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口蹄疫問題に関する質問主意書
参議院 第175回 第21号
質問本文
本年四月二十日に発生が確認された宮崎県の口蹄疫は、発生農場の家畜二十一万千六百八頭、ワクチン接種農家の家畜七万六千七百五十六頭の殺処分という空前の畜産被害をもたらしただけでなく、関連産業、地域経済に深刻な打撃を与えて、七月二十七日に移動制限と搬出制限が解除され、終息を迎えた。
そして、いよいよ、畜産復興、地域復興に取り組む段階となった。また、二度とこのような甚大な被害を生じさせない口蹄疫予防対策の確立も急がれる。ついては、以下のとおり質問する。
一 畜産農家の経営再建について
1 当該地方自治体や地域経済は畜産業に深く依拠しており、被害畜産農家がもれなく経営再建をすることが、当該地方自治体の財政や地域経済の再建にとって不可欠であると考えるが、政府はどのようにこの問題を認識しているか。
2 被害畜産農家の中には精神的打撃も受け、経営再建に向けて悩みを抱えている畜産農家もある。政府が精神的サポートも含めて経営再建に向けて支援すべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
3 口蹄疫対策特別措置法は、被害畜産農家の経営再建について、その第二十二条で「当該者に対し事業の再建等に必要な資金の無利子の貸付け、当該事業に係る施設又は設備の整備等に要する費用の助成その他の必要な措置を講ずるものとする」としているが、被害畜産農家に対する経営支援としては、資金の無利子貸付けに限定する考えなのか。
4 畜産経営は、収入になるまでの飼育期間が長く、経営が回転している場合は良いが、今回のように飼育している家畜がすべて淘汰された場合は、経営が軌道に乗るまで数年かかり、家畜の種類によって一年から三、四年の無収入期間が生じる。養豚では、親豚を導入して、妊娠させ、子豚が生育して、販売できるまで、一年半かかる。この間は、無収入なだけでなく、エサ代や施設固定費などの経費がかかる。牛の場合は、三年から四年程度の無収入期間が生じる。この無収入期間の生活費や経費のめどが立たなければ、経営再開は出来ない。また、多くの畜産農家は、多額の負債を抱えているとともに、デフレ経済の中で飼料高と販売価格の低迷に苦しんでいた。それだけに、新たな借金と言える融資による経営再建はとてもできないというのが畜産農家の共通した声である。この点について政府はどのように認識しているのか。
5 口蹄疫対策特別措置法第二十二条では「その他の必要な措置を講ずる」としているが、この規定に基づいて被害畜産農家の経営再建のために、政府は直接財政支援を行うべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
6 被害畜産農家には、預託畜産農家も存在する。それらの預託畜産農家については、何の被害補償もなされていない。このままでは、預託畜産農家は、経営存続ができない。政府として、経営再建できるような支援をすべきであるが、見解を明らかにされたい。
二 地域再生のための支援について
1 口蹄疫対策特別措置法第二十三条の「基金の設置」について、これは、政府が設置するのか、宮崎県が設置するのか、政府の見解を明らかにされたい。
2 仮に宮崎県が設置をした場合、政府はその基金に対して財政支援をするべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
3 宮崎県下の当該市町村が基金を設置した場合も、政府が財政支援をするべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
4 基金の運用として、被害畜産農家の経営再建支援にも使われるべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
5 畜産業に密接した経営をしている家畜人工授精師、牛削蹄師、農業ヘルパーなどは、今回の口蹄疫被害で仕事を失っており、経営支援措置が求められているが、政府の対応を明らかにされたい。
三 口蹄疫予防対策について
1 全国に口蹄疫を拡散させないための口蹄疫情報ネットワークの確立について
宮崎県における口蹄疫発生に限らず、アジア全体で口蹄疫は発生しており、日本への侵入の可能性は絶えずあるといえる。口蹄疫の症状がでた家畜の情報をいち早く掴み、迅速な防疫措置をとれるように、農家や獣医が直接国に情報伝達する情報ネットワークを早急に確立すべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
2 口蹄疫の日本への侵入を極力抑えるための検疫の強化と、アジアの口蹄疫を押さえ込むための国際協力の強化について
口蹄疫の検疫は、従来、生きた家畜と肉製品を中心としているが、飼料の稲ワラなどの検疫も強化するとともに、人によるウイルスの侵入も可能性としてあり、空港や港湾などでの口蹄疫発生地域からの入国者の靴底の消毒の徹底などの検疫も強化すべきである。また、アジアにおける口蹄疫の押さえ込みのために国際協力を強化するべきである。政府の見解を明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一の1及び2について
政府としては、今回の口蹄疫による被害を受けた、牛、豚等の家畜の生産者(以下「生産者」という。)の経営の再建は、地域経済の再建等にとって重要であると認識しており、現地の意見、要望等にきめ細やかに対応し、今回の口蹄疫による被害を受けた生産者の経営の再開や地域の農業の振興のため、最大限の支援を行っていく考えである。また、今回の口蹄疫による被害を受けた生産者の心のケアは、口蹄疫の発生当初から重要な課題であると認識しており、平成二十二年五月以降、宮崎県に対して独立行政法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の専門家を紹介し、同専門家による、生産者に対する心のケアの実施に対する技術的な援助を行っている。
一の3から5までについて
政府としては、今回、口蹄疫が発生した農場を使用していた生産者及び患畜等以外の家畜の殺処分を行った農場を使用していた生産者が安心して経営を再開できるよう、実情に応じたきめ細やかな支援を行っていくことが重要であると考えている。このため、口蹄疫対策特別措置法(平成二十二年法律第四十四号)第二十二条の規定に基づき、資金の無利子貸付けに限定せず、これらの生産者に対し、家畜の販売収入が得られない期間においても経営を継続できるよう、労働費用等の固定経費について補てんするなどの支援を行うこととしている。また、家畜伝染病予防法(昭和二十六年法律第百六十六号)に基づく手当金又は口蹄疫対策特別措置法に基づく補てん金の概算払を行ったところである。
一の6について
患畜等以外の家畜の殺処分を行った農場を使用していた生産者等に対する経営の再開のための支援金は、所有者からの委託を受けて家畜を飼養する事業については、その事業を営んでいた者に交付することとしている。
二の1から4までについて
口蹄疫対策特別措置法第二十三条に基づく基金については、その創設を図ることとしているが、設置主体、拠出主体、支援対象等に関しては、効果的・効率的な事業の運営という観点を踏まえ、宮崎県等からの具体的な要望を聴いた上で検討することとしている。
二の5について
今回の口蹄疫の発生に伴う家畜人工授精師、牛削蹄師等の収入の減少に対しては、株式会社日本政策金融公庫からの低利の資金調達を措置している。
三の1について
政府としては、生産者に対し、その飼養する家畜について、毎日健康観察を行うとともに、異常を確認した場合には直ちに都道府県の家畜保健衛生所に通報をするよう、都道府県を通じて指導徹底している。また、都道府県に対し、当該通報を受けた場合には、原則二時間以内に立入検査を行うとともに、異常が確認された家畜の写真等を直ちに農林水産省に送付するよう指導徹底している。
三の2について
政府としては、我が国への口蹄疫の侵入を防止するため、口蹄疫の発生地域からの畜産物、稲わら等の輸入を禁止するとともに、口蹄疫の発生地域からの入国者の靴底の消毒等の措置を徹底している。また、アジアにおける口蹄疫対策に関する国際協力については、本年五月に公表した「日中韓三国間協力ビジョン二〇二〇」において、口蹄疫を含む家畜伝染病に効果的に対処し根絶するための協力を強化している。
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