、携帯電話用基地局の開設に際しての周辺地域の住民への説明について、携帯電話事業者に対し、引き続き要請してまいりたい。
三の3について
平成十九年にWHOが「超低周波の電界及び磁界への曝露」についての正式見解を示したファクトシートのナンバー三百二十二において、超低周波電磁界と健康影響との因果関係があるといえるほどの証拠は見当たらないとの見解が示されたことを受け、総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会電力安全小委員会電力設備電磁界対策ワーキンググループが、電力設備から発生する低周波電磁界と健康影響との因果関係について検討した結果、その報告書において同様の見解が示された。これらのことから、政府としては、送電設備等の近くに居住する住民の健康被害についての実態調査を行う必要性は低いと考えているが、電磁界と健康影響との関係については、経済産業省において実施している「電力設備電磁界情報調査提供事業」において国内外の情報収集や調査を行っており、今後も情報収集等に努めてまいりたい。
携帯電話用基地局からの電磁波による健康への影響に関しては、ファクトシート三〇四において、ICNIRPガイドラインに定められている基準値以下の弱いRF(無線周波)信号による健康への影響について説得力のある科学的証拠はない旨の見解が示されており、現時点では健康被害は科学的に確認されていないものと認識しているが、御指摘の「携帯電話中継基地局周辺に居住する住民の健康被害についての実態調査」については、WHOの国際電磁界プロジェクトの動向や今後の国内外の調査研究の進展を踏まえつつ、その必要性も含め検討してまいりたい。
電磁波の労働者へのばく露の実態については、厚生労働省において、平成二十年度に、「職場における電磁場環境および人体ばく露の実態と労働衛生管理の在り方に関する調査研究」を実施したところであり、今後も情報収集に努めてまいりたい。
四について
御指摘のバイオイニシアティブ報告書増補版については、政府として詳細は承知していないが、携帯電話用基地局等から発射される電磁波については、我が国においては、電波法施行規則(昭和二十五年電波監理委員会規則第十四号)等で、WHOが遵守することを推奨しているICNIRPガイドラインに定められている基準と同等の基準を定めており、ファクトシート三〇四において、携帯電話用基地局等からのICNIRPガイドラインに定められている基準値以下の弱いRF(無線周波)信号による健康への影響について説得力のある科学的証拠はない旨の見解が示されていることから、政府としては、現行の基準により人体への危害の防止が図られているものと考えている。
五の1について
スマートメーターが電波を用いて通信を行う場合については、電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)の規制を受けることとなるが、我が国においては、電波法施行規則等で、WHOが遵守することを推奨しているICNIRPガイドラインに定められている基準と同等の基準を定めており、当該電波による人体への危害の防止が図られているものと考えていることから、電力会社が、電波を用いて通信を行うスマートメーターを各家庭に設置することについては問題ないと考えている。
五の2について
お尋ねについては、北海道電力株式会社によれば、モデル地域においてスマートメーターを設置するに当たり、対象需要家に対し、通信機能付きの新しい電力量計を設置すること、遠隔検針等の実証試験を行うことなどをお知らせし、協力を依頼しているとのことである。
五の3について
御指摘の「スマートメーターの周波数、出力、予測される被ばく量(スマートメーターからの距離ごとの電力密度)」などの情報の取扱いについては、各電力会社において判断されるものであると考えている。
五の4について
経済産業省としては、電気の効率的な使用や多様な電気の小売に係る料金の設定等を促進する観点から、スマートメーターの導入は重要であると考えているが、その導入に当たっては、対象需要家に対し、電力会社において適切な説明を行いながら進められるべきものと考える。
五の5について
スマートメーター本体及び設置に要する費用並びに通信を行う際の送信用電力に要する費用(以下「スマートメーターに係る費用」という。)については、一般に電気料金の原価に算入可能であり、これまでに電気料金の値上げに係る認可申請を行い、その認可を受けた東京電力株式会社、関西電力株式会社及び九州電力株式会社については、スマートメーターに係る費用が電気料金の原価に算入され、消費者が電気料金の支払を通じて費用を負担している。
この答弁書に出てくる定型句
趣旨が明らかではない ×1承知していない ×1検討してまいりたい ×2
語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。
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